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検索されない製品・サービスのBtoBマーケティング

BtoBマーケティング
才流コンサルタント
小島 瑶兵

新規リードの獲得を効率的に行うための考え方を3記事にわたって紹介する当企画。本記事ではニーズが顕在化していない製品・サービスにおいて有効な手段を解説します。

施策の優先順位をつけたい方、これからBtoBマーケティングに取り組みたい方は参考にしてください。

2022年1月に小島がマーケジンに寄稿した記事です。

※関連記事:自社に合った新規リード獲得施策の見つけ方#1
※関連記事:ターゲット企業が少ない製品・サービスのBtoBマーケティング#3

軸ずらし施策から新規リードを獲得する

本連載では3回にわたって、自社の製品・サービスに合った新規リード獲得施策の見つけ方を解説します。図表1のチャートに沿って状況を整理すると、自社が重点的に取り組むべき新規リード獲得施策を見つけることができます。

図表1 新規リード獲得の方向性診断チャート(71号を参照)

前回は「自社に合った新規リード獲得施策の見つけ方」と「検索経由でリードを獲得する方法」をご紹介しました。

2回目となる本稿では、購買につながるキーワードで検索されていない製品・サービスのマーケティングに有効となる、「軸ずらし施策から新規リードを獲得する方法」をご紹介します。

顕在ニーズがない製品・サービスは検索されない

「新規リードを獲得しよう」と考えるマーケティング担当者が真っ先に思いつくのは、リスティング広告やSEOといった検索経由でリードを獲得する手法ではないでしょうか?

しかしながら、BtoBの領域では「ニーズが顕在化されておらず、購買目的で検索されていない」製品・サービスも数多く存在しています。

購買目的で検索されていない製品・サービス

  • 顧客が潜在的に課題を抱えていても、解決方法を能動的に探さない領域の製品
  • サービス(例:M&A仲介、営業コンサルティングなど)
  • スタートアップ企業が提供する、新しい価値を提示する製品・サービス(例:市場に浸透する以前のSansan)

軸ずらし施策の実践例

セミナーやお役立ち資料などのコンテンツ制作に取り組まれている企業は増える一方で、リード獲得につながっていないケースが散見されます。

その原因の1つに、顧客の関心事と、コンテンツのテーマが合っていないことがあります。顕在ニーズがない(非常に少ない)場合、製品・サービスの強みや他社との差別化ポイントをコンテンツ内で訴求しても、顧客は関心を示しません。

そのような場合には、「製品・サービスを売ること」を一旦忘れて、「顧客の関心事に応える」ことに主眼を置きましょう。製品・サービスの特長やセールスポイントではなく、顧客の関心事に軸をずらしたコンテンツを起点にマーケティング活動を展開するのです。

たとえば、スポットコンサルティングサービス「ビザスク」を展開しているビザスクでは、2021年の11月に「NECの新事業開発に学ぶ―イノベーションプロジェクトの成功法とは―」というテーマでセミナーを実施しています。自社サービスの説明や特長の紹介ではなく、メインターゲットとなる大手の新規事業担当者が抱えている課題感や関心事に合わせて企画しているのではないかと推察できます。

自社の訴求したいことではなく、顧客の関心事に沿ってコンテンツを企画する「軸ずらし」は、お役立ち資料やコラム記事といった形式のコンテンツでも非常に重要な考え方です。

もう一つ例を挙げると、健康管理システム「Carely」を提供しているiCAREでは、「上場企業の常識になった、衛生計画の上手な立て方」や「急増するテレワーク中のメンタルヘルス対策と失敗する予防策」というテーマのお役立ち資料を公開しています。ここでも、製品・サービスの特長やセールスポイントではなく、メインターゲットと想定される人事や総務担当者の関心事に沿ったコンテンツを企画していると推察できます。

誰も、あなたの製品・サービスに興味はない

では、どうすれば顧客の関心事に沿った内容のコンテンツを企画できるのでしょうか?

そもそも、AppleやMicrosoft、Googleのような圧倒的に注目を集める企業でもない限り、「自社が伝えたいこと」には興味を持ってもらえません。「誰も、自社の製品・サービスに興味を持っていない」という前提で、「顧客の関心事は何か?」「どういったテーマなら興味を持たれるか?」といった視点でコンテンツを企画する必要があります。

そのためには、セミナーやお役立ち資料などのコンテンツを企画するマーケティングの担当者が「顧客の関心事を知っている」必要があります。顧客は、どんな企業・部署に所属していて、どのような課題を持ち、普段はどのようなセミナーに参加し、どういったテーマの資料をダウンロードしているのでしょうか?

顧客の関心事について詳しくない場合には、「詳しい人に直接聞いてみる」ことをお勧めします。たとえば、既存のお客様に対して直接話す機会がある場合には、「どんなテーマのセミナーなら参加したいですか?」や「最近ダウンロードしたお役立ち資料はありますか?」などの質問をしてみてください。

「ビザスク」や「ミーミル」などのサービスを活用すれば、まだ取引のないターゲット顧客に直接ヒアリングできます。また、顧客と直接話す機会の多い、自社の営業担当者に顧客の傾向や関心事を聞いてみるのもお勧めです。

ヒアリングする対象例

  • 既存のお客様
  • 取引のないターゲット顧客
  • 自社の営業担当者

ヒアリングの項目例

  • どんなセミナーのタイトルなら参加したいですか?
  • 最近、どんなお役立ち資料をダウンロードしましたか?
  • 最近読んだ、仕事関連の本はどんな内容でしたか?
  • この業界で注目している人・この人の講演なら聞きたい人はいますか ?

ヒアリングした方には、セミナーに登壇してもらったり、コラム記事やお役立ち資料を作成してもらったりなど、可能であればコンテンツの作成協力も依頼しましょう。リソースやスケジュールの都合で難しい場合には、ヒアリングした内容を基に、コンテンツの制作はマーケティング担当者が行い、監修いただく方法もお勧めです。

購買プロセスの階段設計が重要

本稿で紹介する「軸ずらし施策」には注意点があります。顧客の関心事に合わせたコンテンツを起点にリード獲得を行うため、顧客はそもそも製品サービスに対して興味がないことが大半です。そのため直後に商談を打診しても断られてしまうケースが多くなってしまうのです。

獲得したリードを無駄にしないためにも、少人数勉強会や無料相談会など商談前に顧客と接点を持つ機会を設けて、なめらかなコミュニケーションのプロセスを設計しましょう(図表2)。

図表2 「階段設計」でなめらかなコミュニケーションを

定期的にメルマガを送ったり、インサイドセールスからヒアリングをしたり、獲得したリードに対して中長期的にアプローチすることをお勧めします。

コンテンツに橋を架ける

顧客の関心事に合わせたテーマを企画し、社内・社外の知見を基にコンテンツを作成したものの「せっかく記事を作ったのに見てもらえない」「セミナーの参加者が集まらない」などといったお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?

コンテンツが適切に顧客に届くように、顧客の関心事に沿ったコンテンツを作るだけでなく、きちんと「橋」を架けることが重要です。

セミナー参加やお役立ち資料のダウンロードを増やす施策で、近年最も盛んになっているのがFacebook広告です。顧客の関心事に合っていて、広告戦略が設計できていれば、1件当たり5,000円未満でリードを獲得できることもあります。

見込み顧客の会員を多く抱えているメディアの有料メルマガを実施しても良いでしょう。もちろん、自社のハウスリストにメルマガを送付することも忘れずに行いましょう。

コラム記事に橋を架ける代表例

  • 情報収集目的の検索対策(SEO)
  • FacebookやTwitterなどのSNS
  • ハウスリストへのメルマガ

コラム記事は直接個人情報を取得するわけではないので、基本的には無料のチャネルで橋を架けましょう。このような手法は、成功すると非常に大きな成果を生む一方で、非常に難しい施策でもあります。

情報収集目的の検索対策(SEO)の場合、成果が出るまでに時間を要したり(長い場合は1年以上)、領域によっては後発で参入しても勝てる見込みが低かったりすることもあります。FacebookやTwitterなどのSNSに関しても、日々の運用は大きな負担ですし、そもそもターゲット顧客がSNSで情報収集していない場合には効果がありません。

こういった無料の集客チャネルに参入する際は、諸々のリスクや必要なリソースなどを認識した上で、計画的に取り組むことをお勧めします。

セミナーやお役立ち資料などのコンテンツ施策を実施する多くの企業が、製品・サービスの強みや他社との差別化ポイントを訴求することに主眼を置いてしまうことで、ターゲット顧客の関心事に合わず、リード獲得に苦戦しています。

本稿で解説した「軸ずらし施策」がそういった失敗を回避し、効率的なリード獲得を実現するきっかけになると幸いです。

まとめ

コンテンツを起点にリード獲得ができたとしても、「商談につながらない」「受注につながらない」という課題を持つ企業も多く存在します。

インサイドセールスやメルマガなどの中長期的なコミュニケーションも重要ですが、「そもそも、自社の製品・サービスがマッチする顧客とは?」という視点で考えてみることも重要です。見直してみると、自社リードの大半がターゲット外の企業かもしれません。

次回はパターン3にあたる、「特定企業にピンポイントでアプローチする方法」について詳しく解説します。

※出典:MarkeZine / 公開日: 2022/01/04

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