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顧客の不安を解消するサービス提供プロセスの全公開記事とは?

BtoBマーケティング
コンサルタント
石田 啓
プロセス全公開記事と一般的な成果や実績紹介の比較

コンサルティングサービスやシステムの受託開発などの無形商材では、顧客の検討度合いがなかなか深まらず、有形商材に比べて時間がかかることがあります。理由は、顧客が抱えている以下のような不安です。

「具体的には、どんなことを提案してくれるの?」
「どのくらいのスピード感でプロジェクトは進むの?」
「ただ提案資料を提示されるだけなのかな?話はちゃんと聞いてくれる?」   

そこで本記事では、顧客の不安を解消し、無形商材の購買を前に進めるためのコンテンツ「プロセス全公開記事」の作り方を解説します。プロセス全公開記事とは、実績紹介のページや一般的な導入事例記事より、さらに一歩踏み込み、サービス提供プロセスの全容を公開する記事です。

才流でも、実際にプロセス全公開記事をきっかけに受注した例があり、商談化率向上やリードタイムの短縮に貢献すると考えています。記事制作の構成を作る際に利用できるシートも作成しましたので、ぜひご活用ください。

才流では成果が実証されたメソッドにもとづき、マーケティング戦略立案から施策実行まで支援しています。マーケティング活動で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)

プロセス全公開記事の構成シート
「プロセス全公開記事」構成シート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとファイルがダウンロードされます。

※関連記事:サービスの見える化

顧客への支援プロセスを全公開する意味とは?

サービスサイトで顧客が求める情報を提示し、企業のロゴや顧客インタビューで導入実績を紹介している企業は増えています。受注までの導線はさまざまな形で用意できると思います。

しかし、無形商材の場合、サービス内容や成果だけを示されてもイメージがつきにくい場合があります。「導入後、何をしてくれるのか?」「どこまでやってくれるのか?」「どんなプロセスがあるのか?」、顧客には伝わっていません。

そこで、サービスを導入してから契約終了まで、プロジェクトの詳細プロセスを公開する記事が有効です。才流では「プロセス全公開記事」と呼んでいます。

以下の氷山図で例えると、導入前の顧客から見えているのは「サービス内容や実績」のみです。もちろん、検討をし始める際には、サービス内容や実績は重要です。しかしいざ導入となると、踏み切れない。検討の時間が伸びていくのは、見えない部分に不安を感じているからなのです。

無形商材の氷山モデル

そこで、見込み顧客の購買行動を後押しするために、氷山の見えない部分を徹底的に見える化する。成果に至るまでのプロセスに焦点を当て、導入後の具体的なイメージを持ってもらうことが重要なのです。

プロセス全公開記事の例

実際のプロセス全公開記事の例を紹介します。

例①才流の記事

当社で作成した同記事は、顧客である株式会社ディバータ様に協力していただき、新規事業のマーケティングを支援したプロジェクトを時系列で解説したものです。4か月半の施策を具体的な数字や実際の提案資料も公開しています。

実際、記事を読んだ方から問い合わせをいただき、商談化したケースもありました。

才流のプロセス全公開記事の例「新規事業マーケプロジェクト4か月半を全公開」
「製品なしでも有料モニター4社獲得!新規事業マーケプロジェクト4か月半を全公開」

例②才流がMarkezineに寄稿した記事(社名非公開バージョン)

次に、当社代表の栗原がMarkeZineに寄稿した記事です。社名は非公開で「某ITシステム企業(A社とする)」としていますが、どんな相談があり、課題に対しどのようなプロセスで支援を行ったのか、具体的に解説しています。

例③株式会社ベイジの記事

ベイジが、同社の顧客であるサイボウズとのプロジェクトの詳細を公開した記事です。サイトリニューアル時の改善方針やどのような考えで決めたのかなど、細かく紹介されています。

ベイジのプロセス全公開記事
採用人事で先を行くサイボウズが本気で採用サイトを作ったら?

例④株式会社ホットリンクの記事

自社とベイジのサイトリニューアル戦略を8000字のボリュームで公開しています。ホットリンク社は顧客側ではありますが、詳細プロセスを公開する記事の型として参考になる例です。

ホットリンクのプロセス全公開記事
ホットリンクのサイトリニューアル戦略 

プロセス全公開記事の作成ステップ

ここからは、プロセス全公開記事の作り方を解説します。

基本は導入事例記事の作成方法と同じですが、プロジェクトの詳細を公開するため、顧客と細かくコミュニケーションをとることが重要です。公開可能な数字や情報の範囲などは、確認を怠らないようにしましょう。

Step1 顧客から許諾をとる

導入事例記事の場合、受注前に許諾を取る企業が多いです。同様に、プロセス全公開記事も受注前の早い段階から依頼しておきましょう。

難易度が高いように感じるかもしれませんが、「良い成功事例になるよう、全力で支援します!」と伝え、一緒にゴールを目指す気持ちで依頼するのがポイントです。

プロセス全公開記事用で使用できる依頼用メールのテンプレートを用意しましたので、コピーしてご活用ください。

【依頼の許諾をとるためのメールテンプレート】

件名: プロセス公開記事に関するご相談

株式会社◇◇ △△様

お世話になっております。
株式会社才流の〇〇です。

日頃より、〇〇(製品・サービス名)をご活用いただき、誠にありがとうございます。

この度は、ぜひ貴社への支援プロセスを記事にして、公開をしたくご連絡させていただきました。

掲載イメージは〇〇(参考記事のURL)からご覧いただけます。

記事内で貴社サービスに関する説明もさせていただきますので、微力ながら宣伝効果も見込めるかと存じます。

詳細に関しては添付資料にまとめております。取材のお手間を取らせることはございません。

もし、お引き受けいただけるようでしたら、ご一報いただければ幸いです。

突然のご相談で恐縮ではございますが、ご検討のほど何卒よろしくお願いします。

*****************************************
〇〇株式会社
電話番号:〇〇〇〇
Email:〇〇〇〇
Webサイト:〇〇〇〇
******************************************

メールに添付する文書のサンプル(Word)は以下からダウンロードできます。

許諾依頼文書のサンプル(Word形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとダウンロードされます

才流 石田

プロセス全公開記事は、取材が必須ではないので顧客の負担は少ないです。また、どこまでを公開できるか、顧客としっかりと確認しましょう。

特に以下の4点は重要です。

・顧客名、サービス名を開示してよいか

・顧客の抱える課題や目指す方向性を開示してよいか

・具体的な数字を開示してよいか

・顧客に提出した納品物を開示してよいか

顧客は「競合に詳しい内容を知られたくない」と考えています。どこまでならば開示してよいのか、線引きは詳しく確認しておきましょう。

また社名や業界は伏せ、特定できない状態であれば開示の許諾は取りやすい場合があります。社名が非公開でも、具体的な取り組みやプロセス、成果を示すことで自社のサービスプロセスを知ってもらうためには十分な情報を掲載できます。

例で紹介した「リード数を30倍に増やした会社が3年間のプロジェクトで取り組んだこと」は、社名非公開のパターンなので、参考にしてください。

Step2 記事のたたきを作る

例で紹介した「製品なしでも有料モニター4社獲得!新規事業マーケプロジェクト4か月半を全公開」を作成した際は、まず記事のたたきを作り、顧客に確認をとりました。

【記事の構成要素】

・サービス導入前に持っていた課題や背景

・プロセスの全体図と実際のスケジュール

・得られた成果

・具体的に取り組んだことやコミュニケーションの様子

まず、顧客がサービス導入前に持っていた課題や背景を書き出しましょう。顧客が自社に問い合わせたきっかけや商談で話された内容があると具体性が増します。

プロセス全公開記事の内容例
顧客企業の紹介例

次に、プロセスの全体図と実際のスケジュールを書き出してください。

プロセス全公開記事の内容例
プロジェクトのゴールや流れを示したスライドの例
プロセス全公開記事の内容例
実際に使用したスライドで、スケジュール感などを明示する

続いて、得られた成果を書き出します。どこまで具体的に開示できるかは依頼時に確認を取った内容に沿って決めてください。

プロセス全公開記事の内容例

最後に時系列に沿って、行ったことや結果を書き出してください。1か月目、2か月目など、できるだけ具体的に記載しましょう。

才流 石田

全プロセス公開記事は、一般論やセオリーの話では意味がありません。具体的にどういうプロセスを踏んだのか、各フェーズでやったことや詳細なスケジュールを盛り込むことが重要です。

例えば「想定以上に時間がかかりスケジュールが遅延した」「振り出しに戻った」など、失敗してしまったことも可能な限り公開することで、よりイメージが具体化するでしょう。

またリアルな実情を書くことで、マイナスな情報もきちんと開示するオープンな会社として顧客からの信頼にもつながります。さらにプロジェクトに対する適切な期待値の調整にもつながるでしょう。

プロセス全公開記事の内容例
「いつ、何を、どんなふうにやってくれる?」「どんな話をした」など、ドキュメンタリーを作る気持ちで詳しく書きましょう

たたきを作ったら公開範囲に齟齬はないか、顧客に確認しましょう。記事の内容、構成が見えてくることで、顧客としても公開範囲に対する認識が変化することもあります。

Step3 記事を作成する

顧客コミュニケーションを終えたら、たたきを元に記事を作成します。記事構成のテンプレートを紹介しますので、自社に合わせてカスタマイズしてご利用ください。

プロセス全公開記事の構成シート
※「プロセス全公開記事」構成シート(Excel形式)をダウンロードする

個人情報入力の必要はありません。クリックするとファイルがダウンロードされます。

プロセス全公開記事では、サービス導入のプロセスにおいて顧客が歩むプロセス、受け取る情報をきちんと伝えることが重要です。記事内に掲載する納品資料・定例資料については、テンプレートではなく実際の資料を一部ぼかしを入れるなどして使用するのがよいでしょう。

プロセス全公開記事の内容例
例:実際に才流が顧客に納品した資料。製品なしでも有料モニター4社獲得!新規事業マーケプロジェクト4か月半を全公開の中で紹介した

Step4 内容を確認してもらい、公開する

記事が完成したら顧客に最終確認を依頼しましょう。公開は必ず、顧客の許可を得てから行ってください。記事はサービスサイトに掲載するだけでなく、営業資料に使ったり、セミナーコンテンツとして再利用したりもできます。

記事をまとめた図解を用意し、SNSで発信するのも良いでしょう。

Twitterでのコンテンツ再利用の例
石田がTwitterで発信した内容

まとめ

プロセス全公開記事は活用シーンも多く、リード獲得、受注率向上、リードタイムの改善などを期待できます。本記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ取り入れていただけると幸いです。

才流では成果が実証されたメソッドにもとづき、マーケティング戦略立案から施策実行まで支援しています。マーケティング活動で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)

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