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事業への貢献度が高い企業・組織をターゲットに定め、売上の最大化を目指すABM(アカウント・ベースド・マーケティング)。
BtoBマーケティングはリード獲得を起点としてアプローチするケースが多いため、「どのように進めていけばいいのかわからない」と迷ってしまう方も多いようです。
ABMの進め方で迷った場合、まずはターゲットリストの作成、アカウントプランの設計と実行、活動の振り返りの4つに取り組むことをおすすめします。
本記事では、ABMに欠かせないアカウントプランのテンプレートも用意したので、ぜひあわせて活用してください。
![アカウントプランのテンプレート全体イメージ](https://sairu.co.jp/wp-content/uploads/2023/06/ABM_アカウントプランのテンプレート全体イメージ-1024x606.webp)
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ABMとは
ABMとは、Account Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティング)の略称。端的にいうと、少数のアカウント(企業・組織)をターゲットとしてマーケティングや営業活動を行う手法です。
![ABMとリード獲得起点のマーケティングの違い(ファネルのイメージ)](https://sairu.co.jp/wp-content/uploads/2023/06/ABMとリード獲得起点のマーケティングの違い_1-1024x876.webp)
BtoBマーケティングでは、リード獲得を起点としてアプローチすることがほとんど。マーケティング部門が不特定多数を対象として認知獲得や集客を行ってリードを獲得し、接触を重ねてホットリードに育成、営業部門にパスして商談や受注につなげていく、というのがよくある流れです。
一方ABMは、特定少数のアカウントとの関係性を構築し、事業への貢献度が高い契約を獲得することで売上を最大化させます。あらかじめターゲット企業・組織を定め、ピンポイントで営業やマーケティング活動を展開していくようなイメージです。売上や利益を最大化させるために全社的に取り組みます。
![ABMとリード獲得起点のマーケティングの違い(表のイメージ)](https://sairu.co.jp/wp-content/uploads/2023/06/ABMとリード獲得起点のマーケティングの違い_2-1024x810.webp)
よってABMでは、以下のようなことができるようになります。
- 少数のターゲットに対して、解像度の高い取り組み
- 高いLTVが見込めるため、個社ごとの獲得単価を考慮せずに活動
ABMは、限られた少数の企業から着実に受注を獲得しなければならないシチュエーションにおいて非常に有効なマーケティング手法といえます。
ABMが向いている企業、商品・サービス
ABMはすべての企業や商品・サービスで有効なわけではありません。自社、あるいは商品・サービスが以下のいずれかに当てはまる場合は、ABMの導入を検討するとよいでしょう。
- ターゲットが大規模な企業のみ
- 単価と付加価値が高く、大規模の企業しか導入できない商品・サービス
- 【例】大企業向けのERPや高単価のコンサルティングサービスなど
- ターゲットが少なく、かつニッチ
- 特定の業界向けのようなターゲットが限られる商品・サービス
- 【例】金融機関向けの業務システム、加工業向けの工程管理システムなど
- 少数の大規模な顧客が高い収益をもたらす
- 利用料やユーザー数に応じて課金される商品・サービス
- 複数の商品・サービスを提供している企業
- 【例】ユーザー課金の人事労務ソフト、従量課金制の請求書システムなど
ABMを推進する体制
ABMに取り組む際は、大きくわけて以下の3つの役割が必要になります。
- ABMをマネジメントする
- アカウントプランを作成、実行する
- 必要な対策を実施する
これらをすべて一人で実施することもあれば、それぞれ個別に担当者をアサインすることもあります。ABMは売上や利益を最大化させるために全社で取り組むものであることを念頭におきつつ、ABMにかけられる現実的なリソースの状況を考慮して体制を整えましょう。
ABMの進め方4つのステップ
ここからは、ABMの具体的な進め方について説明していきます。ABMは、基本的に以下の4つのステップで進めます。
- ターゲットリストを作成する
- アカウントプランを設計する
- アカウントプランを実行する
- 活動を振り返る
1.ターゲットリストを作成する
まずは獲得すべき企業をリストアップします。以下の手順で行いましょう。
1.ターゲティングの条件を設定する
年商や見込みのLTV、従業員数、業界、業種など、自社の商品・サービスの特性に応じた条件を設定します。
2.ターゲットリストを作成する
上で設定した条件に合致する企業を抜け漏れなく抽出し、リストを作成します。企業を抽出する方法には以下のようなものがあります。
①リストを購入する
帝国データバンク、東京商工リサーチ、Musubu、SPEEDAといったサービスがよく使われます。
②公開情報から絞り込む
たとえば以下のような方法が有効です。
- 企業ランキングから取得する
- 業界団体の加入企業を一覧にする
- 展示会の出展企業を抽出する
- 業界メディアに掲載されている企業から抽出する
適切なリストの数は、担当者の数によって異なります。担当者一人につき10社を目安としてリストを作成するとよいでしょう。
3.ターゲットリストの情報を追加する
作成したターゲットリストについて、担当者アサインのために必要な情報を追加します。
企業や商品・サービスによって異なりますが、企業規模や業界、業種、保有するリード数、取引履歴との突合などが挙げられます。
4.営業担当者をアサインする
企業ごとに営業担当者をアサインします。担当者一人につき10社、そのうちの2〜3社を注力対象とするのが現実的です。もちろん適切な数は商品・サービスの特性や、環境に応じて変わります。適宜調整してください。
担当者をアサインするときの基準には、以下のようなものがあります。ただし最終的には担当者の上長が、事業における利益と営業効率をふまえて定性的に判断しましょう。
- ターゲット企業の業種、業界の知識を持ったメンバーをアサインする
- 物理的に距離が近く、訪問を通じた関係構築がしやすいメンバーをアサインする
- (関係性が薄い企業に対する営業が求められる場合)活動量が求められるので対応可能なメンバーをアサインする
- (すでに契約がなされており、契約拡張が求められる場合)顧客の社内、業務事情を把握したうえでサクセスに導けるメンバーをアサインする
2.アカウントプランを設計する
ABMはターゲットごとにアカウントプランを用いて進めていくのが一般的です。
アカウントプランとは、自社の商品・サービスを販売していくための計画、および計画を遂行するために必要な情報がまとまった資料のこと。アカウントごとに作成し、内容は自社の事業構造や商品・サービスによって変わります。
アカウントプランに則って活動を遂行することで、新規顧客獲得や取引量の増加といったABMの目的が達成されます。営業担当が作成し、上司や関係者からのレビューを経て完成させましょう。
また、アカウントプランは目安として3か月ごとに見直し、常にアップデートしていきます。
アカウントプランに必要な情報
アカウントプランには、以下のような情報を記載します。
- 顧客概要
- アカウントプランの目的(ゴール)と販売戦略のサマリー
- 販売できる可能性
- 組織図、キーパーソン、パワーチャート
- アクションプラン
パワーチャートは、ターゲット企業の社内で意思決定が進むプロセスを理解するためのもの。キーパーソンの立場に加え、周辺人物との関係性や重要度について整理します。
アクションプランは1か月ごとに設定します。設定する際は、「○○事業部に所属する方5名と名刺交換を行う」のように定量的に計測できるようにしましょう。
※関連記事:大企業との取引拡大の基本。顧客の組織を理解するための「組織図把握シート」
アカウントプランのフォーマット
アカウントプランのフォーマットにはドキュメントやスライドなど、さまざまな形式があります。自社のABMに最適な形式を選びましょう。
本記事では、アカウントプランを簡単に作成できるWord形式のテンプレートを用意しました。ぜひ活用してください。
![アカウントプランのテンプレート全体イメージ](https://sairu.co.jp/wp-content/uploads/2023/06/ABM_アカウントプランのテンプレート全体イメージ-1024x606.webp)
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3.アカウントプランを実行する
アカウントプランを作成したら、ターゲット企業へのアプローチを開始します。ABMの取り組みのなかで最も不確実性が高く、難しいプロセスです。
アカウントプランで導き出したキーパーソン、および関係者と接点を持つところからすべてが始まります。あらゆる手段を実行することになりますが、ここでは代表的なものをふたつ紹介します。
![アプローチのイメージ](https://sairu.co.jp/wp-content/uploads/2023/06/アプローチ-989x1024.webp)
1.紹介
紹介経由のコネクションは信頼関係を築きやすく、最も効果的な手段です。紹介元には、以下のようなものがあります。
- 自社内の従業員
- グループ会社
- 株主、VC、銀行
- 顧問
- 顧客社内の従業員
各所に紹介希望者リストを共有し、コネクションを持っている人を探し出します。対応してくれる人が見つかれば、面談調整へと進みましょう。
※関連記事:ABMにおける顧問活用のポイント|成功企業に学ぶ取り組み方
2.アウトバウンド
企業名と個人名が特定できている場合は、担当者から直接ターゲットへ連絡しましょう。
アウトバウンドは、届ける手段と提供するコンテンツによって結果が変わります。ターゲットの興味・関心にあわせたコンテンツを用意することが大切です
主な連絡手段
- 電話
- メール
- 郵送DM
- SNSでのDM
コンテンツの企画例
通常のコンテンツと比較すると、対象者の興味・関心に即したオリジナリティが高いものが求められる傾向にあります。
![コンテンツの企画例のイメージ](https://sairu.co.jp/wp-content/uploads/2023/06/コンテンツの企画例-973x1024.webp)
4.活動を振り返る
ABMに取り組む際は、かならず活動に対する振り返りを行いましょう。アカウントプランを精度高く実行し、日々の活動に対する評価を行うためです。
振り返りの頻度は週次がおすすめです。活動目標の進捗率とアカウントプランの進行状況を確認しましょう。
ABMにおけるマネジメント
ABMを組織にインストールするためには、マネジメントが重要です。取り組みが評価・称賛される文化を醸成し、浸透させましょう。
そのためにも、専任の担当者を置くこと、活動目標を設定することをおすすめします。
専任の担当者を置く
ABMに取り組む際は、専任の担当者を置くのが望ましいです。ABMは受注までの道のりが長く、売上や利益による人事評価が難しい取り組み。兼任の場合は短期で成果が出る仕事に傾倒してしまい、ABMが形骸化してしまうリスクがあるからです。
やむを得ず兼任する場合は、かならずABMのために使う時間を確保してください。「毎日1時間活動する」「金曜日は終日ABMに時間を使う」といったルールを設けるとよいでしょう。
また、ABMの立ち上げ時にアサインすべきは、前向きで数字も上げている人。新しい取り組みを組織に浸透させるためには、小さな成功を重ねていくことが大切です。成功確率を上げる、まわりによい印象を与えるためにも前向きで数字を上げている人をアサインしましょう。
活動目標を設定する
前述したとおり、ABMには活動を評価するのが難しいという側面があります。受注までの道のりが長く、売上や利益に反映されないことがあるからです。
そのため目標は、売上や利益などの事業目標とあわせて活動目標を設定するケースがよく見られます。
活動目標の例
- アカウントプランで決めたアクションプランの達成
- キーパーソンとの接触数(電話、訪問、メールの回数)
- 対象企業における名刺獲得数
※関連記事:ベルフェイスに聞く、エンタープライズ営業の生産性を最大化する営業プレイブックのつくり方
まとめ
ABMの進め方で迷った際は、まずは以下の4つに取り組みましょう。
- ターゲットリストを作成する
- アカウントプランを設計する
- アカウントプランを実行する
- 活動を振り返る
アカウントプランの設計がむずかしい場合は、ぜひ本記事で紹介したテンプレートを活用してみてください。
![アカウントプランのテンプレート全体イメージ](https://sairu.co.jp/wp-content/uploads/2023/06/ABM_アカウントプランのテンプレート全体イメージ-1024x606.webp)
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