
ウェビナー(オンラインセミナー)運営の成功ノウハウのすべて
昨今のコロナショックによって、オフラインでのリード獲得は厳しくなる一方と予想されます。セミナー・イベントが中止になり、オンラインを活用したセミナー(ウェビナー)へと展開していく会社も多いのではないでしょうか。
参考:テレワーク時代に変わる、BtoB営業・マーケティング活動
とはいえ、まだまだどの会社もウェビナーに関して手探りな状態だと思います。自社なりのベストプラクティスを見つけた会社もあれば、まったくやり方がわからない会社もあるでしょう。
そこで、今回の「SAIRU NOTE」では、これまで開催したウェビナー・オンラインイベントによって得た、スムーズに運営するノウハウや商談獲得につなげる方法をご紹介していきます。
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目次[非表示]
- 1.ウェビナーとは?
- 1.1.ウェビナーのメリット
- 1.2.マーケティング目的別のウェビナー形式
- 1.3.配信形式別のウェビナー形式
- 2.ウェビナー開催のためにやるべき4つの準備
- 2.1.ウェビナーの配信ツールは何を使用するべきか
- 2.1.1.Zoomウェビナー
- 2.1.2.YouTube Live
- 2.2.バーチャル背景
- 2.3.ウェビナー講演資料を作成する際のポイント
- 2.4.ウェビナー配信環境を構築するために必要な機材
- 2.5.ウェビナーの運営人数と役割分担
- 3.ウェビナーの企画・集客・当日・商談化までの流れ
- 3.1.成功するウェビナー企画のために抑えておくべきポイント
- 3.2.ウェビナーページの作成方法と抑えておくべきポイント(ワイヤーフレーム配布あり)
- 3.3.ウェビナーの集客方法
- 3.3.1.ハウスリストに向けたメールマガジン告知
- 3.3.2.SNS展開
- 3.3.3.Facebook広告
- 3.4.ウェビナー開催当日までに行うべき準備
- 3.4.1.参加者に対しての案内
- 3.4.2.社内での準備
- 3.5.ウェビナー当日の運営フロー
- 3.5.1.開場前の最終確認
- 3.5.2.登壇者と運営スタッフの講演時の動き
- 3.5.3.登壇者が講演の際に気をつけるべきポイント
- 3.6.ウェビナー開催後のフォローアップ
- 3.6.1.参加者アンケート作成の注意点
- 3.6.2.質問回答記事の作成
- 3.6.3.フォローアップメール
- 4.ウェビナー開催にあたって生じる4つの疑問
- 4.1.ウェビナーの開催時間についての疑問
- 4.2.ウェビナー動画のアーカイブの活用方法についての疑問
- 4.3.ウェビナーの配信形式における疑問
- 4.4.ウェビナーの開催方式における疑問
- 5.まとめとウェビナーの今後
ウェビナーとは?
ウェビナーとは、「Web」で行う「セミナー(seminer)」のことを表し、Web+seminerの造語でWebinerです。
ウェビナーのメリット
ウェビナーのメリットは以下の3つです。
- 地域、時間、職種・役職の垣根がなくなり、これまでは参加が難しかった人にリーチ可能
- オフラインセミナーの数倍の集客力
- 参加人数を絞った、リード育成・案件化目的のウェビナーと組み合わせることで新しい受注獲得ルートを構築可能
マーケティング目的別のウェビナー形式
「リード獲得」と「リード育成・案件化」の2パターンに、ウェビナーは分類できます。
リード獲得目的のウェビナーの形式は以下の通りです。
- セミナーやカンファレンス形式
- 一方通行型
- 講師は外部の専門家や著名人
- リアルタイム配信または
- リアルタイム風アーカイブ配信
- 自社主催もしくは複数社で共催
- YouTubeを使い、映像をリッチに
- 広告やDM、メルマガで集客
対して、リード育成・案件化目的のウェビナー形式は以下のとおりです。
- 少人数の勉強会、ワークショップ形式※1社2名参加も推奨
- 双方向型
- 講師は自社社員
- リアルタイム配信
- 自社主催
- Zoomを利用
- メールや架電で個別に集客
配信形式別のウェビナー形式
また、3つの配信形式でウェビナーを分類することもできます。分類表は以下の通りです。
リアルタイム配信 |
アーカイブ配信 |
リアルタイム風 アーカイブ配信 |
|
概要 |
生配信 |
収録した映像を配布 |
収録した映像を特定の時間に配信。 質疑応答だけ、リアルタイム対応も |
メリット |
・リアルタイム性がフックとなり、リード獲得しやすい
・ワークショップなどインタラクティブなイベント設計ができる
|
・配信トラブルが発生しない
・コンテンツを使い回せる
|
・リアルタイム性がフックとなり、リード獲得しやすい
・配信トラブルが発生しない
|
デメリット |
・配信トラブルが発生する |
・登壇者の熱量が上がりにくい
・ワークショップなどのインタラクティブなイベント設計ができない
・リアルタイムに比べ、閲覧時間が短い
|
・登壇者の熱量が上がりにくい
・ワークショップなどのインタラクティブなイベント設計ができない
|
コンテンツ 例 |
・質疑応答メインんお勉強会や相談会
・ワークショップ
|
・最新トレンドに関する講義 |
・オンラインカンファレンス |
ウェビナー開催のためにやるべき4つの準備
ウェビナーを開催するにあたって、必要な以下の4つの準備をそれぞれ詳細に解説していきます。
- 配信ツール
- バーチャル背景
- 必要機材
- 運営人数と役割
ウェビナーの配信ツールは何を使用するべきか
巷にはさまざまな配信ツールがありますが、ウェビナー・オンラインイベントで使用する配信ツールは以下がベターだと思います。
以上の中でも、主に、Zoom(ウェビナー機能)とYouTube Liveがウェビナー使用でポピュラーなツールです。
Zoomウェビナー
総合的に使いやすく、使い慣れているため、才流はすべてのウェビナー・オンラインイベントをZoomのウェビナー機能を使い、開催しています。
Zoomのウェビナー機能を選んだ理由として、まずはウェビナーを始める前から「クライアントとのオンラインミーティングで使い慣れていた」からでした。
使っていくうちに気づいたのですが、ウェビナー・オンラインイベントの運営において、欲しい機能がすべてZoomには詰まっています。そのため、今でも変わらず使用しています。
Zoomのウェビナー機能のメリットは以下です。
- PC1台で配信可能
- パネリストが最大300名参加可能
- Q&A、チャット、フォローアップなど豊富な機能
- 参加者の氏名・メールアドレス・エンゲージメントのCSV抽出可能
オンラインミーティングで使い慣れているかと思いますが、PCに付属されているマイクとインカメラさえあれば、Zoomは使用可能です。最低限、PC1台だけで家からでもウェビナーの配信が実現します。
また、パネリストは300名まで参加可能。3〜5名でのセッション形式のウェビナーも可能です。
さらにZoomには、配信中のQ&A機能やチャット機能はもちろん、参加者に対してのフォローアップメールの設定、ミーティングルーム退出後のアンケートページヘの誘導も設定可能です。
機能豊富、使用感も良いZoomですが、一方でデメリットもあります。
- 画質は悪い
- アプリのダウンロードが必要
画質はお世辞にも良いとは言えません…。配信後に動画を書き出してYouTubeにアップロードする場合、画質の悪さが少しだけ気になりました。
また、Zoomはブラウザ完結で配信できません。ホスト、パネリスト、視聴者のすべてがZoomのアプリをダウンロードの必要がある手間もあります。
デメリットは何点かありますが、運営のほぼすべてがZoomひとつで完結できる点は大きなメリットです。また、オンデマンド機能を使えば、ZoomウェビナーをFacebookやYouTubeのライブ配信機能と結びつけることもできます。
YouTube Live
YouTube Liveでウェビナーやオンラインイベントのライブ配信も多くZoomに続いてポピュラーなツールと言えます。
メリットは以下です。
- 番組ライクな質の高い配信が可能
- 高画質
- 参加人数に制限がない
- セキュリティが安心
- 通信が安定
YouTube LiveはZoomと異なり、番組ライクな質の高い配信が可能です。そのため、見ていて飽きない質の高い配信が実現します。また、セキュリティ面や通信の安定性も優秀です。
一方デメリットは、
- 質の高い配信の実現は素人には厳しい
- アカウント開設から有効化までタイムラグがある
- 視聴者リストが取れない
アカウント開設から有効化まで24時間のタイムラグがあります。開設後すぐ使用できないので要注意です。
またZoomの場合、誰が、どのくらいの時間視聴したかの参加者リストを取れますが、YouTube Liveの場合できません。
自社の世界観を広めるための質の高い配信が必要とされる大規模イベントなどには、通信が安定し、セキュリティ性も高く、配信の幅が広いYouTube Liveがオススメです。
バーチャル背景
※Zoom配信する場合は用意必須です。
Zoomで配信する場合、デフォルト機能でバーチャル背景を設定できます。才流では、各自が家からウェビナーを配信する際、登壇者の生活感を消すためにバーチャル背景を設定しています。
バーチャル背景には、以下を記載しています。
- コーポレートロゴ
- タイトル
- 講演者名
バーチャル背景を設定する際は、背景と同化しない服装に気をつけてください。左のように背景と服が同系色の色だと少し見づらくなります。
ウェビナー講演資料を作成する際のポイント
ウェビナー講演資料の作成において、もっとも重要なポイントは構成段階にあります。
この構成段階でどれだけコンテンツを練り込めるかで、講演内容の面白さは変わります。粒度はかなり細かめです。
4月に開催したウェビナー「新型コロナで変わる、『今』やるべきBtoB営業・マーケティングとは」で、弊社小島が作成した構成は以下です。
文字が小さく読みづらいかと思いますが、講演前は毎回この粒度の細かさで脚本を作成しています。
スライドは誰でも作成できますが、講演の脚本は作り手に大きく依存します。ドキュメントで構成を入念に作り込み、社内の人間とブレストしつつ、練りに練って脚本は作成しましょう。
また細かいですが、スライドを作成する際の注意点は以下です。
- 文字は大きめ
- 情報量は最低限
- 図を積極的に活用
多くの人はウェビナーを手元にあるPCやiPad、スマホで閲覧します。ノートパソコンの画面は、だいたいが11インチ〜15インチほど。ノートパソコンのフルスクリーンであれば、十分大きく見えますが、画面の大きさが5インチ〜11インチほどのスマホやタブレットの場合どうでしょうか。
この大きさだと文字なんて目を凝らさないと見えません。となると、文字が小さく、文字数が多いウェビナー資料はユーザーフレンドリーとは言えませんよね。
スマホやタブレットなどの小さいディスプレイで閲覧するユーザーも一定数いることを考慮し、文字は気持ち大きめかつ文字数は少なめにしましょう。
ちなみに、PCやスマホで閲覧するユーザーが多いため、スライドの最後にTwitterやFacebookのフォローを促すと効果が高いです。
ウェビナー配信環境を構築するために必要な機材
続いて、家で自分のPC1台で配信するにあたって、ユーザーのウェビナー体験を向上させるために揃えたい機材を紹介していきます。
実際のところ、内蔵マイクとインカメラがあるPCなら追加機材は不要不急ですが、
- 音が悪い
- 画質が悪い
- 暗い
などの理由で、参加者が途中離脱してしまう恐れもあります。自宅環境から配信の質を上げるため、以下の機材は揃えておいて損はありません。
配信用マイクやリングライトは、Amazonで少し探せば手頃な価格で、ある程度の品物が出てきます。小さな変化ですが、質の良いウェビナー配信の実現のため、最低限必要な投資かと思います。
しかし、回線速度の問題については、すでに家に引いている場合もあるため、今すぐの改善は難しいでしょう。ただ、以下の数々の小さな工夫で回線問題は改善できます。
- 速いルーター(Google Nest)に変える
- 回線圧迫を防ぐため、家族に動画やSNSのWi-Fi使用を控えてもらうようお願いする
などです。ウェビナーの途中で通信が不安定になったり、切れてしまうと離脱者も増えてしまうため、通信環境には注意しましょう。
ウェビナーの運営人数と役割分担
続いては、ウェビナーの役割分担についてです。講演から運営まで、すべてを1人で行うことは不可能ではないですが、登壇者と運営スタッフで多くても2〜5人くらいが妥当かと思います。
役割分担については以下です。
- 登壇者
- 運営進行スタッフ
内訳としては、資料を作成し、実際にウェビナーで講演、質疑応答を行う登壇者が1〜3人ほど。イベントページ作成から集客、当日の裏方や事後フォローアップなど、運営を進行するスタッフが1〜2名ほど。
すべて講演者1人で行うと、講演に集中できなかったり、運営に追われて質の高い資料を作成できなかったりとデメリットが多いです。自らの役割に集中するために分業したほうがよいのでは、というのが才流のベストプラクティスです。
ウェビナーの企画・集客・当日・商談化までの流れ
成功するウェビナー企画のために抑えておくべきポイント
最初の企画の時点では、
- タイトル
- ターゲット
- コンセプト
のみを決めています。細かい構成や資料作成は、集客しつつ、作成していくといった流れです。
今回ウェビナーを企画した弊社の栗原、小島によると、ウェビナー乱立の今、企画段階で特に気をつけなければいけないことは以下だそうです。
- 自社の発信に求められること
- 炎上リスクを抑えること
- 時流に乗っていること
- 自分たちが言いたいことではなく、ユーザーが知りたいことをテーマにする
- 自分たちが専門性を持つことを伝え、ユーザーの役に立つ
- 他で聞けない話や登壇者を用意
ウェビナーページの作成方法と抑えておくべきポイント(ワイヤーフレーム配布あり)
企画が終わったら次は、応募フォーム先のイベントページの作成です。
イベントページ作成テンプレート解説PDFはこちら
※PDFのイメージ↓
イベントページ作成で注意すべきポイントは以下です。
- キービジュアルとファーストビュー
- フォーム
- 内容とターゲットを明示
- 質問を想定して記載
ファーストビューには、以下が入っているようにしましょう。
- アイキャッチ
- タイトル
- 開催日時
- 登壇者情報
- コピー
- 参加申し込みCTA
- SNSのシェアボタン
フォームでは離脱を防ぐため、項目は参加者属性の最低限の情報(氏名・会社名・部署名・役職・電話番号・メールアドレス)と事前質問のみです。
また、セミナー参加を迷っているユーザーに向けて自社のオウンドメディアへの動線も用意しておきましょう。仮にページにランディングしたのに、セミナーに申し込まなかったユーザーに対しても、他コンテンツの用意ができます。
さらに、ページ内には参加者が当日の講演を想像でき、参加しやすいように、ターゲットやタイムテーブル、アジェンダは詳細に記載しておきましょう。
最後のポイントは、質問を想定して記載すること。当日までに以下の質問が多いです。コミュニケーションコストを減らすため先回りして想定し、以下の事項はイベントページに記載しておきます。
- ミーティングルームのURLの共有場所と送付のタイミング
- ウェビナー資料送付条件
- お申し込みの締め切り
- 参加者のビデオと音声
加えてページ下部に他の研修や過去セミナーの導線の用意もユーザーフレンドリーなので実施してみてください。
ウェビナーの集客方法
集客方法は、主に以下の3つです。
- ハウスリストに向けたメールマガジン告知
- SNS展開
- Facebook広告運用
ハウスリストに向けたメールマガジン告知
イベントページが完成、公開されたらメルマガでハウスリストに告知をします。目安としては開催の約2週間前と1週間前の2度です。1度のメルマガ送付だけでは、満足に集客できない場合もあります。必要に応じて、2回ほど送っても良いでしょう。
内容は、簡素にかつ内容を捉えた文面にしましょう。
SNS展開
才流の場合、ほぼすべての社員がTwitterで発信しています。代表の栗原の発信力のおかげもあり多くシェアされ、集客に繋がりました。
社員がSNSを運用している場合やコーポレートアカウントがある場合は積極的にSNSでウェビナー告知をしていきましょう。
Facebook広告
集客を強化したい場合は、Facebook広告を出稿するのも良いでしょう。ウェビナー参加をコンバージョンポイントとしたFacebook広告の場合、CPA数千円未満で獲得できることもあります。
大規模なウェビナーや短期的に集客を強化したい時は、Facebook広告の出稿も検討しましょう。
ウェビナー開催当日までに行うべき準備
さて、続いては集客後のウェビナー開催当日までの準備を説明していきます。当日までに必要な準備としては、
- 参加者に対しての案内
- 社内での準備
の2つがあります。それぞれご紹介していきます。
参加者に対しての案内
才流では、以下の4つのタイミングで配信URLを共有しております。
- 申し込み完了ページ
- 申し込み完了時の自動返信メール
- 前日の18時〜19時にリマインドメール
- 開催の1時間前にリマインドメール
配信URLに対するお問い合わせはかなり多いため、念入りのリマインドの実施に損はありません。
▼申し込み完了ページ
▼自動返信メール
▼リマインドメール
社内での準備
社内での準備は入念に行うよう心がけましょう。
オフラインでのセミナーや勉強会と異なり、ウェビナーの場合、参加者も運営サイドも各自家からの配信&進行のため、トラブル発生時の臨機応変な対処が難しいです。
そのため、ウェビナー開催までに2、3回のリハーサルを行うよう心がけましょう。各リハーサルの内訳は以下です。
- 登壇者と運営スタッフで大まかなフロー確認
- 社内の人間数人に見てもらい、参加者視点のフィードバックを得る
- 最終的なフロー確認
まず、1回目のリハーサルはざっくりでOKです。音声の調整やカメラのアングル、当日のPC操作説明、アナウンスのタイミングなどを、登壇者と運営スタッフで認識を合わせておきます。
この1回目のリハーサルでのすり合わせが実はもっとも重要です。各自家から配信するウェビナーの運営では、登壇者とスタッフの意思疎通がかなり難しいです。そのため、少しでも曖昧な部分があると当日のトラブルも発生の確率はグンと上がります。しっかり詰めていきましょう。
続いて2回目のリハーサルでは、参加者視点でフィードバックをもらうため、社内から数人参加してもらいます。1回目ですり合わせたフローをもとに本番を想定して、しっかりと進めていきます。
1回目のリハーサルで問題なかったことでも、参加者視点の意見によって改善点がいくつも見つかります。
2回目のフィードバックをもとに登壇者とスタッフで、フローの最終確認のためのリハーサルを行いましょう。最後にすべてのチェックポイントを確認し直して、ウェビナー開催前の社内準備は完了です。
今回ウェビナーに登壇した小島によると、3回のリハーサルのみならず、脳内でシミュレーションを何度も繰り返しているそうです。その理由は下記です。
- どうしても詰まってしまう箇所を見つけるため
- 実際に声に出すことにより脚本構成を改善するため
ウェビナー当日の運営フロー
開場前の最終確認
30分ほど前からミーティングルームをブロードキャストモード(※1)で起動し、登壇者とスタッフで音声とPC操作の開場前の最終確認を行います。
※ブロードキャストモードとは、許可するまで参加者がミーティングルームに入れず、ホストとパネルリストのみ入ることができる機能のこと。
登壇者と運営スタッフの講演時の動き
登壇者と運営スタッフはSlackで連携を取るようにしましょう。スタッフ側は以下を確認し、適時Slackより登壇者へ指示を出します。
- タイムキーピング
- アナウンスのタイミング
- 話すスピード
- 声量
- 共有画面が正しいか
登壇者のすべての意識を講演に集中させるため、Zoomでのチャットによる参加者へのアナウンスや他メッセージの対応はすべてスタッフが行います。
参加者へ向けてのアナウンスのタイミングは3度あります。
- 講演開始
- 質疑応答前
- ウェビナー終了時
まず、講演開始のタイミングには、以下3つをアナウンスします。
-
お礼メッセージ
- 「お忙しい中、本日はウェビナーへご参加いただき誠にありがとうございます。
声が小さい、話すスピードが速い、などご不便な点ございましたら、チャットよりお気軽にお申し付けください」
- 「お忙しい中、本日はウェビナーへご参加いただき誠にありがとうございます。
- 本日のアジェンダ
- タイムテーブル
続いて、質疑応答前とウェビナー終了のタイミングでは、以下2つをアナウンスします。
- アンケートのリンクをチャットに投下
- 「質問募集、回答者への資料送付」として、アンケートについて登壇者から口頭アナウンス
ここで重要なポイントが、「質問募集、回答者への資料送付」とすること。回答者がアンケートを答えなければいけない理由をつくることで、回答率を上げています。才流では、50〜60%の回答率です。
登壇者が講演の際に気をつけるべきポイント
前回のウェビナーで登壇した弊社の小島によると、講演の際は以下のポイントを気をつけているそうです。
- “講演”ではなく“会話”の意識
- 通知をすべて消す
- タブをすべて閉じる
- 家族に協力して部屋から出てもらう
- フォーマルな服装
トークスクリプトを作成し、正しい言葉使いを意識すればするほど、どんどん片言になっていきます。まるで機械の音声を聞いているように、講演自体がつまらなくなってしまいます。
そのため、トークスクリプトは一切作成せず、通常の会話を意識しているようです。
また、他に心がけていることは、講演にすべての意識を集中するため、目につくノイズをすべて除去すること。
意識を集中するため、講演中のメッセージ通知をオフにし、作業中のブラウザのタブ・アプリケーションなどを閉じてPCを整理しているようです。また、視界に入ることによる集中力低下を懸念して、家族には講演中に部屋へできるだけ立ち入らないようお願いしているようです。
ウェビナー開催後のフォローアップ
開催後のフォローアップとインサイドセールス部隊までの引き渡しをご紹介していきます。才流では、以下のポイントを気をつけた結果、商談化率10%を実現しました。
基本的には、アンケート内の「無料相談会」を希望された方へアプローチとしています。
開催後に行うべきフォローアップを3つ、ご紹介していきます。
- 参加者アンケート
- 質問回答記事の作成
- フォローアップメール
参加者アンケート作成の注意点
まず、商談化へつなげるためにはできるだけ多くの参加者にアンケートを回答いただく必要があります。参加者アンケートの作成においてのチェックポイントは以下です。
- ウェビナーでの質問項目
- 次回開催してほしいテーマ
- サービスへの案内
- (共催社のサービス案内)
ウェビナーアンケートでよく見かける「会社名」や「役職」、「氏名」などの属性情報、また「感想」や「改善点」の項目は省いています。
「属性情報」が不要な理由は、入力項目を極限まで減らし、回答率を上げるためです。そもそも、「属性情報」はすでに申し込み時に取得しているため、アンケートで再入手したメールアドレスで申し込みリストとデータを突合できます。
「感想」や「改善点」の設問項目もウェビナーの感想や手応えを掴むため、一見すると必要に感じるかもしれないですが、アンケートの設問数増加によって回答率が下がってしまえば本末転倒です。アンケートの回答率を最大化するため、無駄な回答は極力減らしています。
また、質疑応答時間でさばききれなかった質問を募集することでアンケート回答率アップに繋がります。
「感想」や「改善点」と同じく、不要かと思われる「次回開催してほしいテーマ」を項目に入れている理由は、参加者のニーズをキャッチするためです。
質問回答記事の作成
質疑応答の時間は20分と長くなく、ウェビナー中いただいた質問をすべて回答することは難しいです。さらに事後アンケートでも追加で質問を多くいただきます。
質問を受けっぱなしにするわけにもいかないため、いただいた質問はすべて記事にしています。例えば、4月開催の3つのウェビナーの質問は、栗原が以下の記事を執筆し、回答しています。
参考:BtoBのデジタル営業・マーケティングのいろいろな問題についてどう考えるか
フォローアップメール
ウェビナー参加者へ開催後のフォローアップメールを送付します。Zoomウェビナーの基本機能として参加者へのフォローアップメール機能が用意されているため、そちらを使います。
送付のタイミングはウェビナー開催日の翌営業日がオススメです。
フォローアップメールにおいての必須ポイントは以下2点です。
- アンケート回答を促す
- サービス資料のDLリンクを入れる
まずは商談化のため、アンケート回答を促すこと。アンケートを回答いただけなくても、才流へ興味を持っていただけるように全参加者へサービス資料のDLリンクを送付します。もちろん追加のフォーム入力はありません。
ウェビナー開催にあたって生じる4つの疑問
ウェビナーを開催するにあたって、以下の様々な疑問があると思います。ウェビナー戦国時代、これと言った正解はないですが、才流が考えるベストプラクティスをいくつかご紹介していきます。
- 開催時間の長さ
- 動画のアーカイブ
- 録画か、ライブか
- 双方向か、一方通行か
ウェビナーの開催時間についての疑問
才流が考えるウェビナーの適正時間は1時間です。MTGの予定は30分もしくは1時間単位が基本です。1時間がもっとも参加しやすいと考えました。
内訳は以下です。
- 会場10分
- 講演30分〜40分
- 質疑応答10分〜20分
開場に10分のバッファがあるのは、そもそも参加者すべてがぴったりに集まることができないという仮定からです。
前予定が押した参加者や、Zoomの準備に手こずっている参加者など、一定数いるはず。その方々を考慮し、ある程度バッファを取っています。
そして、講演時間の30分は決して長くないでしょう。参加者からしてみれば、長い時間PCの画面を見ているのはかなりの苦痛です。そのため、ウェビナーのコアとなる講演時間は30分で設定しています。
質疑応答はおよそ15分ほど。15分と短い時間内でいただいた質問すべてを答えることはできません。もちろん、回答のためウェビナーの時間を延長もしません。
延長して回答するほうが参加者にとって優しいかもしれませんが、ウェビナーの目的はリードを増やし商談化率を上げるためです。答えきれない質疑応答はすべてアンケートでの入力を促したほうが、商談へ繋がる可能性が高まるでしょう。
ウェビナー動画のアーカイブの活用方法についての疑問
ウェビナー動画のアーカイブについて。活用方法は3つあるかと思います。
- YouTubeで限定リンク配信
- 短めの動画を作成し、次ウェビナーのSNS告知CM化
- ダウンロードコンテンツ化
有料ウェビナーであれば、YouTubeでアーカイブ配信がもっとも適しています。
無料であれば、資料をホワイトペーパーにし、説明音声とともにダウンロードコンテンツとして再利用できます。
また、いくつものアーカイブを組み合わせて1分くらいのCMにし、次回ウェビナー宣伝への活用も再利用先としては良いでしょう。
ウェビナーの配信形式における疑問
録画配信とライブ配信の問題。
たしかに録画配信の方が、話し方や声量、テンポなど綿密に仕上げ、質の高い動画を作成できるでしょう。しかし、ライブ配信には録画配信にはない参加者の一体感があると個人的には思います。
栗原が執筆した「BtoBのデジタル営業・マーケティングのいろいろな問題についてどう考えるか」では、このように回答しています。
Q:(アーカイブの)動画コンテンツと(リアルタイムの)Webセミナーの違いに関して、才流さんの見解があれば教えていただきたいです!
全く同じ内容でも、アーカイブの動画よりも、リアルタイムのセミナーの方が数倍の視聴時間になります。
「コンテンツを届ける」という観点ではリアルタイムのWebセミナーが良く、アーカイブの動画コンテンツは、コンテンツを資産化(とそれに伴う、マーケティングROIの向上)の位置づけではないでしょうか。
ウェビナーの開催方式における疑問
一方通行型が多いウェビナー。双方向型と一方通行型、どちらの形式がよいかについては、目的によると考えます。
- リード大量獲得&商談数増加→一方通行型
- 少人数勉強会で参加者のエンゲージメントを高め、商談化率最大化→双方向型
そのウェビナーの目的によって使い分ければよいのでは、が結論です。
まとめとウェビナーの今後
さて、ここまで才流が持つウェビナーの運営ノウハウをご紹介しました。
本記事執筆時の4月でさえ乱立状態、まさしくウェビナー戦国時代です。今後、ウェビナーはますます増えゆく一方と予想されます。
個人的にウェビナーの今後を予想すると、
- ユーザーのウェビナー疲れ
- 差別化が難しくなる
上記2点が課題となるでしょう。ウェビナーが爆発的に流行しており、毎日朝から晩まで何かしらのウェビナーが開催されています。今後は確実にウェビナー自体にユーザーが疲れを見せると思います。
そして、ウェビナーの大量発生に伴い、どこも同じようなウェビナーが乱立し、差別化が困難になると予想します。
解決策は、
- 質の高い配信をする
- より具体的な内容にする
ライブ配信のプロに依頼し、質を上げ差別化を図る方法と、内容の独自性を高め、ウェビナーの参加自体にを持たせることの2つです。
コロナ禍により、営業・マーケティング活動のデジタル化・オンライン化が急速に進むと予想されます。
営業・マーケティング活動でお困りの方はぜひご相談ください。
才流の営業・マーケティング支援サービスへのお問い合わせはこちら
<文・編集/中島 孝輔@KosukeNakajima_ 、情報提供/SHIBUYA LIVE STREAM 小島 瑶兵@yooheykoji、デザイン/藤田 春華・垰本 千代>