
2大クラウド会計!マネーフォワードとfreeeのマーケティング分析【BtoBマーケティング分析】
こんにちは。株式会社才流の金森です。
今回は、クラウド会計ソフトなどを提供する2社、「株式会社マネーフォワード」と「freee株式会社」についてマーケティング分析していきます。
目次
・2社のマーケティング施策例 比較表
【1】マネーフォワード
・会社の概要
・事業内容
・直近の業績ハイライト
・貸借対照表(BS)/損益計算書(PL)の図解
・実績
・マクロ環境分析(3C分析)
・ミクロ環境分析
【2】freee
・会社の概要
・事業内容
・実績
・マクロ環境分析(PEST分析)
・ミクロ環境分析
・マーケティング分析 まとめ
注目ポイント:2社のマーケティング施策例 比較表
※確実に断定できないものは、「不明」と表記。
マネーフォワードと、freeeのマーケティング施策例を挙げて比較したものが上記図です。
こう見ると、マネーフォワードは大規模なカンファレンスを複数実施したり、テレビCMを最近のみならず、これまでにも実施してきていることから、資本をダイナミックに投下していることを感じます。
それでは、ここから2社について細かく見ていきましょう。
【1】株式会社マネーフォワード
企業概要
- 市場:東京証券取引所マザーズ市場(2017年に上場)
- 設立年:2012年5月18日
- 創業者:辻 庸介
- 従業員[連結]:241人(11月時点)
- ミッション:「お金を前へ。人生をもっと前へ。」
- ビジョン:すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。
事業内容
大きく3つに分類できます。
○マネーフォワード Home 【B2C領域】
- 自動家計簿サービス「マネーフォワード ME」(利用者:700万人超/課金者:16万人)
- くらしの経済メディア「MONEY PLUS」
- 自動貯金アプリ「しらたま」
- お金の相談窓口「mirai talk」
- お金のサービスを比較検討サービス「Money Forward Mall」
○マネーフォワード Business【B2B領域】
- 法人向けクラウド型会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」
- クラウド型確定申告ソフト「マネーフォワード クラウド確定申告」
- 請求書作成ソフト「マネーフォワード クラウド請求書」
- 給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」
- 法人・個人事業主向けのマイナンバー管理システム「マネーフォワード クラウドマイナンバー」
- クラウド型経費精算システム「マネーフォワード クラウド経費」
- 資金調達の手間と時間の節約サービス「マネーフォワード クラウド資金調達」
- 記帳代行自動化サービス「STREAMED」
- クラウド経営分析ソフト「Manageboard」
○マネーフォワード Finance【B2B領域】
- 企業間後払い決済サービス「MF KESSAI」
上記は、マネーフォワードのコーポレートサイトの「サービス一覧」というページから引っ張って来たものです。ところが、「マネーフォワード クラウド」のページを見ると、他にも「マネーフォワード 会社設立」というものもあることが分かります。コーポレートサイトには載せてないものの、水面下で進行している事業が他にもあるかもしれませんね。ちなみに、「STREAMED」(株式会社クラビス)と、「Manageboard」(株式会社ナレッジラボ)は、それぞれマネーフォワードが買収してグループ化したサービスになります。
直近の業績ハイライト
B2C領域でもB2B領域でも高い成長率を維持しているもよう。
年度成長率が50%~60%で、決算短信によれば営業利益率はおよそ△16%なので「SaaSの40%ルール」的に言うと、(おおよそ)達成と言う感じでしょうか。
※ 「SaaSの40%ルール」=「企業の売上高の成長率」+「営業利益率」
貸借対照表(BS)・損益計算書(PL)の図解
決算短信をもとに、BSとPLをそれぞれビジュアライズしてみました。
(出典:2018年11月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結))
今のところ、営業利益は出ていません。ただ、売上高の大半がストック型で占めているので営業利益が出てくるのも時間の問題でしょう。決算説明資料によると、2018年11月期第3四半期において、広告宣伝費は約3.6億円。ちなみに、2017年11月期 第3四半期決算説明資料によると広告宣伝費は約7.1億円でした。
※70億円の資金調達(2018年12月初旬)
- 米国を除いた海外市場における募集。
- 使用用途:2020年11月までに、
①Money Forward Business事業の更なる事業の急速な拡大のために必要な、営業・マーケティング費用及びプロダクト開発費用として約56億円。
②Money Forward Finance事業拡大のため、企業間後払い決済サービスを提供するMF KESSAI株式会社への投融資資金を中心に約6億円。
③残額を、将来的なM&Aを見据えた財務基盤の強化及び経営基盤安定化のため、過去のM&A及び広告宣伝費等に充当した金融機関からの借入金の返済に充当する予定。
B2B向けSaaSプラットフォーム『マネーフォワード クラウド』にフォーカス
『マネーフォワード クラウド』(旧称:MFクラウド)とは?
『マネーフォワード クラウド』シリーズとは、バックオフィス向け業務効率化ソリューションのプラットフォームのこと。実は、2018年の11月にブランディングプロジェクトの一環として、『MFクラウド』という名称から新しく、『マネーフォワード クラウド』と変更しています。
(出典:サービス名称変更のお知らせ)
販売収入が「+92%」とこれだけ伸びているのは、2017年11月にグループ化したクラビス社が提供する『STREAMED』を当期よりマネーフォワードクラウドシリーズの販売収入として計上開始した、ということも要因の一つとして挙げられます。さらに、IT導入補助金制度による増収効果も要因の一つのようです。
「マネーフォワード クラウド」と他事業の関係性
これだけいろいろな事業を展開していると、他の事業と「マネーフォワード クラウド」との関係性が気になります。下記資料は一例ですが、仮想通貨領域のサービスと「マネーフォワード クラウド」の関係性が説明されています。マネーフォワードの提供するサービスで、ユーザーが体験しうる一連の流れに必要なことを完結させようとしているのでしょう。
マクロ環境分析
マネーフォワードを取り巻くマクロ環境を分析するために、3C分析をしてみます。原則、B2Bの「マネーフォワード クラウド」にフォーカスしていきますが、ここでは全体感を見るためにB2Cの方にも触れています。
3C分析
3C分析のポイントは下記の3つです。
①お金にまつわる事業をB2C、B2B両方で幅広く横展開
B2B、B2C両方で金融機関との連携強化(API連携)を進めている。M&Aも積極的に実施する。(※参照:こちら)
②米国のクラウド会計大手「Intuit(インテュイット)」をベンチマークに。(参照:こちら)
「Intuit」はスモールビジネスの会計管理と家計の資産管理で最強のブランドを保有している企業。創業時の会計ソフト「Quicken」を売却し、「Intuit」もAdobeのようにクラウド移行に成功。「Mint」というPMF(Personal Financial Management)サービスを買収し、B2C面でも圧倒的シェアを誇る。(参照:こちら)
③採用が強い
技術者の採用が難しいと一般的に言われる中でも、エンジニアやデザイナーなどのプロダクトサイドの従業員が多い。ビジネスサイドでは、金融のプロフェッショナル(日本銀行、経済産業省、内閣府、金融庁)なども集まってきている。
採用が上手くいっている要因としては、
- 仮想通貨領域や回収代行、レンディングなど幅広く事業を展開していること
- 自社内で「飽きたら、違う事業部に行き、違うチャレンジをする」ことができる
- 上場していること
- 働き方が多様であること(ex.Rubyのフルコミッターが社内にいること。)
- ミッション、ビジョンに共感する人が多いこと
といったところでしょうか。
ミクロ環境分析
次に、マネーフォワードが行なっている個々のマーケティング施策の中で、気になったマーケティング施策をいくつか取り上げてみようと思います。
ブランディング・プロジェクトの実施
「マネーフォワード」という社名の生みの親・コピーライターの渡辺潤平氏がクリエイティブ・ディレクターに就任。ブランディングプロジェクトを開始したという。
これだけ幅広くサービスを展開しているので、ブランド戦略の立案・実行を強化し、横串を刺す必要性は確かにありそうですね。
グループ各社とその事業概要も以下の通り。
海外にも拠点を構えていますね。仮想通貨領域への参入も決定しており、2019年に仮想通貨交換業者登録を目指しているそう。仮想通貨関連では既に「Onbit」というメディアも運営しています。
カンファレンス施策
マネーフォワードはこれまで、下記のようなカンファレンスを開催してきました。
- 「MFクラウド Expo 2018」(2000名規模)
- 「お金のEXPO 2018」(2017年度では、来場者は2000名超)
- 「MF Expense expo 2018」
大規模なコストがかかるカンファレンスを、一年に3回もやっているベンチャー企業は中々ないのではないでしょうか。裏を返せばそれだけ効果もきっとあるのでしょうね。
所感
現在は新設法人の半数がクラウド会計を使っているそうですが、企業全体ではまだ15%程度。今のところ、会計ソフトはPCインストール型がシェアとしては大きいわけです。
それにしても、マネーフォワードは「お金」にまつわる事業を幅広く展開していますよね。
Paypalの創業者ピーター・ティールは、著書「ZERO to ONE」の中で、成功するには「縦に独占せよ」と言っています。そうした通説と異なる事業展開をしている背景には、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを出来るだけ早く成し遂げたいという強い思いがあるからこそだと感じました。
確かに、安定してビジネスを成長させようとすれば、「選択と集中」をする方が得策かもしれません。とはいえ、B2Bの会計クラウドだけや、B2CのPFM(Personal Financial Management)だけを提供していても、人々のお金に関するあらゆる悩みは解決されたとは言えませんよね。そう言った意味で、ミッションドリブンに事業を展開しているマネーフォワードはすごいなぁと。
次に、freee株式会社を見てみましょう。
【2】freee株式会社
企業概要
- 市場:非上場
- 設立年:2012年7月
- 創業者:佐々木 大輔(※Googleでマーケティング統括などのキャリア)
- 従業員:465名(2018年7月1日現在)
- ミッション:「スモールビジネスを、世界の主役に。」
※2018年7月以前のミッションは「スモールビジネスに関わる全ての人が創造的な活動にフォーカスできるよう」でした。freeeのサービスが「時間の創出」だけでなく、「収益の創出」にも繋がるようになったこと等から、コーポレートミッションが変更されました。
※サービスコンセプト(freeeがまず実現しようとしていること)
事業内容
- 個人事業主向け会計ソフト「クラウド会計ソフト freee」
- 人事労務管理ソフト「人事労務 freee」
- 中小企業向けのマイナンバー管理サービス「マイナンバー管理 freee」
- 会社設立サービス「会社設立 freee」
- 個人事業主の開業手続きサービス「開業 freee」
- 「クラウド申告 freee」
- 個人事業主・小規模法人に特化したクレジットカード「freee カード」
- 開発者向けプログラム「freee Developers Community」
- 「経営 × テクノロジー」の最先端を切り拓くメディア「経営ハッカー」
- 新しい働き方を考えるメディア「パラキャリ」
B2B向けSaaSである「クラウド会計ソフト freee」にフォーカス!
「freee」とは?
「freee」とは、無料から使えるクラウド会計ソフトです。事業内容のところで触れた通り、会計ソフトの他に「人事労務 freee」や「申告 freee」などいくつかシリーズがあります。
他ツールにはない独自の特徴は、主に3つ。
- 収入・支出の科目や金額を入力すれば、自動で借方・貸方に分けた複式簿記記帳を行える点
- 請求から経費精算までオールインワンである点
- 収支登録・領収書の撮影など法人・個人問わずスマートフォンのアプリから使用できる点
経理のプロがいない場合でも、決算書や青色申告書類に必要な複式簿記が可能な点が、創業間もない企業や個人事業主に支持されている理由だとされています。ちなみに、Macからの電子申告に対応しているのは日本でfreeeだけのようです。
実績(2018年4月時点)
(1)クラウド会計 シェア調査35%(シェア1位)
(2)クラウド会計ソフト freee 有効事業所数:100万事業所
(3)freee 認定アドバイザープログラム登録事務所:5800事務所 (※日本の税理士・会計士事務所の約10%)
「クラウド会計ソフト freee」と他クラウドサービスの関係性
2017年の資料ですが、各クラウドサービスの関係性がこの資料を見ると分かります。
(出典:freeeのデータ分析基盤について)
マクロ環境分析
ここでは、freeeを取り巻くマクロ環境を見るために、PEST分析をしてみましょう。
PEST分析
※参照文献:
(1)経済産業省「第5回 FinTechの課題と今後の⽅向性に関する検討会合」H28.12
(2)ランサーズ「フリーランス実態調査 2018年版を発表」
etc.
ミクロ環境分析
次に、freeeが行なっている個々のマーケティング施策の中で、気になった施策をいくつか取り上げてみようと思います。
パートナーシップ(認定アドバイザープログラム)
freeeは元々、エンドユーザーを中心にマーケティング活動を実施していたが、2015年頃から会計事務所へのマーケティング活動を本格化させたそう。
結果、freeeを理解し、顧問先へのサービス提供においてfreeeを活用する会計事務所を意味する「freee認定アドバイザー」の数が5,800を超えるように。ここで紹介している認定アドバイザー検索サービスである「税理士検索freee」も、freeeを広める効果を果たしています。
・「税理士検索freee」:会計事務所側(パートナー側)のメリット
①集客支援:認定アドバイザーに登録すると税理士検索freeeへの登録が可能。(登録料は一切不要/掲載も無料)
②顧客紹介:freeeユーザー100万事業所の中から、顧問税理士を探されている方を無料で紹介
③スキル証明:freee公式の個人向け資格制度「freee認定資格」で、freee運用に関するスキルセットを対外的に証明し、顧客獲得に活用可能。
・「税理士検索freee」:freeeユーザー側のメリット
①税理士/会計士の検索が可能:記帳代行や税務調査、会計顧問等に対応できる税理士・会計士の事務所を詳細に検索可能。
②メディアで選び方を知る:「経理コンパス」というメディアで、経理業務の基本から税理士選びのノウハウまで知ることが可能。
freeeユーザーがいればいるほど、税理士側もfreeeを使う意味が出てきます。ユーザー側にしてみても、多くの税理士事務所や会計事務所の方がfreeeに対応していれば、導入を決める要因にもなるでしょう。
ユーザー同士のネットワークをイメージするために、ちょうど良さそうな資料が下記の画像。ただの会計ソフトで終わろうとしていないことが伺えます。
(出典:freee のデータ分析基盤について)
上記資料からも読み取れるように、freeeはSMB(中小企業)にとってのビジネスプラットフォームを目指しています。
ちなみに、マネーフォワードもパートナープログラムはあります。士業の方向けに「マネーフォワード クラウド公認メンバー」という制度を用意しており、マーケティング支援を行ったり、コールセンターサポート、検索ページへの掲載、顧客の紹介などの特典をつけています。パートナーに、「プラチナメンバー」から「ブロンズメンバー」までランクがあることも特徴と言えるでしょう。
アフィリエイタープログラム
freeeは、アフィリエイトプログラムを(公に)実施しています。
アフィリエイト・プログラムとは、ブログなどに企業のバナーやテキストなどを貼り、紹介料をもらうシステムのこと。「freee アフィリエイト」とGoogleで検索すると出てきます。
資料のコンテンツとしては、「freee の特徴」や、「他のクラウド会計ソフトとの違い・優位点」、そして「よくある質問」といった内容です。(クラウドサービスで、アフィリエイトプログラムを実施しているところはどれくらいあるのか、個人的には気になります。)
一方、マネーフォワードでは「マネーフォワード アフィリエイト」とGoogleで検索しても、こうした資料は見当たらないです。現在は少なくとも(公には)実施していないのでしょう。ただ、もしもアフィリエイトの広告主事例として紹介されているので、かつては実施していたようです。
集客力のあるオウンドメディア「経営ハッカー」
freeeが運営する「経営ハッカー」は、バックオフィス業務に費やす労力をなるべく下げ、 「本業にフォーカスできる」環境を創ることを目的としたメディアです。
経理・税金にまつわる記事、便利なクラウドツール、働き方、たまに起業家のインタビュー等、様々な記事を公開。月間約400万PVを誇ります。流入の多くは、SimilarWeb曰く検索エンジンからです。
オウンドメディアの中でもかなり結果を出しているメディアですよね。「経営ハッカー」を詳細に分析したこちらの記事では、「経営ハッカー」は次のように評価されています。
・クラウド型会計ソフトという選択肢を持っていない段階のユーザーにアプローチし、freeeの存在を認知してもらい、導入事例などでニーズを高め、無料のお試しに誘導するのが王道のコース。
・リスティングなどの競合性が高まりCPAが高騰していくなかで、ユーザーの悩みを解決する良質なコンテンツを豊富にストックし、主に検索からユーザーを獲得するモデルはコンテンツマーケティングの理想型のひとつ。
オウンドメディアのプラス側面が詳細に説明されていますね。一方で、オウンドメディアの運営には、かなりのコストが必要になります。個人的には、マリノ五木田梨絵さんの「採用オウンドメディアを立ち上げようか迷っている方へ」という記事は、発見が多くオススメです。
所感
freeeの場合、ミッションが「スモールビジネスを、世界の主役に。」と掲げていることからも分かるように、基本的に顧客セグメントは従業員が100名以下のSMB(中小企業)です。法人向けと個人事業主向けで料金プランは異なり、それぞれ「ベーシックプラン:47,760円 / 年」、「スタンダードプラン:19,800円 / 年」となっています。どちらも最大30日間は無料で利用でき、幅広く顧客を掴んだ上で、その内の何割かが有料化するように促す施策かと思います。
そもそも会計サービスはスイッチングコストが高いため、1度登録してしまえば継続して使ってもらえる可能性が高く、顧客生涯価値(LTV)が高くなるビジネスモデル。
短期的には顧客単価はそれほど大きくなくとも、チャーンせず、継続して利用してもらうことができれば、収益も安定するでしょう。とは言え、スイッチングコストが高いということは、そもそもの導入ハードルも低くはないであろうことも察することができます。
マネーフォワードとfreeeのマーケティング分析 まとめ
ここまで、マネーフォワードとfreeeのマーケティング分析をしてきました。最後に、共通点と相違点を洗い出してみましょう。
共通点
共通点は、主に2つあります。
一つは競争環境について。国内の競争環境で言えば、従来よりパッケージ型の会計ソフトを提供してきた弥生株式会社・弥生会計シリーズや、TKCグループ・FXシリーズ、OBC・奉行シリーズといったところが強い中、いかにそのシェアを切り崩していけるかが事業拡大には必要だという点。
もう一つは、システムの安定性が肝になる点。10月末日、freeeの全サービスが緊急メンテ状態に入って使用できないという事態が起こりました。このような問題は、導入ハードルを間違いなく高くしてしまう要因にもなるでしょうし、どこのクラウド企業にも起こりうるリスクと言えるでしょう。
相違点
相違点は、事業の方向性に連動してマーケティング施策にも違いがある点です。ミッションやビジョンが違うので、当たり前かもしれません。
マネーフォワードは、個人や法人のお金に関するあらゆる悩みを解決する「お金のプラットフォーム」になることを目指しているため、お金にまつわる事業を幅広く展開。その流れを加速させるために、M&Aなどを積極的に行い事業を横展開している模様です。それと同時にパートナーなどを集めて、販売力を強化しているようです。(ex.クラウドサービスの導入を支援するワクフリを買収)
一方で、freeeのミッションは「スモールビジネスを、世界の主役に。」です。そして、このミッション達成に向けて、まずfreeeが取り組もうとしているのが「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」となること。業務効率化のみならず、ビジネス状態の可視化や、ビジネス間の取引自体などを簡単にすることを目指しています。
まとめると、お金にまつわるプラットフォームを目指すのがマネーフォワード。スモールビジネスの方達が集うプラットフォームを目指すのがfreee、と言えそうです。
ちなみに。決算資料などでオープンにされているわけでも無いので推測の範囲内に留まりますが、M&Aグロースマネージャーを求人サイトで募集しているあたりから察するに、freeeは、M&Aプロジェクトを現在進行形で進めているか、これから進めようとしているのかもしれません。
今後、クラウド会計ソフトを主軸に展開する2社がどんな風に展開していくのか、気になるところですね。マーケティング分析は以上となります。
最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。
【無料ダウンロード】BtoB企業のマーケティング戦略立案ToDoリスト
参考文献
①インテュイット【INTU】米国で圧倒的シェアのクラウド会計ソフト会社が超えたイノベーションのジレンマ
②マネーフォワードはなぜ「選択と集中」をせずにB2CとB2Bの両方を提供し続けるのか
③ついに金融庁からも。日銀、経産省…マネーフォワードに集まる霞が関人材
④ログミー「辻庸介」氏
⑤マネーフォワードとSBIにあって、レガシー金融機関にないもの——企業にとって「本業」とは何か
⑥MFクラウドとfreee
⑦1兆円市場?クラウド会計ソフトは儲かるか-利便性を武器に急成長するfreee
⑧クラウドサービス推進機構に聞く、何が「中小企業のクラウド導入」を妨げるのか?
⑨freee株式会社「中小企業のクラウド化による生産性向上の取組」