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プレゼンに負ける会社に共通する、11の「負けパターン」

コンペになかなか勝てず、悔しい思いを抱いているビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。妥当な準備を重ねたつもりでも、実は「負けパターン」にハマっているかもしれません。アビリオン株式会社CEO・石川康裕氏に解説を依頼しました。

負けコンペには、共通点がいくつもある

「これは絶対勝ったな」と思ったコンペに、負けることがあります。
もう二度と負けたくない、同じ轍を踏みたくない、と思って振り返ったときに

負けコンペには、共通点がいくつもある

と気づいたので、その全てを公開します。

結論から言いますが、コンペに負けるのには理由があります。
「相手が強かった」のではなく、自分が「負けパターンのどれかに陥っている」のです。

負けコンペ

コンペで勝率を下げるパターン11種

1.「勝てそう」という慢心で臨んでいる

勝てそうだとはじめからタカをくくった場合は、大概痛い目を見ます。

例えば「担当とは仲が良いから大丈夫」「今回は根回しをしてある」「ほぼ出来レースですから」とか。そんなキーワードが出たら用心、「このままでは負ける」と思って気持ちを入れ替えて練り直しましょう。

どんなに根回しをしたとしても、天を貫くような良いプランを見たら「約束なんか反故にしても、最高のチームと仕事をしたい」ってクライアントは思うのです。

2.リハーサルをしていない

僕のプレゼンには、必ずリハがあります。大抵のプレゼンは一人で行なうので、プレゼンを作り始める日からリハをします。時間配分を考えて、緩急に悩みながら、どうやって引き込むかを考えて、納得いくまで練習します。

プレゼンリハの中で欲しいと思った画面素材を作り、作り込んだものをさらに引き算して、ミニマムな資料に仕上げます。しかし、自分の責任で負けたコンペは全てリハがなかったものばかり。「当日何とかなるだろう」と甘く見ていると、ボロボロに終わります。

またチームでプレゼンするときにも、全員でリハをやれていないプレゼンは勝率が著しく悪いです。自分のパートだけが良くてもダメ、全員でリハをせねばなりません。

3.クライアントの要望の本質を傾聴できていない

クライアントが話していることは何なのか、深層心理で何を考えているのか。しっかり捉えず、さらにはRFP(提案要望書)も充分読み解けていないときは勝てるわけがないです。

いや、勝てたとしても辞退するべき、恥ずかしい話です。

「本懐はどこにあるのか、このRFPはあくまでヒントであって本質はまだ隠れてるのではないか」


そんな風に、現れてない文字・声になっていない意見に耳を傾けたときは、「クリエイティブは他社がリードしていても、私たちをきちんと見てくれた御社と仕事がしたい」という結果をいただく場合もあります。

4.発言者も発案者もバラバラ

話すべきは、話がうまい人ではなく「話す内容に確信を持っている人」です。

時折あるのは「プランはAさんとBさん、話すのはCさん」というバラバラな分担。これは勝率を激減させるのでやめましょう。プランを立てるのは基本的には1人。アシストを複数でする、というのが健全な体制です。

正しくは

「戦略設計とプレゼン発表は石川さん。コピーは野澤さん、クリエイティブは河村さん、エンジニアリング仕様は物井さん。それぞれのパート部分でのフォローコメントを野澤さん河村さん物井さんに求める場合もありますが、その際はよろしくお願いします」

という分担が最良です。

5.クライアントからの問いをはぐらかす

これもよくある光景ですが、クライアントからRFPを通じて「こういった問題に対してどう対処するか聞かせて欲しい」と明記されているにも関わらず、アンサーとなるスライドがないケースがあります。

これは大体勝率を半減させます。
負け路線爆進の音が聞こえる事案です。

これまた悲しいサガですが、クライアントの問いの質があまり高くないというケースもあります。「そんなこと、気にしないでいいのでは?」と無視したくなる問いも事実としてあり、アンサーとなるスライドを作り忘れることもあります。

しかし提案は対話に基づくべきもの。問いの質を問わず、きちんと返答すべきです。

6.プランに自信がない(雰囲気でごまかす)

自分たちのプランに自信も確信もなく

「なんかいい感じだし、いけるでしょ」

というプレゼンは十中八九で滑る上に無視されます。

自信のないプランを話すとき、面白いほどに世間話を多くしたり、曖昧な会話を増やしたり、雰囲気で「このプランで良くないですか?」と問いかけたり、スーパーつまらない時間を会議中に生産するケースが多いです。

「せっかく時間を取ったのに、なんでこんな退屈な時間を強いられているのか」

と、クライアントには見透かされます。プランに確信がもてるまで、歯を食いしばって練り上げましょう。

7.想定問答の準備がない

これも慢心の類ですが、今立てているプランに対してどういった疑問を持つだろうか、それにどう答えようかという「想定問答」の準備ができていない場合は負けやすいです。

クライアント視点でプランを評価してみると、案外「語れていなかった」ということが多々あります。鋭いクライアントさんは

「いいですね。競合との差別化施策は具体的にどんな内容ですか?」
「今回のコストは、どのKPIに寄与しますか?」

など、意識を奪うような角度で質問してくださいます。それらを想定せず答えられなかったときの不信感・不満足感は、選定の際に確実にネガティブな作用をします。

8.仮想クライアントが弱すぎる

痛いツッコミが入らない前提でプレゼンに臨むと、高確率でなます切りに遭います。

要因は仮想クライアントの強さをイージーモードにしている、この一択です。仮想クライアントのレベルをグッとあげると、自分たちの今のプランの落ち度をまざまざと目にするので、ぜひ事前に打ちのめされてください。

9.プレゼンにエンタメがない(鬼つまらない)

根本的に「わざわざクライアントさんが時間を割いてくれているから、せっかくだから良い時間にしよう」という気概がない方のプレゼンは、なんと言えばいいのでしょうか。

「やめちまえ」

そんな言葉しか出ません。
ただの時間泥棒。プレゼンにさえ来ないで欲しい。と言ってしまいたい。

折角の時間を、よき時間にしようとプレゼンづくりに臨むとき


  • 新しい気づきを盛り込もう
  • 知られてない意外な事実を知らせよう
  • バイアスを払拭しよう
  • 普段言えない正直な気持ちを代弁しよう
    ​​​​​​​

こう考えていくと、エンターテイメント性がにじんできます。

「お客様とこの案件をするのは、最初で最後かもしれない」。一期一会を大切にする人のプレゼンは、「そこでハマらなくとも、別件で口実をつけて会いたくなる(仕事をしたくなる)」とあるクライアントさんから聞きました。

10.段取りがない、あるいは雑

負けコンペの場合、話を聞いた日から発表をする日までの段取りを適当にしていることに気づきました。

ファーストリテイリングの柳井正さんが推薦する名著「プロフェッショナル・マネジャー」の中でも、”終わりを描くことから始めよ”と書かれています。私自身の経験でも、勝ったコンペではプレゼンの発表日から今日まで逆算する段取りを組んでいました。

プロフェッショナル・マネジャー

ある月の3日にクライアントオリエンを受けて、プレゼン当日の24日までの段取りを出す場合は以下の通りに段取りを設計しています。

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こんな風にオリエンのその日に逆算したスケジュールを書きます。
これをやらない場合は負けると思った方がいいです。

11.クライアントの言ったまんまを答えている

RFPを「指示だ」と思っているチームは、正直勝てません。他方で勝てるチームはRFPを「ヒント」と呼んでいます。「3.クライアントに対して傾聴できてない」でも書いている通り、クライアントの見えない声に耳を傾けている人は本当に強いです。

勝てているプレゼンのスライドには必ず、「課題の再定義」という一枚が入ります。つまり、クライアントが「困っています」と課題として言っている内容をさらに深掘りして、「ぶっちゃけ本音はこうでしょ?」と言い直したスライドが入るのです。

その本質課題へアプローチした内容をプレゼンしますよ、と宣言したときのクライアントさんの「おー!頼みますー!」というwktk感といえば、たまらないものがあります。

「ジョハリの窓」という心理学用語がありますが、「自分からも相手からも見える窓」を語られてもあまり嬉しくはありません。「自分からは見えない、相手からのみ見える窓」を語られたときに相手は嬉しくなるという原則を抑えると、この課題の再定義の重要性がわかるかと思います。

勝敗は運じゃない。準備不足です。

「負けたのは自分のせいではない」と叫ぶのはやめましょう。この11の負けパターンから外れて負けた場合に、初めて「運が悪かった」と言ってください。


この負けパターンのアンチを張ってるとき、まだ僕は負けたことがありません。

石川 康裕

著者/ 石川 康裕
フリーランス

サービスデザイナー/UXUIコンサルタント/プレゼンテーションコンサルタント過去に3社の代表取締役と2社の取締役就任経験あり。事業設計からプロダクト開発までをワンストップで行う「サービスデザイン&開発ディレクション」を得意とする。某大手デジタルエージェンシーへの出向時代は各種コンペで連勝をするなどプランニングとプレゼンテーションの評価を業界から高く得ている。1986年千葉県生まれ。noteはこちら

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