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プロジェクト推進

コンサルフィーを値切ってはいけない3つの理由。
林大介
  • 著者/林大介
  • 株式会社ウフル IoT × enebularビジネス開発本部 本部長

コンサルフィーを値切ってはいけない3つの理由。

「あー、うちさ、コンサルティングっていうと拒否反応あるんだよね」
 
経営コンサルタントとしてお客様に対峙するなか、最も反応に困るセリフがこちらである。
 
心の中で(じゃあ呼ぶなよ。。。)と思いながらも、口では営業的に「確かにそう仰るお客様は多いです。しかし・・・」と切り返している自分がいる。そして同時にこうも思うのである。あぁ、これは仮に支援させて頂くことになったとしても、きっと上手くいかないだろうなと。そしてこの手の予感に限って高い確率でヒットしてしまうのである。

 

確かに、安くはない単価の報酬を頂くわけだし、実のない”虚業”などと揶揄される仕事ではある。しかし、肩書きだけでいきなり存在そのものに拒否の言葉を投げかけてくるお客様と上手くいくイメージは持てない。一方で、お客様はお客様で、過去に苦い経験をしている(しかも1度や2度じゃない)からこそこういった”保険”をかけてくるわけで、同業の誰かが”しくじった”ことによる風評が、巡り巡って別の誰かの評価を最初から下げてしまっているのだろう。

 

コンサルタントの立場として、お客様に「もっと上手くコンサルタントを使えば良いのに」と思うことが多々ある。本稿では”成果に繋がる”コンサルタントの使い方について、現場の実感をもって述べていきたいと思う。

 

気持ちよく仕事をさせよう

コンサルタントに限った話ではないかも知れないが、最も成果を出させる方法は端的に言えば「気持ちよく仕事をさせる」ことである。ただし、言うのは簡単でも具体的にどうすれば良いか分からない方が大半ではないだろうか。


コンサルタントという商売においては、商品はコンサルタント自身である。つまり、生身の人間である。生身の人間であるからには、どうしても品質のばらつきは避けられない。そしてそのばらつきを左右する要素は、実のところ顧客との人間関係に尽きるのである。


プロフェッショナルサービスを提供する側としては、顧客との関係が悪いからといって品質を下げるわけにはいかない。しかし、それは建前上の話であって、本当のところは人間がサービスする以上、影響は無視できないというのが現場の本音なのである。


人間関係が良ければ、コンサルタントは本来の力を十分に発揮できる。それは断言できるが、コンサルタントにも色々な人間がおり、自分の能力を鼻にかける人も居れば、やたらと居丈高な人も居れば、内気な人も居て、客商売であるはずなのに顧客との人間関係を構築するのが下手なコンサルタントがいることは確かである。そして、こういった人間を変えることは容易ではない。

 

従って、顧客がコンサルタントに気持ちよく仕事をさせるにあたって、顧客は自分ができることにフォーカスするべきである。テレビのチャンネルを変えるようには他人は変えられないし、その努力に時間を使うべきではない。上記の例のようなダメなコンサルタントとは、単純に仕事を一緒にしなければいい(採用しなければいい)のである。ではその”顧客ができること”にはどんなものがあるだろうか。

 

実は、コンサルタントに”気持ちよく仕事をさせる”ためのヒントは、その支援が始まる”前”に隠されているのである。


値切ってはいけない

コンサルタントに気持ちよく仕事をさせる一番簡単な方法は、コンサルタントが出してきた報酬金額を値切らないことである。……が、コンサルタントの単価は一般的に高く、最初に出された金額に簡単には同意できないという事情は理解できる。金額の大小はさておき、なぜ値切ってはいけないかについて説明したいと思う。

 

コンサルタントはある根拠を持って金額を提示している。その根拠は単純に言えば「かかりそうな労力(時間)」×「従事する人間の単価」の積算でしかない。コンサルタントの立場として、提示した金額を値切られた時に考えることは以下の3点である。

 

 

どれが正解だったとしても、一生懸命提案書を書いてプレゼンテーションした身としてはモチベーションを一段階下げられてしまう。少ない投資で最大限の効果を得ようとしているな、と感じることもある。不用心な値切りは基本的な信用・信頼が少なからず毀損されてしまうのである。

 

因みに、予算に合わせて欲しいという要望は筆者の定義では値切りには含まれない。ここで意味する値切りとは、労力を変えずに単価を下げて欲しいという一方的な要求のことを指している。”あなたにそんな価値があるとは思えない”と言われているに等しく、そんな相手と気持ちよく仕事をスタートできるように思えるだろうか。価値を感じないのであれば、値切るのではなく価値を感じないとストレートに伝えるべきなのだ。

 

何に困っているのかをはっきりさせよう

とはいえ、事業には予算が付きものだ。大きな企業においては決裁権の壁もあるだろう。払えないものは払えない、ということはコンサルタントの方も理解している。故に、”値切り”ではない価格の調整についてはコンサルタント側もある程度準備しているものなのだ。先ほどの算出根拠を思い出して頂きたいが、算出根拠には「かかりそうな労力」が含まれている。この労力の見積が正確であればあるほど、金額は妥当なレベルに近づいていくのだが、実際のところは労力の正確な見積は難しく、リスクバッファを積んで膨れ上がっていってしまう傾向にある。

 

実際のコンサルティング現場においては、顧客自身も結局何に困っているか言語化できていないケースが散見される。困っているのは間違いないのだが、”何に”困っているかを表現できないのだ。そこまで考えずに、コンサルティングを受ければ何とかなると思い込んでしまっている場合もある。課題の大きさや範囲、難易度の認識がボヤけているから、コンサルタントが提示する価格の妥当性を評価できないのである。

 

顧客はコンサルタントに「提示額を下げて」と申し出る前に、どんな困り事を解決して欲しいのかが正確に伝わっているかを今一度確認すべきである。そして、課題の設定に長けている顧客は、コンサルタントにとってはとてもありがたい存在である。炎上しにくく、パフォーマンスを発揮しやすい案件として認識されるので、より優先的に案件の対応を考えるようになるのである。これは顧客にとって非常に良い条件を引き出す土壌になり、結果的に妥当な価格で期待成果を握ることができるのだ。

 

 

 

実例:追加の仕事を引き受けた話

ここで筆者の体験談を紹介しよう。とある関西の製造業のお客様(A社とする)の話である。このA社との1度目の契約の際に、特段の値引き交渉などは行われず、筆者の提案した金額のまますんなりと契約に至った。実は、1度目の契約でここまですんなり金額面がまとまることは希である。普通に考えればプロジェクトとしては大いに喜ぶべき事態なのであるが、なんと筆者とプロジェクトメンバーには大きなプレッシャーがかかっていた。

 

それは「絶対にヘタは打てない」という重圧であり、その正体はA社から受けた全幅の信頼である。

 

1度目の契約ではまだこちらのウデを証明できていないため、いくら提案が良かったとしても顧客としてはコンサルタントを100%信頼することは難しい。しかしA社はそこをいとも簡単に突破してきたのである。まだいくらか値切られた方がプレッシャーはマシだったかも知れない。値切られたから仕方ないと”逃げられる”からだ。しかし今回は違った。必ず価格分の成果を出さなければいけないと、プロジェクトメンバーの目の色が変わったのである。

 

そのプロジェクトの中盤のヤマを越え、終盤に差し掛かろうかという時に、A社のプロジェクト責任者から思いもよらない提案を受けるのである。中盤までの成果を期待以上であると我々を褒めちぎった後に、「当初予定は無かったが、追加の作業としてこれを依頼できないだろうか」と打診してきたのだ。筆者は追加の報酬なしに二つ返事でこれを了承したのである。

 

A社のプロジェクト責任者は、最初からこうなることをある程度予測していた上で実行していた。我々は手玉に取られた形となったが、全くもってそれで良かったのである。我々は良い仕事ができたし、A社は支払った報酬に対して期待以上の成果を得られたのだ。全く値切らなかったのに、単なる値切りよりも遙かに良い結果になったのである。A社とはその後2度目、3度目の契約が続いているが、やはり一度の値切りもなく、1度目同様の緊張感をもってお仕事を続けさせて頂いている。こういったお客様を裏切るコンサルタントはいないのである。

 

自分で山を登ろうとしているか

筆者は色々なものにコンサルタントの仕事を喩えている。医者のようでもあるし、軍師のようでもあり、実は占い師のような側面があったりする。それぞれ役割は違うが、顧客に行動を促すという点では共通である。そして、これらの職業も我々も、顧客の行動の結果については責任を持つことができない。治癒力を持つのは患者自身であるし、軍師が出してきた戦略オプションを選ぶのは将軍自身であるし、占いの結果を信じて好きな人に愛の告白をするのも”その人”自身なのだ。結果は保証できるものではない。

 

 

にもかかわらず、なぜか企業間の取り引きになると、結果のコミットを持ち出す顧客が少なからず存在する。筆者はこういった顧客を”自分では山に登らない人”と呼んで、仕事をやんわりお断りするようにしている。登山家がシェルパを雇ったとしても、山に登るのは自分自身である。山頂まで担いで連れて行ってもらおうとはつゆほども思っていない。真に使命を帯びた顧客は、我々コンサルタントなどいなくても必ず山に登るのである。その登頂の可能性を僅かでも高めたい、実現を早めたい、より高みに登りたい、そんな意思を持った顧客には喜んで協力する。我々も同じ山に登るのである。

 

失われた何十年かの間に、日本企業はすっかり失敗を恐れるようになった。失敗による減点は即出世の妨げになるようだ。”失敗しないため”にコンサルタントを利用することを考える顧客も多いだろう。しかし、我々の望みは逆である。

 

コンサルタントは、”成功させるため”に使って欲しい。
 
事業成果が出やすいコンサルタントの本当の使い方は「顧客の方がコンサルタントを魅了すること」と言えるのかも知れない。

林大介
  • 著者/林大介
  • 株式会社ウフル IoT × enebularビジネス開発本部 本部長

電機メーカのエンジニア、通信システムインテグレーターのセールスを経てコンサルティングの道へ。ネットワーク、モバイルを中心とした戦略立案、新規事業開拓、テクニカルアドバイザリーを中心としたプロジェクトを多数実施。昨今はクラウド、IoT、AIなどの技術トレンドを背景にしたデジタルトランスフォーメーション、IoT新規事業創造、ワークスタイル変革に注力している。各種戦略策定、変革実行支援、ワークショップの企画と開催に強みを持つ。

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