国内外の出張を最適化するビジネストラベルマネジメント事業を行う、株式会社 JTBビジネストラベルソリューションズ様。
才流(サイル)では2021年4月より、同社が展開するクラウド型経費精算システム「J’sNAVI NEO」のマーケティング戦略立案および伴走支援を行ってきました。
マーケティング支援の開始から半年後の2021年10月より、営業活動も並行してご支援。コロナ禍で同社の旅行事業が打撃を受けたことにより、T&Eソリューション部門の人員が増えたため、これまでの営業体制を見直す必要があったといいます。
営業支援がはじまってからの約1年半、どのような成果や変化があったのでしょうか。T&Eソリューション部 部長 栗原様、営業課長 高山様にプロジェクトの率直な感想を伺いました。
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チームの規模が大きくなり、「営業の型化」の必要性を感じた
ー営業の型化支援のご依頼をいただいたのは、どのような背景があったのでしょうか。
栗原 T&Eソリューション部は経費精算システム「J’sNAVI NEO」を提供する部署です。コロナ禍で当社の旅行事業が影響を受けたのを機に、同部の人員が一気に増えました。チームの規模は大きくなったのですが、新しく入ってきた社員を育成する仕組み、型のようなものがありませんでした。
営業組織の行動基準もあいまいだったので、若手社員はベテラン社員のやり方をみて学ぶことしかできず、「営業の型」の必要性を感じていたんです。
高山 私もその時期にT&Eソリューション部へ異動した一人ですが、コロナ禍で営業活動もオンライン中心になり、誰にも教えてもらえないなかで試行錯誤していました。
ー今回の支援では、具体的にどのようなことを行ったのでしょうか。
井出 はじめの半年間は営業活動の指針となるマニュアルを作成しました。
若手の営業パーソンの方に話を伺ったところ、「先輩のやり方を見て、手探りで営業活動を進めている」「たしかな方法がわからない」という声があったので、まずはしっかりと型を作るべきだと考えたのです。
現状を把握するために社内の営業担当者の方にヒアリングを行ったり、実際の商談に同席したりしながら、製品の訴求ポイントや商談の進め方、顧客像をまとめていきました。社外で経費精算システムの購買経験がある方にもインタビューを実施し、実際にサービス紹介資料を見て感想をいただくこともありました。
マニュアルはとにかく現場で使えることを意識したので、初回商談で実行すべきことを分類して一つひとつ詳細に解説し、競合各社と比較された際の訴求ポイントやよくある状況への対応方法まで記載しています。
井出 最初の半年間で組織の行動基準はある程度定まったので、次の半年間はインサイドセールスの伴走支援を中心に取り組みました。
商談に同席した後には、商談での時間配分や質問に対する返し方など、細かな部分までフィードバックいたしました。
そして直近の半年間はインサイドセールスだけでなく、フィールドセールスも対象に、24件の商談に同席し、フィードバックに振り切ってご支援いたしました。
みなさん、基本的なスキルは最初の1年で十分に身につけていただいたのですが、クロージングやヒアリングなどで遠慮がちなところがあったので、もう一歩踏み込むべきポイントや踏み込み方などを中心にアドバイスしましたね。
また1年半のご支援を通じて、営業企画的な立ち位置で、新サービスの販売戦略立案や社内向け資料の作成、営業資料の改善提案、営業まわりの課題への壁打ちなども実施いたしました。
営業スタイルの確立が若手の成長にも寄与
ープロジェクトの中で、印象に残っていることはありますか。
栗原 全体を通じていえることですが、「こういう仕事の進め方もあるんだ」と。それまで外部の人に意見を求める習慣がなかったので、社内にはない観点、意見をもとに仕事を進められるのはすばらしいなと思いました。
販売戦略を一緒に考えていただいたときに、私たちだけでは思いつかないような戦略が盛り込まれていたのも印象的です。
高山 私は外部の人の目を借りることで、営業活動を「可視化」できたのは大きな価値だと思っています。営業って自然にできる人もいるし、それこそ大ベテランの方からすると当たり前にやっていることもある。けれど、その当たり前をできない人もたくさんいます。
商談フィードバックで井出さんが指摘してくださり、営業は一つひとつ根拠のある行動が大事なのだと再認識しました。自然にできていることもあるけれど、意識してやることが大事なんですよね。
日々の行動を客観視できるようになり、それまで感覚的にやっていたことが体系化され、後世に残せるようになった気がします。
井出 フィードバックでは特別なことをお伝えしたわけではないんです。自社だけのやり方で進めていると、なかなか気づけないところも多いんですよね。
基本的なことですが、「目的を合意してから商談を始めましょう」「一番最後は次のアクションをオファーをして終わる。また、商材に対してどう思ったのか感想を聞いて終わりましょう」「BANT(※)情報をちゃんと確認しましょう。少なくとも質問はしましょう」といったことですね。
※BANT:Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期)の4つの頭文字から取った言葉。
栗原 商談前に準備すべきこともマニュアルにしてもらいました。それを自然とやっている人もいるわけですが、定型として用意してもらえたのはありがたかったです。
井出 人によっては「言われなくてもわかっているよ」と思われたかもしれません。でも、大事なのはただ型を作るだけでなく、刷り込んでいくことだと思っているので、われわれは「刷り込み役」として何度も言わせていただきました。
チームに営業の基礎ができ、数字への意識も高まった
ープロジェクトにおける1番の成果は何だと思いますか。
栗原 各メンバーが「何をすべきか」を意識するようになりました。何のための作業なのか、なぜこれをやらないといけないのかがはっきりわかってきた気がします。
電話での問い合わせでも、BANT情報をお客様にお聞きするなど、基本的な営業スキルが身についたように感じます。
去年入社した社員の成長ぶりが凄まじく、チームの中に営業の基礎ができたからだと思います。チーム内でのコミュニケーションが変わり、彼らの成長を後押ししたように思います。
高山 商談では何を聞かないといけないのか、次に何を約束するのか、などの基本的なことをきちんと理解して実行できるようになったのは才流に支援してもらった成果だと思います。
井出 最初はみなさんご不安なこともあったと思いますが、プロジェクトが進むにつれ、私が口をはさむまでもなく、自信をもって行動されているように感じました。ご支援に入ったマーケティング戦略の立案からの2年間、常に改善し続けようとするみなさんの姿勢は素晴らしいと思いました。
栗原 数字に対するこだわりも強くなった気がしますね。リードの獲得件数だけを結果報告して終わっていたのが、「何のためにリードをとっているのか」をみんなが意識している。チームとしての変化を感じます。
商談化率、受注を意識した営業活動で営業収入額は過去最高に
ープロジェクトを通じて、数字での変化があれば教えてください。
栗原 2022年度の獲得社数は前年比で2倍強になり、営業収入額は過去最高でした。ただ単にリードを獲得するのではなく、「受注につながらないと意味がないんだ」という意識の変化がこの結果につながったのだと思います。
高山 インサイドセールスは商談化率を意識するようになり、PDCAサイクルがうまく回るようになりましたね。
井出 みなさんの改善意欲、達成意欲はとても強く感じていました。「これが課題だが、どうすれば良いか?」とご相談いただく機会も多かったです。みなさんの姿勢が、成果につながったのだと思います。
ー営業の型化支援と並行してマーケティングの個別相談を月に1回実施していましたが、そちらはどうでしたか。
高山 月に1回壁打ち、打ち合わせをさせてもらうことで「今月はこんなことができた」「来月はこんなことをしようかな」のように、定点チェックができました。
やっぱり社内だけでは知り得ない知識が沢山あって、ご指摘いただくことで自分たちが足りていないことに気付けるのは非常にありがたかったです。展示会の勉強会をやってくださってからは、私たちのチームが社内をリードして展示会を運営できるようになりました。
桂川 才流で展示会に知見があるコンサルタントを講師としてアサインしましたね。前半はレクチャー、後半は昨年の展示会のフィードバックと改善案をアドバイス。他部署にも展開されていてすばらしいと思います。
「敷居が高かったコンサルティング会社のイメージが変わった」
ーコンサルタントのコミュニケーションは、どのような印象を持っていますか。
高山 フレンドリーで、いろいろとざっくばらんに話をさせてもらいました。
栗原 才流とやり取りしているチャットをみると、「こんなことを聞いてもいいのか」みたいなこともあって、コンサルティング会社は敷居が高いイメージがあったのですが、よい意味でギャップがありました。
ー才流のサービスを他の会社に勧めるとしたら、どのような会社に合うと思いますか。
栗原 われわれの場合、フェーズでいうと超初心者レベルからはじまりました。プロジェクトの後半はわれわれのレベルも上がってきたので、フェーズに合った課題に対するご提案をいただきました。
ですから、どんなフェーズでもご支援いただけるのではないかと思います。実際私たちも、これだけ長くご支援してもらうことになりましたから。
高山 私は10年目くらいまでの若手、準若手の社員が多い会社にはおすすめしたいです。
それから、私のようなマネジメントをする立場の方にもおすすめしたいです。凝り固まった考えを改める機会になり、「メンバーにこうやって教えればいいのか」という気付きを得られました。
業界というくくりだと、製品があるものよりは、課題を解決するような、ソリューションを提案する会社さんに向いている気がします。営業スタイルが確立されていない会社にとっては、何か考えるきっかけをくれるだけでも大きな価値なのではないかと思います。
栗原 あとはイシューを忘れている人や作業をやって満足してしまっている人におすすめしたい。才流のご支援は、そこを打破してくれるように感じます。
(撮影/植田 翔 取材・文・編集/南 大友)