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ホリゾンタルSaaSで特定業界攻略へ!業界ハンドブック作成手順と事例を解説

新規事業
事業開発
石田 啓

一度PMF(プロダクトマーケットフィット)を達成した後も、さらなる成長を見据え「自社のプロダクトがどのフェーズにいるのか」「フェーズに適した動きをできているのか」という部分に課題感を持っている方は多いのではないでしょうか。

PMF達成後にとれる成長戦略は大きく3つあります。

  1. 新しいセグメントに広げる
    例)既存顧客はIT業界が中心なので、他業界にも広げよう

  2. 既存セグメントの獲得に注力する
    例)マーケティング予算、営業を増やして同セグメントでの新規獲得を強化しよう

  3. 既存セグメントにアップセルする 
    例)オプション新機能を開発し、アップセルを狙おう

中でもホリゾンタルSaaSは、成長が鈍化した際、既存の成功セグメントにより集中して獲得を強化することで、成長を加速させる事例が複数あります。

本記事ではそれらの成功事例とともに、バーティカル攻略をする際のマーケティングと営業の基本戦略を解説します。

※PMF(プロダクトマーケットフィット):マーケットニーズを満たすプロダクトで、正しい市場にいること
※ホリゾンタルSaaS:業種や業界に関係なく、特定の業務に使われるSaaS
※バーティカルSaaS:特定の業種用にカスタマイズがされているSaaS

顧客は自社業界向けのサービスを探している

なぜ、バーティカル攻略が有効なのか。その背景には、自社にあったプロダクトを導入したいという顧客の心理があります。

顧客はプロダクトを導入した場合に、きちんと成果がでるかどうかという部分に一番関心を寄せています。なぜなら成果がでるという根拠をもとに、社内の関係者に対して導入の説得を行う必要があるからです。

そのため、

  • 自社セグメント向けに作られているプロダクトである(例:自業界向け、大手向け、零細向けなど)
    • 自社セグメントに対する理解が深い
    • 自社セグメントに対する課題認識が的確

  • 自社セグメントにおいて成功事例がある
    • ベンチマークをしている会社の事例であればなお良い

という部分を重要視しているのです。

この心理を下支えするコンテンツを用意し、マーケティングや営業で顧客に提供していく必要があります。

バーティカル攻略の3つの基本ステップ

では、具体的にどのようにバーティカル攻略を進めればよいのか。基本ステップは3つです。

1.業界と顧客の解像度を上げる 

まずは業界と顧客の解像度をあげることです。自社の顧客がどのような人たちで、どのようなことに課題を持ち、どうやって解決しているのか。また業界自体が持つ課題や特徴、トレンドなどを抽出し、整理します。

具体的には、次のような施策を行います。

  • 業界調査(デスクトップリサーチ)
  • 社内外のエキスパートインタビュー
  • 業界の課題、トレンド、トピックを整理
    • 業界内の構造を把握するとともに、業界内で強いプレイヤーや商流の確認など
  • 顧客インタビュー
  • 課題の整理
  • 定量調査(必要に応じて)
  • ヘッドピン(アイコン)企業の選定
    • 初期に落とすべき業界のヘッドピン企業を明確にしターゲットを定める

2.リーチ手段を見定める 

次に、顧客へリーチする手段を見定めましょう。オフラインでのアプローチなのか、オンラインでのアプローチか。狙う業界に合ったリーチ手段を選定します。

  • 展示会
  • 業界団体
  • 共催セミナー、ウェビナー
  • アウトバウンド、FAXDM
  • 代理店、販売店の商流
  • 業界特化メディア
  • Web広告(検索広告、ディスプレイ広告、SNS広告)
  • 交通広告、屋外広告
  • CM

などが主なリーチ手段です。ターゲットとなる業界へアプローチするのに最適な手段を見極めましょう。

3.セールスコンテンツを作る 

顧客や業界について理解し、リーチ手段を決めたら、コンテンツを作成しましょう。作るべきコンテンツは2パターンあります。

  • ターゲット業界特化型のハンドブック
  • ターゲット業界特化型のサービスサイト(ランディングページ)

ターゲット業界特化型のハンドブックを作成しよう

ここからは、具体的に業界特化型のハンドブックの作成手順を解説します。

ハンドブックは、自社がターゲットを定めた業界や利用シーンに合わせて作成します。例えば展示会で配布するという用途であれば直接手渡すことのできる冊子として、ウェビナー参加者に配布するという用途であればWebでダウンロードできるデータとしてハンドブックの作成を行います。

また、大切なのは社内稟議や上申のために使ってもらうことを想定し、自社のプロダクトが顧客の業界への理解が深く、どのように課題を解決できるのかという部分をしっかりと訴求することです。

なお、サービスサイトは、ハンドブックを制作したのち、反応を見ながら作っていくことを推奨しており、本記事ではハンドブックの制作手順に絞って紹介します。

サービスサイトのページ制作の詳細は「BtoB商材のランディングページ」をご一読ください。

ターゲット業界特化型ハンドブックの構成

  1. ターゲット業界ならではの起きている問題
  2. ターゲット業界の問題に対する捉え方、トレンド、起きている変化
  3. 上記の変化やトレンドにおける課題
  4. 解決策としての商品紹介
  5. ターゲット業界での実際の使われ方(運用イメージ)
  6. ターゲット業界のアイコン的企業の事例

訴求の順番は才流メソッド「売れるロジック」をもとに作成しています。顧客の課題解決を軸にした販売ロジックなので、ぜひご活用ください。

ターゲット業界特化型ハンドブック作成の手順

ハンドブックの作成手順は、以下のとおりです。

1. ターゲットにするセグメントを決める 

まずはバーティカル攻略を目指すターゲットセグメントを定めます。ターゲットの切り方についてはこちらの記事をご参照ください。

考慮すべき事項として

  • すでに成功顧客が一定数いて、シェアを取りに行くのか?
  • まだ成功顧客は少数で、新規見込み市場として攻めるのか? 

などが挙げられますが、この場合はまず仮説検証を経て、攻略方針を策定することを推奨します。

2. 業界調査+顧客インタビューを実施 

業界内の課題や悩みを整理するとともに、すでに導入いただいている企業へインタビューを実施し、導入事例を作成します。

  • 業界調査はデスクトップリサーチ、エキスパートインタビュー、カスタマーサクセスインタビューを実施する
  • 業界内の課題、トレンド、トピックを整理する
  • 必要に応じて定量調査を実施し、利用できるデータを集める

定量調査からPRまでセットで支援してくれるサービスもありますので、利用を検討してみても良いでしょう。

【参考情報】bizhike×Freeasy サーベイPRパック

顧客インタビューは成功顧客に対して実施します。顧客のネームバリューがあるとなおよいでしょう。事例掲載の許諾を取った上で、30分の事前ヒアリング+60分の本インタビュー(撮影込み)が目安です。

3. 資料ラフ案を作る 

クライアントが社内稟議で利用しやすいように、PowerPoint形式の横型で提供します。
構成は下記に紹介するChatworkのハンドブックを参考にするといいでしょう。

  1. ◯◯業界のトレンド・取り巻く環境(定量調査情報)
  2. ◯◯業界の課題・各社がとっている解決策
  3. 自社サービスへの業界における外部評価(必要であれば)
  4. 自社サービスとして解決策の提示とその理由
  5. 成功事例(具体的な運用イメージを想像できる顧客の声)
  6. ◯◯業界特有の導入に関する注意事項(必要であれば)
  7. 料金プラン、◯◯業界におけるプラン別シェア

4. 営業メンバーやマーケティングメンバーにフィードバックをもらう 

営業やマーケティングなどの普段顧客に接しているメンバーの視点から客観的なフィードバックをもらいましょう。

  •  ターゲット業界の顧客に刺さるワーディングになっているか?
  •  実際に活用イメージが湧くか?
  • どのようなトークスクリプトになるか?

などの意見を踏まえ、より活用しやすいものにブラッシュアップします。

5. フィードバックを踏まえた修正を行い、資料を営業オペレーションに組み込む 

フィードバックを踏まえて資料を修正した後、営業担当が見込み顧客へのアプローチに活用しやすいよう、わかりやすい保管場所に格納するとともに、営業オペレーションにも組み込みます。顧客がいつでも閲覧することができるよう自社サイトへの掲載も検討しましょう。

業界特化型ハンドブックの実例

ここからは、ホリゾンタルSaaSでバーティカル攻略を行っている各社の事例を解説します。

Chatwork

業務の効率化と会社の成長を目的としたメール・電話・会議に代わるビジネスコミュニケーションツール。

ハンドブックの構成:

  1. ○○業界の課題・解決策 
  2. チャットワークとは 
  3. 組織導入に向けたセキュリティとサポート 
  4. 顧客の声(≒成功事例) 
  5. 利用プラン

特徴:

ハンドブックの内容はテンプレート化しており、各業界ごとに上記の構成に基づいてハンドブックが作成されている。業界が抱える課題とプロダクトでの解決方法の部分の記載が充実。

クラウドサイン

「紙と印鑑」を「クラウド」に置き換えることで契約作業をPCだけで完結させることができる日本の法律に特化した弁護士監修の電子契約サービス。

ハンドブックの構成:

  1. クラウドサインとは 
  2. 導入事例 
  3. 導入に向けたサポートオプション

特徴:

ハンドブックの内容はテンプレート化しており、各業界ごとに上記の構成に基づいてハンドブックが作成されている。用意されている業界数も多く、各業界の詳細な導入事例が記載がある。

ベルフェイス

営業職、カスタマーサポートなどが商談・打ち合わせを行うために作られたWeb商談システム。

ハンドブックの構成:

  1. 調査結果 
  2. 課題とその背景
  3. 解決策
  4. ベルフェイスとは

特徴:

2021年より金融業界をターゲットとし、専用のLPを設置。お役立ち資料にもターゲットを記載しており、対象が明確になっている。

まとめ

プロダクトのリリース後に一度PMFしても、次の成長戦略を立て、それに沿ったマーケティングや営業を行わなければ、大きな成長は見込めません。

特定の業界を攻略していくことは、ホリゾンタルSaaSが成長ステップを踏むための有益な手段だといえるでしょう。

本記事で紹介した考え方を参考に、ぜひ自社のターゲットとなるセグメントの選定やコンテンツ改善をしていただけると幸いです。

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