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新規事業が2年で受注ゼロから一転、1年で受注10件獲得できた理由

新規事業
コンサルタント
小島 瑶兵

「新規事業を立ち上げたものの、まったく売れない」「どうやったら新規獲得できるのかわからない」

新規事業を進めるなかで、初期の顧客獲得は多くの企業が直面する課題です。しかし、実際に顧客を獲得するまでの過程や具体的なプロセス、数字などの生々しい情報は、Webで検索してもなかなか見つからないものです。

新規事業で最初の顧客を獲得するためには、商談を重ねて顧客解像度を上げていくことが重要です。さらに商談の内容から「売れない理由」を検証し、プロジェクトを細かく軌道修正していく必要があります。

本記事では、実際に才流(サイル)のコンサルタントの小島が支援した事例をもとに、新規事業において最初の10社を獲得するまでの具体的なステップを紹介します。新規事業で顧客獲得に課題を抱えている方はぜひ参考にしてください。

また、「新規事業を立ち上げたが売れない」「新規顧客の獲得がわからない」などでお困りの方はお気軽にご相談ください。⇒資料の無料ダウンロードはこちら

※企業の特定を防ぐため、具体的な数字は一部加工しています

売れなかった新規事業を注力事業へと成長させる7つのステップ

ある日、某ITサービスを営む企業(A社)から才流に問い合わせがありました。相談の内容は「新サービスをリリースしたが、2年間で1件も受注できていない。新規開拓におけるマーケティングを支援してほしい」というものでした。

A社の状況

既存事業で数千社と取引実績あり。今回の新サービスも既存顧客に対して営業を行ってきたが、顧客ニーズとソリューションがマッチしておらず、受注実績が作れない状態が続いていた。

相談を受けたその日から、新規事業マーケティングのプロジェクトが始まりました。それから約1年の間に、新規リードを約1,000件、商談を約350件獲得し、思考錯誤しつつも10件の受注を獲得するという結果を出したA社。そして現在、さらに効率的に受注できる状態を作りだしています。A社の新規事業が顧客を獲得できた要因は一体どこにあるのでしょうか。

ここからは、A社と取り組んだプロジェクトの一連の流れを7つのステップに分けて説明し、新規事業でマーケティングを展開する際のチェックポイントを挙げていきます。

ステップ1. 事業の方向性を決める

新規事業がうまく進まず「追加の機能開発を急いだ方がよいのではないか」「特定領域に特化しないと売れないのでは」「営業の仕方が悪いのではないか」などと右往左往するケースはよくみられます。

新規事業は不確定要素が多いため、もちろん状況に応じた軌道修正は必要です。しかし、ある程度事業の方向性を決めておくことで、「迷わずに、実行に集中できる」環境を作ることができます。

A社の場合、2年間受注ができていない状態が続いていました。そのため「特定業種向けに特化する必要があるのでは」「サービスのセキュリティ面が心配されているのではないか」などの散発的なアイデアや悩みが社内で話し合われており、いわゆるカオス状態でした。

しかしながら、社内で挙がっていた課題は顧客の声ではなく、A社のメンバーによる「想像」でしかありません。最も重要なのは「顧客はこの新サービスをどう捉えるのか」という点であり、顧客解像度が低いことが大きな課題でした。

そこで、実際に同カテゴリーのサービスを導入した経験のある5名にサービスの案内をしてみたところ、4名から「興味はある」「導入前に知っていたら、真剣に検討した」という回答を得られました。

サービスを知ってもらえれば、少なくとも検討の土俵には上れることが判明したのです。

この調査結果をもとに、まずは競合となるサービスを特定し、それを探している方にアプローチしました。同時に、もし順調に売れない場合はその理由に応じた対応策を検討するという方針を定めました。この時点では確実に売れるという確信は持てませんでしたが、マーケティング方針を定めたことで施策の実行スピードが格段に向上したことは言うまでもありません。

事業の方向性

ステップ2. 施策を絞り込む

ほとんどの新規事業はリソースが不足しているため、「施策の絞り込み」が非常に重要なポイントです。施策を広げすぎることですべてが中途半端になってしまい、実行スピードが上がらないというケースはよくあります。

施策を絞り込む際は、検討〜導入までのリードタイムが短いとされる顕在層向けの施策を優先的に実施することが有効です。

施策の絞り込み

A社の場合、新サービスのカテゴリーがgoogle上で月に約1万回検索されており、BtoBビジネスの中でもトップクラスの検索数でした。そのため、初期の施策を「LP制作」「リスティング広告」「比較サイトへの掲載」の3つに絞り込むことにしました。

  • LP制作
    • ファーストビューにフォーム露出
    • キャッチコピーやCTAなどの改善
    • 制作費は約30万円
  • リスティング広告
    • 獲得効率よりも、獲得数を優先
    • 予算は約200万〜300万円/月(手数料含む)
    • 50件〜60件/月の新規リードを獲得
  • 比較サイトへの掲載
    • 某ITサービスカテゴリで検索に上位表示している3社に出稿
    • 予算は約50万円/月(手数料含む)
    • 40件〜50件の新規リードを獲得

リスティング広告は、BtoBの知見が深く、リード獲得だけでなく商談や受注までを見越した運用を実行してくれる信頼できるパートナー選びがポイントです。そこで今回は、才流のパートナー企業であるキーワードマーケティング社に運用を依頼。月間の予算を200万円〜300万かけて、獲得効率よりも「リード獲得数」を優先することで、スピーディに露出を増やすことに成功しました。

また、自然検索対策は効果が出るまで時間のかかる自社サイトでのSEOではなく、既に上位表示している比較サイトに有料掲載することで、成果創出までの期間を短縮しました。

そして施策を絞り込んだ結果、月100件の新規リードを獲得することができたのです。

ステップ3. インサイドセールスを外注する

ほとんどの新規事業では、リソースの問題からマーケティングやインサイドセールスの専任スタッフを社内で確保することが難しいです。内製化する場合はおのずと兼務になることが多く、初期対応が遅れてしまったり、対応漏れが発生したりするケースも少なくありません。そのため、インサイドセールス領域ではアウトソースを検討することをおすすめします。

A社の場合も、インサイドセールスを内製化する場合には既存事業の営業活動と兼務となるため、漏れのないスピーディな対応が難しい状況でした。

そこで、まだ新規リード数が月に30件〜50件程度の段階で、才流のパートナー企業であるセールスリクエスト社にインサイドセールスの代行を依頼し、獲得リードのフォローに注力するリソースを確保したのです。その結果、新規獲得リードから30%〜40%の高い商談獲得率を実現できました。

ステップ4. 売れない理由を特定する

新規事業のBtoBマーケティングでは、受注実績が乏しいために顧客解像度が低くなりがちです。「リード・商談を獲得しても受注に繋がらない」という状況に陥るケースも少なくありません。

売れない理由には大きく分けて3つのパターンが存在します。それぞれ打ち手が異なるため、「売れない理由の特定」が非常に重要です。

  1. 獲得した商談のターゲットがずれている(マーケティングの問題)
  2. 特徴や強みが理解されていない、クロージングできない(営業の問題)
  3. プロダクトが市場に受け入れられない(プロダクトの問題)

A社のプロジェクトでも、新規リード・商談を獲得し始めてから4か月間は受注0件の状態が続いていたので、まずは「売れない理由を特定する」ことに注力しました。商談はオンラインで実施していたので、商談内容を録画して約20件の商談を一つひとつ分析。すると売れない理由が判明したのです。

売れない理由を特定

この検証を通じて、営業コンテンツや商談内容のブラッシュアップを進めることとなりました。

ステップ5. 営業コンテンツの整備

新規事業においては、サービスの特徴や強みを考えたうえでリリースするのが一般的です。しかしながら、サービスの特徴や強みを商談相手に伝えきれずに失注してしまうケースは少なくありません。

A社のプロジェクトにおいても、商談内容の検証を進めるなかで「商談相手の大半は、そもそもサービス内容・特徴・強み」を理解できていないことが判明しました。

「営業資料がわかりづらい」という課題があったので、まず才流の営業資料テンプレートをもとに見直しを行い、わかりやすさの向上を図りました。また、商談時には「他社サービスと何が違うのか」という質問が頻出していたので、競合サービスとの比較表を作成し、ポジショニングを明確にしたのです。

さらに、「導入後の成果が見えない」ことも検討が進まない要因として考えられました。そこで成果シミュレーションシートを作成し、導入後の効果を数字で伝えられる体制を作りました。

営業担当者自身も、数十件の商談を重ねて顧客のニーズやわかりやすく説明するコツを掴めてきたことで、商談内容はどんどん研ぎ澄まされたものに。そして、本格的なリード獲得に着手してから約5か月後に、初めての受注獲得に成功しました。

※参考記事:営業資料の作成と改善に役立つテンプレート

ステップ6. アポの供給基準を修正

新規事業におけるマーケティング・営業活動では、フローに対する管理が行き届かず、非効率な活動を続けてしまうことが珍しくありません。

A社のプロジェクトにおいても、「まずは数多くの商談をこなす」「そのなかで勝ち筋を見つける」という方針で進めてきたため、受注に繋がる見込みのない案件の商談や過度なフォロー対応など、非効率な取り組みが散見されました。ステップ5の時点で、売れる兆しが見えてきたので、営業活動の効率化に徐々に着手していきました。

まずはアポ供給基準の見直しです。それまでは個人事業主や営業目的を除いて、原則すべての案件にインサイドセールスから商談を打診していました。しかし、まだ情報収集段階の企業と商談を重ねても受注に繋がらないことが判明していたので、予算や導入部門が決まっていない企業には原則として商談打診を行わないように変更したのです。

その結果、アポ取得率は約40%から約30%に下落したものの、より重要な案件に工数を割けるようになり、全体の受注率は改善しました。

アポの供給基準

ステップ7. セグメントごとにマーケティング・営業内容を改善

新規事業におけるマーケティング・営業をある程度ブラッシュアップしていくと、明らかな改善点がなくなっていき、ここからどう伸ばせばよいのかわからなくなるタイミングがやってきます。

A社のプロジェクトにおいても、ステップ6まで進んだ段階で明らかなボトルネックは解消され、各プロセス数字を分析しても他社平均と比べて問題のない水準まで改善できていました。しかし、A社が目指すのは平均以上のスピード感を持った成長です。

そこで、これまでに実施した約200件の商談すべてについて分析を実施。各商談の条件や失注理由・受注理由を分析した結果、大きく3つのセグメントに分けることができました。そして、受注率の高いセグメントからマーケティング・営業プロセスの改善に着手したのです。

  • Aセグメント・・・現状で30%近い受注率を実現できている
  • Bセグメント・・・現状の受注率が10%未満
  • Cセグメント・・・現状の受注率が0%

Aセグメントに関しては、商談さえ獲得できれば高い確率で受注できることが見えていたため、Aセグメント向けのセミナーやホワイトペーパーなどのコンテンツ強化と、一部サイト改修を進め、リードを増やす取り組みを強化しました。

Bセグメントに関しては、既存の営業資料や営業プロセスがマッチしていなかったので、Bセグメントに絞った商談分析を行って失注理由を洗い出し、Bセグメントに特化した提案資料を作成しました。

Cセグメントに関しては、導入事例やサービス紹介セミナーなどのコンテンツをメルマガで配信し、検討状況が1段階進んだタイミングで商談打診ができるよう、ナーチャリングの体制を構築しました。

その結果、全体の受注率を2倍まで向上させることに成功しました。

まとめ

A社では、才流が支援を始めて約1年の段階で10社の顧客を獲得することに成功しました。そして現在では、月間4、5件ペースで安定的に受注数を伸ばしています。このプロジェクトからは、新規事業をどのように推進するかという数多くのヒントをもらうことができました。その中でも、下記の3点はぜひ参考にしていただきたいです。

商談を重ねて顧客解像度を上げる

A社の顧客開拓が成功した一番の要因は、短期間に顧客解像度が高まったことにあります。半年で約200件の商談を重ねた結果、顧客の課題や要望を手触り感を持って把握できるようになったことで、サービスの内容、営業の仕方、マーケティングのメッセージなどすべての精度が向上しました。

商談の「検証」を通じて、軌道修正する

大量のリード・商談を重ねても、商談記録が残っていなかったり、振り返りの場を設けずPDCAサイクルが回っていなかったりする新規事業は少なくありません。A社の場合は全商談の録画、商談記録の記載、月1回の商談共有回を通じて、絶えずPDCAを回したことにより、その都度学びを得て改善策を実施できました。

重要な課題を見極めて、集中的に改善する

新規事業は課題が山積みなので、施策の優先順位付けがとても重要です。一方で、些細な問題に気を取られてしまい、重要課題にフォーカスできないことも珍しくありません。

そのなかで、施策の細かいチューニングではなく、差別化の方法やクロージングのために必要なコンテンツ作成など、その時々の重要課題に集中して改善を重ねることができました。

新規事業がうまく進まないことに悩んでいたら、本記事で紹介した最初の10社を獲得するまでのステップをぜひ実践してみてください。

また課題をお持ちの方は、ぜひご相談いただければ幸いです。

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