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新しいマーケティング施策を社内に通すための58のチェックリストと企画書テンプレート

マーケティングで成果を上げるために「新しい施策を打ちたい」が、社内での合意形成が難しい。このような課題にぶつかるマーケターの方は多いのではないでしょうか。

新規施策を実行するためには、一定以上の予算や人的リソースの確保、経営層の合意が必要です。特に大手企業では、経営層からの合意を得るために、予算会議に向けた事業計画書・企画書の作成などが求められます。

私自身、NTT東日本で大規模プロジェクトに関わってきた経験から、社内で事例がない施策を企画する際のプレッシャーや、難しさを実感してきました。なかなか大きな予算の確保に踏み出せない、実行にうつせないというケースもあるでしょう。

そこで今回は、社内で事例がない新規施策を通すためにどのようなポイントをおさえておくべきなのかのチェックリストを解説します。

また、経営層からの合意を獲得する企画書の作成方法についても、併せて解説します。次年度の予算取りに向けた検討・社内説明の際にぜひご活用ください。

また、BtoBマーケティングの成功に必要なポイントは、別記事でも解説しています。

NTT東日本BIZDRIVE「なぜデジタルマーケティングは失敗するのか?」

■本記事の内容をまとめた資料

新規マーケティング施策の企画書テンプレート(PowerPoint形式)
新規マーケティング施策のチェックリスト(Word形式)
※個人情報の入力は不要です。

目次[非表示]

  1. 1.新しいマーケティング施策を企画するためのチェックリスト
    1. 1.1.目標の設定
    2. 1.2.市場・競合の理解
    3. 1.3.顧客の理解
    4. 1.4.営業の理解
    5. 1.5.課題の洗い出し
    6. 1.6.打ち手の設定
    7. 1.7.アウトソース範囲の特定
    8. 1.8.予算の設定
  2. 2.新しいマーケティング施策について経営層から合意を獲得するための企画書の作成方法
    1. 2.1.サマリー
    2. 2.2.目標と現状の確認
    3. 2.3.課題の設定と優先順位
    4. 2.4.打ち手の設定と実行方法
    5. 2.5.予算の設定と実行スケジュール

新しいマーケティング施策を企画するためのチェックリスト

まず、施策を企画するために必要な情報収集や分析について解説します。

目標の設定

最終的な目標は全社的な事業計画の達成なので、目標値はそこから逆算して考える必要があります。現状の目標値の妥当性について、再確認を行いましょう。

  • 全社的な事業計画の目標値(受注数、売上額、利益額)を把握しているか
  • 全社的な事業計画の目標値をマーケティングの目標値に落とし込めているか
  • 現状のマーケティング数値(予算、CPA、CVRなど)は把握しているか
  • 提供する商品・サービスのLTV・CACは把握しているか
  • マーケティングの目標値に対して現状との差を把握しているか
  • マーケティングの目標を達成することで、事業計画の目標値に対してどの程度の効果が見込めるかを把握しているか

※LTV・CACについては、SAIRU NOTEの「LTV・CACの計算方法とよくある質問への回答」で解説しています。

市場・競合の理解

次に、市場・競合の理解です。そもそも投資を行う価値があるのか、施策の費用対効果はどの程度見込めるかを判断するためには、市場・競合の理解が不可欠です。

  • 提供する商品・サービスの市場規模は把握しているか
  • 提供する商品・サービスの競合は把握しているか
  • 競合他社が実施しているマーケティング施策の分析はできているか
  • 競合と比較した際の自社の強みを理解できているか

顧客の理解

マーケティング施策の成功のために重要な「顧客の理解」。最低限抑えたいポイントをまとめました。

  • 提供する商品・サービスのターゲットは把握しているか
  • ペルソナは設定できているか
  • 顧客が解決したい課題を言語化できているか
  • 顧客に提供できる価値を言語化できているか
  • 顧客から来た問い合わせ内容を分析し、傾向把握やセグメント分けができているか
  • ペルソナごとの「売れるロジック」が説明できるか

※「売れるロジック」とは、弊社で開発したフレームワークです。顧客が抱える課題を自社でどのように解決できるのかをロジカルに説明するために使用します。

営業の理解

大手企業によく見られる縦割り組織では、営業とマーケティングのコミュニケーションが少ないケースがあります。営業担当は受注に繋がりやすいリード、商談の場での顧客のリアクションなど、施策を検討するために重要な情報を多く持っています。次のポイントを意識し、情報共有を図りましょう。

  • 営業部門が持っているKPIは把握しているか
  • 営業が普段使用している営業資料を確認しているか
  • 商談の流れ、顧客に刺さるポイントを確認しているか
  • これまでの受注理由、失注理由に関する情報は取得しているか
  • これまでの受注理由、失注理由の分析はできているか
  • 営業が欲しいリード、問い合わせ内容を把握しているか

課題の洗い出し

社内外から収集した情報を整理し、課題の洗い出しを行いましょう。

目標値との差は何が原因で生じているのか、原因を解消するために何が必要か。解決すべき課題の優先度を、根拠に基づき論理的に説明できるようにしましょう。

  • 目標値との差分が生じている原因を網羅的に説明できるか
  • 把握した原因から解決すべき課題が設定できているか
  • 解決すべき課題は「マーケティング課題の優先順位」に基づいて優先順位がつけられているか
  • 優先順位の根拠を説明できるか

※「マーケティング課題の優先順位」とは、弊社が独自で開発したメソッドです。マーケティングの課題を効率的に解決するための優先順位を整理しています。

マーケティング課題の優先順位

打ち手の設定

課題に対して考えられる施策は複数ありますが、リソースが限られている中で取り組む課題を特定するためには、優先順位を付ける必要があります。

  • 課題を解決するための具体的な打ち手を複数提示できているか
  • 明示した打ち手に対して実現性、即効性、費用対効果などの観点で優先順位付けができているか
  • 打ち手の実行方法の検討ができているか

また、施策の検討に役立つ記事も公開していますので、あわせてご活用ください。

参考:BtoBマーケティングの手法大全 – 社内会議で使える79個の施策アイデア|SAIRU NOTE

アウトソース範囲の特定

施策を実行するためには、アウトソースの検討も必要になります。

アウトソースはキャッシュアウトが増え、必要となる予算も膨らみますが、内製化が適さない作業の効率化が見込めます。また、有識者のノウハウを取り入れることでスピーディーに効果を上げられる作業もあります。

施策を実行する上で具体的に発生する作業を洗い出し、どの範囲を外部に依頼するのか検討しましょう。

  • 打ち手を実行するために必要な要素・作業が分解できているか
  • 分解された要素・作業を行う上で必要な人的リソースを積算しているか
  • 分解された要素・作業を行う上で必要なスキル・ノウハウが特定しているか
  • 人的リソース・スキル・ノウハウを内製で実施する検討がされているか
  • 内製での実施が不可能、アウトソースが適切な範囲を特定できているか
  • 内製での実施が不可能、アウトソースが適切と判断された合理的な理由が説明できるか

予算の設定

最後に、予算の設定を行いましょう。

アウトソースに関わる予算は、複数社からの見積書を確認し、内製で実施した場合の費用と比較することをおすすめします。また、予算の妥当性を示すためには費用対効果の検討も必要となります。

  • 打ち手の実行に向け必要な予算が設定できているか
  • 設定した予算の妥当性を客観的に明示できているか
  • 施策の実施に向け、予算の範囲内で仕様(委託したい業務内容など)を満たせるパートナー企業はいるか
  • 費用対効果を明示することができているか

新しいマーケティング施策について
経営層から合意を獲得するための企画書の作成方法

施策の検討が終わったら、予算確保に向けた経営層向けの企画書作成を行いましょう。

経営層はマーケティング以外の組織も管理しているため、全社的な施策に優先度を付けて予算を決定しています。つまり、企画を提案する際には「全社的な目標達成に向けて重要であるか」を説明する必要があるのです。

サマリー

経営層は資料を読み込む時間がない場合が多いため、サマリーで伝えたい内容をシンプルにまとめましょう。

サマリーには、経営層の関心事項である、目標・全体的な方向性・スケジュール・予算を記載します。

  • 昨年度の成果・課題について振り返りを記載する
  • 今年度のマーケティングの目標を記載する
  • 今年度のマーケティング戦略の方向性を記載する
  • 今年度に実施する施策とスケジュールを記載する
  • 今年度の予算を記載する

目標と現状の確認

前述のとおり、経営層の関心事項は全社的な事業計画の達成です。そのため、マーケティング担当が設定している目標の妥当性と重要性を示した上で、詳細な話に入るとよいでしょう。

また、競合他社や市場全体を見た分析結果も関心事項です。必ず記載しましょう。

  • 全社的な事業計画の目標値から設定したマーケティングの目標値と現状の数値を記載する
  • マーケティングの目標値と現状の数値の差を記載する
  • 競合他社の情報や市場感など把握すべき前提情報を記載する
  • 現状の問い合わせ内容や営業ヒアリングの結果など、一次情報からの示唆があれば記載する

課題の設定と優先順位

課題の設定に関して、経営層からは「他に課題は無いのか?」「課題の優先順位は?」といった指摘が多いはずです。課題の網羅性や優先順位の根拠は必ず記載しましょう。

  • 目標値と現状の数値との差を解消するために、解決すべき課題を記載する
  • 課題の優先順位と優先順位をつけた根拠を記載する
  • 本事業計画の期間内で解決する課題を記載する

打ち手の設定と実行方法

企画書上では、具体的に「何の作業をアウトソースするか」を明示するのがポイントです。

打ち手の詳細よりもキャッシュアウトに直結すること。なぜアウトソースが必要で、どのような効果があるのかを必ず記載しましょう。

  • 設定した課題を解決するための打ち手を記載する
  • 打ち手を実行するための要素・作業を記載する
  • 要素・作業の中からアウトソースする範囲と理由を記載する

予算の設定と実行スケジュール

最後に予算と、想定される効果を記載しましょう。

費用対効果が経営層の関心事項なので、予算が妥当であること・事業計画の目標達成に効果があることをしっかり記載しましょう。

  • 打ち手を実行するために必要な予算を記載する
  • 予算の根拠を記載する
  • 想定される効果を記載し、費用対効果を明示する
  • 打ち手を実行するスケジュールを記載する

今回の「新規施策を社内で通すためのチェックリスト」は、マーケティングの戦略を考える上で重要な情報・思考の整理にもなります。

また、企画書はあくまで情報を伝えるための手段なので、経営層の関心事項を理解し、確認事項を丁寧に説明しましょう。

新たなマーケティング施策の検討・実行のために、ぜひご活用ください。

著者/ 中澤 康太
株式会社才流 コンサルタント

2012年にNTT東日本へ入社。法人SEとして公共・教育機関のDX支援を行う。大規模のプロジェクトにてPMを複数経験。その後、同社採用担当として新卒採用のマーケティングやイベントの企画を実施。2020年より株式会社才流才流にてコンサルタントとして活動。