
プレスリリースの新しい潮流。「想い」を伝える「リーン・プレスリリース」とは
従来、正式な文章を書き、PR TIMESなどを使って配信していたプレスリリースが、発信力のあるブログで、砕けたフォーマットで書かれることが増えている。
名付けて、「リーン・プレスリリース」。今回はその事例や効果、実際に自社でやってみての感想を書いてみる。
従来のプレスリリース
『プレスリリース』は、新サービスの発表や新機能のリリース時に配信されることが多く、日経新聞などの大手メディアに掲載されることを狙ったり、ユーザ獲得、資金調達をやりやすくするなどの目的で活用される。
一般的なフォーマットとしては
- タイトル
- 要約
- 本文(背景の説明、サービス説明、目標・今後の方向)
- 連絡先
を含んだ文章を作成し、PR TIMESなどの一括配信サービスや、メディアや記者に個別に送る流れ。ところが最近、新サービスのリリースを、オウンドメディアやブログ、noteなどで配信する例が出てきている。
リーン・プレスリリースの例
1.グッドパッチ社のスタートアップ支援サービス
https://note.mu/naofumit/n/nab2b424fb3a2
こちらはUXデザインで有名なグッドパッチ社の事例。会社のお知らせではなく、代表の土屋さんのnoteで、スタートアップ向けのデザイン支援サービス(限定1社)の告知がされている。
2.UXデザインチーム デザラボのプロダクト開発相談サービス
UXデザインチーム「デザラボ」のUXデザインの定額相談サービス。こちらは問い合わせはGoogleフォーム、申込みはpaymoで受け付けてるのが今っぽい。
リリースの背景にある想いを『僕たちは、低予算の仕事を放棄しない。 – デザラボ – Medium』に書いているのもブログベースで発信している効用でしょうか。
3.リザーブリンク社の予約やサービスマーケティングの相談サービス
http://yoyakulab.net/knowhow/yoyakulab-sodan-service/
SaaS型予約管理システム「ChoiceRESERVE」を提供するリザーブリンク社は、自社のオウンドメディアで、新しいサービスを告知。問い合わせも、オウンドメディア内のフォームと、Facebookメッセンジャーを使ってる。
4.フリーランスWebデザイナーの方のWebデザインの添削サービス
https://arutega.jp/art-direction/
フリーランスWebデザイナーの方のサービス告知。申込みはnoteからで、支払いもnoteの投銭機能を使っていて新鮮。
5.税理士事務所のプレスリリース
http://denco.blog.jp/archives/75548138.html
税理士事務所さんの広報をフリーランスで手伝っている方が、個人ブログでプレスリリースを掲載している珍しい形式。広報パーソンも個人として発信力があると強そう。
Amazon流のプレスリリース活用術
近い話として、Amazonでは製品開発をする際、まずは最初にプレスリリースを書くらしい。プレスリリースをもとに、社内のプロダクトマネージャーやバイスプレジデントなどが議論を行い、新製品の企画内容を検討。プレスリリースで社内の合意形成ができなかったり、ユーザーに響かない場合は、プロジェクト化せずに製品は作らないという。
参照:「すべてプレスリリースから考えよ」アマゾンジャパンのPMに学ぶ仕事の流儀とキャリア展望【及川卓也のプロダクトマネジャー探訪】 – エンジニアtype | 転職@type
プレスリリースを作成する中で、「誰が」「どんな課題を抱えていて」、「企画を形にすると、どのような利点があるか?」を明確にできるので、新製品の最小のリリース単位としてプレスリリースを活用できるのだろう。
『Amazon流の開発術では、まずプレスリリースを作る』にも詳しく紹介されているが、
プレスがユーザーに響かなかった時点でプロジェクトはボツ。そもそもその商品は作らない。これにより見当違いな商品を作るリスクを、一番最初の段階で低コストに回避できる。
を狙っているようだ。
自社でやってみての振り返り
これらの例や情報を見ていたので、先日、自社で新しいサービスをはじめた際に『リーン・プレスリリース』を試してみた。
https://sairu.co.jp/doernote/news/0002
やってみての感想としては
- 30分で作成&公開でき、簡単
- ブログに書くだけなので無料
- ただし、ブログに発信力が必要
- 正式サービス化するか、反応を見て決められるなど、仮説検証に使いやすい
といった感じ。
プレスリリースは体裁上、どうしても事実を淡々と述べる堅い感じになりやすいので、『想い』や『ストーリー』を伝えたい場合は、有効な施策かもしれない。
毎回のプレスリリースが、大手メディアに取り上げられる必要はない。ブログやSNSでシェアした方が拡散する場合もあるだろうし、うまく使い分けていきたい。