社内に新しいツール・サービスを導入する際に必要となる稟議書。
社内にフォーマットがない、フォーマットがあったとしても追加の情報提供を求められたり、カスタムが必要だったりと、フォーマットの意味をなしていないとお困りの方も多いと思います。
才流(サイル)でもマーケティング支援や営業支援を行うなかで、稟議書の作成の手間に関するご相談がよく寄せられます。
そこで、どんなツール・サービスにも汎用的に使える稟議書テンプレートをご用意しました。書き方のポイントや記入例とあわせて解説していきます。
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稟議書テンプレート【目標達成型】(PowerPoint形式)をダウンロードする
稟議書テンプレート【危機感醸成型】(PowerPoint形式)をダウンロードする
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稟議書作成時のよくある課題
業務効率化のためのクラウドサービスや、社内コミュニケーションツールなど、社内に新しいツール・サービスを導入する際は、稟議書の提出が求められます。
しかし、以下のような悩みをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
- フォーマットがないので作成に手間がかかる
- フォーマットはあるけれど、そのまま使えず毎回カスタムしている
- 説得力のあるストーリーを構成できない
そもそも、稟議書はすべてを一から作成する必要はありません。すべてのページを作成することと、提案の通りやすさに相関は見られないからです。
重要なページだけをきちんと作り込み、他はベンダーから提供された資料やパンフレットを活用すれば、作成の手間は軽減できます。
そこで、稟議書で重要な役割を担う8つの項目について、テンプレートを用意しました。
稟議書テンプレートの種類
今回お届けするテンプレートには、「目標達成型」「危機感醸成型」の2つの種類があります。
基本的には目標達成型で進めることをおすすめしますが、以下のどちらかに当てはまる場合は危機感醸成型を利用するとよいでしょう。
- 事業目標とは関係のない領域での提案
- 稟議関与者、決裁者がリスクマネジメントを重視するタイプ
1.目標達成型
中期経営計画や事業目標といった、組織が掲げた目標を達成するためのストーリーで構成されたテンプレートです。
- 目標は○○ですよね
- 現在△△のような課題があり、○○を達成できません
- ××を導入することで△△を解消します
- そのために××を導入させてください
上記のようなストーリーでアプローチします。起案内容と目標に整合性、合理性があれば稟議は比較的通りやすいです。
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2.危機感醸成型
組織の課題意識が乏しい、起案内容と事業目標の関連性が薄いなどの理由から、巻き込み、腹落ち、社内調整ができない場合に有効なテンプレートです。
注意喚起をし、課題意識を醸成させることが最初の一歩です。市場や顧客、競合の状況を提示し、以下のようなストーリーでアプローチします。
- 現在、外部は○○な状況です
- さらに今後は△△といった状況が予想されます
- 当社もいま取り組まないと取り残されます
- そのために××を導入させてください
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稟議書テンプレートの使い方
稟議書テンプレートは以下の8つのスライドで構成されます。
- 市場環境(危機感醸成型のみ)
- 承認依頼と目的
- ●●●が必要な理由
- ロードマップ
- 費用対効果
- 類似のツール・サービスとの比較
- 想定リスクと対策
- 社内の声
「1.市場環境」以外は、目標達成型、危機感醸成型ともに共通の内容です。2〜7は必須、8は任意で使用してください。
1.市場環境(危機感醸成型のみ)
危機感醸成型で進める場合は、このスライドからスタートしてください。危機感を醸成するために使用します。
※目標達成型で進める場合は不要です。
マクロ環境(PEST分析)や近未来予測、他社の事例を引用し、導入するツール・サービスの必要性を理解してもらいましょう。
「自社も取り組まなければ競争に負けてしまうかもしれない」というマインドを醸成できれば成功です。
また効果的に伝えるために、以下の2点を意識しましょう。
1.定性ではなく、定量で示す
NG例:大幅に増加
OK例:○%増加
2.解釈ではなく、事実を記載する
NG例:××と推察できる
OK例:××だった
2.承認依頼と目的
承認してもらいたい内容と、その目的を端的に伝えるためのスライドです。
長文や専門的な単語を多用すると、心理面も含めて「導入コストがかかる」と受け取られてしまう可能性があります。以下を意識して、記載しましょう。
- 膨大な工数やストレスはかからないと印象づける
- 普段使っている言葉を用い、訴求力を高める
- 端的に記載する
3.●●●が必要な理由
導入したいツール・サービスの必要性を論理的、かつ客観的に説明するためのスライドです。
目標や取り組みたいことに対する阻害要因を、課題①②として記載します。
普段から課題にあがっていることを記載するのがベストです。経営会議や営業会議で上層部がよく言葉にすることを整理してみましょう。もちろん関係者へのヒアリングも有効です。
4.ロードマップ
目標達成までの大まかな計画を伝えるためのスライドです。重要なスライドの一つです。
局所的、短期的な視点で提案しているのではなく、後の発展性や中期経営計画との関連性を考慮していることを示します。そうすることで、稟議関与者や決裁者の心証が格段に良くなります。
場合によっては、単年ではなく複数年をまたいだ予算を捻出したり、特別費用として新たに予算を確保できたりするケースもあります。精度の高いロードマップを作成しましょう。
何を、どのタイミングで実施するかを整理することで、起案者側も思考が整理されます。
5.費用対効果
費用対効果を伝えるためのスライドです。ロードマップと同様に重要なページです。
費用対効果は定量的に示すことが鉄則。一般的に売上、費用、生産性、作業時間などの項目を採用します。
手間はかかりますが、これらに加えて、ベター・ベスト・ワーストの感度分析、パターン分けしたシナリオ分析まで行えば完璧と言えるでしょう。
また、副次的効果があれば記載しましょう。とくに従業員満足度やモチベーションの向上といったエモーショナルなものは刺さりやすいです。
6.類似のツール・サービスとの比較
そのツール・サービスでないといけない理由を示すためのスライドです。目標達成に寄与する項目、経営側が重視する項目を整理した一覧表を作成します。
ポイントは、評点の根拠を簡潔に記載し、追加で質問された場合にも評点の根拠をしっかりと答えられるようにしておくこと。とくに「◎と○の判断基準は?」は、頻出の質問です。矛盾を突かれないよう、しっかりと準備しておきましょう。
なお、◎と○について明確な基準はない、というケースがほとんどで、相対評価で最も良いものを「◎」、次点のものを「○」とすることが多いです。
7.想定リスクと対策
想定されるリスクと対策方法について説明するスライドです。
導入にはリスクがつきもの。指摘された後に調査しているようでは、提案の説得力がなくなってしまいます。また、稟議関与者や決裁者も「分析が甘いからほかにも見落としがあるはずだ」と、粗探ししたくなるものです。
事前にリスクを示せば、多角的な調査をしていると受け取ってもらえます。同時に、ツール・サービス導入後のクライシスマネジメントにもつながります。
8.社内の声
社内アンケートの結果のような、社内の声を示すためのスライドです。使用は任意です。
社内の声は強力なメッセージとなります。事前にアンケートが取れるようであれば、ぜひ実施しましょう。
稟議関与者や決裁者も、「あまり乗り気ではないが、これだけの社員が賛成しているのであれば否決すると士気が下がってしまうかもしれない」と危惧します。
また、アンケートで賛成を集めるために、専門家による勉強会を開催することも有効です。「●●領域について社内勉強会をしたい。人選や交渉はすべて自分の方で行う」と会社側へ打診します。
以上の8つのスライドと、導入したいツール・サービスの営業資料とカタログを準備すれば、稟議書の完成です。
最後に
稟議書を作成する際は、必要な部分だけを自作し、ベンダーの資料やパンフレットを積極的に活用することで作成の負荷を軽減できます。
今回紹介したテンプレートがお役に立てば幸いです。テンプレートの中には記入例も入っていますので、ぜひ活用してください。
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