BtoBマーケティングを強化する企業は増えていますが、いざ専任のマーケティング担当者を採用しようとすると、うまくいかないという話をよく聞きます。
BtoB企業の採用担当者の課題
・BtoBマーケターって、どんな経験を持っている人ならいいの?
・自社には、どんな人を採用すればいいんだろう?
・母集団形成も、うまくいかないなぁ…
実際、BtoBマーケターは、採用の難易度が高い職種です。市場からの需要に対し人材の数が追いついていないのです。
特に、マーケティング戦略から施策の実行まで経験した人となると、対象者はかなり絞られてしまいます。「すべてを兼ね備えたマーケターを採用したい」と希望を抱くより、自社の状況に合った候補者を採用するほうが現実的だと言えるでしょう。
そこで本記事では、自社の状況にあわせたBtoBマーケティング専任者を採用するために、要件をフローチャートを用いて解説します。
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本記事は、採用代行サービス「CASTER BIZ recruiting」を提供している株式会社キャスターのみなさまに監修協力をいただきました。BtoB企業の採用支援実績を多数持ち、『採用を科学する。 計画・データ・仕組みで採用は変貌する。 』(NextPublishing Authors Press)も出版されています。
BtoBマーケティング専任者は社内異動も含めて検討する
マーケティング専任者を置きたい場合、経験者の採用を第一に考える方が多いようです。しかし、まずは社内異動で解決できないかを考えてみるとよいでしょう。
BtoBマーケターとして成果を出すためには、ノウハウや経験に加え、自社のサービス・プロダクトを利用する顧客への深い理解が必要です。
BtoBマーケティングのノウハウや経験は、良質なインプットと実務の中で習得できますが、顧客理解を深めるためには時間がかかります。
その点、社内で営業やカスタマーサクセスなどを経験したメンバーであれば、顧客への深い理解はすでに持っているはずです。社内異動を行い、マーケティング未経験者を育成するという選択肢もあるでしょう。
なお、育成期間中のBtoBマーケティングのノウハウや経験は、外部パートナーを活用し補完できます。
一見、社内異動と育成は、時間やコストがかかるように感じるかもしれません。しかし、BtoBマーケティング経験者の採用難易度を考えると、むしろ近道となる場合もあります。前提としておさえておきましょう。
自社に合ったマーケティング専任者の要件がわかるフローチャート
社外からの採用を検討する場合、マーケティング専任者の要件を決めます。まずは自社の状況を整理しましょう。
- 採用した人をマネジメントできる人が社内にいるか?
- マーケティング戦略・コミュニケーション設計が明確であるか?
- 外部を含め、BtoBマーケティングに関して相談できる環境があるか?
- 予算が確保されており、マーケティング施策が既に動いているか?
4つの設問に回答し、自社に合った要件を見極めましょう。
採用した人をマネジメントできる人がいるか?
経営者や事業責任者など、「マーケティングのノウハウ・経験があり、採用した人をマネジメントできる人がいるか?」が最初の分岐です。この分岐で採用要件が大きく変わります。
Yesの場合:社内でマーケティング組織を立ち上げるために動く
経営メンバーや事業責任者がサポートし、登用した人とともにマーケティング組織の立ち上げを行うことをゴールに動きましょう。
経営メンバーや事業責任者など、顧客への理解が深く、社内の調整ができるメンバーがマネジメントできるのであれば、次のステップはBtoBマーケティングの戦略・コミュニケーション設計の策定です。
Noの場合:マネージャークラスのBtoBマーケティング経験者を採用
採用した人材をマネジメントできる人がいない場合は、経営メンバー、事業責任者はマーケティング機能の立ち上げに貢献できません。自走してマーケティング機能を1から立ち上げ、牽引してくれる人を外部から採用しましょう。
BtoBマーケティングの戦略から施策の実行までの経験に加え、予算取り、パートナーなど社内の調整経験も求められます。BtoBマーケティング経験者かつマネージャークラスの人が採用ターゲットです。
また、社内メンバーから専任者を登用し、経験豊富な外部パートナーと一緒にマーケティングに取り組むという手段もあります。
プロダクト・サービスの理解はもちろん、高い顧客解像度を持ち、経営メンバーや事業責任者と協議できる。予算取りを行うなど、社内調整ができる人が望ましいです。マネージャークラスの方を登用するとよいでしょう。
マーケティング戦略・コミュニケーション設計が明確か?
「採用した人をマネジメントできる人が社内にいる」がYesだった場合、次の分岐は「マーケティングの戦略・コミュニケーション設計が明確か?」です。
マーケティング戦略・コミュニケーション設計が明確でない状態では、適切なマーケティング活動はできません。手当たり次第に施策を実行しても、時間や労力、コストを消費するだけで成果が出ないことがあります。
マーケティング戦略はSTP(セグメント・ターゲット・ポジショニング)、ペルソナ、プロダクト・サービスのメッセージ訴求が明確になっているか。コミュニケーション設計はペルソナ毎のカスタマージャーニー、実施すべきマーケティング施策が明確になっているかを確認しましょう。
※関連記事:BtoBマーケティングとは?戦略の立て方とプロセス理解
Yesの場合:戦略から施策の実行フェーズへ進む
マーケティングの戦略・コミュニケーション設計が適切に描けていれば、施策を実行するフェーズです。施策の優先順位をつけ、取り組むべき施策を実施するための体制を作りましょう。
※関連記事:施策の優先順位がわかるフローチャート
Noの場合:戦略を立てるために動く
冒頭でお伝えした通り、優秀なBtoBマーケターに必要なことは、BtoBマーケティングのノウハウや経験、自社のサービス・プロダクトを利用する顧客に対する深い理解。これらはマーケティング戦略を立てる時に、特に重要な要素です。
戦略を立てる際、BtoBマーケティングに精通している人、外部パートナーなどに相談できるかどうかによってその後の動きは変わってきます。
※関連記事:失敗しないデジタルマーケティング支援会社の選び方
BtoBマーケティングに関して相談できる環境があるか?
BtoBマーケティングのノウハウや経験が社内に不足している状況を改善するため、何らかの形で外部から知見を取り入れる必要があります。現段階で、マーケティング戦略から実施すべき施策の細部まで相談できる環境があるか、を確認をしましょう。
Yesの場合:社内メンバーでマーケティング戦略を立て、施策の実行経験者を採用
BtoBマーケティングに精通した支援会社や顧問など、相談できるパートナーがいる場合。経営メンバーや事業責任者が主導し、マーケティング戦略・コミュニケーション設計を策定できます。
この場合、採用するマーケティング専任者の要件は、施策の実行・改善ができる人です。
実施すべき施策の取捨選択ができている状態であれば、その施策を実施した経験がある人。施策を実施するための環境を0から構築し、効果測定を行い、適切な改善活動を行える人が望ましいです。BtoCを含むマーケティング経験者でもOKです。
また、相談できるパートナーがいる状況なので、社内のマーケティング未経験者でもキャッチアップしながら施策の実行ができるはずです。顧客と接点が多い営業やカスタマーサクセスのメンバーから、マーケティングに興味があり、キャッチアップが早そうなメンバークラスを登用するのもよいでしょう。
Noの場合:経験者の知見を取り入れるため、採用や環境構築を進める
BtoBマーケティングに精通した人に相談できる環境がない場合は、
- BtoBマーケティング経験者を採用する
- 社内メンバーを登用し、外部にBtoBマーケティングに精通している相談先を作る
の2択から考えましょう。
BtoBマーケティング経験者を採用する場合、マーケティング戦略・コミュニケーション設計の策定から始めます。BtoBマーケティングの土地勘、マーケティング戦略に応じた施策の取捨選択ができれば良いためメンバークラスの方でもOKです。
施策の予算確保などの社内調整は、経営メンバー・事業責任者がサポートしましょう。
また、社内メンバーから専任者を登用し、相談できる環境を作る場合。
社内異動で登用するメンバーは、外部パートナーと連携しながら実務を回せる人をアサインしましょう。マーケティングに興味があり、キャッチアップが早い人であれば、約半年間ぐらいパートナーと伴走することで、業務を回せるようになるでしょう。
外部パートナーは、マーケティング戦略から実施すべき施策の細部まで相談できる企業を選定しましょう。
予算が確保され、マーケティング施策がすでに動いているか?
採用した人をマネジメントできる人が社内にいて、戦略やコミュニケーション設計もできる場合、現在の施策の実行状況をチェックしましょう。マーケティング施策を実行できていない場合は、実行ノウハウとリソースの両方を確保する必要があります。
Yes:社内から施策を実行するためのリソースを確保する
Webサイト・広告運用や、ウェビナー、展示会など取り組むべき施策が明確で、オペレーションの整理が出来ている状態であれば、マーケティング未経験者でも業務を回せます。
この場合、専任者に必要な要件は高い顧客解像度のみ。社内異動を推奨します。
顧客と接点を持っているメンバーの中から、マーケティングに興味があり、キャッチアップが早そうな人を登用しましょう。新たにプロダクト、顧客解像度のキャッチアップをする必要がない分、採用よりも早期の立ち上がりが期待できます。
もし社内に最適な人がいない場合は、BtoB領域で営業職を経験した方の採用を検討しましょう。マーケティングの経験は問わないので、プロダクト、顧客解像度、マーケティングのノウハウなど新たな知識のキャッチアップが上手な人ならばよいでしょう。
パートナー企業のディレクション経験があると望ましいです。
No:施策の実施ノウハウと実行リソースの両方を確保する
前提として、マーケティング戦略・コミュニケーション設計が整理されているので、実施すべき施策は明確な状況です。まずは、実施すべき施策に関するノウハウ・経験と実行リソースを確保する必要があります。
BtoBマーケティング経験者(BtoC 経験者も可)を採用するか、社内から顧客解像度の高いメンバーを異動し、外部パートナーを活用する方法があります。
外部から採用する場合、環境をゼロから構築し、効果測定・改善のPDCAを回した経験がある人が望ましいです。実施すべき施策の経験がある人を採用しましょう。施策の実施経験があればよいため、BtoCを含めたマーケティング経験者でもOKです。
社内異動の場合は、顧客と接点を持っているメンバーからマーケティングに興味があり、業務の習熟が早そうな方を登用しましょう。加えて、パートナー企業のディレクションができる方であれば最適です。
施策のノウハウ・知見を確保するために、実施すべき施策の経験・実績が豊富なパートナーを見つけましょう。
まとめ
今後BtoBマーケティングの重要性が認識されるにつれ、BtoBマーケターの市場価値はさらに上がり、採用難易度は高くなることが予想されます。
自社の状況を見極め、社内異動や外部パートナーの活用も積極的に検討しましょう。
また、実際に採用活動を進める際は、以下の記事も参考にしてください。
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監修
株式会社キャスターのみなさまに、本記事の監修協力をいただきました。
(提供サービス:CASTER BIZ recruiting)