マーケティングオートメーション(以下、MA)ツールとは、顧客データに基づくマーケティング施策の自動化をサポートするツールです。
本記事では、MAツールの導入を検討中の方に向けて、MAツール導入のポイントや注意点などを解説します。また比較検討に役立つ比較検討シートのテンプレートも用意しました。MAツールの導入を成功させるため、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
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なお、本記事は、Salesforce・Pardotの伴走支援コンサルタントである嶋田 賢策氏に監修をいただきました。
MAツールは魔法の杖ではない
MAは、「マーケティングオートメーション」の略語ですが、決してマーケティング活動全体を自動化するものではありません。自動化できるのは、マーケティングの中でも一部分と認識しましょう。
「BtoBマーケティングで成功するためには、必ずMAツールが必要」という風潮もありますが、闇雲な導入では成果につながりません。MAツール導入の「目的」を明確にしたうえで、検討を進めることが重要です。
メール配信ツールとMAツールの違い
メール配信ツールとMAツールの大きな違いは、「行動ログ」の活用にあります。
■「行動ログ」の例
・ホームページなどのサイトの閲覧
・メルマガなどのメールの開封
・メールに設置されているURLリンクのクリック
・問い合わせや資料請求などのフォームへの登録
・お役立ち資料などのファイルのダウンロード
・ウェビナーなどの動画の視聴
メール配信ツールが、主に「属性情報(企業規模、職種など)」を活用するのに対し、MAツールでは「属性情報」に加えて「行動ログ」を活用します。
※メール配信ツールで、「行動ログ」を活用できるサービスもあります。
行動ログを活用できるツールであれば、特定の行動をフックに、企業からのアクションを自動的に変更できます。
MAツールで実現できること
MAツールの導入目的を考えるうえで、MAツールで「できること」の理解は欠かせません。以下に、MAツールで実現できることを紹介します。※今回はMAツールの主要機能のみを紹介しています。
①見込み顧客の興味関心事項を推察できる
MAツールを導入することによって、サイト閲覧履歴などの行動ログから、見込み顧客の興味関心事項を推察できます。
例えば、見込み顧客がFAQページで特定カテゴリーを、複数ページ閲覧している場合。容易に興味関心事項を推察できるでしょう。
商談前に、「どのサービスに興味があるか」を把握できれば、商談がスムーズに進む一助になるはずです。
②ホットな営業リストを抽出できる
MAツールを導入することで、特定の条件で見込み顧客をスクリーニングできます。アプローチすべき見込み客に優先順位がつけられるので、営業部門のリソースを最適化できます。
③メール自動化プログラムで業務効率化がすすむ
MAツールを導入することで、資料ダウンロード、ウェビナー参加など特定の行動を起点に、自動でメールを配信できます。
ユーザーのフォローアップを自動化することで、マーケティングチームの業務効率化に寄与します。
MAツール活用戦略を策定しよう
続いて、MAツールを活用するための戦略を策定しましょう。MAツールを活用したリードナーチャリング(獲得済みのリードを営業に渡せる状態にまで引き上げていく活動)によって、どのように商談や売り上げを創出するかを考えます。
新規リードのナーチャリングだけでなく、失注商談リードや既存顧客リードのナーチャリングも視野に入れることがポイントです。失注商談リードや既存顧客リードの方が、新規リードよりも商談化率が高いことが想定されます。
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失注商談リードのナーチャリングシナリオ
「失注」に該当する取引ステージに入った商談に対して、期間を起点としたフォローアップメールや営業担当への再アプローチアラートを設定できます。
営業担当に任せきりにすると優先順位が下がりがちな施策でもあるため、MAツールによる自動化をおすすめします。
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既存顧客リードのナーチャリングシナリオ
既存顧客がアップセルやクロスセルにつながる可能性のある行動をとった場合に、営業担当へアラートを送信できます。特に、担当する顧客や商材が多い場合に有効な施策となります。
リードナーチャリング戦略における論点
リードナーチャリング戦略を策定する上で重要な論点を、まとめました。すべての論点に回答できる状態を目指しましょう。
- リードナーチャリングの対象とするサービスは?(新サービス or 既存サービス)
- リードナーチャリングから創出したい売上目標は?
- リードナーチャリングから創出したい月間の商談数は?
- ターゲットとなる見込み顧客の条件は?(企業規模、業種、役職、業種など)
- ターゲットとなる見込み顧客の関心事は?
- 保有しているターゲットリード数は?
- リプレイスの可能性がある失注商談数は?
- アップセル・クロスセル余地のある既存顧客数は?
- 優先的にナーチャリングを行うべき戦略セグメントは?(新規リード or 失注商談リード or 既存顧客リード)
MAツール導入における注意点
MAツール導入における注意点をまとめています。落とし穴にはまらないよう、意識しましょう。
①目的を明確にしてから導入を決める
MAツール導入に失敗する企業に共通するのが、導入目的のあいまいさです。本記事を参考にしていただき、MAツールで実現したいことを明確にしましょう。
②営業のアプローチタイミングを明確にする
リードナーチャリングは、MAツールだけで完結するものではありません。営業担当(インサイドセールス含む)からアプローチする前提で、戦略を考える必要があります。どのタイミングで営業担当からアプローチするかを、明確にしましょう。
③スコアリングの活用は必須ではない
優先度に応じた点数を付与することを「スコアリング」といいます。
MAツールの主要機能として認識している方も多いと思いますが、スコアリングの活用は必須ではありません。データが溜まってから、順次活用していく方針で問題ありません。
スコアリングを活用する場合は、商談につながったリードの行動ログを溜めることから始めましょう。その上で、各行動のスコアの重み付けを検討し、調整を行っていきましょう。
④自動化のシナリオを複雑にしすぎない
ステップメールなど、MAツールを使えば自動で発動するシナリオを自由に設定できます。しかし、シナリオを複雑にすると、効果よりも運用負荷が大きくなってしまいます。初めは、シンプルなシナリオを設定しましょう。
⑤スモールスタートを意識する
まずはスモールスタートで始め、徐々に活用の幅を広げていくとよいでしょう。小さくとも着実な成果を得ることが、プロジェクト推進面でも重要だと思います。
MAツール選定のチェックリスト
MAツールを選定する際に、確認したほうがよい項目は以下のとおりです。
サービスサイトだけではわからないことも多いので、ベンダーの営業担当に直接ご確認ください。
- 導入目的を実現できるか?
- 検討中のツールで、MAツールを導入する目的が実現できるか確認しましょう
- ツール連携に問題はないか?
- 連携したいツール(SFAやチャットツールなど)がある場合、検討中のツールと連携できるかを確認しましょう
- セキュリティ要件は満たしているか?
- 検討中のMAツールが自社のセキュリティ要件を満たすか確認しましょう
- サポート体制に問題はないか?
- 導入や運用において、どのようなサポートがもらえるか確認しましょう。担当者の対応も評価項目として設けておくと良いと思います
- 機能は必要十分か?
- 管理画面のUI・UX(使いやすいかどうか)、レポート機能などを確認しましょう
- 導入実績は豊富か?
- 導入実績はもちろん、知り合いに聞くなどして口コミ情報も集めておきましょう
- 費用・契約期間は?
- 導入費用、月額費用、オプション費用など発生する費用を確認しましょう。契約期間もあらかじめ確認しておきましょう
チェックリストを反映したMAツール比較検討シートも作成しました。MAツール選定の際に、ぜひご活用ください。
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監修
2006年シャノンに入社、マーケティング部門の立ち上げ、Salesforce連携アプリケーションのリリース、 AppExchangeコンソーシアムの立ち上げに参画。2014年よりオークニー(現UPWARD)でマーケティング部長としてMAを活用したデジタル営業を推進。2016年よりtoBeマーケティングのカスタマーサクセスコンサルタントとしてSalesforce・Pardotの伴走型コンサルティングを担当。
2019年4月より複数の企業で、伴走支援コンサルタントとしてマーケティング業務をパラレルに推進中。