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PMFの引き金となるトリガーとは?14社の成功事例から見出せる共通点

新規事業
株式会社才流 代表取締役社長
栗原 康太

これまで数々の企業に取材し、新規事業立ち上げからPMFまでのストーリーを伺ってきました。その中で見えてきたのは、それぞれの新規事業にはPMFを達成するにあたって引き金となった出来事があるということです。引き金となった出来事を「PMFトリガー」と名付けます。

本記事では、『新規事業を成功させる PMFの教科書』の執筆にあたり取材した14社の事例から共通する7つのPMFトリガーを解説します。

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※関連記事:PMF(プロダクトマーケットフィット)達成ガイド~基礎から事例まで、新規事業を成功に導くためのコンテンツ集
※関連動画:【新規事業】PMFの達成事例

7つのPMFトリガー

新規事業の成功やPMFの達成は、商品の魅力や参入のタイミング、競合の強さ、資金力、事業を率いる経営者や事業責任者の才覚、運など、無数の要素によって成り立っています。当然、1~2つの要素だけで説明することはできません。

しかし、PMFを達成した14社の成功事例からわかることは、以下の7つはPMFを達成するために重要な引き金だということです。

1.顧客に向き合う

2.入念なリサーチ

3.受託開発・コンサルティング

4.コンセプト創出

5.ターゲット変更

6.キラー要素の発見

7.市況変化への対応

以下の図は、14社のPMFトリガーを分類したものです。7つすべてを満たす必要はなく、各社2~3個のPMFトリガーを経て大きく飛躍しています。「顧客に向き合う」というトリガーだけは、全社に共通している項目です。

14社のPMFトリガー

社名顧客に
向き合う
 
入念な
リサーチ
受託開発・
コンサル
ティング
コンセプト
創出
ターゲット
変更
キラー機能
の発見
市況変化への
対応
FLUX
HERP
コドモン
タイミー
TOKIUM
コミューン
サイカ
プレイド
WACUL
Photosynth
ノバセル
fondesk
ベーシック
Shirofune

①顧客に向き合う

唯一全社に共通していたPMFトリガーは、顧客に向き合うことです。新規事業のアイデアが生まれるきっかけは各社さまざまでしたが、アイデアを商品化し、PMFを達成していく中では必ず顧客に向き合う過程が存在していました。

リリースした商品がまったく売れない、解約率が驚くほど高いなど、失敗によって顧客と向き合わざるを得なかったケースもあります。しかし、顧客や顧客の成功に徹底的に向き合った先に、PMFのきっかけとなるアイデアは生まれているのです。

ベーシックの取締役COO林宏昌氏は、鬼のようなチャーンに直面し、あらためて顧客に向き合ったと語っています。

ただ、1年後に起こった現象は予想をしていないものだった。ferret Oneの運営チームが直面したのは年間解約率70%の「鬼のようなチャーン」だ。

なぜそのような事態に陥ってしまったのか。林氏は初期のプロダクト開発時にヒアリングをしていた層と、実際にferret Oneを販売していた層との間に「ギャップ」があったことが大きいという。

引用:毎月数十件の受注も「鬼のようなチャーン」に直面、ferret OneのPMFストーリー

②入念なリサーチ

2つ目のトリガーは、参入する際の入念なリサーチです。とくに既存市場・既存商品が存在し、ベンチマークとなる企業や商品がある場合に有効なきっかけとなります。

FLUXは入念なリサーチを行い、日本の顧客がどこにペインを抱えているのか掴み、PMFに至りました。

FLUXの場合は、創業の時点でPSFは終了していると捉えていたという。海外の事例から、メディアの広告枠販売や広告収益最大化というProblemに対して、ヘッダービディングというSolutionが機能しうることがすでにわかっていたためだ。

一方日本のメディア業界は代理店が強い構造も影響し、類似のプロダクトを大規模に提供している企業は存在していなかった。そのため検証すべき課題は、このSolutionが日本の市場にも受け入れられるのか、そしてスケーラブルな事業として成り立つかどうかに絞られた。

引用:プロダクト汎用化も組織拡大も今はやらない。5社の満足度を高め切って飛躍したFLUXのPMFストーリー

③受託開発・コンサルティング

3つ目のPMFトリガーは、顧客企業向けに受託開発やコンサルティングを提供した結果、新規事業のアイデアが見つかったり、顧客に提供する商品の精度を上げたりすることができたケースです。

受託開発やコンサルティングは顧客企業と深くつながることができ、顧客の課題や求めている機能、予算感、導入までの意思決定プロセスなどを把握しやすい特徴があります。単に商品を提供するだけよりも、多くの情報を得られるのです。

コドモンは、保育施設からの要望をもとに受託開発したシステムを発展させる形でCoDMONを立ち上げたものの、市場から支持されない時期もあったといいます。ヒアリングを重ね、プロダクトの機能やメッセージの打ち出し方を進化させ続けたことが、PMFにつながりました。

「たとえば『保護者満足度』という言葉は業界には似つかわしくなく、訴求軸として使わないようにしたほか、保育業務の『効率化』といった表現も控えるようにしました。この業界では保育の効率化=保育の質を下げるという印象につながりやすいので、『省力化』という言葉に変えてセールス活動やマーケティング活動をやってみる。実際にお客さまの反応を見ながら自分の発言を微調整していくというプロセスを繰り返していました」(小池氏)

引用:現場を観察し続けたから見えてきた、本質的なニーズと刺さる訴求。コドモンのPMFストーリー

④コンセプト創出

4つ目のトリガーは、顧客に受け入れられるわかりやすいコンセプトを生み出すことです。

プレイドのPMFストーリーでは、プロダクトのダッシュボードのUIを変更したことで顧客の反応が変わった、というエピソードがありました。

変えたのはKARTEのUIだった。グラフやチャートで表現するのをやめ、代わりにトップページで「1人ひとりのユーザー」の動きが直感的にわかるように変更。ユーザーごとに流入経路や過去のサイト上でのアクションなどが表示され、「今この瞬間」の行動がアイコンと共に、リアルタイムに可視化されるようにした。

「こんなにも変わるのか、というくらい鮮明に、お客様の反応が変わったんです。多くの企業の方が食い入るように画面を見ながら、『どうやって計測・解析しているの?』『この人は今サイト上にいるの?』とおっしゃる。その様子を目にして、『インターネットでは人が見えていなかったのだ』と感じました」(倉橋氏)

引用:「狙った通りの反応で結んだ契約か?」契約数で判断せず顧客満足の内実を突き詰めた、プレイドのPMF秘話

「一人ひとりのユーザー単位で可視化・分析しよう」というコンセプトに独自性があり、そこを突き詰めて商品に落とし込んだ結果、PMFに至ったのです。

⑤ターゲット変更

5つ目のトリガーは、商品を販売するターゲットを変更することです。いろいろな顧客層の中から、自分たちが一番価値を発揮できそうな顧客層を見つけ、ターゲットを絞り込むことでPMFに至るケースです。

コミューンでは、立ち上げから順調に進んでいたものの、次第に「売れる理由がつかみきれない」状態になったといいます。

「commmuneは“How”を提供しているプロダクトだったので、お客様が増えていくにつれて『コミュニティを活用したいという思いはすべてのお客様に共通しているものの、解決したい課題はバラバラ』という状況が生まれていきました。売れはするものの、一体どこに刺さっているかがわからなくなっていったんです」(高田氏)

そこで、誰のどのような課題を解決するプロダクトなのかというスタンスを明確化し、ターゲットを絞ることを決断したのです。「ターゲットを絞ることは、プロダクトの可能性を狭めてしまうと考え、当初は抵抗があった」とコミューンの高田氏は語っていますが、ターゲットを絞り、合わせて値上げも行ったことでPMFを果たしました。

⑥キラー要素の発見

6つ目のトリガーは、顧客に刺さるキラー要素を発見することです。営業資料やプレゼン資料で「キラースライド」があるように、商品においてもキラーとなる要素が存在します。キラー要素には、競合にない機能やサービス、圧倒的に安い金額、圧倒的に早い納期などがあげられます。

TOKIUM(旧BEARTAIL)は、経費精算システム市場に参入したものの、後発で苦戦を強いられていました。しかし、経費申請の代行までをサービスに含めることで、他社よりも高価格で売れるようになったといいます。

「単にソフトウェアを提供するだけでなく、顧客が面倒だと感じているオフラインの業務オペレーションを代行することで付加価値を築いていると耳にして、同じようなことができるかもしれないと思ったんです。(オフラインの業務の代行は)一見大変そうで非効率にも感じるけれど、顧客にとっては大きな課題になっているかもしれないと」(黒﨑氏)~中略~

法律に沿った形で、この作業負担を軽減することはできないだろうか。考え抜いた結果生まれたのが「レシートをスマホで撮って、ポストに投函するだけ」というコンセプトだ。

引用:“パワポ一枚で売れる”強いコンセプトの発見で、導入が加速。BEARTAILのPMFストーリー

⑦市況変化への対応

最後のPMFトリガーは、市況の変化があり、それに的確に対応することです。市況の変化とは、たとえば法改正、コロナ・震災などの災害、働き方改革などの変化、インターネットやスマートフォンなどのテクノロジーやデバイスの急速な普及などのことです。

結果として市場や顧客のニーズも変化するため、うまく対応すれば、PMFに近づくケースがあります。

タイミーは、コロナ禍で多くの飲食店が営業できなくなり、大きな影響を受けたそうです。しかしデリバリーやECの需要が急増したことを捉え、PMFを達成しました。

ただ、タイミーはただでは転ばなかった。もともと一つだった営業部を「飲食」「小売」「物流」に分け、それぞれの顧客の課題に合わせて提案を調整していった

たとえば飲食は特に影響の大きかった領域ではあるが、よくみると「デリバリー」のように伸びている分野もあった。飲食店がデリバリーに力を入れるようになると、バイクの免許を持っている人材など新たな採用ニーズが生まれる。

そのニーズに合わせる形でタイミーもフォーカスする分野を変え、一度は沈んだ売上を再浮上させることに成功した。

引用:創業メンバー自ら“ドタキャン”の代わりをしたことも。初期ユーザーの成功体験を追求しPMFしたタイミー

自社の新規事業がPMF達成に向けて苦戦している場合、この中のいずれかのトリガーを生かせないかを検討してみることをおすすめします。

才流では成果が実証されたメソッドにもとづき、新規事業の立ち上げからPMFに至るまで一気通貫で支援しています。新規事業で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)

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