
オンラインサロンを使い倒した経験から、サロンを4類型に分けてみた
実際に入って論じている人は少ないのでは
オンラインサロンが盛況だ。
7,500人という驚異的な加入者数を誇る「西野亮廣エンタメ研究所」、月額10800円ながら1,880人という「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」、やはり月額約6,000円と高額ながら1,200人を超える「箕輪編集室」をはじめ、中小企業なみの高収益を上げているオンラインサロンが出てきている。
こうしたオンラインサロンでは、議論にとどまらず「プロジェクト」が動いているのが特徴的だ。
ネット上の議論だけでなく、実際にサロン運営者が引っ張ってきた仕事をメンバーに振ったり(無料で行なわれることもある)、個別に別の仕事をスピンオフ的に受けたり、はては参加者同士で(運営者を経由することなく)仕事を受発注したりと、もはや「ビジネスパートナー相談所」になりつつあるケースも散見する。
ところで、ネット上でオンラインサロンについて解説する記事はいくつか見るが、どれだけの人が実際に加入したり、運営に携わったりしているのだろうか疑問に思った。というのは、よくある説明文として
・月額会員制のクローズドなコミュニティ
・決済会社に支払い、FBグループに入る
・複数の支払いサイトがある
・良質な情報でスキルアップできる
・いつでもオンラインで情報を入手できる
・会員特典やイベントなどがある
などがあるが、これらは入会していなくても説明可能だし、単なるアウトラインにすぎない。実際には、オンラインサロンは場所によって全く異なる運用をされているケースもざらにあるのに、横断的に論じている記事は少ないように思う。
僕はオンラインサロンには運営として1社、ユーザーとして多いときは4社に身銭を切って加入し、今でも複数のオンラインサロンに加入し続けている。
その経験から、これらはザックリと4つの型に分類できると考えた。参考になれば幸いだ。
オンラインサロンの4類型
4つの類型は、以下の通り。
・ファンクラブ型
・プロジェクト型
・コミュニティ型
・レッスン型
4つの型は、パッキリ分かれているというより、それぞれの領域に同心円が広がって一部重なっている。「こういう性格が強い」というだけで、他のステータスを持っていないわけではない。あくまで、中心的な価値がどこから発生しているかを示すもの。
よってここでは「このオンラインサロンは、この類型に当てはまる」という名指しはあえて避けることにする。
ファンクラブ型
カリスマ的な中心人物がおり、その人物および周辺コネクションに近づきたい/何か一緒にやりたい/お近づきになりたい/何もできないけど「お布施」をしたい など、その人物への好意がベースにあるもの。テンションは一定。良くも悪くもゆるいので、スキルアップを目指す人には不向き。
プロジェクト型
カリスマ的な人物がいるケースと、いないケースがある。多くのプロジェクトが走っていて、コミュニティ内で仕事の受発注も活発に行なわれている。先鋭的で尖った面子が見出され、フックアップされていく。テンションは高めで、「熱狂」というフレーズが飛び交う。一方で、そこまでリソース投下できない人は熱狂の渦から取り残され、疎外感を味わうケースも。
コミュニティ型
少人数制がベースで、加入者をゆるやかに増やしながら少しずつ拡張していく。中心的な価値は「そのコミュニティ自体に所属している感」「仲間意識」「居場所」「支え合い」のようなもの。テンションは一定、たまに熱狂するが基本的にはハレとケでいうと「ケ(日常)」に近い。疎外感を与えない、安心・安全を第一に考える。入会人数を絞っているのでプレミアム感は強い一方、入会のハードルが高いためソーシャル上で話題にはなりにくい。
レッスン型
カリスマ的な運営者が、ユーザーをスパルタ式に鍛える。徹底的にダメ出しし、ふるい落としをする中で磨き上げた人材をフックアップする。スパルタなので、離脱者は多くなる。モチベーションの高い人材のみが生き残り、ロイヤリティも高くなるため、長期的にこのグループは一種の会社組織のような進化を遂げる気がする。ついていけない人は淘汰されるので、良くも悪くも同質的かつテンションの高い人材が常時発言する。
もちろん上記類型に当てはまらないものもあるが、大きくこの4つに分類されるように思う。良い悪いではなく、自分に合うものを選び取るのがよい。
ただし、入会する前には上記の分類がわからないことも多い。サロン運営者がその傾向を明示していないことも大きな理由だ。ただ、中心人物の性格を考えればある程度予想がつくことでもある。その辺は、独力で調べることが重要だろう。
最適解はサロンの数だけある
上記は、ユーザー目線から入会を検討している方へのアドバイス。ここからは、オンラインサロン運営に携わる「運営者」として、開設を考えている人に向けた記述をしたい。
最適解はサロンの数だけある
例えば中心人物の資質が明らかに「コミュニティ」向き、仲間を増やしつつ徐々に絆を固めていくタイプなのに「プロジェクト」「レッスン」型の施策を進めても、ユーザーの期待値を上回ることはできず離反を招く。
背伸びをせず、自分もしくは自社を客観視し、想定ユーザーを見極めた上で最適解を練っていくのがよい。そして何より、開設前に想定していた状況はたいてい裏切られるので、戦略を常時微調整しながらアップデート型で進めるのがふさわしい打ち手を見つけ出す最善の戦略ではないだろうか。