「どうすれば、ユーザーにとってわかりやすく、読みやすい記事を届けられるのか?」オウンドメディアやコラムの記事制作・編集担当者の多くが、課題を抱えています。
専任の編集者を置かず、Web担当者・マーケティング担当者が片手間で記事制作や編集を行なっている企業も多くみられ、スキルやノウハウが不足しているのです。
ただ、スキルやノウハウがなくても、短期で記事の質は改善できます。最低限のポイントを抑えるだけでも、「わかる、伝わる」記事になります。
本稿では、編集や原稿執筆担当者、Webサイトの実装担当者が記事を執筆・編集するにあたり、最低限必要なガイドラインをまとめました。ぜひご活用ください。
※「文章力〜」の項は『才能に頼らない文章術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者上野 郁江氏に監修をいただきました。
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執筆編集ガイドラインを公開する理由
記事制作を行なっている方から、よくこんなお悩みを相談いただきます。
- 「納品された原稿に不備が多くて、校正に時間がかかる」
- 「思っていたより、基礎的な文章力が欠けている」
また、記事の内容は正しいものの、SEOで成果が出にくいWebページの実装をしているケースも多く見かけます。
このような認識のズレは、スキルやノウハウ不足が原因だと考えられます。しかし、スキルやノウハウは一朝一夕で手に入るものではないため、どのように対処すればいいか迷う方もいるでしょう。
そこで、表記ルールのガイドライン、文章力を高める編集スキル、SEOを意識したHTMLタグ設定のエッセンスをまとめました。
記事制作過程での認識のズレを防ぎ、わかりやすく読みやすい文章に整える。効率よく記事制作を行うために、本ガイドラインを活用ください。
執筆編集ガイドラインの解説
汎用的に使えるように、最低限の内容にとどめています。自社のレギュレーションに合わせて加筆修正し利用してください。
前提
- 見出しや改行をバランスよく用いて読みやすく
- 「想定読者の役に立つ有益な情報であること」を重視する
- 差別表現は不可。特定の企業や人を非難しない
- 性別も差別表現として意識する (例:キーマンではなく、キーパーソン)
- 「ナンバーワン」「唯一」「完全」「最高」「最適」などの表記に関しては、注意を払う
- 記載する場合は、根拠データの記載、出典元を明記する
文章の書式
- ですます調
- 「見れる」などの「ら」抜き言葉、「してる」などの「い」抜き言葉は原則使用しない
- 英数字は半角。記号は原則全角(!、?など)
- 「!」「?」で文が終わる場合は、次の文との間に半角スペースをいれる
- ①やⅡ、㈱、半角カナなどの機種依存文字、環境依存文字は使用しない
- 例:機種依存文字チェッカー:https://form.submitmail.jp/tools/check/
- 資格名、学校名、会社名、団体名は略さず、正確に記載する。ただし、初出の箇所で(以下、○○○)と記載すれば、その後本文内を略名で記載するのは可
- 商品名、地名、人名、カタカナ語などの名称は、正しい表記を使用する
- 商品名、造語などは、商標権など権利主張される場合があるため、必ず確認する
- 商品名や資格名の登録商標などは、必要に応じてRマーク®表記をする
出典記載について
- 文章の内容上、根拠データの記載が必要な場合は、各種公的・公共団体の公式サイト、新聞記事サイト、雑誌・出版記事サイト、学術論文、官公庁資料から例示、出典元を明記する
- ウィキペディア、当事者およびそれに関連するサイト(信頼性、公平性、第三者性を欠く)は例示資料として不適
- 根拠が必要とされる文章作成に際しては、根拠資料、データの用意を行う(許可が必要な場合は、許可を得てから掲載する)
- 出典元が信用にたる情報源かどうかを精査する
- 出典元が「無断引用・掲載禁止」としている場合は必ず許可を得てから引用・掲載する
- 図表、グラフなどの出典の記載は以下のように使い分ける
- 「出典」:資料から全部もしくは一部をそのまま掲載する場合
- 「~を基に作成」「~より」:資料を加工して用いる場合
- (例)出典:「○○アンケート結果」(○○株式会社)を基に作成
- 「引用」:文章の引用の場合
その他
くくり方
種類 | 意図 | 使用例 |
「」 | 発言、引用部分、強調 | ・「○○が大変」と悩みをお持ちの方 ・65%が「急に対応できなかった」と回答 |
『』 | 論文・書籍などの作品名強調 | ・引用元『事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践』 |
() | 補足、説明 | RPA(Robotic Process Automation)とは |
太字
- 原則、太字だけ読めばわかる状態がよい
- 「」含めて太字にする
- 太字を多用すると可読性が悪くなることと、もっとも伝えたいことがわからなくなることから、1段落に1つまでに抑える
記号
- 会話文の句点はなし。「~でした」
- NG例:「~でした。」
文章力を高めるチェックシートの解説
『才能に頼らない文章術』著者の上野氏によると、編集執筆の文章力は才能ではなく、誰もが身につけられるスキルと解説しています。文章力は、基礎力・表現力・構成力の3つに分解でき、同著ではこのスキルを31の編集の文法として体系化しています。
本ガイドラインでは、31の中から特に重要な9個の文法を厳選して掲載しています。執筆や編集を行なう際にご活用ください。
※フル版をご希望の方は、本書をお読みください
レベル1 文章基礎力 「可読性を満たす基礎力があるか」
- 正しい文法が使われているか
- 主語と述語が明確に示されているか
- 形容詞の後に「です」を用いる場合、語感に違和感が生じていないか
- 例)NG:多いです OK:多いのです、多いでしょう
- 信頼感を損なう文体が使われていないか
- 「という」「することができる」といった、冗長な表現が多く残っていないか
- 正しい表記ルールが用いられているか
- 表記が揺れていないか
- 誤字脱字を修正しているか/固有名詞、人名に間違いがないか 他
レベル2 文章表現力 「段落ごとの表現力があるか」
- 単語の意味が読者に明確に伝わるか
- 感覚的であいまいな単語、一般的ではない用語は説明を加えて用いているか
- 例:サステナビリティ、フィンテック、アジャイル など
- 文章中に登場する単語が一貫した意味で使われているか
- 感覚的であいまいな単語、一般的ではない用語は説明を加えて用いているか
- 文の意味が読者に明確に伝わるか
- 「これ」「それ」「この」などの、指示代名詞を多用していないか
- 読者を共感させる文章表現か
- 読み手を意識した言葉を用いた文章表現になっているか
- 相手に刺さる、響く言葉が使われているか
- 段落単位で意味が読者に明確に伝わるか
- 段落をつなげるときや段落の中で、接続詞が多用されず、必要最低限となっているか
- 段落における表現力があるか
- 声に出して読んだときにリズム感があるか
- 文末表現が単調になっていないか
- 例)~~です。~~です。~~です。
レベル3 文章構成力 「文章全体の構成力があるか」
- 文章全体の主張が明確な全体構成になっているか
- 文章全体のロジック(論理構造)が通っており、読者に意味が伝わるか
- 文章の目的が達成されているか
SEOを意識したHTMLタグ設定のチェックポイント
読者にとっての「読みやすさ向上」は検索エンジンの評価に繋がります。
検索エンジンは、HTMLタグを通してコンテンツ内容を理解します。したがって、原稿をWebページに実装する際は、HTMLタグの設定を意識しましょう。
タイトル(meta titleタグ)
- タイトルの文字数は、検索結果表示で表示が途切れないように短くまとめているか
- キーワードがタイトルに入っているか
- ペルソナが思わずクリックしたくなるような、魅力的なタイトルになっているか
ディスクリプション(meta descriptionタグ)
- ディスクリプションの文字数は、検索結果表示で表示が途切れないように短くまとめているか
- キーワードがディスクリプション内に入っているか
- コンテンツの全体像を理解できる内容になっているか
見出し(hタグ)
- 見出しタグ(h1〜h3)を使って整理しているか
- 階層構造に整理されていて、見出しだけでコンテンツの全体像が理解できるか
画像(alt属性)
- 画像(alt属性)
- 画像には、alt属性を設定しているか
- 画像のファイルサイズを軽量化したか
- 罫線の図表は画像ではなくテキスト(tableタグ)で記載しているか
箇条書き(listタグ)
- 流し読みされた時でも伝えられるように、listタグでまとめているか
関連コンテンツへのリンク(aタグ)
- 関連コンテンツへのリンクは設置されているか
- 検索エンジンが理解できるように、アンカーテキストに文字を入れているか
- NG:詳細はこちら
- OK:BtoBで記事コンテンツのSEOを成功させる方法
執筆や編集慣れしていない方でも、最低限の文章力を意識するだけで、各段に読みやすく伝わりやすい文章になります。また、Webページの実装時にHTMLタグの設定を意識すると、SEOで成果が出やすくなります。
これからオウンドメディアやコラムなどの記事コンテンツに取り組みたい方は、ぜひ参考にしてください。
才流では成果が実証されたメソッドにもとづき、マーケティング戦略立案から施策実行まで支援しています。マーケティング活動で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)
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監修
上野 郁江 氏(Ueno Ikue)
人や会社を編集するエディトリアル・コンサルタント。その人の持つ強みや、会社の独自性を発見して、情報発信についてアドバイスする。編集スキルを「編集の文法」として体系化し、現在は同手法の内容を元に、「人に伝わる」文章の書き方支援、編集部構築/編集者養成プログラムなどを提供する。また、複雑に絡み合う事象を編集者の視点で可視化する「編集思考」を提唱。企業の事業戦略にそった情報発信の提案や新規事業支援も手掛け、編集スキルの可能性を社会に広げている。一般社団法人クリエイティブ思考協会理事。