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フィールドセールスが知っておくべき紹介営業【実行編】

法人営業
コンサルタント
宮戸 章光

紹介営業とは、既存顧客などから新たな見込み顧客を紹介してもらう営業手法のことです。
実現するために理解しておくべき基礎知識は、以下の記事でまとめています。

※関連記事:フィールドセールスが知っておくべき紹介営業【基礎知識編】

本記事では、紹介者・紹介先を以下のとおり定義し、新規リード獲得につながる紹介営業の実行方法を解説します。

紹介者:紹介をしてくれる人物(顧客)
紹介先:新たな見込み顧客(企業など)

紹介営業には成功へつながる「型」があります。まずは、1つ事例をご紹介しましょう。

総合情報サービス会社の事例

シンクタンクのフィールドセールスで数多くの紹介を獲得している営業パーソンがいます。彼は紹介者を経営者とターゲティングし、その方の興味に合わせて依頼方法を設計しています。紹介を依頼するタイミングは「顧客の満足度が高いとき」と決め、そのタイミングがきたら誰を紹介してほしいか明確に伝え、関係者全員にメリットがあることを提示していました。これを1つの型として、紹介営業の成功を重ねていったのです。

本記事は、才流(サイル)のノウハウに加え、紹介営業で成果を創出し続けてきた複数社のフィールドセールスに実施したデプスインタビュー(モデレーターが対象者と“1対1”でインタビューする調査)を基に、紹介営業の型を7つのルールにまとめました。

紹介営業の型 7つのルール

1.メリットを伝える

紹介してくれる動機は人それぞれです。紹介者が経営層であれば個人的なメリットより自社全体のメリットに関心を抱くでしょう。「あなたにメリットがある」より「会社全体にメリットがある」です。一方、若手や中堅は個人的メリットが刺さる傾向にあります。「会社全体にメリットがある」より「あなたが評価される、出世に寄与する」です。

冒頭の事例にあるシンクタンクのフィールドセールスに勤めている方は、経営層に別事業部の紹介を依頼するとき以下のメリットを訴求していました。

  • 全社で導入することでボリュームディスカウントが可能となりコストが削減できる
  • 統一した情報収集・蓄積することで組織全体の競争力が向上する
    (※大企業であり、事業部ごとに同じ機能の異なるツールを導入していた)

重要なのは、紹介者の動機(興味関心事)に寄り添うことです。

2.期待を超える

紹介営業に限らず営業の全般に共通したことですが、紹介営業が得意なトップセールスたちがたびたび期待を超えることの重要性を口にしています。米国の経営コンサルタントであるカール・アルブレヒトが提唱したフレームワーク「価値の4段階」を用いて説明しましょう。

価値の四段階
出典:カール・アルブレヒト著『見えざる真実』(日本能率協会マネジメントセンター)

顧客への提供価値は4つのレベルがあるとされています。メーカーを例にイメージしてください。

①基本価値
取引の前提となる”あって当然”の価値であり、無ければクレームとなるものです。
(例)品質基準を満たしている

②期待価値
顧客が”当然として期待する価値”であり、無ければクレームにはならないが継続した関係性維持が難しくなるものです。
(例)新商品の提案

③願望価値
期待はしていないが”実現できれば高評価、できなくとも不満にならない価値”です。
(例)要件以外の機能が付与されている

④予想外価値
”予想を大幅に超える”であり、実現すると顧客に感動をもたらすものです。
(例)長年の懸案事項を解決

営業パーソンとして目指すべきは、上記4つすべての提供です。しかし、③願望価値や④予想外価値を繰り返し提供することは難易度が高いでしょう。

その代わりに意識したいのが、次に説明する単純接触効果です。

3.単純接触効果を活用する

接触回数と比例して、好感度は向上すると言われています。ただし単純に接触回数が多いから紹介につながるのではなく、有益な情報提供や情報交換を積み重ねることで関係性が構築された結果、返報性の法則が寄与していると解釈するべきでしょう。

単純接触効果はアメリカの心理学者ロバートザイアンスが提唱

※返報性の法則:人から施しを受けるとお返ししたくなる心理が働くこと

4.満足度の高いときに交渉する

紹介を依頼するタイミングは非常に重要です。最も効果的なのは、顧客の満足度が高いときです。自動車保険を例に挙げれば、保険加入後に無事故で保険料を支払い続けていては価値を感じないどころか、必要性を疑問に感じることもあるでしょう。
一年後、事故を起こして保険金が降りたときに初めて(そして最高潮に)価値を感じます。そのタイミングで「同じようにご友人で~」とお願いをすれば、顧客は紹介に動いてくれやすくなります。

交渉を成功させるためには、一貫性の原理(自らの行動や発言は一貫したい心理)を用いてもよいでしょう。早い段階で前振りとして軽く依頼し、商談中や成約時などタイミングを見計らい打診をします。紹介者は一度約束した手前、実際に紹介しようと動いてくれるでしょう。

状況に適応させつつ依頼することが肝要ですが、「顧客の満足度が高いとき」だけは外さないようにしましょう。

5.四方良しを意識する

紹介は、依頼する営業パーソンにしかメリットがないと誤解している方が多いです。三方良しを超える四方良しであることを紹介者に伝えましょう。前提として、紹介は営業や商品/サービスに価値があるため実現するのです。それぞれのメリットは以下の通りです。

全関係者に合理的メリットがある

紹介先は、抱えている課題が解決できそうだから紹介を受けるはずで、所属する企業/部署の業績に寄与します。紹介者は、営業パーソンから感謝されることはもちろん、紹介先からも感謝や信頼を得ることとなります。

6.具体性を高める

「よい人がいたら」「いつでもよいので」では紹介は獲得できません。紹介してもらいたいターゲットを明確に伝えることで、紹介者の行動を促せるようになります。
ターゲットが個人の場合と、部署や企業の場合ではアプローチが異なるので順に解説しましょう。

個人(一本釣り):〇〇さんを紹介してもらいたい
個人名(バイネーム)を想起し、次に行動するべきことを理解できるよう以下の6点を明確に伝えます。

①対象者特性〇〇事業部の△△さん
②課題・ニーズの明確化xxxxの課題をお持ちではないでしょうか
③強み弊社には□□の強みがあります
④成果事例同じ業界で〇〇の事例があります
⑤四方良し全員にメリットがあります
⑥依頼ご挨拶だけでもさせていただけないでしょうか

このトークスクリプトを組織で仕組み化しましょう。

トーク例

「食品事業部の〇〇部長をご紹介いただけませんか。
食品事業部の顧客であるレストラン業界はコロナにより厳しい状況になっており、新しい市場・顧客の開拓を求めていらっしゃるのではないでしょうか。弊社はBtoBマーケティングでは100社の実績があり業界随一で、食品業界の実績も多数あります。

必ず〇〇部長や御社のお役に立てますし、そうすれば△△さんも社内での評判も今以上になります。全員にメリットがありますので、ぜひお願いいたします」

※場合により提案する内容や価格を伝え安心感を与える

部署や企業(投網):△△事業部を紹介してもらいたい
個人の特定ができていないとき、多くのメンバーを紹介してもらいたいときは部署全体に対して勉強会や事例紹介をさせていただけないか打診しましょう。商品/サービスに価値があり、紹介することで紹介者自身の評価も上がることが伝われば成功確率は高いです。

紹介先が別の企業で、自社より大きなビジネスを展開しており購買力がある場合、自社へのリソースは減少されるのではないかと不安を感じるケースはあります。そんなときは、「蔑ろにはしない」と事前に説明して不安を解消しておきましょう。

7.仕組みを設計する

営業の自発性と、組織の仕組み化の両輪が成果を創出します。紹介営業を成功させるための、仕組みの設計には3つのポイントがあります。

①インセンティブ

多くの企業で導入されています。紹介していただいた時点で謝礼を支払う、紹介先と契約締結へ至ったときに謝礼を支払う、などです。支払い形態は数千円の謝礼から、商品/サービスの数パーセント値引きなど各社さまざまです。

②KPI計測

KPIを設定して行動や成果を可視化し、推進させましょう。ターゲット数、紹介打診数、面談数、契約数が主な指標となります。

③ナレッジ共有

成果事例や失敗体験を共有する場をつくり、他の営業パーソンが紹介営業の効果・効率性を理解できるようにしましょう。ノウハウが汎用化され、組織内への波及効果が高くなります。

各施策の実施タイミング

前述した「4.満足度のたかいときに交渉する」での説明の通り、紹介を依頼するタイミングは状況に応じて使い分けます。適宜チューニングすることを前提としていますが、基本的には「商談時」「成約後」「成果が出たとき」での実施が効果的でしょう。

商談

商談や情報提供を頻繁に行い(単純接触効果・返報性の法則)、営業として価値創出に邁進(価値の4段階)します。

成約

成約した段階で顧客の満足度が高まっているときは、紹介してもらいたいターゲットを明確に伝えて依頼しましょう。成約のお礼やお祝いとして会食へ誘い、会食の場で依頼するのも有効です。

成果が出たとき

紹介を依頼する最大のチャンスです。お役立てできた喜びを伝えつつ、紹介を打診しましょう。営業パーソンに対して感謝してくれているときなので、成功の可能性が高まります。

紹介後の注意点

紹介先との商談後や、成約/失注後は、必ず紹介者へお礼の連絡をしましょう。紹介者は商談の状況が気になるので安心を与える必要があり、礼儀でもあります。
よい関係が続けば、新たな紹介をいただける可能性もあるでしょう。ひとりの紹介者は、複数の紹介をしてくれる傾向があります。

まとめ

今回は、紹介営業の実行方法をご紹介しました。一見当たり前と思われる小さな行動の組み合わせと積み重ねですが、新規リード獲得が困難になりつつある現代だからこそ、改めて考えるきっかけになれば幸いです。

実際に紹介営業をすすめるとき、悩むことがあればぜひ質問して下さい。
才流では、以下のようなご相談をお受けしています。

  • 紹介により売上を創出したい
  • 紹介により営業活動を効率化したい
  • 紹介営業を仕組み化したい

個別相談会も実施中なので、お気軽にご利用ください。
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