リスティング広告やSNS広告、SEOやウェビナー開催といったBtoBマーケティング施策でPDCAが回り、成果が出てきた。そろそろ潜在層向けの認知獲得にも取り組みたい。
そのような企業が次に取り組む施策として、ビジネスカンファレンスのような大規模イベントの開催は有効な手段といえるでしょう。
一方で、開催までのプロセスやスケジュール感がわからない、成果を出せる自信がない、とカンファレンスの実施にハードルを感じているマーケティング担当者も多いはずです。
そこで本記事では、カンファレンス開催の目的や得られる成果、開催までの流れについて解説します。オンライン開催に特化したチェックリストも作成しましたので、ぜひご活用ください。
【オンライン版】カンファレンス・大規模イベント開催チェックリスト(Excel形式)をダウンロードする※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。
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BtoBマーケティングにおけるビジネスカンファレンスとは
ビジネスカンファレンス(以下、カンファレンス)とは、特定の業界・ビジネスに焦点を当てた大規模なイベントのことです。タレントや有識者による講演・対談がメインコンテンツであるケースが大半で、特定の商品・サービスの販売促進の要素は少ないのが特徴といえます。
集客数の規模は大きく、数百人〜数万人を見込めるカンファレンスも少なくありません。特定のカテゴリにおける先進的な情報を提供し、参加者にとって有益な情報収集の場となるようなプラットフォームの役割を果たします。
才流が開催したビジネスカンファレンスのLP(スクロールできます)
BtoB企業がカンファレンスを開催する意義
カンファレンスは、同じ認知獲得を目的とした施策であるTV・タクシーCMや新聞広告などと比較しても、以下の点で実行しやすいといえます。
- 低予算でも開催できる
- 参加者情報が取得できて営業アプローチが可能
- リードの獲得も可能
- 開催後の成果を可視化しやすい
また、特定のカテゴリやキーワードにおいて、自社がリーダーシップを獲得したい場合にも有効でしょう。
才流が2023年7月に開催した「PMFカンファレンス」の例
カテゴリ:新規事業開発
狙うキーワード:PMF
才流のカンファレンス開催実績
才流では、2020年に集客数2,000名を超えるオンラインカンファレンスを開催しました。以下に概要と実績をまとめたので参考にしてください。
タイトル | BtoBデジタルシフト2020 |
開催日時 | 2020年6月18日(木)、19日(金) ※2日間開催 全10コマ |
概要 | ・コロナ禍の急激な変化に対応するための知見や経験を共有する ・オンライン |
イベントレポート | https://sairu.co.jp/method/2571/ |
集客実績 | 2,135名 |
成果について | 開催から現在までの数値を集計 ・商談数 84件 ・契約数 7件 ・総契約金額 3,000万以上(見込み) |
表のとおり、本カンファレンスの集客実績は2,000名を超え、多くの商談・契約を獲得しました。このように、大規模なカンファレンスの開催は高い成果につながる施策といえます。
※関連記事:BtoBデジタルシフト2020|全スライド公開とイベントレポート
なお、才流では2023年7月11日に「PMFカンファレンス」を開催(オンライン)。こちらも集客数が2,000人を超え、大盛況のイベントとなりました。
カンファレンス開催に役立つチェックリストのテンプレート
才流では、カンファレンス開催までのステップをまとめたチェックリストのテンプレートを作成しました。個人情報の入力なし、無料でダウンロードできます。ぜひご活用ください。
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カンファレンス開催までのステップを解説【オンライン開催】
ここからは、オンラインを想定したカンファレンス開催の流れを解説します。チェックリストとあわせてご活用ください。
※オフライン開催は企画内容によって運用が大幅に変わるため、本記事では割愛いたします
1.企画
① 目的、目標の設定
まずはカンファレンス開催の目的と目標を設定します。
開催目的と目標の設定は、すべての意思決定に影響する重要事項です。目的・目標によって集客の量・属性、講演テーマは変わってくるため、社内でていねいに合意形成をとっておきましょう。
カンファレンス開催の目的としてよくあるものを以下に紹介します。
- リード獲得
- ハウスリストのナーチャリング
- 認知拡大
- 特定キーワードでの想起獲得
また、目標として設定されることが多い指標としては、以下が挙げられます。
- 集客数
- 商談獲得数
- 契約金額
- 認知関連の指標(ブランドリフトやサーチリフト)
② 予算の設定
次に、カンファレンス全体の予算を設定します。
開催目的に応じて予算設計を行います。以下に予算を大きく左右する項目を挙げておくので参考にしてください。
- 講演者のアサイン費用
- 集客目的の広告費用
- オンライン開催による費用
- 配信プラットフォーム利用料
- 撮影、収録費用
③ テーマ、タイトルの設定
開催目的に応じてテーマ・タイトルを設定します。たとえば、想起獲得が目的の場合は想起の対象となるキーワードが明確なタイトルにしましょう。
例:
目的:PMFで第一想起を獲得する
タイトル:PMFカンファレンス
④ 開催形式の決定
開催形式について、下記の項目を決めておきましょう。それぞれの項目は、目的や予算の状況に合わせてカスタマイズしてください。
- 開催日の目安、時間帯
- 提供形式(オンラインの場合)
- 収録 or ライブ配信(詳しくは後述)
企画から集客、開催までにかかる時間は、約半年を想定しておくとよいでしょう。余裕を持ったスケジューリングで確実に進行しましょう。
⑤ 各講演のテーマを設定
想定される来場者にとって有意義なコンテンツテーマを設定します。ただし、登壇者との調整でテーマに変更が発生することがあります。ここでは全体の流れを考慮して、テーマの概要部分を決めておきましょう。
2.登壇者のアサイン
① 候補者のリストアップ
カンファレンスのような大規模イベントでは、集客力を重視して以下のような方々をアサインするケースが多いようです。
- 話題のプロダクトやサービスの経営者、開発者
- 業界の有識者インフルエンサー
- 業界でリーダーシップを持つ企業の重役
- 書籍の著者
- 大学教授
- タレント・スポーツ選手
② 登壇候補の方への登壇依頼
登壇依頼の方法は、おもに「直接連絡」と「エージェント」の2つです。
【候補者へ直接連絡する】
個人や事務所の連絡先がわかっている場合は、直接連絡をしてみてもよいでしょう
【エージェントに依頼する】
講演依頼.comのような、講演依頼代行サービスを利用する方法もあります。登壇候補は多忙な方が多く、スケジュール調整に難航するケースも多いです。そのため、エージェントを活用することでスムーズに進行できるというメリットがあります。
3.制作
① LP(ランディングページ)、申し込みフォームの制作
登壇者との間で企画の合意が取れたら、カンファレンス用のLPを作成します。LPの構成については、以下の出典記事で紹介しているウェビナーページのワイヤーフレームを参考にしてください。
申し込みフォームの入力項目は、離脱を防ぐために最小限に留めておきましょう。参加者属性(氏名・会社名・部署名・役職・電話番号・メールアドレス)と事前質問があれば十分です。
※関連記事:EFO(入力フォーム最適化)設計のチェックリスト~入力項目が減っても営業が困らない「全体最適」のポイント
② 広報、広告用のクリエイティブ制作
カンファレンスの顔となるキービジュアル、広告用バナーを作成しましょう。セミナーの開催日、内容、特長が一目でわかるデザインにするのがポイントです。
広告出稿を行う場合、Facebook広告などの主要な広告を意識したサイズでバナーを制作しておきましょう。以下の記事でFacebook用の広告バナークリエイティブのテンプレートをダウンロードできるので、ぜひ活用してください。
※関連記事:【テンプレート付き】ウェビナー運営成功マニュアル
収録の場合
収録した映像を配信する場合、制作会社にコンテンツ制作を外注するのがおすすめです。制作会社を選ぶポイントは以下のとおりです。
- オンラインイベントの配信コンテンツの実績がある
- 高品質な映像と音声を提供できる能力がある
- 円滑なコミュニケーションと手厚いサポートがある
制作会社が決まったら、登壇者と収録日の調整を行います。また、収録をスムーズに行うためには台本が必要です。収録までに準備しておきましょう。
4.集客
設定した集客目標に向けて、ターゲットに開催告知を行います。代表的な集客手法は以下のとおりです。
- コストをかけず実施できる集客手法
- ハウスリストへのメール
- SNSでの拡散
- プレスリリースの配信
- 顧客への紹介
- イベント媒体(Peatix)などへの掲載
- メディアからの協賛やタイアップ
- 広告を活用した集客手法
- SNS広告
- リスティング広告
- 専門媒体への純広告
また、登壇者とその所属企業のSNSやハウスリストも重要な集客経路となります。集客を意識して登壇者を確保すること、ターゲットを意識して講演テーマを調整することで集客を最大化しましょう。
5.当日の運営
当日は、トラブルなく進行できるような運営を心がけます。オンライン開催の場合、ネットワーク接続の確認や配信プラットフォーム上でのテスト実施は必須です。また、テクニカルサポートの体制も整えておくと安心でしょう。
忘れてはならないのが参加者へのアンケートです。アンケートで参加者の満足度を知ることは、当日の振り返りや次回開催時の参考にもなります。必ずアンケートを回収しましょう。
また、商談化を増やすためのアンケート設計のポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
※関連記事:ウェビナーからの商談化率を増やすアンケートテンプレート
6.開催後の対応
① 派生コンテンツを制作・公開する
カンファレンスの開催後に実施したいのが、派生コンテンツの制作です。派生コンテンツには、参加できなかったターゲットや将来的な見込み顧客にもカンファレンスの内容を共有できるメリットがあります。イベントレポートや講演内容の要約を、記事やPDFなどにコンテンツ化して公開・配布しましょう。
参考として、才流が制作したカンファレンス開催レポートを紹介します。
② 成果の振り返りを実施する
もっとも重要なのが成果の振り返りです。カンファレンスの成果は短期的に得られるものだけでなく、認知や潜在層リードの獲得など、中長期的に事業に影響をもたらすものもあります。開催の目的にあわせて、振り返り・評価する仕組みを構築しておきましょう。
参考:開催形式について
カンファレンスやイベントの開催形式について、オフラインとオンラインそれぞれの特長をまとめました。ぜひ参考にしてください。
オフライン開催
会場を用意して、現地に来場していただいた方に向けて講演を行う形式です。場の雰囲気や参加者同士のエネルギーを感じられるため、参加者の記憶に残りやすいのが特長です。また、その場で質問したりフィードバックしたりといった対面でのコミュニケーションが発生します。
※会場選定、会場内の設営、当日の運営など企画内容により運用が大幅に変化するため、本記事では詳細説明を割愛しています
オンライン開催
オンラインでの開催には、「収録」と「ライブ配信」の2通りの方法があります。
収録動画の配信(会議室やスタジオでの撮影)
事前に登壇者がスタジオやオフィスに集まって撮影した映像を配信する方式です。才流ではこの収録方式を推奨しています。
収録のメリット
- 登壇者同士の会話に一体感が生まれる
- ハイクオリティな機材を使い高品質な映像を届けられる
- 機材や通信環境によるトラブルが起こりづらい
収録のデメリット
- 会場費や撮影費などのコストが発生する
ライブ配信
Zoom WebinarsやBiziblなどの配信ツールを使ってオンラインで講演する方式です。低コスト・短納期で進めたい場合におすすめしています。
ライブ配信のメリット
- 登壇者の拘束時間がもっとも短く負担が少ない
- 安価でコンテンツ作成ができる
ライブ配信のデメリット
- 映像、音声、通信回線の品質は配信者に委ねられる
あとがき
BtoBマーケティング施策の一環として「カンファレンスを開催する」と聞くと、実行難易度が非常に高いのでは?と感じる方も多いでしょう。
たしかに、ビジネスカンファレンスのようなイベントは実施規模が大きいです。しかし「見込み顧客に有益な情報を届ける」という観点では、ウェビナーやオウンドメディア運営などのコンテンツマーケティングと基本的な考え方は同じだといえます。
カンファレンスの開催が未経験であっても、本記事で紹介した手順に沿って運用すれば実現は十分に可能です。BtoBマーケティングの施策として、ぜひ検討してみてください。
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