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BtoB新規事業で使える市場規模算出テンプレート【2023年版】

新規事業
才流コンサルタント
野田 拓志

この新規事業の市場規模はどれくらいなのか?

新規事業に取り組んでいると、社内プレゼンテーションなどの場でよく飛び交うのがこの質問。しかし、新規事業だからこそデスクリサーチではなかなか情報が出てこないどうやって調べればいいのかわからない、そんなお悩みのご相談をいただくことがあります。

そこで本記事では、新規事業の担当者に向けて市場規模の調べ方を解説。さらに、自社の新規事業の市場規模を簡単に算出できるようテンプレートも用意しました。ぜひご活用ください。

才流では「新規事業の進め方がわからない」「ターゲティングや他社製品との差別化戦略を立てられない」企業を、PMFに至るまで一気通貫で支援します。 新規事業でお困りの方はお気軽にご相談ください。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら

市場規模推定算出シートのキャプチャ

市場規模の推定算出シートのテンプレート(Googleスプレッドシート形式)を開く

市場規模の推定算出シートのテンプレート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとファイルがダウンロードされます

新規事業で市場規模を調べる2つの方法

新規事業における市場規模を調べるには、大きく分けて2つの方法があります。すでに存在するレポートから引用する方法と、自分自身で算出する方法です。ここからは、それぞれの方法について解説していきます。

1.すでに存在するレポートから引用する

新規参入する市場が顕在市場である場合、調査レポートがすでに存在している可能性があります。以下の3種類のデータの中に自社の新規事業で活用できる調査レポートがないか、まず確認してみましょう。

  • ①官公庁が公表する調査データ
  • ②業界団体が公表する調査データ
  • ③民間企業が公表する調査データ

①官公庁が公表する調査データ

官公庁が公表する調査データは、特定の企業や個人の利益のためではなく公平で透明な方法で収集されており、信頼性が高いのが特徴です。無料で利用できるおすすめのサイトを以下にまとめました。

1総務省統計局
2統計(METI/経済産業省)
3中小企業庁:白書・統計情報
4e-Stat 政府統計の総合窓口
5政府広報オンライン 政府刊行物月報

政府統計ポータルサイト「e-Stat」には官公庁の統計調査のデータが日々追加されており、2023年6月現在、699調査のデータ(1,553,248 件のデータセット)が集約されています。まずはe-Statで該当する調査データがないか調べてみましょう。

e-Statのトップ画面。分野や組織からデータを検索できるようになっている
※出典:e-Stat 政府統計の総合窓口|独立行政法人統計センター

②業界団体が公表する調査データ

業界団体は、特定の業界に深い理解と専門知識を持っています。そのため、業界団体が公表する調査データは市場動向、消費者行動、競争状況などを理解するうえで非常に有用だといえるでしょう。

業界団体が公表している代表的な調査データを以下にまとめました。

1日本自動車工業会
2情報サービス産業協会
3日本情報システム・ユーザー協会
4日本新聞協会
5日本フードサービス協会

たとえば、日本自動車工業会が隔年で公表している調査データでは、乗用車市場の動向やユーザーの特性、保有・購入動向など業界に特化した専門性の高い情報を得ることが可能です。

③民間企業が公表する調査データ

民間の市場調査会社の有料サービスを活用する方法もあります。

民間の市場調査会社の調査データは費用がかかるものの専門性が高く、専門家による深い洞察と詳細な分析を入手することができます。自社が知りたい内容をピンポイントで入手したい場合は、活用を検討してみるとよいでしょう。

代表的な民間の市場調査会社を以下にまとめました。

1SPEEDA
2富士経済グループ
3矢野経済研究所
4日経リサーチ
5帝国データバンク
6業界地図

富士経済グループのレポート情報を見ると、多種多様なマーケットに対応した調査レポートがそろっていることがわかります。

富士経済グループのレポート情報検索画面。12の業種カテゴリから検索できるようになっている
※出典:富士経済グループ|レポート情報

ここまでで紹介した3種類の調査データを活用できれば、自分自身で市場規模を算出する工数を省くことが可能です。「〇〇 市場規模」と検索してみるとデータがみつかることがあるので、まずは検索から試してみましょう。

2.ボトムアップアプローチを用いて自分自身で算出する

自社が調べたい市場規模のデータがすでに存在するレポートのデータと合致しない場合、自分自身で算出することになります。

自分自身で市場規模を算出する場合、主に以下のような方法があります。

  • ボトムアップアプローチ
  • トップダウンアプローチ
  • 主要プレイヤーの売上合算
  • 既存市場からの代替率からの試算

この中で新規事業の市場規模を算出するのにおすすめの方法は、ボトムアップアプローチです。ボトムアップアプローチでは、既存の業界の大きさや成長率を予測するのではなく、個々の商品・サービスの売上を集計して全体の市場規模を算出します。

複雑なサービスは試算が難しいトップダウンアプローチよりシンプルでシミュレーション変更が容易なボトムアップアプローチを採用

直感的に理解しやすいボトムアップアプローチは、実務でも使いやすい算出方法です。実際に、freee社もボトムアップ・アプローチで市場規模の算出を実施していました。

freee社の市場規模算出の図解。企業数×課金体系=約1.2兆円
※出典:freee|事業計画及び成長可能性に関する説明資料

前提として、市場規模を算出する目的は正確な数字を出すことではありません。事業会社であれば、この市場規模なら最大売上はどのくらいになるのか、どの程度のシェアを取れたら事業として成功するのかなど、事業としての可能性を把握する材料としてとらえておきましょう。

市場規模で重要な3つの指標:TAM・SAM・SOM

TAMの中にSAMが、そしてSAMの中にSOMが含まれている図解

TAM・SAM・SOMは、全体の市場規模やリーチできる可能性のある市場規模を把握するための指標です。この3つの指標を活用すれば、市場規模を理解して事業の将来性や成長性を評価しやすくなります。また、投資家やステークホルダーに対して、ビジネスの可能性を伝えるのにも役立ちます。

TAM(Total Available Market)

TAM(Total Available Market)は、「ある市場で獲得できる可能性のある最大の市場規模」のことです。

TAMは、ある商品・サービスがターゲットとする可能性のある市場全体の規模を示し、新しい商品・サービスの開発や拡大戦略を立てる際に使用されます。 新しい商品・サービスが、最大でどの程度の収益を上げる可能性があるかを把握するために役立つ指標です。

SAM(Serviceable Available Market)

SAM(Serviceable Available Market)は、「その市場に関わる特定の商品・サービスが獲得し得る市場規模」のことで、顧客セグメントの需要を示す指標です。具体的にはTAMの中でターゲティングした部分の需要を表しています。

SAMは、実際にターゲットとして狙える市場の規模を示します。 具体的な中長期経営計画の策定に用いられたり、実際にターゲットとして狙える顧客数や収益を把握するために役立ちます。

SOM(Serviceable Obtainable Market)

SOM(Serviceable Obtainable Market)は、実際に商品・サービスをもって市場に参入したときに、「自社でアプローチして獲得できるであろう市場規模」を表したもので、言い換えると自社の売上目標ともいえます。

SOMは、ある企業が実際に獲得することが可能、またはすでに獲得している市場のシェアを示します。 そのため、競争環境や市場シェアの変化を把握し、市場戦略を調整するために使用されます。

TAM・SAM・SOMそれぞれの用語説明

市場規模の推定算出シートの使い方

才流では、個人情報の入力なしですぐに使える市場規模の推定算出シート(ボトムアップアプローチ版)として、以下の3種類のシミュレーションシートを用意しました。

  • 企業規模別:市場規模のシミュレーションシート 
  • 【製造業】企業規模別:市場規模のシミュレーションシート 
  • 業種別:市場規模のシミュレーションシート

ここからは、テンプレートを使用した市場規模の算出について解説していきます。

市場規模算出テンプレートのキャプチャ画像。使い方が併記されていて入力箇所も明確になっている

市場規模の推定算出シートのテンプレート(Googleスプレッドシート形式)を開く

市場規模の推定算出シートのテンプレート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとファイルがダウンロードされます

【必ずお読みください】

  • 本シートはユーザー課金サービスのように従業員数1名あたりで課金をするビジネスモデルを想定しています
  • 前提データは『経済センサス‐活動調査 令和3年経済センサス‐活動調査 速報集計 企業等に関する集計』のデータを引用しています
  • 経済センサスは5年周期で更新されているので、現時点で最新のものを引用しています
  • 「企業数・従業員数」「従業員数別の企業数」「業種別の企業数・従業員数」「企業規模テーブル」の4つの項目を参照しています

企業規模別:市場規模のシミュレーションシート

ここでは、企業規模別:市場規模のシミュレーションシートの使い方を解説します。【製造業】のシートも基本的に使い方は同じです。

  •  企業規模別:市場規模のシミュレーションシート
  • 【製造業】企業規模別:市場規模のシミュレーションシート
企業規模別シミュレーションシートのキャプチャ。現在の実績と5年後の推計に表が分かれている

使い方のステップは以下のとおりです。

① 小規模・中規模・大企業を従業員規模で定義する(E21:G21セル)

※企業によってターゲットにする企業規模が異なってくるため、従業員規模で定義する

② 1.ユーザー単価(月)を決める(C23:G23セル)

※業界の平均単価を入れるケースが多い。新規の商品・サービスの場合は平均単価は出せないので、自社の商品・サービスの単価を入力する

③ 4.導入対象となるユーザーを定義する(C26セル)

例1:正社員への導入であれば、全従業員に対する正社員構成比率を入力

例2:営業職への導入であれば、営業職の構成比率を入力

※この項目は事業により異なる。また構成比率などの情報は検索で調べることが可能

④ 4.導入対象となるユーザーの構成比率と5.導入率を入力する(E26:G27セル)

※構成比率などの情報は検索で調べることが可能

※矢野経済研究所などの市場調査会社が公開している市場規模と、本シミュレーションシートの合計値を近づけることで整合性が取りやすくなる。合計値が近づかない場合は設定の数値を見直してみる

⑤5年後の推計のために5.導入率を入力する(E45:G45セル)

※4.の比率は大きく変わらないケースが多いので変更しない

※5.導入率の5年後の成長率は精緻に実施するなら直近5年間の市場成長率などを参考にする

※顕在市場ではないケースでは市場成長率が見えないので、似ている市場の数値を参考にしてもよい

業種別:市場規模のシミュレーションシート

つづいて、業種別:市場規模のシミュレーションシートの使い方を解説します。

業種別シミュレーションシートは、企業規模別シミュレーションシートで全体を算出したのち、業種別でも細かく算出したいという場合に使用します。また、ターゲット市場などが決まっていない場合のシミュレーションにも使用可能です。

業種別シミュレーションシートのキャプチャ。現在の実績と5年後の推計に表が分かれている

使い方のステップは以下のとおりです。

① 検討したい業種を定義する(E21:G21セル)

※全産業を19分類しているので、検討したい業種を選択

② 1.ユーザー単価(月)を決める(C23:G23セル)

※業界の平均単価を入れるケースが多い。新規の商品・サービスの場合は平均単価は出せないので、自社の商品・サービスの単価を入力する

③ 4.導入対象となるユーザーを定義する(C26セル)

例1:正社員への導入であれば、全従業員に対する正社員構成比率を入力

例2:営業職への導入であれば、営業職の構成比率を入力

※この項目は事業により異なる。また構成比率などの情報は検索で調べることが可能

④ 4.導入対象となるユーザーの構成比率と5.導入率を入力する(E26:G27セル)

※構成比率などの情報は検索で調べることが可能

※ただし、各業種ごとの数字は見つけにくいので、その際は全体数値で代用するとよい

⑤ 5年後の推計のために5.導入率を入力する(E45:G45セル)

※4.の比率は大きく変わらないケースが多いので変更しない

※5.導入率の5年後の成長率は精緻に実施するなら直近5年間の市場成長率などを参考にする

※顕在市場ではないケースでは市場成長率が見えないので、似ている市場の数値を参考にしてもよい

新規事業の市場規模の算出でよくある質問

才流 野田

才流のコンサルタント野田がお答えします!

Q:市場規模はどこまで精緻に見積もるべきでしょうか?

A:市場規模は、新規事業を進めるかどうかを決める参考情報のひとつにすぎず、そこまで精緻な数値は求められていません。

調査の結果、会社として求める市場規模がありそうだとわかれば、アクセルを踏む意思決定ができます。事業会社にとっては、事業としての可能性を把握することができた時点でその調査は価値があるといえるでしょう。

ただし、市場には競合企業などの壁が存在します。市場規模があるからといって、その要素ひとつだけを頼りに意思決定をするのは危険です。複合的に情報を収集し、さまざまな観点から新規事業について検討するようにしましょう。

以下の記事で、新規事業の社内会議を突破するための15のポイントをまとめたので参考にしてください。

※関連記事:新規事業の社内会議プレゼンテーションテンプレート|突破のための15のポイント

まとめ

本記事では、新規事業の市場規模算出について、テンプレートの使い方とともに紹介してきました。

事業会社における市場規模の算定では、正解を出すことが目的ではありません。事業としての可能性を把握するための情報が求められています。

市場規模を算出することで、以下のような情報が数字で見えてきます。

  • 最大売上はどのくらいになるのか
  • 事業として成功するためにどのくらいのシェアを取ればいいのか
  • どのくらいの企業数を顧客にすることになるのか
  • どのくらいの人が商品・サービスを使ってくれるのか

こういった情報を知ることで、新規事業を進めるうえで重要な目標設定やオペレーション体制の検討にもつながります。事業検討が加速していくきっかけにもなりますので、市場規模の算出に取り組んでみてはいかがでしょうか。

新規事業の成功に本記事が少しでも参考になりましたら嬉しいです。

市場規模の推定算出シートのテンプレート(Googleスプレッドシート形式)を開く

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