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展示会リードからの商談を増やす10の施策

BtoBマーケティング
コンサルタント
岸田 慎平

コロナ禍を経ても、リアルの展示会は有効なマーケティング手段。才流(サイル)でもBtoBの展示会出展に関するご相談が多く寄せられます。

展示会に出展する最終目的は、自社の商品・サービスを購入してもらうこと。ですが、リードは獲得できているものの、なかなか商談につながらないという声をよく耳にします。

そこで本記事では筆者がこれまでに実施した施策から、とくに成果の出たものを紹介します。展示会リードの商談化でお悩みの方は、ぜひご一読ください。

ブースでヒアリングを行う際に使えるヒアリングシートのテンプレートもダウンロードできます。

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展示会リードが商談につながらない6つの理由

展示会で獲得したリードが商談につながらない理由は、おおむね以下の6つに分類できます。

  1. そもそも十分なリード数を獲得できていない
  2. フォロー対象の定義が曖昧、個人に依存している
  3. リソースの確保やスクリプト、メール文面など、リードをフォローするための準備が十分でない
  4. 獲得したリードへの対応スピードが遅い
  5. 顧客はたくさんのブースを回っているので自社のことを覚えていない、という前提にたった対応をしていない
  6. 獲得後すぐに商談化しなかったリードを放置している

また、「そもそも展示会出展について、正しい目標設定、投資対効果の試算ができていなかった」というのもよく耳にする課題です。

展示会の結果に漠然とした不安があるような場合は、今回紹介する施策ではなく展示会出展計画を見直しましょう。以下の記事に詳しくまとめているので、ご覧ください。

※関連記事:投資対効果を試算できる「展示会計画・出展準備テンプレート」

展示会リードの商談化率の考え方

展示会で獲得したリードのうち、どれくらいの数が商談に至るものなのか。ここでは商談化率について、目安となる数値を説明します。

リード獲得数は来場者の5〜10%程度、そして商談化できるのはそのうちの1〜5%程度です。つまり、30,000名が来場する展示会の場合、多く見積もってリード獲得数は3,000程度、そこから商談化できるリード数は150件程度になります。

展示会リードの商談化率はリード獲得数の1〜5%程度を目標にするとよいでしょう。

目標設定の目安

もちろん商談化率は、業界や取り扱う商品・サービス、顧客ニーズの高まり具合などによって変動します。あくまでもひとつの目安として考えてください。

リード獲得目標や投資対効果などの数値は、以下の記事で配布しているテンプレートで簡単に試算できます。

※関連記事:投資対効果を試算できる「展示会計画・出展準備テンプレート」

手間・コストがかからない施策

ここからは施策の詳細について解説していきます。

本記事では手間・コストをあまりかけなくても成果が得られやすいもの、手間・コストはかかるものの、大きな成果が見込めるものをそれぞれ5つ掲載しています。

以下の一覧表を参照し、自社が取り組むべき施策を検討してください。

展示会で獲得したリードを商談につなげるための10の施策|一覧表

まずは手間やコストをかけなくても成果を出しやすい施策を5つ紹介します。

1.会期中からフォローを開始

  • おすすめ度:★★
  • 手間:中
  • こんな企業に:展示会フォローが不十分と感じている企業

展示会で獲得したリードは会期中からフォローを開始しましょう。たとえば水曜日に獲得したリードは木曜日からフォローします。ほとんどの来場者は、一日しか展示会に足を運びません。展示会の翌日は通常どおりの業務をしているケースが多いため、接点をもちやすいのです。

また来場者は複数のブースを回っているため、競合に埋もれてしまわないよう早々にフォローすることが重要です。もちろん全員をフォローすることは現実的ではないので、後述するヒアリングシートや商談シートを活用してフォロー対象を定義しましょう。

電話面談システム「bellFace」を提供するベルフェイス株式会社でも、展示会のフォローはすばやく着手して成果につなげています。

横山氏:展示会では、1日目が終わったら次の日に獲得したリードに対して電話をするんです。初日に展示会にいる方は二日目にはほとんどいないですからね。初日に獲得したリード(名刺)は、Salesforceと連携した名刺管理ツールにあげておきます。 次の日には Salesforceに情報が入っているので、アポ設定を行うSDR チームが次の日に電話をかけ、アポイントを取りに行きます。ここで一歩遅れてしまうと、アポが取りづらい状態になってしまいます。他の会社さんも電話するのでお客さんも困ってしまうからです。先に先に、という意識が重要ですね。優先順位もつけていますが、基本的には獲得したリードには全部電話をかけています。

ベルフェイスのBtoBマーケティング詳細解説|やり切る力が競争優位になる

2.土曜日にお礼メールを送信

  • おすすめ度:★★★
  • 手間:小
  • こんな企業に:すべての企業

展示会は水曜日〜金曜日の3日間で開催されるケースがほとんど。そのため、翌週の月曜日にお礼メールを送っているという企業が多いと思います。しかし、会期週の土曜日、あるいは日曜日に送ることで成果が得られます。

なぜなら、展示会の来場者は通常業務を止めて展示会に足を運ぶため、土日にメールをチェックする方が意外と多いから。

また多くの企業は翌週の月曜日を待ってお礼メールを送信するので埋もれにくい、というメリットもあります。理想は水曜日の来場者には木曜日、木曜日の来場者には金曜日といったスピード感です。

3.お礼メールにブースやノベルティの写真を掲載

  • おすすめ度:★★★
  • 手間:小
  • こんな企業に:すべての企業

来場者は複数のブースを回るため、自社のブースや商品・サービスのことは覚えていない可能性が高いです。来場者として展示会に足を運んだ際に「名刺を渡した覚えがないのにメールが届いた」という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

心当たりのない企業からのメールは、読まれにくいもの。読んでもらうためには、どんな企業なのかを思い出してもらう必要があります。

そこで有効なのが、お礼メールにブースやノベルティの写真を掲載すること。「あ、あのブースの会社か」と思い出してもらいやすくなります。

電話でフォローする際も「こういうブースでした」「こういったノベルティを配っていました」と伝えるとよいでしょう。あわせて、インパクトのあるノベルティを用意するのも効果的です。

4.ヒアリングシート・商談シートの見直し、優先度の定義

  • おすすめ度:★★★
  • 手間:小
  • こんな企業に:すべての企業

商談につなげるために重要なのが、展示会当日に使うヒアリングシートと商談シートです。

よく見かけるのが自由記述で記録し、個々人の判断で顧客の良し悪しを判定するというもの。記入者の主観的な記録になってしまうので、正しい見極めができません。BANT情報※の取得を前提として、シートの内容を見直しましょう。

※BANT:Budget(予算)、Authority(決裁者)、Needs(ニーズ)、Timing(検討時期)の略

才流でもテンプレートを用意しているので、ぜひ活用してください。

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※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。

なお、フォローの優先度と対応方法については、自社で定義してください。以下のようなイメージです。

フォローの優先度と対応方法の例

5.会期後にフォローアップのセミナーを用意して案内

  • おすすめ度:★★
  • 手間:中
  • こんな企業に:商談リードタイムが長い企業、営業リソースが限られる企業

展示会で少し説明しただけで商談化する顧客はほぼいません。またBtoBにおいては、検討に複数人が関与するため、来場者だけでなく関係者の理解も深めてから検討を具体化するケースも多くあります。

そういった顧客に対応するために、会期後のセミナーやデモ、説明会などを用意しておきましょう。お礼メールやフォローコールで案内し、理解を深めたい顧客、関係者へ説明したい顧客を取りこぼさずにフォローして商談化を目指します。

フォローコンテンツを検討する際は、以下の記事を参照して進めてください。

※関連記事:階段設計

手間・コストはかかるものの、大きな成果が見込める施策

つづいて、実施に手間・コストはかかるものの、大きな成果が見込める施策を5つ紹介します。

6.コンパニオンを使ってリード獲得数を増やす

  • おすすめ度:★★
  • 手間:中
  • こんな企業に:ハウスリストが1万件未満の企業
  • 費用のイメージ:数十万円〜

一つ目はコンパニオンの活用です。社内のリソースだけで集客し、名刺を獲得するのは限界があります。また、集客と顧客への説明を兼務すると効率も落ちてしまうでしょう。

リード獲得数をより増やしたい場合は、集客はコンパニオンに任せましょう。もちろん外注のコストがかかりますが、社内のリソースを来場者への説明に集中させることができるため、必然的に商談機会が増えます

仮にバーコードリーダを活用して3,000件のリード獲得を目指す場合、5〜6名のコンパニオンが必要になります。

必要人員の考え方:コンパニオン

また、コンパニオンを外注してバーコードスキャンを行う場合でも、ブース内で面談した来場者とは名刺を交換し、ヒアリングシートに記録しましょう。

来場者から「バーコード取ってもらったけど、名刺も必要なの?」と言われることもあるかもしれません。そのときは、「ぜひ私からもご連絡させていただきたいので名刺交換させてください」と返します。

以下は過去に当社がご支援した株式会社マルチブックの事例です。コンパニオンを活用し、初出展ながら3,000件のリードを獲得できました。

株式会社マルチブックさまの事例

7.社員のヒアリング能力を強化

  • おすすめ度:★★
  • 手間:大
  • こんな企業に:営業が若手中心、営業以外が説明員を担う企業
  • 費用のイメージ:―

展示会で顧客と接する際、商談につながるようなトーク、見極めを行うのはとても重要です。しかし、展示会出展の経験が浅いメンバー、営業以外の部署のメンバーが接客要員としてアサインされるのをよく見かけます。

展示会出展に慣れていないメンバーをアサインする際は、ヒアリングシートとともにトークスクリプト、FAQを用意してヒアリング能力を強化しましょう。また事前に説明会やロープレを行うのも有効です。トークの精度が高まり、ヒアリング能力も強化できます。

※関連記事:

営業ロープレの正しい運用方法【評価シート付き】

切り返しトークの作り方【応酬話法ワークシート付き】

8.iPadを使ったアンケートで顧客の見極めを強化

  • おすすめ度:★
  • 手間:大
  • こんな企業に:一定の投資をしてでも商談数を最大化したい企業
  • 費用のイメージ:数十万円〜

説明員がブース内でヒアリングを実施して、商談につなげられる件数には上限があります。1名につき1時間で4〜5件の面談をこなすのが現実的なラインでしょう。3日間の展示会の場合、1名あたり最大80件程度です。

この件数を増やすための手段として、iPadを使ったデジタルアンケートがあります。以下のように取り組むことで、1,000件以上の顧客情報とアンケート回答が得られるようになります。

  1. 有効な顧客、商談が近い顧客を見極めるアンケートを設計する
    • 自由記述なし、選択式のみ
    • 4つ目の施策でも紹介した展示会ヒアリングシートを使って設計する
  2. iPadアンケートシステムにアンケートを設定する
  3. ブースにiPadアンケートコーナーを設け、キャンペーンやノベルティをフックに来場者に回答してもらう
  4. 回答結果を見てフォロー対象を絞り込み、効果的なフォローを実施する
展示会ヒアリングシート(PowerPoint形式)をダウンロードする

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ちなみに、筆者が過去に支援した企業では、来場者数が約10万人の総合展示会で約3,000件のアンケート回答、そこから5〜10%のホットリードを獲得しました。取り組み内容は以下のようなものです。

  • 回答者へのインセンティブを用意
    • 抽選で3名に3〜4万円相当のガジェット
    • 回答者全員に300〜500円相当のアイテム
  • 呼び込みとiPadアンケートのサポート要員をアサイン
  • ブースレイアウトはアンケート回答に最適化して設計
  • アンケート結果をホワイトペーパーにして利用

小間代やブースの装飾費以外に200万円以上かかりました。しかし、アンケート1件の獲得単価は1,000円以下に抑え、商談に近いホットリードは単価7,500円〜15,000円程度で150〜300件程度獲得できています。結果的に費用対効果の高い施策になりました。

投資したもの

ノベルティ、インセンティブ、iPadアンケートシステム、機器のレンタル費用、名刺のデジタル化費用、コンパニオン、ディレクターの人件費

この施策は費用や運営リソースを含めて負担が大きく、すべての企業にはおすすめできません。ただしLTVの高い商品・サービスを取り扱う企業やホットリードを効果的に見極めたい企業には有効です。

インセンティブの例

キャンペーンの場合

会期中、3〜10名に景品を用意します。3名にiPad、5名にAmazonギフト券のようなイメージです。景品については社内のルール、景品表示法を確認のうえ、検討してください。

ノベルティの場合

単価は300円〜500円程度。タンブラーやバッグハンガー、モバイルバッテリーといったものをよく見かけます。ポイントは少し高価、かつ欲しいと思ってもらえるものを用意することです。

9.販売士を活用したセミナーを実施

  • おすすめ度:★
  • 手間:中
  • こんな企業に:認知拡大、セミナー集客を強化したい企業
  • 費用のイメージ:数十万円〜

展示会会場では、ブースの一角でセミナーが開催されているのをよく見かけます。自社の社員がプレゼンするケースが多いですが、プロの販売士に依頼するのも効果的な方法です。

販売士はプレゼン、集客のプロフェッショナル。抜群の集客力で通りかかる来場者を集め、いつのまにか人だかりが形成されます。もちろん費用は高めですが、集客力が向上するため、今よりさらに集客したい、商談につなげたいといった場合は検討することをおすすめします。

なお筆者は過去に株式会社H&Mのまかせんしゃい井上さん、こばやしけん太さんに依頼したことがあります。

10.メール配信、インサイドセールスに継続的に取り組む

  • おすすめ度:★★
  • 手間:大
  • こんな企業に:商談リードタイムが長い企業、ハウスリストが1万件以上ある企業
  • 費用のイメージ:数十万円〜

展示会に来場したタイミングですでに自社が提供する商品・サービスを検討している、という顧客は決して多くありません。

株式会社展示会営業マーケティングが実施した調査「コロナ禍における展示会の実態及び今後の参加動向」によれば、展示会参加の理由・目的は「情報収集や業界トレンドの把握」が74.5%と突出しています。

ただし、まったく対象外の顧客を除けば、展示会の来場者は自社の商品・サービスを検討する可能性のある顧客。商談につなげるべく、継続的なメール配信やインサイドセールスを通じた接点の構築、商談化のタイミングキャッチといったリードナーチャリングに注力しましょう。

リードナーチャリングは体制構築やコンテンツの準備など、コストがかかります。しかし、目安としてハウスリストが1万件を超えればリードナーチャリングに取り組むことをおすすめします。

※関連記事:リードナーチャリングとは?失敗しないための設計プロセスを解説

展示会出展に関するよくある質問

展示会出展について、よくある質問に回答しました。

Q.商談化の成果はどれくらいの期間で計測するものでしょうか?

翌年の展示会を考慮し、1年とするのが望ましいです。

Q.展示会がきっかけとなった商談をカウントできずに困っています。解決策はありますか?

SFAやCRMを導入している場合は、キャンペーン機能を活用して計測しましょう。導入していない場合は、商談のきっかけに「展示会」と入れてもらう、商談・受注データを分析する際に、展示会来場企業の件数、商談金額をカウントするなどの対応を行いましょう。

Q.展示会以外の施策でも接点がある顧客は、展示会の成果として計測すべきですか?

最新の施策をきっかけとする、といったルールを設定しましょう。

そのうえで、展示会の投資対効果を判断するために、半年後や次の出展計画を立案する際に商談・受注データを分析します。展示会に来場した企業からの商談・受注がどの程度発生しているかを把握するためです。

細かい分析に時間をかけるのは現実的ではないため、この程度にとどめることをおすすめします。

Q.コンパニオンはどのようなところにお願いするのがよいでしょうか?

コンパニオンの人材派遣会社と接点がない場合は、ブース装飾会社や代理店に相談してみてください。その際、「積極的なお声がけをしてくださるメンバーのアサインをお願いします」とリクエストするとよいです。

まとめ

さまざまな施策を紹介しましたが手間・コストがかからない施策5選については、ぜひ次の展示会から取り組んでみてください。

記事内でも紹介したとおり以下の施策一覧表を参照し、自社が取り組むべき施策を検討いただければと思います。

展示会で獲得したリードを商談につなげるための10の施策|一覧表

才流では成果が実証されたメソッドにもとづき、BtoBマーケティングを支援しています。マーケティング活動で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)

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