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認知度調査の進め方【BtoB企業向け調査票テンプレート付き】

BtoBマーケティング
コンサルタント
土山 勇人

商品・サービスの市場内での立ち位置やイメージが明らかになる認知度調査は、自社のマーケティング戦略を考えるうえで有効な手段です。

しかし初めて認知度調査に取り組む際は、以下のような点でつまずいてしまう人が多いようです。

  • どう進めればいい?やり方がわからない
  • アンケートにはどんな質問項目を設定すべき?
  • 誰を対象にして、どれくらいの回答数を集めればいい?

そこで本記事では、BtoB企業向けに認知度調査の基本や具体的なやり方について解説しました。質問項目を簡単に設計できる調査票テンプレートもダウンロードできます。

調査票テンプレートの全体イメージ
認知度調査の調査票テンプレート(Excel形式)をダウンロードする

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才流(サイル)では成果が実証されたメソッドにもとづき、BtoBマーケティングを支援しています。マーケティング活動で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)

認知度調査を行う目的

まずはBtoB企業に特化して、商品・サービスの認知が向上することで得られる効果、認知度調査を行う目的について説明します。

認知度の向上がもたらす効果

商品・サービスの認知度が向上すると、以下のような効果が得られます。

  • 商品・サービスの選定時に、候補として優先的に選ばれやすい
  • 決裁時に関係者の合意が得やすく、選定されやすい
  • コンペにならずに選定されることもある(指名買い)
  • 受注後も顧客との信頼関係を築きやすい
  • 採用においても好影響をもたらす
  • 投資家からの信頼も厚くなる

つまり認知度の向上は、売上の向上やステークホルダーの信頼獲得につながるといえます。

認知度の向上がもたらす効果

重要なのは第一想起を獲得すること

ただし、認知度が高いだけでは商品・サービスが選ばれる必然的な理由にはなりません。

顧客に自社の商品・サービスを選んでもらうためには、購買時の候補として想起される商品・サービスの集まりである想起集合に入り、第一想起を獲得することが重要です。

第一想起を獲得できれば指名買いも可能になり、コンペを避けられます。そうすると受注率が上がり、売上も継続的に向上するでしょう。リード獲得のためのマーケティングコストも抑えられます。

想起集合に入り第一想起を獲得する

なぜ認知度調査が必要なのか

では認知度調査は何のために実施するのでしょうか。

認知度調査をすることで、商品・サービスの市場内での立ち位置が明らかになるからです。市場内での立ち位置は、マーケティング戦略を立てるうえで、重要な前提情報。

たとえば、すでに商品・サービスの名称が知られている場合は、名称を知られている前提でコミュニケーションをとるべきです。しかし、商品・サービス名を知られていない場合には、まずは名称を知ってもらうためのアプローチが必要になるでしょう。

また特定のセグメントでの認知が弱い場合は、そのセグメントに向けたプロモーションを強化するといった打ち手が考えられるようになります。

認知度調査8つのステップ

ここからは、認知度調査の具体的な進め方について解説していきます。認知度調査は、大きくわけて以下の8つのステップで進めます。

  1. 調査の目的や背景を言語化する
  2. 前提条件の整理
  3. 割付の設計
  4. N数(サンプル数)の設定
  5. リサーチ会社の選定
  6. スクリーニング調査
  7. 本調査
  8. 分析・レポーティング
認知度調査8つのステップ

1.調査の目的や背景を言語化する

まずは認知度調査の目的や背景を言語化しましょう。マーケティング戦略立案のために定点的に認知度調査を行う、テレビCM出稿前後の効果計測をするため、といったようなものです。

また、商品・サービスの特長がどの程度知られているのかを把握する、カテゴリ自体の認知獲得状況を把握する、など調査でとくに明らかにしたいことも整理しておきます。

2.前提条件の整理

続いて、調査範囲(市場規模)を設定します。

調査範囲は、市場規模を表す指標であるTAM・SAM・SOMのいずれかに決めます。調査目的にもよりますが、認知度調査では基本的にSOMを調査範囲とします。

多くの商品・サービスは、SOMにおいても認知を十分に獲得できていないことがほとんどで、まずは最も売上につながりやすいSOMでの認知向上を狙うためです。

認知度調査における3つの調査範囲(市場規模)TAM、SAM、SOM

なお、調査範囲の設定がされていなかったり、設定されていたとしても甘かったりするケースをよく見かけます。

TAMでは2%、SOMでは30%といったように、調査結果は調査範囲(=母数)によって大きく変わります。調査範囲の設定を間違えてしまうと、せっかくの調査結果が役に立ちません。かならず調査範囲をきちんと定めてから調査を実施しましょう。

3.割付の設計

割付とは、調査において回収する回答数をセグメント別に決めておくこと。

たとえば従業員規模別、業種別、職種別、役職別などでセグメントして分析したい場合、それぞれのセグメントで分析に耐えられる回答数が集まるように調整します。割付を複雑にしすぎるとコストが高くなるので、1〜2つ程度の割付がおすすめです。

なお、統計学上は100以上の回答数がないと、調査データとして信憑性がありません。セグメントごとに100以上の回答数を集めるようにしましょう。

割付方法は、均等割付と人口構成比割付の2種類ありますが、BtoBでは均等割付を用いることが多いです。

割付の例①:均等割付

従業員企業規模別に100名ずつ割り付ける

  • 10人以下:100名
  • 11人~50人未満:100名
  • 50人~150人未満:100名
  • 150人~500人未満:100名
  • 500人~1000人未満:100名
  • 1000人以上:100名

割付の例②:人口構成比割付

市場に存在する割合とあわせて割り付ける

  • 10人以下:120名
  • 11人~50人未満:200名
  • 50人~150人未満:400名
  • 150人~500人未満:320名
  • 500人~1000人未満:210名
  • 1000人以上:120名

4.N数(サンプル数)の設定

N数は調査をするサンプル数のこと。たとえば500人を対象に調査を実施する場合、N=500となります。

割付から逆算して、何人に調査を行うのかを決定しましょう。N数によって調査コストが変動するため、予算を確かめつつリサーチ会社と相談して決めるとよいです。

5.リサーチ会社の選定

続いて、リサーチ会社を選定し、発注します。

リサーチ会社の主な役割は、モニターを提供すること。リサーチ会社はたくさんのモニターを保有しているので、アンケートをスピーディに実施できます。オプションになることが多いですが、調査設計に関するアドバイスやレポート作成も依頼可能です。

メルマガやSNSを使って自社でモニターを集めることもできますが、割付や2回目以降のモニター重複排除を考えると、現実的ではないでしょう。

なお、リサーチ会社はモニターの数や質、コスト、窓口となる方の対応力などを見て選定するとよいです。調査経験が豊富な場合は、アンケートフォームを自分で作成するようなセルフ型のリサーチサービスを使ってコストを抑えるという選択肢もあります。

6.スクリーニング調査

スクリーニング調査とは、本調査の前に実施する調査のこと。調査対象外のサンプルを除くこと、割付を目的として実施します。

BtoB企業の場合は、年齢、エリア、従業員規模、業種、職種、役職などに関する質問を設けることが多いです。

調査対象の絞り込み例

  • 22~65歳を対象とする
  • 営業外エリアを除く
  • 働いていない人を除く

7.本調査

本調査では、認知度に関する調査を行います。詳細はテンプレートの使い方とあわせて後述します。

8.分析・レポーティング

調査結果を分析し、レポートを作成します。

割付ごとにクロス集計をして、傾向の違いを分析しましょう。分析結果を踏まえ、今後の打ち手を検討していきます。

調査票テンプレートの使い方

今回才流では、BtoB企業向けに質問項目を簡単に設計できる調査票テンプレートを用意しました。

テンプレートはスクリーニング調査と本調査にわかれています。ここからは、それぞれの項目について説明していきます。

調査票テンプレートの全体イメージ
認知度調査の調査票テンプレート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。

スクリーニング調査

従業員規模や業種、職種、役職といったBtoB企業のスクリーニング調査で使われることが多い質問を入れています。

調査範囲や割付によって、質問や回答の選択肢を変更してください。

本調査

カテゴリ認知

質問:あなたは「〇〇〇(商品・サービスのカテゴリ名)」を知っていますか

商品・サービスが該当するカテゴリ自体の認知度を確認します。まだそこまで浸透していないカテゴリの場合は、まずはカテゴリを認知してもらうための活動が必要です。

たとえば「オンライン会議ツール」といえば、ほとんどの人がZoomやTeams、Meetといったサービスを思い浮かべるでしょう。

一方、RPAのようなカテゴリは、まだピンとこない人がいる可能性が高いです。その場合、商品・サービスの名称の前に、カテゴリがどれくらい認知されているのかを把握しておく必要があります。

ブランド純粋想起

質問:あなたは「〇〇〇(商品・サービスのカテゴリ名)」と聞いて思い浮かべる、商品・サービス名や企業名はありますか。思いついたものをすべてお答えください

選択肢のようなヒントを与えずに、自由回答形式で回答してもらいます。

ここで最も多くの回答が集まったブランド(商品・サービスや企業)が、第一想起の獲得に成功しているといえます。反対に、回答が出なかったブランドは想起集合に入れていないと考えられます。

ブランド助成想起

質問:あなたは下記の商品・サービスや企業をご存じですか。あてはまるものをそれぞれお選びください

ここでは、「知らない」「知っている」「特長を知っている」「利用している」といった選択肢を用意し、回答してもらいます。

認知のフェーズを確認するための質問です。どのフェーズが多いのかを確認することで、適切な打ち手が見えてきます。

認知のフェーズ(段階)のイメージ

認知経路

質問:あなたは下記の商品・サービスや企業をどこで認知しましたか

ブランドを認知している人に対して、どこで認知したのかを確認します。自社だけではなく、競合の認知経路を聞くことで自社に足りない経路や施策がわかります。

選択肢は自社や競合企業が取り組んでいる施策にあわせて適宜変更してください。

ブランドイメージ

質問:ご存じの商品・サービスや企業について、どのようなイメージをお持ちですか。あてはまるものをお選びください

ブランドを認知している人に対して、どのような印象を持っているのかを確認します。

ネガティブな印象がある場合、認知度が高くても想起集合に入れない可能性があります。自社のイメージに問題がないか、他社とも比較しつつ確認しましょう。

サービス理解

質問:あなたは「〇〇〇(商品・サービス名、企業名)」をご存じとお答えになっていますが、「〇〇〇(商品・サービス名、企業名)」の特長としてご存知のものを下記からすべてお選びください

自社の商品・サービスの特長がどう認知されているのかを詳細に確認します。選択肢には具体的な特長を用意し、各特長がどれくらい知られているのかをみていきましょう。

知ってもらいたい特長なのにもかかわらず知られていない、最新機能に関する特長が知られていないといったように課題が明らかになります。

利用興味のきっかけ

質問:利用に興味がある・もしくは利用中の方にお伺いします。「〇〇〇(商品・サービス名、企業名)」に興味をもっていただけた理由を教えてください

利用に興味・もしくは利用中の方に、自社の商品・サービスに興味を持った理由を伺います。自社の強みを理解するのに役立ちます。

認知度調査に関するよくある質問

認知度調査について、よくある質問に回答しました。

Q.認知度調査には、どのくらいの予算が必要ですか?

N数や調査項目数によって変わりますが、おおむね10〜100万円の範囲です。アンケート画面の作成を自分で行うようなセルフ型のリサーチサービスを使う場合は安く済みます。一方、設計やレポートをリサーチ会社に依頼すると費用が上がります。

Q.認知度調査にはどの程度の時間がかかりますか?

企画からレポーティングまでで、3週間から1か月程度を見ておくとよいでしょう。定点調査のような、調査項目や依頼するリサーチ会社が決まっている場合はもっと早く実施できることもあります。

Q.どのくらいの頻度で、認知度調査をすべきですか?

定点的な調査の場合は、半年に1回程度を目安としてください。テレビCMのような大きな投資を行った場合は、Before・Afterで変化を確認することを推奨します。

Q.認知度調査の実施における注意点はありますか?

モニターの傾向でブレが出てしまうため、基本的には同じリサーチ会社を使いましょう。また、モニターの重複は排除しましょう。調査を通して商品・サービス名を認知してしまう可能性があるからです。

まとめ

商品・サービスの市場内での立ち位置が明らかになる認知度調査は、効果的なマーケティング活動を行うために有効な打ち手となります。ぜひ、取り組んでいただければと思います。

今回お届けしたテンプレートがお役に立てば幸いです。

才流がわかる3点セット(会社概要・支援実績・サービスの特徴)をダウンロードする

監修

株式会社ナルリノ CEO|株式会社MADS CMO

高橋 信也

サイバーエージェント出身。BtoB、BtoCの複数企業においてマーケティング責任者を歴任。
マス~デジタル、広告〜PR、あらゆるマーケティングにおける戦略立案、コミュニケーション設計~エグゼキューションに携わる。
Google SaaS Day 2020登壇、NIKKEI BtoBマーケティングアワード2021ファイナルに選出。

才流では成果が実証されたメソッドにもとづき、BtoBマーケティングを支援しています。マーケティング活動で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)

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