クライアント企業とマーケティング活動を一緒に進める中で、ときにプロジェクトが停滞してしまうことがある。
「アイデアが出なくて苦しい」「成果が出なくて苦しい」よりも、そもそも「施策が進まなくて苦しい」ケースが圧倒的に多い。
そこで、施策が進まなくなる時のフラグを社内で話し合ったので書いてみる。
1.マーケティング担当が兼務で忙しい
当社がプロジェクトをご一緒するベンチャー、スタートアップ企業はリソースが限られているため、多くのマーケティング担当者はCOO的な業務や広報、営業を兼務している。
すると、他の業務に脳のリソースが圧迫され、マーケティング活動に頭を使う余裕がなくなっていく。
結果、戦略立案、タスク実行、施策の軌道修正ができなくなり、プロジェクトは前に進まなくなる。
次々と事業立ち上げを成功させているある経営者は「新規事業は兼務では難しい。集中しないとうまくいかない」と言っていた。マーケティングゴールを達成する一連のプロセスも、もはや一つの事業立ち上げに近い行為なので、ベストはフルコミットできるメンバーがいることだろう。
2.定例会議を持っていない
マーケティング担当者は、「なにか手を打たなきゃ……」と思ってはいるものの、そのまま1か月、2か月と時間は過ぎていく。
そんな時はマイルストーンとなる「社内のマーケティング定例」を開催していないケースが9割だ。
定例会議があれば少なくとも週に1時間はプロジェクトについて考えるようになるし、会議に間に合わせようと、多少なりとも施策は進む。
まずは週1回、1時間の会議を設定することが最初の一歩だろう。
3.ユーザーや顧客と会っていない
マーケティング戦略、施策の検討が進まないときは「顧客と接しているか」をまずはチェックしたい。
営業同行、ユーザーヒアリング、ユーザーテストなどで定期的に顧客と接していれば、顧客の行動やニーズを理解できるため、アイデアや戦略が立てやすい。
逆に、Google Analyticsやヒートマップ、スプレッドシートの数字を眺めているだけでは、アイデアは思い付きにくい。
4.議論が前に進まない
1~3のフラグの結果として、施策結果のデータや、ユーザーの声が溜まっていないので、アイデアの企画や意思決定がしづらくなり、会議が長引きやすい。
会議がダラつきだしたら、新しい情報や視点を得るために、まずは何も考えずにライトな施策を進めたり、社内・社外の識者に相談したり、とりあえず、なにかの行動をとることをおすすめする。
解決策は、粛々と手を打つこと
1~4のフラグを振り返ると、マーケティングプロジェクトをスムーズに進めるには、
- 週一の定例会議を設定する
- 最低月1回はインタビューや営業同行で顧客に会う機会を作る
- そこそこ良さそうな施策から、まずはいくつか実行してみる
- できれば、専任の担当者を募集する
- 採用が難しければ、外部のリソースを活用しにいく
などの基本的なことを粛々とやることが大切。
先日、SmartHRの代表・宮田さんが『米国ユニコーン企業並の成長を実現するマーケチームの天国と地獄』でマーケティング施策の大失敗事例を書いていた。あれほど急成長している会社のマーケチームでも、百発百中で施策を当てているわけではないし、失敗を恐れず、膨大なトライを繰り返している。
天才的な戦略や誰かのスーパープレーよりも、実行力の有無がプロジェクトの成否をわけるのだろう。