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【事例で学ぶ】新規事業の社内会議を突破するための8つのアイデア

新規事業
才流コンサルタント
野田 拓志

新規事業を進める際は、さまざまな壁を超えなければなりません。その中でもとくに大きく立ちはだかるのが「社内の壁」。実際に新規事業を担当している方からも「社内会議の突破は難しい」という言葉をよく耳にします。 

才流(サイル)では、大手企業で新規事業を担当した経験のある方にインタビューを実施。新規事業の社内会議を突破するために実践し、効果があった行動を事例としてまとめました。

本記事では、他社の事例をもとに社内会議を突破するためのアイデアを紹介します。社内会議の準備をする際の参考にしていただけたら幸いです!

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※関連記事:新規事業の社内会議プレゼンテーションテンプレート|突破のための15のポイント

新規事業に立ちはだかる3つの壁

企業内で新規事業を立ち上げるとき、起業とはまた違った課題に直面するもの。とくに大きく立ちはだかるのが、「自分の壁」「社内の壁」「社外の壁」です。新規事業の担当者は、これらの壁を一つひとつ突破しなければなりません。

新規事業では「自分の壁」「社内の壁」「社外の壁」の3つを突破しなければならない

①自分の壁

自分の壁とは、逆境に立たされた際につい逃げ出したくなるような心の弱い部分のことです。新規事業を進めていると、苦しいことや厳しい現実に直面することがあります。そして社内には、失敗した場合の逃げ道も都合よく存在しているものです。

逆境の中でも心を折らずに事業を進めることで、自分の壁を突破しましょう。

②社内の壁

社内の壁とは、社内調整や社内会議でのプレゼンテーションのことです。役員や社内の関係各所から質問や説明を求められるため、しっかりと応答できるようにする必要があります。

社内調整や社内プレゼンテーションの準備を入念に行うことで、社内の壁を突破しましょう。

以下の記事で社内会議の突破に必要なスライドテンプレートをご紹介していますので、ご活用ください。

新規事業プレゼンテーション用スライドのサムネイル

※関連記事:新規事業の社内会議プレゼンテーションテンプレート|突破のための15のポイント

③社外の壁

社外の壁とは、顧客から商品・サービスを購入してもらうために取り組むべき課題のことです。顧客のニーズや課題を理解し、顧客からのフィードバックをもとに商品・サービスを改善していくことが求められます。商品・サービスを試験的に展開しながら質を高めていくことで、社外の壁を突破しましょう。

新規事業で社内会議を突破するためのアイデア:8つの成功事例

企業で新規事業を進めていくにあたって、とくに苦労するのが社内の壁の突破です。すでに新規事業を推進している方々も、さまざまな工夫をしながらこの社内の壁を突破してきたことでしょう。

才流では今回、大手企業の新規事業の担当者に対して、社内会議の突破のために行った工夫に関する事例をインタビューしました。その結果、新規事業で社内会議を突破するのに効果的なアイデアがあることを発見したのです。

新規事業で社内会議を突破するためのアイデア8つのまとめ

ここからは、インタビューで得られた結果をもとに、社内会議の突破につながった実際の事例を紹介します。

【インタビュー概要】

対象:年商50億円以上の上場企業の新規事業担当者 ※インタビュー先の企業名は非公開

実施時期:2023年1月12日〜1月24日

手法:オンラインで実施

1. 顧客の生の声を集め、顧客解像度を高める

不動産に関わる新規事業を立ち上げたA氏の事例を紹介します。

新規事業の社内会議を突破するうえでA氏が取り組んだのは、社内会議でどのような質問が来ようとも回答できるようにしておくことでした。そのために、見込み顧客の現場に入り込み、顧客の課題やインサイトについて熟知している状態をつくる(顧客を憑依させる)ことを重視したといいます。

一般的な新規事業において、顧客のニーズを探るためにアンケートで定量的に調査をするケースはよくあります。しかし、これはあまり効果的ではありません。残念ながら、アンケートでは表層的な課題しか把握できないことが多いからです。

そこでA氏は、以下のような取り組みを行いました。

  • 顧客の現場に行き、ヒアリングをしながら理解を深める
  • 可能であれば一緒に働き、一緒に生活をさせてもらう
  • 1人の顧客のインサイトを深堀りして自分自身に憑依させることで熟知に至る

こうやって顧客の解像度を高めることで、顧客の課題を的確に解決できるようになり、社内会議の場で業界に詳しくない関係者の質問にも問題なく対応できたそうです。

※関連記事:顧客解像度

2. 商品・サービスを販売する前に見込み顧客を確保しておく

アプリやシステムを開発している企業で新規事業を担当するB氏の事例です。

B氏によると、社内会議を突破するためには、商品・サービスの販売前に1社でもいいので見込み顧客にユーザーになってもらい、改善に協力してもらうことが重要だといいます。

リリース初期の商品・サービスはまだ品質が磨かれていないことが多く、簡単には売れないものです。しかし、新規事業の助走運転にご協力いただきたい、というスタンスでお願いすれば了承してくれる顧客もいます。B氏の事例では、以下のような声をかけて見込み顧客を口説き落とすことに成功したそうです。

「一緒にこのプロダクトを良くしてください」 

「あなたの会社の要望を反映できますよ」

「初期拡販のパートナーになってください、フィーをもらえますよ」

初期ユーザーになって協力してくれるのは、所属企業に関係なく「社内に影響力があって、課題感や危機感が強い」人物であるケースが多いといいます。そのような人物を探す際は、大企業・ベンチャーが開催するようなイベントへの参加や、社内のメンバーによるリファラルを活用するのが有効な方法です。

なお、見込み顧客に協力をお願いする際は、無償ではなく有償で話を進めるようにしましょう。

3. 社内で根回しを実施する

BtoB企業向けサービスを提供している企業にお勤めのC氏の事例では、プレスリリースを活用し、事前に社長に根回しを行ったことがポイントとなりました。

社内会議を突破するためには「社長のお墨付き」を得ることが重要だと考えていたC氏。社内には、プレスリリースを出す際に社長と副社長に対して短時間で説明を行わなければならないというルールがありました。そこで、PoCの段階でできるだけ多くのニュースリリースを出すことにしたのです。

プレスリリースを何度も出したところ、社長や副社長も新規事業の内容をちゃんと覚えてくれたといいます。結果として「あれ?まだ事業化してなかったのか?」という社長の発言を引き出すことに成功し、社内の根回しがとてもスムーズに進んだそうです。

4. 社内会議では意思決定のハードルを下げる

BtoC向けメーカーで働くD氏の事例を紹介します。

D氏が新規事業の社内会議を突破できた理由は、ゴールを「事業化すること」に設定せず、「テストマーケティングの実施」という事業化の手前のフェーズに設定したことです。

新規事業で社内会議を突破しようとする際、そのゴールを事業化に設定してしまうと、役員側に難しい意思決定を迫ることになります。それよりも、初期投資はできるだけ小さく、テストマーケティングの実施をゴールにすることで、まずは新規事業が走り出せるような状況をつくることを優先しましょう。

このケースでイメージしやすいのは、交渉テクニックである「ハイボールテクニック」でしょう。ハイボールテクニックは、相手にとってはキャッチできないくらいの高さにボールを投げ続け、「冗談だろ、それは無理だよ」と言わせてからぎりぎり届くレベルに新しいボールを投じる手法です。

新規事業でも「GO」か「No GO」の判断を迫るのではなく、「テストマーケティングを実施する」という手が届きそうなゴールを設定するのがポイントです。

5. ステージゲート制にとらわれすぎない

飲食店向けのサービスを開発している企業で新規事業を担当しているE氏の事例です。

新規事業のプロセス管理手法であるステージゲート制では、アイデア創出から市場投入までを複数のステージに分け、各ステージの終わりにゲート(評価ポイント)を設けます。プロジェクトがゲートを通過するためには、設定された基準をクリアしなければなりません。

E氏の場合、ステージゲートで設定されている目標を満たすのはもちろんのこと、ゲートの先を意識した仕込みを行っておくことが社内を動かすのに効果的だったといいます。たとえば、事業化した初年度の段階で一つ先のステージ「熱狂的カスタマーがいる状態」をつくっておく、といった仕込みです。

ステージゲート制を採用していると、目の前の課題をクリアすることで手一杯になってしまいがち。しかし、「売れるかどうか」という部分に関してはプロセスにとらわれすぎず、ステージを先取りして行うことも大切です。

マーケットがあること、ニーズがあることを示すには、実際に売ってみてどうだったかの結果を見せるのが有効だからです。

6. 新規事業インキュベーション事務局を有効活用する

大手メーカーの新規事業の事例について、F氏が語ってくれました。

F氏が勤める大手企業には、新規事業を推進するインキュベーション事務局が存在します。この新規事業インキュベーション事務局部門に、新規事業について意思決定を行う経営陣や幹部のコントロールに協力してもらい、社内会議を突破できたそうです。

経営幹部にはそれぞれ好き嫌いや得意不得意があり、新規事業の事業テーマに関してもそれぞれ評価が分かれるケースがあります。そこで、新規事業のテーマと相性のよい経営幹部とつないでもらい、社内会議の前に好意的な意見をもらっておきましょう

社内会議の場で「経営幹部の〇〇さんからはこのような前向きなご意見をいただいております」という情報を伝えることは、社内を動かす大きな力となります。

7. ジョイントベンチャーの場合:経営者同士の面通しを早めに行う

システム開発の会社に勤め、ジョイントベンチャーとして複数社で新規事業を推進した経験を持つG氏の事例を紹介します。

複数社で新規事業を進める場合、自社の新規事業の担当役員と他社の担当役員との関係を早めに構築することが重要です。G氏もそのおかげで社内会議を突破できたといいます。

よく起こりがちなのが、片方の企業だけが盛り上がっており、協力先の企業が乗り気ではなかったというケースや、両社の現場担当者だけが盛り上がっていたというケースです。このようなケースを防ぐためにも、経営レベルでの早期の関係構築が重要になります。

また、担当役員同士の関係構築は、新規事業の担当役員のオーナーシップ向上にもつながります。結果として、新規事業の担当役員が新規事業のはしごを外すような事態も避けられるでしょう。

8. 体外的なビジネスコンテストで評価されてから社内で新規事業化する

最後に、「PIVOT」で紹介されている全日本空輸株式会社(以下、ANA)からスピンアウトしたavatarin株式会社の事例です。

avatarin社誕生の背景には、まず社外のコンペでグランプリを取り、それをきっかけに社内で有志チームを構成し、事業化を推進していくという進め方の工夫がありました。

ANAの社内にはエアラインに関する知見は豊富にあるものの、ロボティクスやAIに関する知見はありません。つまり、社内ではロボティクスやAI事業(いわゆる飛び地事業)に関して正しく評価できる人がいない状況でした。

そこで、まずは社外のコンペで評価されて専門家からのお墨付きを得ることで、社内会議を突破しやすい状況をつくりました。社外コンペのグランプリという説得材料をいかして、新規事業の立ち上げをスムーズに進められたよい例だといえるでしょう。

※参考:【大企業30代社長】ANAを退職して、ANAの出資で起業/大企業のレバレッジを効かせる方法/アバターロボットで「瞬間移動」を実現/ANAのパワーを活用/本業をピカイチにする/全員の手柄にする設計|PIVOT 公式チャンネル

新規事業で直面しがちな問題と回避するための事前準備:3つの事例

新規事業の社内会議を突破した方々に「事業のスタート前に戻れるとしたら、追加で実施したい取り組みはありますか?」と聞いてみました。すると、新規事業がスタートしてから起こりがちな問題と、事前にやっておくべき準備が見えてきたのです。

ここからは、新規事業でよくある問題と回避するために必要な事前準備について、インタビュー事例をもとに解説します。

新規事業でよくある3つの問題と、それを回避するための事前準備3つ

問題①:社内の営業が新規事業を売ってくれない

新規事業で社内会議を突破することに手一杯になった結果、「やっと事業化したものの、営業が売ってくれない」という問題が起こることがあります。

インタビューでは、「商品やサービスが完成したら営業が売ってくれるだろうと安易に思ってしまった」「営業が持って行きたくなる仕掛けが弱かった」という反省の声が聞かれました。

よい商品・サービスなのに営業が売ってくれない場合、「新規事業を売りたい」と思えるような環境が整っていないことが原因かもしれません。

この問題を回避するためには、アカウント営業やターゲットユーザーとつながりのある営業パーソンに対して、事業リリース前に「営業が担ぎたくなる社内営業」を実施するのがおすすめです。

詳しくは以下の記事で解説しています。

※関連記事:営業に新サービスを売ってもらえないときに見直すべき4つのポイント【BtoB企業向け】

問題②:商品・サービス完成後のピボットは難しい

商品・サービスの完成後に事業のピボット(方針転換)を行うのはなかなか難しいもの。顧客の声を反映したくても、すぐに対応することができないケースも多いでしょう。

インタビューでも「プロダクトをつくる前の段階で、営業資料をもとに見込み顧客10社〜20社に話を聞いておけばよかった」という感想がありました。

営業資料の状態であれば、顧客からの声を反映させて商品・サービスの内容を変更することは簡単です。戻れない状態になる前に、顧客の本音を聞いて商品・サービスの開発に役立てていきましょう。

問題③:社内のオペレーションの構築に時間がかかる

商品・サービスをローンチしたものの、顧客からの申し込みに対応するフローが整備されておらず、新規事業の担当者が残業して対応したという事例がありました。インタビューでは、「事業がスタートした後の社内のオペレーションついて、フローを事前に決めておけばよかった」と後悔する声が。

事業を運営していく場合、社内には多くの業務が発生します。業務フローを構築する際は、自分のチームだけではなく、他の事業部にも協力を仰がなければならないこともしばしばです。たとえば、以下のようなケースがあります。

  • 申込書の管理はどうするのか? 
  • オプションの申し込み管理はどうするのか?
  • 物流が発生する場合、誰が、いつまでに、何を発送しなければいけないのか? 
  • 導入サポートが必要な場合、誰が、いつ、どのように行えばよいのか?

事業運営で発生するオペレーションの構築は、社内の調整に時間がかかるもの。事業をスタートさせる前に整理しておくようにしましょう。

まとめ

本記事では、新規事業の社内会議を突破するためのアイデアについて事例をもとに解説しました。さらに、新規事業で起こりがちな問題と回避するために必要な事前準備についても紹介しました。

新規事業の社内会議を突破するには「顧客の声を聞く」「社内での根回し」という2つのポイントが重要だということを、事例を通してお伝えできたと思います。

  • 顧客の声は聞けているか?
  • 社内の関係者に応援いただけているか?

この2点を常に意識しながら、新規事業を進めることが大事です。新規事業の成功に本記事が少しでも参考になりましたら嬉しいです。

才流では成果が実証されたメソッドにもとづき、新規事業の立ち上げからPMFに至るまで一気通貫で支援しています。 新規事業で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)

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