才流(サイル)では、『先駆者に聞く、SaaS×パートナービジネスのリアル』と題して、パートナービジネスの先駆者の皆さまを取材し、パートナービジネスを進めるうえでのポイントや仕組みづくりのナレッジをご紹介しています。
今回ご紹介するのは、クラウド型電子契約サービス「クラウドサイン」を提供する、弁護士ドットコム株式会社の橘 大地さんです。
クラウドサインの事業責任者である橘さんの思いは、「クラウドサインを国民的製品にすること」。
パートナービジネスでは、「パートナーの営業がクラウドサインを売りたいと思うにはどうしたらよいか?」の視点を重視した取り組みを、展開しています。
才流コンサルタントの桂川 誠が、話を聞きました。
「パートナーの心をつかむ提案がしたい」「パートナーが自社プロダクトを売りたくなる仕組みをつくりたい」と考える担当者は、ぜひお読みください。
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[クラウドサインのパートナービジネスの特徴]
- DX化やバックオフィス業務のペーパーレス化における市場ニーズに合致
- 先入観や前例にとらわれず、さまざまな取り組みを実行
- OEM展開やカスタマーサクセスのスキルトランスファーなど、パートナーが「売りたい」と思う仕組みを展開
2015年11月に弁護士ドットコムへ入社後、クラウド契約サービス「クラウドサイン」の事業責任者に就任。2018年4月より同社執行役員に就任、2019年6月より取締役に就任。弁護士。
多方面に広がるクラウドサインのパートナービジネス
桂川 はじめに、クラウドサインのパートナービジネスの変遷を教えてください。
橘 クラウドサインは、日本初のクラウド型電子契約プロダクトとして、2015年10月にリリースしました。ありがたいことに、リリース後の早い段階で、さまざまなパートナーからお問い合わせをいただいています。
2016年にはアライアンスや代理店販売の契約を進め、2017年にはパートナー経由で一定の売上が立っていました。テラスカイさまと一緒に、Salesforceのプロダクトアライアンス「クラウドサイン for Salesforce」をリリースしたのも、この年です。
桂川 2019年には、三井住友銀行との合弁会社・SMBCクラウドサインを設立しています。こちらも、アライアンスの大きなトピックですね。
橘 三井住友銀行さんと出会ったきっかけは、同行が主催するオープンイノベーションをテーマにしたイベントでした。
親交を深めていくなかで、「クラウドサインを世の中へ浸透させていくミッションの実現」に共感してくださり、SMBCクラウドサインが生まれています。とてもありがたい機会をいただきました。
桂川 現在、契約パートナーは何社ぐらいでしょうか。
橘 100社を超えています。大手ディストリビューター各社や、地方に拠点を持つ販売代理店など、さまざまなパートナーと一緒にクラウドサインの販売拡大、利用促進を行なっています。
クラウド型電子契約の市場開拓とDX化の追い風
桂川 クラウド型電子契約という新しい市場を開拓しながら、パートナービジネスも広げていく。その両輪を回すことはとても大変だったかと思いますが、どのような点が成果につながったと考えていますか。
橘 バックオフィス業務のペーパーレス化をはじめとして、世の中のデジタルトランスフォーメーションの動きにクラウドサインがフィットしたことが挙げられます。
パートナービジネスの文脈でいうと、やはりパートナー各社のビジネスモデルの転換があります。プロダクトの売り切りから、サブスクリプションによるリカーリングへとシフトするなかでの戦略商材として、クラウドサインが選ばれたことは大きかったです。
あわせて、リリース初期から展示会への出展、新聞などのPRも積極的に展開しており、一定の認知が取れていました。これらも、早い段階でパートナービジネスの形ができたことにつながっていると思います。
桂川 クラウドサインには、市場の追い風が味方についていると感じます。一方で、弁護士ドットコムとして、国に対してクラウド署名を活用した書面・押印・対面規制の見直しの働きかけも行なってきました(※)。地方自治体のクラウドサイン導入も進んでいるそうですね。
※2020年の法改正により、電子署名法にクラウド型電子契約が該当するかどうかのグレーゾーン問題が解消。2021年2月5日から、国・地方自治体などの行政機関でもクラウド型電子契約が利用可能になった。
橘 2023年1月時点で、全国47自治体の導入・支援を行なっています。この件も、パートナーと一緒に進めているんです。
たとえば、東京都の場合はNECさん、北海道ニセコ町は富士フイルムビジネスイノベーションジャパン(北海道支社)さん、山口県山口市はぎょうせいさん、高知県香南市は四国情報管理センターさんなどです。
桂川 全国47自治体。パートナーネットワークの広さを感じます。
橘 パートナー経由で行政機関へアプローチすることは必然でした。いくらデジタルマーケティングを効率化しても、行政機関はインバウンドで問い合わせがくる市場ではありません。
行政機関にクラウド型電子契約の門戸が開いてからは、他社とのスピード勝負です。コロナ禍ですから、各自治体も導入を急ぎたいという状況がある。
ならば、クラウドサインが新しく関係づくりを始めるよりも、すでに行政と接点を持っているパートナーや、地場に強いパートナーとアウトバウンドで進めるほうが確実だと判断しました。
無知だからこそ、考えうるパートナー施策にすべて取り組む
桂川 パートナー戦略はどのように設計しているのでしょうか。
橘 私たちには、クラウドサインを日本全国400万社、1億2,000万人が利用する国民的製品にするという夢があり、「たどり着きたい未来を早く実現するにはどうするか?」の選択をし続けています。
たとえば、直販営業中心で考えていった場合、全国に支店が必要でしょう。それでは、夢の実現に時間がかかってしまうし、コストが利益を圧迫しかねません。
一方で、パートナーは営業チャネルも人脈もすでに持っている。だから、パートナーと一緒に進めていこうと判断したのです。
桂川 エンタープライズ企業のみを対象としたプロダクトならば、都市部を中心とした直販が考えられる。しかしクラウドサインは、さまざまな企業や人が使うプロダクト。事業ビジョンとプロダクト特性をもとに、戦略を設計しているんですね。
橘 また、パートナーには、契約の条件としてクラウドサインの有料プランのご利用をお願いしています。
「実際に使って価値を理解いただいたうえで、エンドユーザーのお客さまへご案内してほしい」という目的が前提ですが、結果として、パートナーもクラウドサインのお客さまなのです。
SaaSのスタートアップでパートナー展開を考えるなら、パートナーにも自社プロダクトを使っていただく取り組みをするべきだと思います。
桂川 さまざまな観点から、パートナーと進めていく理由がある。
橘 でも、無知だったことが成功の秘訣だと考えています。私自身、事業を立ち上げるのは初めての経験です。前職は弁護士でしたし、営業もマーケティングも、それこそパートナービジネスも何もわからない状態でのスタートでした。
つまり、直販がいいのか、パートナーがいいのか、そもそもがわからない。何が正解かを知らないんです。だから、いただいた機会やすべての可能性を、はじめから否定せずに取り組んできました。
橘さんが「CEOはゴルフをやるべき」と言う理由
桂川 現在契約しているパートナーのうち、定期的な販売実績があるパートナーはどのくらいの割合ですか。
橘 半分くらいです。私たちからのご支援の濃淡はありますが、パートナーに対して販売数のコミットメントは特段設けていません。
2018年ごろまでは、パートナーからいただくすべてのお問い合わせに、私が対応していました。全国規模の大手代理店の3次代理店に会いに地方へ行ったり、パートナーの地元でセミナーを共催したりと、現地に行っていました。皆さんから、さまざまな知見をいただいています。
桂川 事業責任者である橘さんが、パートナーに会うために全国を回っていた。
橘 オンライン商談がまだ浸透していない時期でしたし、クラウドサインの組織も当時10数名という規模でしたから。でも、パートナービジネスは事業責任者、CEOの仕事ですよ。
桂川 オンラインコミュニケーションの広がりもあってか、SaaSの営業は、効率性を重視する傾向にあります。しかし、「パートナービジネスにおいては、対面で話すことが大切」という声を聞くんですよね。
担当者ではなく橘さんが動いていたエピソードを聞き、パートナービジネスの関係構築は「会いに行くこと」がポイントのひとつだと実感しました。
橘 やはり、最初のご挨拶で私がうかがうと、パートナー側も取締役や営業部長などの管理職層の方が出てくださるんです。パートナービジネスは、担当者同士で相談回数を増やしても、案件は動きづらい。トップ同士が握らないと、物事は進みません。
桂川 現在も、パートナーと直接会う機会をつくっているんですか。
橘 四半期に1回、注力パートナーとは直接お会いし、ビジネスレビューをしています。さすがにすべてのパートナーに会うのは難しいですが、パートナーのもとにはよく訪問しています。コロナ禍が落ち着き始めてからは、懇親会も行なっています。
あとは、ゴルフですね。
桂川 ゴルフですか!
橘 信頼するSaaS企業の経営者から「SaaSのスタートアップがパートナービジネスを展開するうえで、ゴルフをプレイしないのはダメだ」と諭され、2022年の12月から本格的に始めました。
そんな私が言うのもなんですが、CEOや事業責任者はゴルフを絶対にやるべきです。
パートナーの経営層からは、「10回の飲み会より1回のゴルフ。10回の商談より、1回のゴルフ」と言われます。そのくらい、ゴルフでは関係構築ができると私も思います。
懇親会ではなかなか会えない方とゴルフをご一緒する機会もありましたし、ゴルフをやって損はありません。
OEMはパートナー営業の「売りたい気持ち」をつくる
桂川 クラウドサインのOEM展開についても教えてください。SMBCクラウドサインをはじめ、NTT東日本の「クラウドサイン for おまかせ はたラクサポート」など、積極的にOEMを進めている背景には、どのような狙いがあるのでしょうか。
橘 OEMは、促進すべきパートナー戦略だと考えています。OEMにより、パートナーのプロダクトとしてクラウドサインに付加価値をつけて販売いただけるのは、非常にありがたいです。
桂川 「“クラウドサインの名前”には、こだわらない」ということでしょうか?
橘 パートナーのサービス名での販売を、避ける方針はありません。クラウドサインの名前があるかないかよりも、クラウドサインの体験を届けることが重要だと考えています。
契約には、必ず相手がいるもの。OEMも含めてクラウドサインを受け取る側は、100%クラウドサインに触れています。その状態をつくることが大切です。
桂川 クラウドサインによるクラウド型電子契約の体験を届けることを優先すると、自社プロダクトかOEMかは、大きな問題ではないという考えなんですね。
橘 はい。一般的にOEMは、パートナーのファーストパーティの商材(自社商材)扱いとなりますし、価格決定権もパートナーにあります。
そこには、初期構築までをセットにして販売したり、カスタマーサポートや運用保守を請け負ったりなど、パートナー独自の付加価値をつけてサービスラインナップを広げられるという自由度があります。
桂川 付加価値で他社と差をつけられますし、そのぶん提案金額も大きくできる。
橘 すると、パートナーの営業にとっても売るモチベーションになるんです。パートナービジネスでは、パートナーの営業インセンティブの中に、自社のプロダクトをどう組み込むか?が重要です。
一般的な代理販売の場合、営業の売上に当たる販売手数料はネット計上で考えます。すると、営業のインセンティブへの影響が小さくなってしまうでしょう。
対して、OEMプロダクトは自社商材ですから、グロス計上になることが多い。インセンティブに大きく響くため、営業のあいだで販売の優先順位が上がるのです。
桂川 パートナービジネスは、パートナーにとってその商品を売る理由がないと、積極的な販売につながりにくいビジネスです。クラウドサインは、OEMでその理由をつくっているわけですね。
橘 ただ、開発が必要なOEMの場合はベンダーとして注意が必要です。開発しても、「期待していたほど売れない」ケースはありえます。開発にかけるコストをどのように考えるかが重要です。開発工数と販売見込みのバランスを、つねに意識する必要があります。
また、パートナー別に機能差をつけるといったOEMのカスタマイズはおすすめしません。なぜなら、保守やメンテナンスが大変ですし、追加機能の開発にも影響が出かねないからです。
桂川 橘さんがクラウドサインの事業責任者として、全体を管轄されているからこそのOEM戦略だなと思います。まさしく、「SaaSのパートナービジネスは事業責任者、CEOの仕事」ですね。
エコシステムの要は、カスタマーサクセスのスキルトランスファー
桂川 クラウドサインでは、2021年4月から、新しいパートナープログラム「CloudSign Partner Network」をスタートしました。パートナープログラムをアップデートした背景を教えてください。
CloudSign Partner Network(2021年4月〜)
出典:弁護士ドットコムプレスリリース
プロダクト連携開発と拡販および、クラウドサインの運用・定着を目指すカスタマーサクセスの支援をいただくパートナー企業(カスタマーエクスペリエンスパートナー)を対象に、認定資格制度やコミュニティ形成など、共創のための支援を提供する。
橘 クラウドサインの成長戦略として、これまで以上に戦略的にパートナービジネスを強化していきたい。その一環として、パートナープログラムをアップデートしました。
桂川 新しいプログラム内容を見ると、カスタマーサクセス(以下、CS)を重視している点が印象的です。
橘 SaaSでは、CSが重要です。今回のパートナープログラムでは、クラウドサインの認定資格制度をつくり、私たちが蓄積してきたCSのノウハウやコンサルティングなどを、パートナーへ共有していく、スキルトランスファーを意識しています。
桂川 プロダクトを売って終わりではなく、パートナー自身がCSまで関わり、継続した支援ができるようになることを想定している。理想的ですが、パートナーからはどのような反応がありますか。
橘 実は、私たちの想像以上に、スキルトランスファーは進んでいます。積極的にクラウドサインの認定資格を取り始めている、大手のパートナーもいます。
これまでは、パートナー経由のお客さまのCSを、クラウドサインが担当するケースが少なくありませんでした。ときには「CSのリソースが足りないから、パートナーもじゅうぶんに販売できない」という状況もあったのです。
理想は、「お客さまのCSをパートナー自身ができるようになること」。その実現を目指して、私たちはCSのナレッジや運用ノウハウを蓄積してきました。
桂川 ベンダーからパートナーへのスキルトランスファーは、お互いにコストもリソースもかかります。そこに、挑戦しようとしているんですね。
橘 パートナーにとっての付加価値をつくりたいんです。パートナーの組織にCSチームがあれば、エンドユーザーのお客さまへ、クラウドサインの導入と、CSとして、運用・定着のコンサルティングサービスをあわせたご提案ができるようになります。
桂川 OEM戦略と同じく、「パートナーの営業が売る理由」をつくれる。
橘
リカーリングモデルといえど、SaaSだけの収益と、1回で数百万円の売上が立つ売り切りプロダクトの収益では、まだまだ差があります。SaaSと付加価値を組み合わせて提案できれば、パートナーの営業も売りやすくなる。インセンティブ構造とプロダクト価値は連動できます。
そこも踏まえて、パートナー自身でクラウドサインの支援体制まで関われる仕組みを整えたいですね。
桂川 パートナーも、CSのスキルが得られることはメリットがあると判断しているんですね。クラウドサインのエコシステムが出来上がりつつあると感じます。
10年先の未来のためなら、非効率な選択もいとわない
桂川 終わりに、今後のクラウドサインのパートナービジネスの展開を教えてください。リリース初期からパートナーの期待値が高かったクラウドサインですが、現在はいかがでしょうか。
橘 「パートナーの先にいるお客さまが、第一想起するプロダクト、サービスであってほしい」という期待を感じます。やはり、お客さまからニーズがなければ売れませんし、顕在市場では認知が第一です。
パートナーの営業がお客さまのもとに10回訪問して、ようやく「そういうことができるんだ」と理解されるようなプロダクトでは売れません。「脱ハンコね。クラウドサインは知ってるよ」という第一想起でなければならないと考えています。
桂川 「強いプロダクトであってほしい」「売れるプロダクトを売りたい」という本質的な期待ですね。では、クラウドサインの組織としては、どのような取り組みをしていく予定ですか。
橘 クラウドサインでパートナービジネスを担当するチームは、パートナーサクセスグループといいます。パートナーをサクセスするチームです。
チームとして掲げているビジョンは、「10年先の未来のために」。これは「10年先のためにパートナーと関係をつくっていくこと」を意味します。
短期的な効率性を重視し、販売に苦戦しているパートナーとは契約を更新しないとか、コミュニケーションを減らすといったことは、絶対にしないと決めました。
「パートナーとの関係構築は中長期で考え、大切にしよう」と社内で認識をそろえています。
桂川 効率性が重視される昨今、他社が選ばない選択ですね。
橘 もしかしたら、数年後に関係が花開くパートナーかもしれないし、違う事業でうまくいく可能性があるパートナーかもしれない。そのような未来を、短期的なビジネス視点で判断し、失うようなことはしないと誓っているんです。
だから、懇親会や週末のゴルフも積極的にやる。営利企業としての成長は当たり前のこととして、さらに非効率だといわれそうな関係づくりにも投資していく。信頼されるパートナーであることが、クラウドサインの1番の戦略です。
そして、「イコールパートナー」の考えも大切にしています。ベンダーとパートナーの間に、上下関係はない。売るほうが偉いとか、プロダクトを持つほうが強いなどはなく、イコールの関係を意識していきたい。パートナーと私たちの間には役割の違いがあるだけです。
才流コンサルタントが要点を解説
誰もが知るクラウドサイン。
セールスフォース・ジャパンや三井住友銀行とのアライアンスから、パートナーとタッグを組んだ地方自治体への導入、OEMまでさまざまなパートナービジネスを展開しています。
クラウドサインのパートナービジネスの根底には、10年先の未来のためにパートナーとの関係構築を大切にしたいという、強い意志がありました。
信頼されるパートナーであることが、クラウドサインの1番の戦略です。
クラウドサイン事業本部長 橘さん
そして、「イコールパートナー」の考えも大切にしています。ベンダーとパートナーの間に、上下関係はない。売るほうが偉いとか、プロダクトを持つほうが強いなどはなく、イコールの関係を意識していきたい。
才流で実施したパートナービジネスの実態調査によると、パートナー営業が特定のプロダクト・サービスの販売に注力する理由は「ベンダー(メーカー)とコミュニケーションしやすい・連携がとれている」ことが最多でした。
パートナービジネスでは、業務提携や合弁会社の設立、販売網の全国展開といったわかりやすい成果に目がいきがちです。
しかしその裏には、担当者だけでなく事業のトップもパートナーと会い、ビジネスレビューや勉強会、懇親会を行なうなどの地道な関係構築があります。コミュニケーションの積み重ねが、パートナー理解につながり、パートナービジネスの成果を生みだすのです。
弁護士ドットコム・クラウドサインの橘さん、ありがとうございました。
(撮影/関口達朗 取材・文/水谷真智子)