「もっと効率的にマーケティング活動を行いたい」「成果につながるアタックリストをつくりたい」
効果的なマーケティング活動に欠かせないのが、顧客が検討するタイミングを把握すること。顧客が検討するタイミングを把握せずに、手当たり次第に施策を実行していても成果は上がりません。
そこで、本記事では顧客が検討するタイミングを見極める方法とマーケティング活動のポイントについて、事例を交えて解説していきます。
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タイミングキャッチの4つのパターン
才流(サイル)では、顧客が検討するタイミングを把握し、効果的なマーケティング、営業活動を推進することを「タイミングキャッチ」と呼んでいます。
似ている考え方「コンペリングイベント」
似ている考え方として「コンペリングイベント」があります。顧客にとっての切実な購買理由を指し、具体例として、リース契約の終了、在庫切れ、新入社員の入社といったものが挙げられます。
タイミングキャッチは、以下のように4つのパターンに整理できます。
購買のタイミングが規則的なのか、不規則なのか、タイミングに関する情報をWebで得られるのか、得られないのかで自社の商品・サービスのパターンを判断します。
縦軸:タイミングが規則的か、不規則か
縦軸は購買タイミングの規則性についてです。
タイミングが規則的
購買のタイミングに規則性が見られるケースです。たとえば、以下のようなものが挙げられます。
- 1年に一度の決算
- 2年に一度実施される診療報酬の改定
- 2年ごとに更新されるオフィスの賃貸契約
- 5年ごとに更新されるコピー機のリース契約
購買のタイミングに規則性がある場合は、毎年、2年ごと、5年ごとといったように定期的にタイミングが訪れます。リードタイムを踏まえ、検討段階の顧客と接触することが重要です。
タイミングが不規則
購買のタイミングに規則性が見られないケースです。たとえば、以下のようなものが挙げられます。
- 法改正
- 資金調達、上場
- 会社設立
- 人事異動、体制変更、退職
- 在庫切れ、トラブル
購買のタイミングが不規則な場合は、いかに早くタイミングの情報をつかむかが重要になります。競合よりも早くタイミングに関する情報をつかみましょう。
横軸:Webで情報収集ができるか、できないか
横軸は、購買のタイミングに関するWebでの情報収集の可不可についてです。
Webで情報収集ができる
購買のタイミングに関する情報は、各社のコーポレートサイトやポータルサイトで収集できることがあります。たとえば、以下のようなケースです。
- 上場企業のコーポレートサイトでIR(決算説明資料や中期経営計画)を閲覧し、今後の投資意向を推測
- 求人ポータルサイトへの出稿状況を踏まえて、採用の意向を推測
- 国税庁に登録された法人番号をもとに、ポータルサイトで新設法人を確認
Web上で公開されている情報は誰でもアクセスできます。競合よりも先に情報を取得し、自社にとって最適な形に整理して、マーケティングや営業の活動につなげましょう。
Webで情報収集ができない
一方、Webで購買のタイミングに関する情報を収集できない場合は、情報の収集・蓄積が競合優位性に寄与します。情報を集める、タイミングがきたときに顧客に見つけてもらえるようにしておくといった準備が非常に大切です。
以上を踏まえ、自社の商品・サービスがどのパターンに当てはまるか確認してみてください。
パターンごとの取り組みの例
もちろん、タイミングキャッチのパターンごとに効果的な施策は異なります。ここからは、各パターンごとに取り組みの例やポイントを解説していきます。
1.タイミングが規則的 × Webで情報が得られる
まずは購買のタイミングが規則的、かつWebでタイミングに関する情報が得られるパターンです。
タイミングの例
- 各社の決算発表
- 企業の決算期(3月に集中)
- 年末調整(12月)
- 新卒採用の解禁(3月、6月)
- 診療報酬の改定(2年に1度)
- オリンピック(4年に1度)
いずれも購買のタイミングが規則的で、かつコーポレートサイトや関連機関のWebサイトでタイミングに関する情報を得ることができます。
取り組みの例
ターゲット顧客を新卒採用の担当者とした場合の取り組みの例を解説します。
上図は新卒採用担当者の一年間のイベントカレンダーです。
たとえば採用サイトは2024年3月の広報の解禁にあわせてオープンする必要があるため、採用サイトの制作を受託したい場合は採用サイトのオープン日から逆算してマーケティングや営業活動を設計する必要があります。
また、オンライン面談や適正検査を実施するような選考支援ツールを売りたい場合には、2024年6月の選考解禁時には導入されていることが必須でしょう。
さらに2024年3月以降の説明会シーズンは、新卒採用担当者は全国を飛び回っているため多忙であり、商談の時間は取りづらいと予測できます。
このように、購買のタイミングが規則的な場合は、ターゲットの活動を整理し、可視化してから自社のマーケティングや営業活動を設計することが大切です。
取り組みのポイント
- ターゲットのイベントスケジュールについて把握する
- Webサイトや公開されている情報をチェックして、ターゲットにイベントが発生する時期を把握する
- イベントカレンダーを作成する
- カレンダーを作成し、ターゲットがいつ、どのような活動をするのかを整理、可視化する
- イベントカレンダーに合わせて接触する
- ターゲットの状況に合わせた情報提供や商談を行う
2.タイミングが規則的 × Webで情報が得られない
続いて、購買のタイミングが規則的で、かつWebではタイミングに関する情報が得られないパターンについて解説します。
タイミングの例
- コピー機や自動車のリース契約(例:5年ごと)
- オフィスの賃貸契約(例:2年ごと)
- 車検(例:2年ごと)
- 製品サポート期間・保証
いずれも購買のタイミングは規則的ですが、タイミングに関する情報はWebでは得られません。Web以外のチャネルでの情報収集が必須となります。
取り組み事例
とある自動車リース会社の事例を紹介します。
同社では、見込み顧客の社有車に貼ってある車検のシールの期間満了日をチェックし、車検の数か月前に接触するといった取り組みをしていました。満了日の少し前から積極的に顧客と接点を設けることで、業績を伸ばしていったのです。
契約の満了日、保守期間やリース期間の終了は典型的なベンダーの切り替え時期。新規顧客を獲得できる大きなチャンスですが、既存顧客に対しても、他のベンダーに流れてしまわないよう、接点を設けて契約の更新を促しましょう。
上で紹介した自動車リース会社も、リプレイス防止とシェア拡大の観点で、既存顧客も手厚くフォローしていました。
ちなみに、複合機には耐久枚数があり、手動の点検で交換のタイミングを把握できます。こちらもタイミングをキャッチする手段のひとつといえます。
取り組みのポイント
- 足を使って情報収集する
- 地道にベンダーの切り替えが発生するタイミングを調べる
- タイミングを見計らい、リプレイスを提案する
- 切り替え時期の少し前から積極的にリプレイスを提案する
- 既存顧客も丁寧にフォローする
- CRMを活用して、既存顧客に対しても接触を実施する
3.タイミングが不規則 × Webで情報が得られる
購買のタイミングが不規則、しかしタイミングに関する情報がWebで得られるパターンについて説明します。
タイミングの例
- 法改正
- 資金調達、上場
- 会社設立
- 採用強化(職種単位でも把握可能)
- 広告の強化
いずれも購買のタイミングは不規則なものの、ニュースサイトや関連サイトなどでタイミングに関する情報が得られます。
取り組み事例
とあるノベルティ制作会社の事例を紹介します。
会社の設立は、国税庁に登録された登録番号をもとに全国法人リストやKaisha List.comのようなサイトで把握できます。
会社の設立直後は何かとノベルティが必要となり、大小さまざまなものを外部の会社に発注します。そこで、とあるノベルティ制作会社では、上記のようなサイトを定期的に閲覧して情報収集し、設立のタイミングに合わせてダイレクトメールを送っています。
また、設立直後だけではなく、他社がやらない「設立1周年」にも注目し、見込み顧客にアプローチしています。設立1周年を迎える前に、サンプルとして1周年記念のペンを作成し、ダイレクトメールに同封するのです。
才流では「勝手納品」と呼んでいる、強力なマーケティング手法のひとつです。
※関連記事:勝手納品
Webで得られる情報をベースに行う活動なので、他社よりも早く、かつ目立つようにアプローチすることが重要です。見込み顧客の情報をいち早くチェックし、即座にアプローチする仕組みを作って運用しましょう。
取り組みのポイント
- 公開情報をいち早くキャッチする
- Webサイトの更新情報を自動で、定期的に検知できる仕組みをつくる
- 即座にアプローチする運用を徹底する
- タイミングをキャッチしたら他社よりも早くアプローチする
- 他社よりも目立つ工夫をする
- 激しい競争のなかでも目に止めてもらえるような工夫をする
4.タイミングが不規則 × Webで情報が得られない
最後に、購買のタイミングが不規則で、かつタイミングに関する情報をWebで得られないパターンについて説明します。最も難易度が高いパターンです。
本パターンの場合は、WPO(Web Presence Optimization)と呼ばれる検索対策、接触数の最大化の2つをしっかりとやりきることが重要です。いずれも顧客が購買のタイミングを迎えたときに、自社を想起してもらうためです。
WPO(Web Presence Optimization)
WPOとは、Web上での自社のプレゼンス(存在)を最適化する考え方。購買のタイミングがきたときに調べるキーワードについて、自社サイトの上位表示だけを狙うのではなく、自社に関連した情報も考慮して対策を行うことを指します。たとえば、他社サイトに掲載されている自社の口コミや説明、インタビュー記事やニュース記事への対策が挙げられます。顧客が検索した際に選ばれる状況をつくっておきましょう。
接触数の最大化
時がきたときに想起してもらう、思い出してもらうために、ユーザーがまだ無関心の段階から、積極的に営業やマーケティングを実施します。自社のハウスリストを最大化し、CRMで管理しながら接触の効率を磨いていきます。
またSIerや代理店など、自社よりも早い段階でタイミングをキャッチできる企業と提携するのも有効です。
タイミングの例
- 工場の新設、設備の新規導入や入れ替え
- 新規事業の始動
- 人事異動、体制変更、退職
- 在庫切れ、トラブル
購買のタイミングに規則性がなく、Webではなかなか情報が得られないものばかりです。
取り組み事例
才流で過去にご支援した産業機器メーカー・エーアイシーテック株式会社さまの事例を紹介します。
同社では、見込み顧客へのインタビューを通して「品質に問題があったときに購買を検討する」というヒントが得られました。そこでトラブル事例をまとめたコンテンツを制作し、公開したのです。
今では月間PV数は10,000、月間5,000ものユーザーからアクセスがある人気コンテンツへと成長し、リード獲得にも貢献しています。
※関連記事:BtoB製造業の企業が、自走できるマーケティング組織に変われた理由。
取り組みのポイント
- WPO(検索対策)の徹底
- 購買キーワードの検索結果で自社情報を露出する
- 接触数の最大化
- 自社ハウスリストの最大化と管理、接触を効率化する
- 顧客の検討タイミング理解の深耕
- 検討のタイミングを理解し、有効な接点を構築する
まとめ
BtoB商材で効率的なマーケティング活動を推進するためには、顧客が検討するタイミングを把握することが重要です。
まずは自社の商品・サービスが4つのパターンのうちのどれに当てはまるかを考え、マーケティングや営業活動を見直してみてください。
才流のBtoBマーケティング支援では、タイミングキャッチに即したマーケティングの設計も実施しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)