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BtoBマーケティング支援

BtoB製造業の企業が、自走できるマーケティング組織に変われた理由。

エーアイシーテック株式会社

https://www.aictech-inc.com/index.html

業種

製造

従業員数

100名〜499名

課題

新規顧客開拓のプロセスを確立したい

写真左から:事業開発部 関本様、石川様、才流コンサルタント岸田、代表取締役社長 市村様(本文中は敬称略)
コンサルタント
岸田 慎平
コンサルタント
黒須 敏行

産業機器向けの大容量コンデンサを国内で製造している、エーアイシーテック株式会社様。2020年、日立化成から会社分割により中国資本の外資系企業へ株式譲渡されました。

社名変更やコロナ禍もあり、「新規顧客開拓方法の見直しが課題だった」と代表の市村様は言います。

才流では、2021年5月から1年半にわたってマーケティングの戦略立案、施策実施の伴走支援を行いました。代表取締役の市村様、マーケティング担当の石川様に、提案内容から成果まで率直な感想を伺いました。

【エーアイシーテック株式会社】

産業機器向けの大容量コンデンサ/1967年創業/従業員数130名(2022年10月時点)

【ご依頼前の課題】

・コロナ禍における新規顧客開拓のプロセスを確立したい

・顧客データが「見える化」されていない

・組織にマーケティングの知識や理解がない

昔ながらの「属人的な営業プロセス」を見直す必要があった

ー営業プロセスの見直しに着手した背景には、どのような課題があったのでしょうか。

市村 当社は2020年に日立化成から離れて、中国資本の外資系企業の傘下に入りました。

新たな親会社とは以前から付き合いがあったので、「日本のことは任せる」と信頼してもらえました。ただ裏を返せば、すべてのことを自分たちでやらなくてはならない状況になったわけです。

才流事例:エーアイシーテック様(製造業)
エーアイシーテック 代表取締役社長  市村 滋朗様

市村 そこで、売上や利益を上げるために、新たな代理店開拓に挑戦したものの苦戦。コンデンサにくわしい代理店はなかなか見つかりませんでした。

そこに追い打ちをかけたのが、コロナ禍です。

これまで、既存顧客のケアはもちろん、新規顧客の開拓も営業任せでやってきました。顧客データはデジタル化できておらず、しっかりと管理・共有もしていない。いわゆる昔ながらの「属人的な営業」だったために、さまざまな弊害があったのです。

新規顧客開拓のプロセスを根本的に見直さなくてはならない。そう考えていたとき、才流の代表栗原さんが執筆された『事例で学ぶ  BtoBマーケティングの戦略と実践』という本に出会ったのです。

「BtoBでもマーケティングを実現する方法があるのか」と気づかされました。

BtoBマーケティングの再現性がある方法論をもとに、新たなマーケティングプロセスを構築すれば、売上や利益を改善できる。書籍を読み進める中で、確信を持ちました。

そこで、才流にご相談をさせてもらったわけです。

エーアイシーテック様 事例
エーアイシーテック様のコンデンサ

自走できるマーケティング組織までの1年6か月

ー才流に依頼してから、実際にどのようなことを行いましたか。

市村 当社側の専任者がいたほうがいいだろうと考え、まずはマーケティングの組織を作りました。

新たな部門なのでコミュニケーションが円滑になるよう、担当者には営業も技術も理解し、海外での駐在経験もある石川を配置しました。国内に限らず、いずれ海外とのやりとりも視野に入れての抜擢です。

岸田 2021年5月から支援をスタートし、1年6か月にわたるプロジェクト。6か月ごとにゴールを置きながら進んできました。

才流事例:エーアイシーテック様(製造業)
才流事例:エーアイシーテック様(製造業)
才流 コンサルタント岸田

岸田 最初の6か月では、戦略立案を行うために顧客や競合の分析。エーアイシーテック様の社内体制、営業の分析なども行いました。ここから得られたインサイトから、誰に、どのチャネルで、どんなメッセージを届けるのか。戦略を立てていきました。

エーアイシーテック様の場合、社名が変わってまもないため、まずは認知のタッチポイントを用意すること。その後に商材の特徴や内容を理解してもらうという順番でマーケティング活動を進めました。

販売プロセスの階段設計/才流事例:エーアイシーテック様(製造業)

岸田 次の6か月では、商談に至るまでのプロセスを見直しました。

コンデンサは最終製品(プレス機などの産業機械)に組み込まれる商材であるため、ターゲットの設定が少し複雑です。

まずはターゲットとすべき最終製品は何かを決め、製品、市場規模、自社の採用実績などを整理し、ターゲットとすべき顧客セグメントを設定しました。

もともと、エーアイシーテック様でも業界を絞った施策は実行されていましたが、情報が残っておらず、どうやってターゲットを絞ったのか、判断した根拠がはっきりしませんでした。

そこで、改めてターゲット設定のロジックを決定し、データベース化しました。

狙うべきターゲット/才流事例:エーアイシーテック様(製造業)

岸田 しかし、ターゲットを絞り、新規顧客開拓を優先的に進めようとチャレンジしましたが、結果的にはうまくいかなかったんです。

そこで展示会やウェブマーケティングからのリード、既存リードに対して重要度が高い顧客を優先的にフォローする方針に切り替え、トークスクリプトの整備やフォロールールの整備に取り組みました。

セグメントに応じた対応優先度と対応方針/BtoBマーケティング才流事例:エーアイシーテック様(製造業)

岸田 最後の6か月は、1年間でPDCAを回してきたマーケティングの取り組みを、全社に展開することに注力しました。社内研修や顧客データを一元管理するCRMの導入、運用ルールの整備やレクチャーなどを行いましたね。

  • 営業部門だけでなく、設計部門や開発部門も顧客視点を持てるようにしたい
  • 顧客の情報は会社の資産として、全社で活用すべき

という考えからです。ほとんどの営業の方が、「過去にCRMを使いこなせなかった」というネガティブな経験を持っていたので、CRM運用マニュアルを作り、運用へのハードルを下げるところからはじめました。設計やルールを強く意識しながら、定着に必要なことも細かくお伝えしてきたと思います。

CRM定着をめざす仕組み/BtoBマーケティング才流事例:エーアイシーテック様(製造業)

見込み顧客の不安をコンテンツで解消し、リード獲得へ

ーユーザーインタビューが、コンテンツづくりのヒントにもなったと伺いました。具体的に教えてください。

岸田 電子部品という商材の特性から、ターゲットはある程度限られますが、実際に顧客がどのタイミングで、どのチャネルから商品を検討するかが見えていませんでした。そこで、見込み顧客(これから購買する可能性がある顧客)にインタビューを行ったんです。

インタビューでわかったのは、大手と中小企業でそれぞれ検討タイミングが違うということ。これをもとに、デジタルマーケティングで狙うか、それ以外のアプローチで開拓するかを決めました。

特に中小企業では、検討タイミングでWebサイトを活用するケースがあると把握できたので、コンテンツの企画に紐づけたんです。中でもトラブル事例に関するコンテンツがヒットしましたね。見込み顧客のインタビューで「品質に問題があったときに検討し直す」という声が出ていたので、それがヒントになりました。

エーアイシーテック様コンテンツ例
トラブル事例に関するコンテンツ。エーアイシーテック様ウェブサイトより

石川 産業機器に使われているため、コンデンサの故障から重大な事故に発展することを機器メーカーは懸念するんです。一方で、コンデンサに関するトラブル事例を積極的に情報公開している企業はありませんでした。

社内で情報を出すべきかの議論はありましたが、「新しい取り組みにチャレンジしよう」と社長に後押しされ、決断しました。

才流事例:エーアイシーテック様(製造業)
エーアイシーテック事業開発部 マーケティング担当 石川様

石川 見込み顧客のインタビューから、ニーズをうまく拾えたと実感しています。今では月間10,000PV、5,000ユーザーからアクセスをいただく人気コンテンツとなっています。

市村 当たり前のことですが、使い方によってはコンデンサも壊れるんですよね(笑)。

今までは商談でも「こんなに良い製品を作りました」ばかりを伝えようとしていたのですが、顧客の視点で不安を解消するのが大事だと気づきました。商談でも、コンデンサの特性をきちんと理解してもらえるよう、丁寧な説明をするようになりました。

才流のプランニングで、8年やめていた展示会にも出展

エーアイシーテック様 事例
エーアイシーテック様 事例

市村 展示会にも出展しましたね。実は、才流から展示会の提案があったとき、最初は反対していたんです。以前も出展していたことがあったんですが、成果につながらなくて。7〜8年前に出展を辞めてしまった過去があったからです。

ただ、今回は展示会に出すこと自体が目的ではなく、そこからの顧客開拓・成果につなげるための手法をご提案いただいたので、改めてトライすることにしたんです。やるならちゃんとやって、成果につなげてくださいと伝えました。

石川 もともと展示会では「会期中に商談を何件設定できるか」という観点で運営していたので、なかなか効果が出ないと判断していました。

今回は「そもそも展示会をして何を達成するのか」という観点をもとに、全体的なプランニングを才流さんに手伝っていただきました。会場設営の事前準備から展示会場でのオペレーション、そしてイベント後のインサイドセールスまで、営業プロセスの一連の流れを作った結果、展示会で目指すゴールに向かって一丸となって動けたと思います。

名刺のデジタル化や展示会の実施を経て、1年ほどでリードを10,000件まで伸ばせた点は非常に大きかったと思います。

才流事例:エーアイシーテック様(製造業)

岸田 定期的に接点を持てるようメールマガジンの配信体制も半年かけて整えました。メールマーケティングをするには「ハウスリストは10,000件欲しい」とお伝えしていたので、マーケティングの土台が作れましたね。

エーアイシーテック様 事例
2年分のメルマガリストを才流が作成。自走する体制をご支援

組織全体にマーケ・営業プロセス改善への意識が向いた

 ープロジェクトを通して、どのような成果がありましたか。

市村 産業機器向けのコンデンサなので、リードタイムが非常に長い商材です。売上が発生するまで平均で1年半、最大3年ほどかかるので、具体的なインパクトはこれからだと考えています。

一方で、マーケティング組織を立ち上げて地道に施策を重ねた結果、新規顧客獲得のプロセスに変化があったこと。それを営業メンバーが体験できたことは大きな成果でした。

新生エーアイシーテックを軌道に乗せるために、トップダウンでマーケティングの推進を行いました。私自身、営業メンバーに取り組みの意義を伝えてはいましたが、現場がついてきてくれるか。実際は不安な部分もあったんです。

そこで、岸田さんには営業の全メンバーとの面談や全社向けの研修もしてもらいました。BtoBマーケティングの方法論をもとに、全社的に「新規顧客獲得のプロセスを変えよう」という雰囲気を作れたことは非常に良かったです。

戦略があり、ペルソナがあり、数字の根拠があるから語れる。全社で共通認識を持ってコミュニケーションができるようになったと感じています。

エーアイシーテック様 事例
エーアイシーテック様が作成した振り返りのスライド
エーアイシーテック様 事例
エーアイシーテック様が作成したメルマガ施策振り返りのスライド

石川 具体的な部分でいうと、デジタルマーケティングの施策をしっかり実施したことで、安定して問い合わせが来るようになったこと。新規のリードとして、サンプル依頼や見積もり依頼をいただけるようになったことは大きな成果だと思います。

リード獲得・メールマーケティングの土台はきちんと作れましたし、パートナーさんに支援していただき、インサイドセールスの座組みも整え、継続的な顧客接点もできました。

また、今までは代理店経由や直販ルートしか想定していませんでしたが、ECサイトへの出品も予想以上の反応がありました。部品の検証用にコンデンサを探している新規顧客との接点として、ECサイトを活用できたのはよかったと思います。

これも顧客インタビューからの発見で、ニーズにこたえる接点を用意できたからこそだと思います。コンデンサの修理需要も掘り起こせて、集客の面を広げられたので満足しています。

才流事例:エーアイシーテック様(製造業)

「BtoBの製造業でも、マーケティングは必要」

 ー最後に、才流の支援を振り返っての総評をお願いします。

石川 岸田さんが部門立ち上げのタイミングで、営業メンバー全員と面談を行って現状把握をしたり、全社向けの研修を行ってくださったり。まさに組織づくりに伴走してもらえたと感じています。

マーケティング組織の立ち上げから体制作りまで。一気通貫で新規顧客獲得のプロセスを作りあげていくノウハウは、製造業であっても通用する普遍的なものだと実感しました。

リモートであってもさまざまなツールを活用して、きちんとスピード感を持ったやりとりができていたので、満足しています。

市村 製造業は古典的な業界です。「マーケティングはBtoBではなく、BtoCの商材向けのもの」という認識を持つ経営者が多い気がしています。どうしても既存顧客は固定化しているので、必要性が認識されにくいんですよね。

ただ、どの企業も新規顧客との接点作りには苦労していると思います。われわれがマーケティングの観点を通して、営業プロセス全体を刷新できたのは才流のおかげです。

「まだBtoBマーケティングに着手していないけれども、今後注力していきたい」と考えている製造業の中小企業には、才流をおすすめしたいですね。

才流事例:エーアイシーテック様(製造業)

岸田 ありがとうございます。1年半のプロジェクトを通して、組織の立ち上げから営業プロセスの浸透を後押しさせてもらい、“数字をベースとしたコミュニケーション”が根付いてきた実感があります。

今後も数字の背後に潜む課題に注力しながら、売上につなげるための施策展開を継続していただきたいと思っています。


本事例をお読みいただいた方に、製造業向けのBtoBマーケティング診断を無料で行っています。自社のマーケティング戦略の方向性を確認したいと考えている方、施策の実行に課題を抱えている方は、以下よりお問い合わせください。

コンサルタント岸田に「製造業に特化したマーケティング戦略立案の支援」の相談をする

(撮影/矢野 拓実 取材・文/奥川 隼彦 編集/安住 久美子)

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