営業パーソンが商談トークの引き出しとして活用できる、顧客事例の集め方や便利なテンプレートをご紹介します。
BtoB企業の顧客事例というと、マーケティング部などが主導でつくる自社サイト掲載用の事例コンテンツをイメージしがちです。しかし、営業パーソンが商談で事例を紹介するときは、掲載された事例コンテンツを読み上げるだけでは信頼を得られません。
商談企業に役立つ事例を素早くピックアップし、背景も理解したうえで紹介できるよう、営業部の主導でつくる、営業部で共有するための顧客事例もまとめることをおすすめします。
本記事では、営業部内での共有を目的とした顧客事例シートのテンプレートをご用意しました。
新人教育にも役立つ構成にしたので、ぜひ部門全体でご活用ください。
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営業部の共有用|顧客事例シート(Googleスプレッドシート)を開く
営業部の共有用|顧客事例シート(Excel)をダウンロードする※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとファイルがダウンロードされます。
営業部内で顧客事例を共有するメリット
目の前の商談で忙しいメンバーは顧客事例をまとめる業務を後回しにしがちですが、マネージャー層はぜひ率先して取り組んでください。顧客事例をまとめ、営業部内で共有するメリットは3つあります。
1.メンバー全員の顧客解像度の向上
営業部全体で顧客事例を集めて共有すれば、自社の顧客が解決するべき課題を網羅的にイメージできるようになります。課題解決に寄与した施策や商材も把握でき、顧客解像度は向上するでしょう。
その結果、顧客が得たい情報を商談で伝えられるようになり、適切な解決案も提示できるようになるはずです。
2.新人メンバーの早期戦力化
顧客事例の把握をオンボーディングの一環にすれば、新人メンバーや若手社員も営業プロセスを体系的に理解できます。
より理解を促進するために、営業部で共有する顧客事例には実績だけでなく、受注に至るまでの商談ステップも記載しましょう。さまざまなケースの顧客課題と対策を想定でき、実際の商談トークで活用しやすくなるからです。
3.共有文化の醸成
顧客事例は、共有文化を醸成する第一歩に役立ちます。
営業部で共有するべき情報は、顧客事例だけではありません。トークスクリプト、営業資料、競合情報など多岐に渡ります。しかし、すべてをいきなり共有しようとすると現場のメンバーに手間がかかり、メリットよりもデメリットが上回ってしまいます。
まずは、営業プロセスを理解できる顧客事例に集中して共有することを継続しましょう。顧客事例であれば、マーケティング部などがつくる自社サイト掲載用の事例コンテンツになる可能性も大きいので、部門間の共有文化まで醸成できます。
顧客事例を集めるポイント
営業部内で顧客事例を集めようとすると、まだ成果が出ていないという理由で顧客事例シートに記載しないメンバーも出てくるでしょう。
しかし、それでは営業部が共有できる事例数も不十分になります。商談では社名を出せずとも、「●●業界の活用事例」「同じ課題を持つ企業の導入事例」というトークも十分に価値があるので積極的に記載してもらいましょう。
記載のハードルを下げるポイントは、顧客事例を成果・活用・導入の3つに分類することです。
成果事例
自社の商材を利用したことで顧客が得られた成果を、明確に表せる事例です。たとえば「受注率が10%増えた」「社員の作業工数を30%削減できた」などがあるでしょう。商談で説明できれば、顧客の強い関心を得られます。
活用事例
明確な成果は出ていなくても、自社の商材を十分に活用している顧客の事例です。プロダクトを提供する企業であれば、使用例を伝えるときに役立つので集めておきたいものです。コンサルティング企業などの無形商材でも、支援内容を説明するときに便利でしょう。
導入事例
どのような企業がどんな背景で商品/サービスを導入しているか、顧客に説明するとき活用できる事例です。有名企業の導入事例は、社名を公表できれば顧客の興味を惹きつけられます。そうでない場合でも、「●●業界のお客さまが導入された背景は〜」という話ができれば顧客に導入イメージを持っていただけるでしょう。
営業部の共有用|顧客事例シートの利用法
それでは、本記事の冒頭でご案内した営業部の共有用|顧客事例シートの利用法を解説します。
1番はじめのタブには一覧を用意しました。各企業の事例へリンクで遷移できる構成です。
各企業の事例はタブでページを分けて、以下の4つの情報を記載しましょう。
基礎情報
まずは企業情報を入力してください。業種や企業規模の近い事例を求められるとき、参考にできます。成果・活用・導入のうち、どの事例でも役立つので、シートの最上段に配置しました。
その次は、自社が提供している商品/サービスの情報も記載しましょう。何らかの成果が出ていれば、基礎情報の最後にある成果も忘れずに。成果創出理由の欄も重要です。「なぜその成果が得られたのか?」という理由を記載してください。
以下のように記載すれば、成果が出た背景もスムーズに顧客へ説明できます。
- 競合の参入障壁が低かったから
- 事業責任者のコミットメントがあったから
- 専任の担当者がいたから
また、この項目はマーケティングやカスタマーサクセスなど他部門にも共有しましょう。新たな市場やニーズを発掘できるヒントになるかもしれません。
受注背景
受注背景は、BANTCH(バントチャンネル)情報を中心に記載します。
※BANTCH:Budget(予算)Authority(決裁者)Needs(ニーズ)Timing(検討時期)Competitor(自社の競合相手)Human resources(人員体制)の略
顧客の予算、ゴール、課題、検討の背景などを記載しておけば、担当者以外の営業パーソンが見ても受注背景を理解できるでしょう。
商談で活用するときも重要な情報となります。成果が出ている企業であれば、ゴール→課題→検討の背景→成果という、顧客の関心をつかむ流れで紹介できます。
さらに、以下の商談ステップを記載すれば、新人のメンバーでも具体的な商談の進め方をイメージできるようになります。
商談ステップ
いつ、誰に、何をしたか記載し、顧客の反応もできる限り書いておくと営業部内で役立ちます。
閲覧者は、以下の視点で見てみると気づきを得やすいでしょう。
- 商談獲得から契約締結までの日数
- 商談の参加者名と役職
- 状況確認やフォロー施策など、商談以外で行った顧客との連絡内容
事例数が増えてくれば商談ステップの中での共通項を発見でき、商談の型もつくれます。
活用方法
最後の「活用方法」は、該当企業の事例を商談で使うときの示唆になります。1つの事例でも成果面、運用面、導入面と複数の視点で活用できるケースがあるので、漏れなく記載して多くのシーンで役立つようにしましょう。
とくに自社商材や顧客理解に乏しい新人メンバーは、ここの情報がないと商談での活用イメージが沸きづらいという懸念があります。マネージャー層やベテランメンバーが率先して記入することを推奨します。
以上が、営業部の共有用|顧客事例シートの解説となります。
事例共有を根付かせるには?
営業部内で顧客事例を共有する重要性は理解していても、そう簡単に共有文化は根付きません。文化を醸成させる3つの方法をお伝えします。
1.明確な運用ルールをつくる
共有文化を形骸化させないために、以下のルールを設けておきましょう。
- 誰が
- いつ
- どのツールやフォーマットを使って
- どれくらいの頻度で情報を更新するか
「誰かが記載するだろう」「明確な成果が出たら記載しよう」「お客さまが商品を使いこなされたら事例としてカウントできるだろう」など、人それぞれ異なる更新ルールになっていては、事例が集まらず文化が根付きません。
最低でも四半期(3か月)に一度は営業パーソン全員で顧客事例の作成と情報更新を行い、自身が担当していない事例を閲覧する時間をつくりましょう。
2.評価制度に組み込み、インセンティブ制度をもうける
あるベンチャー企業では、営業パーソンの人事評価に事例の創出という項目を追加したところ、社内の事例が量産されました。評価項目の追加は簡単ではないかもしれませんが、顧客事例を増やして商談力を向上していくためには有効な手段といえるでしょう。
とくに社歴の長いベテランメンバーは事例共有で受けるメリットより、発信する手間のほうが大きくなりがちです。成果、活用、導入それぞれの事例創出に対して評価ポイントを付与するといった仕組みづくりが大事になります。
3.マネージャーが率先して取り組む
影響力の大きいマネージャー層が率先して取り組むことも重要です。マネージャーになる方は商談経験が豊富で、さまざまな事例が知識としてあることでしょう。率先してメンバーに事例を共有すれば、部門全体の活性化につながるはずです。
最も悪いケースは、マネージャーが指示だけ出してメンバーに任せきりになってしまうこと。まずはマネージャーが自ら率先して、事例の共有に取り組みましょう。
まとめ
事例は、商談の成否を分ける重要なコンテンツです。新人からベテランまで、すべての営業パーソンが使えるよう整理しておき、営業部門の活性化につなげてください。
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