1940年の創業以来、ハンドラベラーや熱転写方式バーコードプリンタなど世界初のイノベーションを起こしてきたサトーグループ。中でも、医療機関へのハードウェア商品の販売や、医療従事者の働く環境改善、患者のQOL向上に貢献するソリューションを提供しているのがサトーヘルスケア株式会社様です。
同社では2020年、コロナ禍をきっかけにマーケティング施策全般の見直しに着手。「独学で進めてきたマーケティング施策の体系化と、成果を出すために必要なコンテンツの洗い出しをしたい」と、才流(サイル)にご相談をいただきました。
才流では2021年11月から支援をスタート。マーケティングチームの責任者である友澤様、佐藤様、4月からチームを率いている松山様に、才流の支援で得られた成果や率直な感想を伺いました。
サトーヘルスケア株式会社
リテール、自動車、電機・電子部品など幅広いソリューションで、現場の課題を解決してきたサトーホールディングス内で、ヘルスケア領域を担う/2014年創業/従業員数63名(2022年3月31日時点)
【ご依頼前の課題】
- 手探りで行っているマーケティング施策を、確信を持って進めたい
- ナーチャリングのためのコンテンツを作りたい
- BtoBマーケティングの知見やノウハウが不足していた
「自社のマーケティング施策を総点検したい」
ー 才流に依頼する前のBtoBマーケティングの状況について教えてください。
友澤 サトーヘルスケアは、サトーグループにおけるヘルスケア事業の統括会社として2014年に設立された会社です。
これまでマーケティング活動といえば展示会への出展がメインでした。デジタルを活用したBtoBマーケティングは、ほぼ行われていない状況だったのです。
しかしコロナ禍で、展示会の開催や対面での営業活動が制限されるようになりました。新規取引先の獲得が難しくなり、何とかお客様と会わずに接点を持てないかとウェビナーを企画・開催することにしたのです。
場当たり的でもいいから、まずはやってみようと試行錯誤を重ねて。ウェビナーで商談をつくれるようにはなりました。
ただ今度は、すぐに商談や受注にはつながらない見込み顧客をフォローできていないという課題が浮彫りになった。そこで2020年にインサイドセールスのチームを立ち上げることにしたのです。
早期にBtoBマーケティングを推進できる体制を築きたいと必死でした。
見込み顧客に刺さるコンテンツを模索していた
ー なぜ、外部のBtoBマーケティング支援会社にコンサルティングを依頼しようと思われたのですか。
友澤 試行錯誤の末、インサイドセールスのチームを立ち上げ、ホットリードもとれるようになり、一定の成果を出せるようになりました。
しかし始めたばかりで、見込み顧客に提供できるコンテンツ量はそもそも少ない状態。メソッドを持っていない私たちだけで、2回、3回と見込み顧客にアプローチできるコンテンツを考えるのは難しいだろうと思っていたんです。
また、私自身展示会への出展経験が長く、営業戦略を立てても、それをどうデジタルに置き換えればいいのか手探りでした。
私たちの取り組みが果たして正解なのか。抜け漏れはないのか。プロの目で“総点検”してほしいという思いがありました。
ー 才流以外に比較検討された会社はありましたか。才流に依頼した決め手は何だったのでしょうか。
友澤 親会社であるサトーと取引実績があり、社名を知っていた才流と、もう1社で比較検討しました。
才流は、サイト上でBtoBマーケティング関連のメソッドを、誰もが見られるようにオープンにされていますよね。個人情報を入力しなければ記事を見られない企業もある中で、このスタンスには、個人的にも好感が持てました。
最終的なジャッジは、当社代表の橋本が行ったのですが、2社によるプレゼンテーションが行われる前から「才流に決まるだろう」という予感はありました。
というのも、才流の担当者は、プレゼンの前にたくさんの質問をしてくれたんです。当社のことを知ろうとさまざまな問いかけをし、ディスカッションをして、目線合わせをしてくれた。
プレゼンテーションが始まる前に、すでにサトーヘルスケアについて十分な理解を得ていたわけです。この姿勢が、最終的に精度の高い提案につながったのだろうと思います。
顧客解像度が高まり、コンテンツ制作の現状や課題が明確に
ー 才流はどのような支援を行いましたか。
藤原 今回のプロジェクトのゴールは、「ナーチャリングプロセスにおけるマーケティング活動で、自走できる体制を構築すること」としました。
サトーヘルスケア様が手がけていらっしゃるヘルスケア領域は広く、顧客層も多岐にわたります。そこで改めて、丁寧に競合調査や顧客理解を深めるためのインタビューを行いました。 ターゲットの購買プロセスはどうなっているのか、どのようなコミュニケーションをとればいいのか。分析をもとに、戦略を立てていきました。
友澤 才流は、顧客層を「潜在層・準顕在層・顕在層・明確層」の4つに分類していましたよね。
ご提案を受ける中で、私たちがこれまでつくってきたコンテンツはすべて「明確層向け」だったんだと気づいたんです。
自分自身が対面で営業活動を行っているときには感覚で対応していたものを、一つ一つ言語化していく必要があると感じました。
たとえば課題が明確になっている層にはソリューションの説明をすればいいわけですが、そもそも課題を認識していない層に同じ説明をしても刺さらないわけです。
言われてみれば当然なのですが、正直なところ、見込み顧客の層によってコンテンツを切り分けることはやってこなかった。「コンテンツって、こんなふうに考えてつくるんだ」というのは純粋な学びでした。
桂川 友澤様からは「インサイドセールスやウェビナーの型をつくりたい」というご要望もいただいていました。
そこで、今回のプロジェクトではインプットの場も多く設けさせていただきました。見込み顧客に配信されているメールやウェビナーの告知文面を細かく見させてもらったり、リード管理やコンテンツマーケティングなどインサイドセールスにかかわる勉強会を、複数回開催したりしました。
佐藤 勉強会は、3カ月で計4回も開催してくださいましたよね。
一つひとつ学びになったのは当然ながら、グループ全体での相乗効果もありました。親会社であるサトーのマーケティングチームにも声をかけて、一緒に参加してもらったんです。
ウェビナーの企画自体は私たちで立てているのですが、現状では、告知や当日の運営、その後のリード管理はサトー本社が行っています。ですから、才流からの学びを当社だけで抱え込むのではなく、本社のマーケティングチームにもどんどん伝えていこうと。
おかげで、グループ全体でのインプットの場となり、好循環やより良い連携が生まれた気がします。
自走できるインサイドセールスの体制構築を実現
ー 今回のプロジェクトで得た成果を教えてください。
友澤 これまで手探りで進めてきたインサイドセールスが大きく変わっていく手応えを感じています。どのようなコンテンツをつくり、どう届けていけばいいのか。何よりもまず、私たちがやるべきことが明確になりました。
才流が提案してくださるアウトプットって、いつもシンプルなんです。それは単純という意味ではなく、考え抜かれ、余計なものが取り除かれたもの。ブラッシュアップし尽くしたシンプルさです。
スピーディーにインサイドセールスの最適解を知りたいと思っていた、私たちのニーズに応えてくれるものでした。
また、本社の協力を得ながら開催してきたウェビナーも、自社だけで企画から告知、配信まで完遂できる体制ができあがりつつあります。自立自走できると思えたのは才流の支援のおかげです。今後はウェビナーの回数も増やし、よりスピード感を持って取り組んでいきたいと考えています。
実は今年2月にBtoBマーケティングの経験者である松山が入社しました。4月からはチームの責任者を任せています。いい形で、松山にバトンパスできたことも非常に良かったです。
松山 才流からの支援のおかげで、私自身はコンテンツ制作に注力でき、Webサイトやホワイトペーパー、動画など、年間40くらいのコンテンツを生み出せる見通しが立っています。 昨年の制作実績が6~7くらいですから、その差は歴然ですよね。有益なコンテンツをスピーディーにつくれる体制を築けたのも、支援の成果です。
「過剰に期待値をあげない。真摯な姿勢が信頼できる」
ー コンサルタントとのコミュニケーションはいかがでしたか。
佐藤 藤原さんと桂川さんには、気になったことをその都度、チャットで相談しています。どんな質問にも丁寧にフィードバックをしてくださるので、いつも助けられていますね。
松山 守備範囲が広いというのが、お二人に共通する印象です。得意領域を持ちつつも、BtoBマーケティング全般を網羅されているんだなと感じます。あと、藤原さんはチャットの返信が異常にはやいです(笑)。
個人的に好印象だったのは、お二人とも過剰に期待値を上げるような発言をしないこと。
「インサイドセールスに特化すれば、これだけホットになります」とか煽るようなことは言いません。だからこそ、Webサイトからの流入でどれだけリードを獲得できるかといった目標数値の議論ではなく、当初からインサイドセールス向けの本質的なコンテンツづくりに力を注げたのだと思います。
過剰な演出をしないことでかえって信頼できましたし、真摯な対応だなといつも感じていました。
ー 最後に、才流のコンサルティングはどのような会社に合うと思いますか。
友澤 私たちのような製造業の企業は、対面でのセールスが強く、マーケティングに注力できていない企業がまだまだ多いと感じます。
BtoBの中でも、製造業はマーケティングの難易度が高いイメージがありますが、製造業においても才流メソッドは十分通用すると今回実感できました。同業界の方々に、おすすめしたいです。
松山 コンサルティングの役割って、ゼロから戦略や施策を“つくっていく”動きと、すでに在るものに“最適化させる”動きの2つの側面があると思うんです。才流の場合は、その両方ができる印象があります。
“最適化”という視点でいうと、大手企業やホールディングスなど、さまざまな部門が独立して存在している組織では、才流のように全体を俯瞰で見てくれる存在は貴重です。マーケティングを目指す方向にシフトさせていく舵取りも担ってくれますから。
私たちもBtoBマーケティングを推進していくための土台ができつつありますが、同時にリソースの不足など、課題も明確になってきました。才流には引き続き、私たちに足りていない部分を補いながら、伴走支援していただきたいです。
(撮影/矢野 拓実 取材・文/猪俣 奈央子 編集/安住 久美子、前田 絵理、森 駿介)