DOER Night第1回で登壇したガイアックス ソーシャルメディアマーケティング事業部・事業部長である管大輔氏が語った、驚異的なアウトソーシング活用術。後半では、アウトソーシング先との関係性の作り方についてより深掘りした。
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要件定義のうまさより、関係性。
栗原 そこまで細かい指示を出さずに業務を依頼しているようですが、うまく意思をくんでくれる人が、『HELP YOU』には居るってことですか?
管 そうですね。ただ、別の部署の人間に同じ方が担当でついたんですけど、その人間は「全然活用できなかった」って言っていました。「関係性ってすごく大事なんだな」と思いましたね。
栗原 要件定義のうまさより、関係性が大事だと。
管 そう思います。『HELP YOU』の人と話したのは、話を聞きづらい人がいると。依頼がしっかりしていて突っ込みどころがない、けれど「これでわかるよね、あとはお願い」という感じで来られるから、違和感があっても聞きづらい。それでいて、戻しがすごく多かったりする。「違和感あったら言ってください」と気づかいをするだけでも、全然違うと思うんです。依頼にかかる時間を短縮しようとして関係性を作らずやってると、結果的に時間がかかるしクオリティも落ちます。
あとは、『HELP YOU』のアシスタントさんはほとんどが女性で、お子さんがいらっしゃる方が多いです。女性なので感情面のコミュニケーションに敏感な方が多く、テキストで「。」や「!」がないと「怒ってる」や「冷たい方なのかも・・?」と思われたりします。
栗原 向こうは会ったことがないからそう思うと。
管 そういうこともあるんだな、というのは発見でしたね。
コア業務に集中した結果、1人あたり売上高は1.6倍に
栗原 人件費の面でも、『HELP YOU』を使う方がコストパフォーマンスは高いのですか?
管 そうですね。このあいだ計算したんですけど、1人あたりの売上金額はここ2年で1.6倍になっていました。自分たちのコア業務に集中できるようになった結果ですね。
栗原 逆に、課題感やデメリットはありますか?
管 難しさは関係性を作ること、どんな業務を依頼しやすいか見極めることです。その難しさを乗り越えれば、メリットは大きいですね。
栗原 大久保さんは、部署内で使っててどうですか?
(大久保 亮佑氏:ガイアックス・ソーシャルメディアマーケティング事業部 副部長)
大久保 すごく便利ですね。現在は、記事作成前の事例調査も依頼してます。例えば、LINE公式アカウントは、企業側がどういうメッセージを送ったかデータ取得できないんです。そこで『HELP YOU』の方にLINEアカウントの友達になってもらって、「何日にどんなことが送られたのか」の全データを取ってもらったり。
栗原 それを提案に活かすわけですね。
大久保 そうです。記事のリライトでも編集者さんにお願いし、足りない情報を集めてきて段落ごとにコンテンツを書いてもらったり、部分的なリライトを依頼しています。
「僕らはどこでお金をもらっているのか」をすごく意識するようになりました。
管 今は新規事業立ち上げに際し、フリーランスの方と組んで、いかに社内リソースを使わず新規事業を立ち上げられるかをトライしています。
その方は、Twitterで見つけました。その人の仕事全体の中でも、ガイアックスの序列を高くすることを大事にしています。例えば、フリーランスの方にとっては固定収入のあるなしは重要ですよね。なので、「半年間、何があっても毎月15万円払います」と伝えました。
栗原 そういうコミュニケーションの妙は、やりながら覚えるんですか?
管 試行錯誤を重ねた結果です。最大限にパフォーマンスを発揮してほしいので。フリーの方はいろいろ大変なので、「何がきついですか」「他企業と仕事して嫌だったことはありますか」とか、ヒアリングして不安を片っ端から潰しました。
経済的な負担をケアした上で、本人がどんな仕事をやりたいか聞いて、案件が取れたら連絡したり、繋がりたい人を紹介したり。他にも、フリーランスの方を事業部の食事会に無料で招いています。そういう形で、なるべく関わりやすい環境を整えています。
栗原 どの業務なら発注できるか、などの見極めは答えがあるんですか?
管 業務のプロセスの言語化を、逃げずにやることが大事だと思います。1から10まで言語化できれば、「5まではいけるね」「6は無理だね」とか調整ができますから。
例えば「提案書の作成には、どんな業務が発生するのか」をホワイトボードに書き出したことがあります。打ち合わせでどのポイントを聞き、骨子に落とし、社内で相談する、みたいなプロセスですよね。「ここは『HELP YOU』に依頼できそうだね」と話しあって、「ここは全部やれますか」「ここはトライしてみましょう」という感じでやりとりしています。
栗原 「ここは正社員メンバーがやるべき」というものは、言語化されていますか?
管 そうですね、「僕らはどこでお金をもらっているのか」はすごく意識するようになりました。例えば、提案の骨子の作成は当然そうです、僕らはマーケティングの支援でお金をもらっているので。「自分の強み、価値を高めるためにこういう施策をやっているんだよ」ということは浸透していると思います。
栗原 アウトソーシングって下請け感がありますけど、聞いていると先方を下請けと見ている感じがしないですね。
管 「下請けとは絶対見ないように」ということは徹底しています。あちら側の強みを、お願いしている感覚ですから。
栗原 その意識は大事そうですね。管さん、今日はお忙しい中、ありがとうございました。
(聞き手/栗原 康太 株式会社才流 代表取締役社長 編集/澤山 大輔)