謎解きや宝探しゲームなどの「あそび」で社会課題を解決する「あそび総合カンパニー」として、企業・自治体の研修やチームビルディング、体験型イベントなどを手がける株式会社IKUSA 様。現在は90種類以上のサービスを展開し、年間1,000件以上のイベントを開催しています。
才流(サイル)は、6か月間にわたり、IKUSA様の7つのサービスサイトの改善をはじめ、マーケティングおよび広報戦略の施策立案から実行までを支援しました。
才流のコンサルティングによって得られた成果について、同社代表取締役の赤坂さんにお話を伺いました。
独自のWebマーケティングに限界を感じていた
—IKUSA様はどのような課題をお持ちだったのでしょうか。
赤坂 当社は体験型イベントや研修を支援しています。一般的な研修支援サービスではなく、ゲーム性やエンタメ性が強い、特殊な商材であるため、独自のWebマーケティングを行っていました。
10年間でそれなりに成果は出ていたのですが、さらなる成長のためには外部の知見を組織に取り込む必要性を感じていました。
そこで、他社からオウンドメディア運営やSEOなどの支援を約1年間受けたのち、事業全体を総合的に見ていただこうと思い、才流に相談しました。
赤坂 才流は以前からSNSや書籍を通じて知っており、コンテンツも当社の社員教育の参考にしていました。
—最終的に才流を選択した決め手は何だったのでしょうか。
赤坂 提案の内容が良かったからです。初回商談のときに、私たちからは「Webマーケティングで認知や研修カテゴリーの第一想起を獲得したい」とお話しました。
才流からの提案は、フィールドセールスとインサイドセールスの連携の仕方など、Webマーケティング以外の内容も含まれていたので、とても好印象でした。
Webサイト改善から広報、セールスまで、すべての分野で答えを出してくれた
—今回のプロジェクトでは、どのような取り組みをされたのですか?
桂川 大きく2つあります。ひとつはサービスサイトのCVR(コンバージョン率)改善。もうひとつが「あそぶ社員研修」というカテゴリーでの第一想起の獲得です。
ご支援した期間は6か月で、最初の3か月間はマーケティング戦略の立案とサービスサイトのCVR改善をメインに取り組みました。後半の3か月間は「あそぶ社員研修」で第一想起を獲得するためのストーリー戦略と、広報の育成に注力しました。
桂川 今回のプロジェクトで、対象となるサービスサイトは7つありました。この数のサービスサイトを見るというのは才流でも前例がなかったので、最大の成果を出すためにはどのように進めていくのがよいのかを社内で議論を重ねながら考えました。
—プロジェクトを進めるなかで、印象に残っているエピソードはありますか?
赤坂 疑問や相談に対して、すぐに対応してくださることです。メッセージでのやり取りだけでなく、「この施策大丈夫かな」と不安を感じているときは、すぐにオンラインのミーティングを設けてくださり、ありがたかったです。
施策を実施する理由があやふやだと、ふりかえったときに「話が違うよね」となりがちですよね。しかし、今回は疑問点があればすぐに才流に相談できる体制があったので、違和感をそのままにせず、納得感を持って施策に取り組めました。
Webサイトの改善から広報、セールスと幅広く支援してもらいましたが、すべての分野できちんとした答えを出してくれたという印象ですね。
プロジェクトで意識したのはスピード感
赤坂 今回のプロジェクトはスピード感をもって進められたのもよかったですね。「あれはどうですか」「こっちはどうですか」と問い合わせをすると、才流は何をいつまでにやればよいのかを明確にして、素早く臨機応変に対応してくださいました。
—才流では、今回のプロジェクトで印象に残っていることはありますか?
桂川 今でも忘れられないのが、定例ミーティング中に赤坂さんと担当の方何名かがChatWorkで次のアクションを起こしていたことです。
コンサルタントとして関わらせてもらう場合、自分たちばかりが早くやっても意味がないですし、相手に合わせてしまってもダメ。少しリードするくらいがベストかなと思っていますが、IKUSAさんは尋常じゃないスピード感だったので、それに合わせました。
たとえば、通常のコンサルティングでは、毎週の定例で進捗などを確認していますが、IKUSAさんの場合は定例を待たずに、随時施策を進めることを意識しましたね。
赤坂 施策の優先順位付けを桂川さん、政次さんのおふたりにしてもらったのもよかったです。「これは今やるべきことじゃないですね」「これは大事なんで早急に担当者と個別でミーティングを組みましょう」などのアドバイスをいただきました。
才流に支援していただいていた半年間で、メンバーの事業に対する視野は広がりました。才流のおふたりは教師的な存在だったと感じています。
Webマーケティングに関しては、チームとしてやるべきことが分業化されて、打ち手を増やすことができたのも良かったですね。
イベント現場に行ってサービス理解を深めた
—そのほかに、今回のプロジェクトで意識されたことはありますか?
桂川 コンサルティングをするうえで、お客さまのサービスを深く知ることは欠かせません。IKUSAさんのサービスは、体験型ですから、ヒアリングをしたり、資料を読んだりするだけでなく、実際に私達もイベント研修の現場にうかがい、サービスの良さを体感しました。
赤坂 そこまでしていただけるのはすごいなと思って。なかなかイベントへ来てくれるコンサルタントの方っていませんよね。
桂川 たとえば、IKUSAさんの強みである「ファシリテートの手厚さ」や「サポートスタッフの多さ」は現場に行かないとわからないですよね。実際に現場にいくと、一つひとつのグループに対して多くのスタッフがきめ細かくフォローされていて、ユーザー満足度が95%以上なのも納得しました。
また、イベント終了後にスタッフ全員で振り返りミーティングをされていたのも印象的でした。フィードバックをリーダーがメモして社内にすぐに共有する。年間1,000件以上の研修・イベントの実施に加え、フィードバック文化もある。この強みを前面に出して訴求すべきだと思いました。
政次 私はIKUSAさんのメインコンテンツである「チャンバラ合戦」を大阪のハーベストの丘で開催されていたときに見に行ったことがあるんです。
ビジネス向けではなく、一般向けのイベントでしたが、子どもたちが集まり、参加希望の方が大勢並んでいました。イベントも盛り上がり、IKUSAさんスタッフの皆さんの熱量を感じましたね。
サービスサイト全体のCV数は1.5倍アップ
—今回のプロジェクトでは、どのような成果がありましたか?
赤坂 才流に支援いただく前の2023年2月と、プロジェクト終了後の2023年10月で比較するとサイト全体のCV数は151%(1.5倍)にアップしました。とくに、フードデリバリーサービスの「ビジメシ」のCV数は才流支援前に比べて671%と大幅にアップしました。
月平均のCV数は前年比でサイト全体が134%、ビジメシが375%としっかり成果を出していただきました。これだけの成果が出ているというのは、才流のお力が大きかったですし、社員の頑張りもあったと思います。
—売上の変化はどうでしたか?
赤坂 売上は前年比110%ですが、受注数は大きく伸びていて、昨年の受注ベースを越えています。創業以来、初めてのことですね。
—「あそぶ社員研修」で第一想起を獲得するまでのストーリー設計は、どのように進めましたか?
桂川 「あそぶ社員研修」は企業研修の新しい概念であり、市場を創る立場です。市場を創るために、まずは「あそぶ社員研修とは何か」を定義し、「どのような認識変化を起こせば想起が取れるか」という問いから始めました。
毎週ディスカッションしながら、約1か月かけて「いい研修」の定義や認識変化のプロセスを言語化し、施策に落とし込みました。
桂川 想起を獲得するための施策は、リード獲得型のマーケティング施策とはまったく異なります。すぐに成果につながるものではないので、最終報告では「覚悟を決めて、熱意を持って、3年間取り組みましょう」とお伝えしました。
営業チームのKPIに対する考え方が変わった
—プロジェクトの後半ではセールス向けの勉強会も開催しましたが、どのような内容だったのですか?
政次 セールス向けの勉強会は全部で4回ほど開催しました。最初の研修は「営業組織における月次KPIの管理の考え方」がテーマでしたね。
オンラインでの研修なので、みなさんにはチャットで感想や疑問をいただくのですが、「これあるな」「誰かやらないといけないね」と反応が活発だったのが印象的でした。
赤坂 営業の仕事はほかの部署からは理解されない部分があると思うのですが、勉強会をやっていただいたことで、社内のみんながセールスについて深く知ることができました。おかげさまで営業チームのKPIに関する考え方はかなり変わったと思います。
—最後に、才流はどんな会社にフィットすると思いますか?
赤坂 すでに顕在化した課題があるか、課題が顕在化していないことをまずいと思っていて、担当者と経営者が自社のサービスや事業に対して、やる気がある会社ではないでしょうか。
やる気がある担当者といっても、自分で手を動かしますという人じゃないと意味がないと思っています。いるじゃないですか、「私が言って聞かせます」みたいな。各担当者に落としておきますからって(笑)。そういうのはダメだと思います。
桂川 会社ごとに課題感は違うので、そこは汲み取っていきますが、唯一変えられないのが担当者や経営者、責任者の方のモチベーションと自責思考です。モチベーションがなかったり他責思考だと成果に繋げる難易度は上がりますね。
赤坂 また、事業について幅広い視点からアドバイス、支援してほしい会社にも向いていると思います。
才流の支援は、Webマーケティングによって単にコンバージョン数を増やすための施策を行うというものではありません。「ユーザー体験としてどう届けるのか」という視点を大事にしているので、Webマーケティング以外からのアプローチもご提案いただけたのが本当にありがたかったです。
自社のサービスに対して熱い想いがあって、情報をきちんと共有できる人がいれば才流はすごく活かせると思いますし、いい結果が出るんじゃないかなと思います。
(撮影/植田 翔 取材・執筆・編集/三浦一紀 )
今回は、取材時に同席されなかった方からもコメントをいただいております。ご協力ありがとうございました。
取締役 元親さん
セールスからWebマーケテイングまで全方位でアドバイスをいただき、会社として価値が上がるご提案をしていただけました。
セールスマネージャー 高虎さん
才流は、私たち以上にIKUSAのことを調べてくださり、社内の人間だけでは気づかなかった点が明らかになりました。才流のBtoBマーケティングのメソッドをベースとしたコンサルティングなので、日々のアドバイスにも確信が持てました。
フードエンターテインメント事業部 プロジェクトリーダー 鶴原さん
才流の支援を受けてから要所要所でユーザーインタビューを行うようになり、顧客の声をとても大事にするようになりました。
菊地さん
成果はたくさんありますが、一つ挙げるとすれば会社の組織全体が勢いづいたことです。ご提案がいつも明瞭で資料もわかりやすいので、マーケ全体がすぐに動くことができ、インターン生も簡単に理解して実作業に取り組めるようになりました。