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新規事業における競合分析のメソッド/進め方【テンプレート付き】

新規事業開発
コンサルタント
山本 瑞人

本記事では、新規事業における競合分析の手順を解説しています。競合分析に使えるExcelテンプレートも用意していますので、あわせてご活用ください。

新規事業の競合分析テンプレート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。

手順

新規事業の競合分析はどのように進めるとよいのでしょうか。才流(サイル)が作成した「新規事業の競合分析テンプレート」に沿って手順を解説します。

  • 01 目的を明確にする

    競合分析は、やみくもに範囲を広げすぎると膨大な調査コストがかかります。まずは自社の新規事業のフェーズと目的を確認し、ゴールに直結するように範囲を絞りましょう。

    調査に着手する前に、チームメンバーや上司と、今回の分析で得たい成果(目的)をすり合わせておくと安心です。

    以下に、新規事業のフェーズごとの競合分析の目的、分析のポイント、主な調査項目をまとめましたので、ご参照ください。

    事業アイデアの発見フェーズ

    競合分析の目的・類似サービスやソリューションの有無を確認し、 新規事業の「新規性」を大まか
     に把握する
    ・既存プレイヤーがどのような顧客課題を解決しているかを参考にし、自社の解決
     すべき課題設定を明確にする
    ・「どの顧客層・どの課題・ニーズにアプローチするか?」を検討する際の初期仮説
     を補強する
    ポイント・徹底的な深掘りよりも「競合の存在をざっくり把握」することが主目的
    ・あくまで自社の事業アイデアの実現可能性や市場ポテンシャルを
     見極めるために行う
    主な調査項目製品・サービスの概要、ターゲット顧客像(企業規模、業種など)、
    解決している課題・ニーズ

    事業アイデアの具体化フェーズ

    競合分析の目的・競合の強み・弱みを明確にし、「自社ならではの差別化要素」を洗い出す
    ・競合のサービス仕様・機能・価格を概観し、 自社のソリューションコンセプトと
     比較検証する
    ・ターゲット顧客層・価格帯・提供形態の方向性を定める参考データにする
    ポイント
    ・競合分析で得た学びを、PoC(概念検証)や試作品に反映させために行う
    ・競合分析結果を基に、「自社ならではのソリューションコンセプトは何か?」を
     問い直すと効果的
    主な調査項目製品・サービスの特徴、機能比較、収益モデル・価格

    事業化・拡大フェーズ

    競合分析の目的・競合と比較してサービス品質や提供価値を評価し、自社を選ぶ理由
    (バリュープロポジション)を客観的に検証する
    ・価格設定や導入ハードルなどについて、顧客視点で競合と比較評価し、
     PMF達成に向けた最適化を図る
    ・競合のマーケティング戦略や営業手法、提携関係を調べ、自社の拡大戦略
    (大量集客、ブランド戦略など)を検討する
    ポイント・「LTV(顧客生涯価値)」「CAC(顧客獲得単価)」「解約率」などの数字と照らし
     合わせると、より客観的な分析が可能
    ・価格競争やブランド力の差が出やすいフェーズなので、中長期の競争優位の確立を
     意識した分析が重要
    主な調査項目販売チャネル、プロモーション手法、メインメッセージ・タグライン、LTV・CAC

  • 02 主要プレイヤーを洗い出す

    次に、自社の競合となる主要プレイヤーを洗い出します。競合分析テンプレートでは、5社分を記入できるようにしています。生成AI、Web検索、業界本などを活用して競合を洗い出し、チーム内で抜け漏れがないか確認しましょう。

    複数の業界に競合が存在する場合は、まず業界構造を整理することをおすすめします。主要プレイヤーの洗い出しは、生成AIを活用すると効率的に行えます。

    (例)生成AIで競合の洗い出しを行うプロンプト

    # あなたはBtoBの市場調査アナリストです。2025年4月時点の最新・信頼性の高い公開情報を使い、ファクトベースで回答してください。

    # 目的後述する新規事業のアイデアに対し

    1. 直接競合(同じアプローチで同じ課題を解決)

    2. 間接競合(異なるアプローチで同じ課題を解決)

    3. 価値競合(ユーザーが同じニーズを別カテゴリで満たす代替手段)

    を特定し、比較表に整理する。

    # タスク

    1. 後述する新規事業のアイデアを1文で要約(顧客課題+提供価値)

    2. 上記 3 種類の競合を最大各5つずつ抽出

    3. 抽出基準:市場規模・成長性・メディア露出の大きい順に優先

    4. 根拠となる URL(公式サイト / IR / ニュース)を各社 1~2件示す

    # 出力形式(Markdown テーブル)

    | 企業・サービス名 | 本社国/地域 | ビジネスモデル概要 | 主な顧客セグメント | 差別化ポイント | 最新トピック (23年〜) | 競合タイプ (直接/間接/価値) | 情報ソースURL |

    – URL は[]内に番号を付け、表の後に一覧を列挙- 数字は西暦+単位を明記(例:売上 2024年 ¥4.2B)

    – 可能なら日本語ソースを優先し、なければ英語ソースで補完


    # 制約

    – 想定外の分野が出てきた場合は「─」と記入し飛ばす

    – 回答は日本語、簡潔かつ論理的に

    – 表の後に「さらに深掘りしたい場合は」と一文で再質問例を提案

    – 日本の商材を優先的に出力。参考に海外の有力、先進的な競合を3つほど出力


    # 《新規事業アイデア》※ここに自社サービス/製品の概要を3〜4行で記入する

  • 03 調査項目を設定する

    手順1で確認した目的に沿って、調査する項目を設定します。競合分析テンプレートにはあらかじめ主要な調査項目が入っていますので、適宜カスタマイズしてご使用ください。

    以下に、才流が作成した競合分析テンプレートの主な項目を示します。

    企業情報、製品・サービスについての情報を記載する項目

    機能・サービス比較、収益構造、マーケティングについて記載する項目

    新規事業の競合分析テンプレート(Excel形式)をダウンロードする

    ※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとファイルがダウンロードされます。

  • 04 情報を収集する

    調査項目が決まったら、情報収集を行います。情報収集のチャネルは、競合のWebサイトやサービス資料、IR資料、SNS、口コミサイト、生成AIなどがあります。もし前述のチャネルで情報を得られない場合は、リサーチ会社のレポートなど、有料の情報を購入するという選択肢もあります。

    また、デスクトップリサーチに加えて、ユーザーや業界・領域のエキスパート(有識者)へのインタビューも有効です。

    収集した情報は、テンプレートに記載しておきましょう。

    ※関連記事:見込み顧客インタビューのメソッド/進め方

  • 05 インサイト(洞察)をまとめる

    収集した情報から、インサイト(洞察)をまとめていきます。競合分析テンプレートにインサイトをメモする欄がありますので、活用してください。

    最終的に、スライドサマリを作り、関係者に共有しましょう。

    (例)スライドサマリ

    必要に応じて、3C分析やSWOT分析、ファイブフォース(Five Forces)分析などでまとめるのもよいでしょう。

    ※関連記事:新規事業に役立つ21のフレームワーク・テンプレート集

  • FAQ(よくある質問)

    Q.競合分析をするとき、どの範囲の企業やサービスを「競合」とみなすべきでしょうか?

    直接競合となる類似サービスだけでなく、同じ顧客ニーズを満たす代替サービス(代替競合)も含めて分析すると漏れが少なくなります。

    たとえば、なんらかのツールを提供している場合、ツール自体の競合に加えて、「コンサルティングや人的サービス」といった別の形態の競合も考慮するとよいでしょう。最初は広く洗い出し、その後で優先順位をつける方法をおすすめします。

    Q.競合分析の結果、競合が非常に強かった場合はどうすればよいでしょうか?

    レッドオーシャンと感じる市場でも、ニッチな分野や特定の顧客層、特定の機能領域で差別化できる可能性があります。競合が手薄な分野や顧客の未充足のニーズを発見できれば、そこから参入の糸口を掴めます。

    それでも厳しい場合には、事業アイデアそのものを方向転換(ピボット)することも選択肢として検討しましょう。

    Q.自社の弱みを補強するにはどうしたらよいでしょうか?

    まずは、自社の弱みが明らかになっている領域(開発力、マーケティング能力、資金力など)を補うための方法を検討しましょう。

    たとえば、外部パートナーとの連携や特定領域の専門家の採用したり、顧問契約したりすることも考えられます。すべてを自社で解決しようとするとリソース不足や時間がかかる場合があるため、積極的に外部の力を借りることを視野に入れてください。

    Q.競合分析はどのくらいの頻度で更新すればよいでしょうか?

    成長段階では競合の動きも早いため、3〜6か月に一度、簡易的なレビューを行うことをおすすめします。

    また、大きな製品リリースやM&Aといった業界内の重要な動きがあった場合は、その都度チェックすると安心です。事業が安定した後でも、年に1回は主要競合の状況を概観しておくとよいでしょう。

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