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規格外にこだわり抜かれた「FORCAS」のBtoBイベントの裏側

BtoBマーケティング
株式会社才流 代表取締役社長
栗原 康太

これらのバナー、きっとみなさんも見かけたことがあるのではないでしょうか。

ユーザベース社が提供するB2B事業向け顧客戦略プラットフォーム「FORCAS」は、高品質なイベント・セミナーを週1ペースで開催しています。1回の最大申込数はなんと数千。圧倒的な集客力を誇ります。

今回はそんなFORCAS事業 マーケティング&ブランディングチームの半澤瑞生さんと遠藤みくさんに、BtoBイベント成功の秘訣をうかがいました。イベントマーケティングで成果を出したいとお考えのみなさん、ぜひご覧ください!

※当記事は才流代表の栗原がコンテンツ発信に成功している会社へ取材する連載『コンテンツマーケティング探訪』第四弾としてお届けします。

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半澤 瑞生 氏
株式会社ユーザベース FORCAS / SPEEDA R&D Marketing&Branding Manager


大学卒業後、米国大学留学。帰国後、大企業役員向けのマッチングビジネスなどを展開する英系グローバル企業に入社。法人営業を経て、日本支社経営全般と売上/人事管理に従事。2016年、ユーザベースSPEEDA事業マーケティングチームにジョイン。2020年よりSaaSマーケティング横断組織の主メンバーとして、SPEEDA R&Dマーケティングの立ち上げ、INITIALマーケティングマネジャーを経て、2022年よりFORCASマーケティングマネジャーとして現在に至る。

遠藤 みく 氏
株式会社ユーザベース  FORCAS Marketing&Branding Team Unit Leader


新卒で社長・役員秘書に従事。その後、株式会社ベーシックでアプリ広告の運営・代理店営業を経験。前職はSansan株式会社で主にMAでのリードオペレーションを担当。2018年3月よりFORCASに入社し、セミナーの企画運営・リードオペレーションを担当。2022年5月よりユニットリーダーに。現在はセミナー以外にも大型番組や展示会などの施策を担当。

受注に至るまで “何度も” イベントに参加する人が多い?

―― FORCASさんはがっつりイベントマーケティングに取り組んでいらっしゃいますよね。現在は何名体制で運営しているのでしょうか。

半澤:FORCASのマーケティングチームのうち、イベント・セミナー担当は5名です。また、プロダクト横断の番組制作チームが別にあり、大規模な番組は一緒に運営しています。本格的な撮影スタジオを用意し、バッチリ機材を揃えています。こんなBtoBマーケティング組織、なかなかありませんよね(笑)。

FORCAS マーケティングチーム
FORCAS マーケティングチーム

―― かなり本格的ですね。イベントからの成果はいったいどれほど出ているのでしょうか?

半澤:ありがたいことに通常のセミナーであれば1回1,000人ほど、大規模なイベントは1回2,000〜4,000人ほどお申し込みいただいており、目標とするリード獲得数を無事達成できています。

なお、1回のイベント参加ですぐに受注につながることは稀で、受注に至るまでに3〜5回ほどイベントやセミナーにご参加いただくケースがほとんどです。私たちのコンテンツに繰り返し触れていただくなかで、「やっぱりABMに取り組まなきゃいけないよね」「自分たちも変わらなきゃいけないよね」という態度変容・行動変容がじわじわと起きているのだと思います。

―― やはりリードタイムは長いんですね。セミナーはすぐに売上につながりにくいため、途中で企画運営を諦めてしまう企業が多いように感じます。

半澤:セミナーはコンテンツにより、リードタイムの長短がありますね。そのため弊社ではマーケティングのリードタイムを加味した “年間” スケジュールを組むようにしています。セールスやカスタマーサクセスと連携したフォーキャスト(売上予測)管理もかなり徹底していますよ。

お客様登壇コンテンツが多い真の理由

―― 集客にも態度変容にも影響する、肝心の「コンテンツ企画」はどのようにおこなっているのでしょうか?

株式会社ユーザベース FORCAS 半澤 瑞生 氏

半澤:FORCAS事業 執行役員CEOの田口 槙吾とも密にコミュニケーションをとりながら、マーケティングマネージャーである私自身もしっかりとコミットしてチームで企画を立てています。種類は大きく4パターンです。

1つめは、認知に振り切って集客を最大化するもの。たとえば直近だと「SaaS Exhibition」というイベントを開催し、約3,000人にお申し込みいただきました。こうした大規模なイベントはセミナーではなく「番組」と呼んでいます。

2つめは、営業やマーケティングにおける変革者・挑戦者・実践者に実際にご出演いただき自社のお取り組みをお話しいただくコンテンツ、H2H(Home to Home)セミナー。このパターンがもっとも多いですね。たとえば先日富士通さまには「マーケティングから従来組織を変える 富士通全社DXの挑戦」というテーマで出演いただきました。

残りの2つはニーズが顕在化しているお客様向けです。FORCASをどのように使うとどれほど成果が出るのか、ユーザーさんにお話しいただくパターンと、弊社メンバーからより詳細にご紹介するパターンがあります。

―― 素朴な疑問なんですが、お客様登壇コンテンツが多いのはどうしてでしょうか?

株式会社ユーザベース FORCAS 遠藤みく 氏

遠藤:「成果につながりやすいから」という観点だけではなく、私たちが「“ユーザーさんと共創すること” を大事にしているから」です。

FORCASは商品説明が難しいサービスのため、昔から他のオンラインマーケティング施策よりもセミナーなどのオフラインマーケティングに重きを置いていました。立ち上げ初期は知名度も広告費もゼロだったにもかかわらず、当時から多くのユーザーさんがご厚意でセミナーに登壇してくださっていたんです。こうしたユーザーさんのご協力がなければ、FORCASはここまで成長できませんでした。

だからこそ「ユーザーさんにスポットライトを当てたい」「ユーザーさんに楽しいと感じてもらえるような、満足してもらえるような場を作りたい」という想いがずっとありますね。

―― なるほど。「ユーザーとの共創を重んじる」という価値観から生まれていたんですね。遠藤さんの想いが伝わってきました。

刺さる企画は、ターゲットを分けることから

―― 一方、半澤さんがコンテンツを企画するうえで大事にしていることはなんですか?

株式会社ユーザベース FORCAS 半澤 瑞生 氏

半澤:BtoBマーケティングって、ニーズが顕在化している顧客にアプローチするだけでなく、潜在的なユーザーとの接点開拓など、いわゆる「深耕と開拓」を同時に実現していかなきゃいけないと強く思うんです。なので番組とセミナーはどちらの施策もバランスよく常に走らせているようにしていますね。

また、当たり前のことではありますが、大手企業と中小企業では、あるいは経営層と現場とでは、抱えている課題がまったく異なります。ターゲットを分けて考えて、それぞれにどんな情報をお届けすればお役に立てるのか、 “for you” なコンテンツになるのかをひたすら考えています。

お客様をより理解するために、失注してしまった案件を一覧にして「なぜ価値提供できなかったのか」をセールスのマネージャーと議論する場も設けていますよ。マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセス含むメンバーで解約となってしまったお客様について振り返る場もあります。

―― しっかりとターゲットを分けて解像度を上げていくあたり、ABMを支援するFORCASさんらしいな、と感じました。

半澤:ターゲットを分けて訴求を考えるのは、集客のタイミングでも重視していますね。たとえば同じセミナーであっても、ハウスリストに送るメール本文とSNS広告のテキストは変えています。それぞれの受け手にとって刺さる言葉はなんなのか、私自身もアイデアを出しながらコンバージョン改善に努めていますね。

集客は総力戦。ラストワンマイルをやり切る

―― 集客を成功させるうえで大事にしていること、ぜひ他にも教えていただけますか。

遠藤:集客担当だけががんばるのではなく、チーム全員で、総力戦で臨むことでしょうか。たとえば、事前収録でキラーワードが飛び出せば、告知ページや広告バナーへすぐに反映させます。弊社は集客をほぼ内製化しているので、お願いすればその日のうちにデザイナーさんがクリエイティブを修正してくれます。

半澤:「この訴求を一文変えれば、もっと広告効果が改善するかもしれない」「周りに一言声をかければ、もっと多くのお客様に届くかもしれない」と感じるのなら、たとえ明日開催のイベントであってもラストワンマイルをやり切る。妥協しない。これはユーザベースのカルチャーだと感じます。

―― 小手先のテクニックよりも、集客を “やり切ること” が一番のポイントなんですね。

200回、300回やっても「もっとこうしよう」が湧き出てくる

―― イベントに対する並々ならぬこだわりやエネルギーを感じていますが、そのモチベーションはどこから湧いてきているのでしょうか。

株式会社ユーザベース FORCAS 遠藤みく 氏

遠藤:イベントのクオリティがプロダクトのブランディングにつながると信じているので、「他の会社よりも圧倒的な存在感を出そう」と日々の仕事に臨んでいます。

そのせいか、イベント終了後にいつも30分時間をとってチームでGood / Moreポイントを洗い出しているんですが、こんなに毎週開催しているのに「今日めっちゃよかったね!」と満足する回がほとんどないんですよ。

「自分は出演していないから発言しづらい」といった空気は一切なく、「あの司会の一言はこう捉えられたかも」「このオペレーションはこうしたほうがよかったね」と、チームのみんなでオープンにフィードバックしあっています。 “より良くしようとするこだわり” はずっと持ち続けていますね。

―― すばらしいカルチャーですね。これはなかなかマネできないな、と率直に感じました。

成功のカギは、どうやるか < 誰がやるか

―― 最後に、これからイベントマーケティングをがんばりたい企業様に、ぜひお二人からアドバイスをお願いします。

遠藤:個人的には「まずはライトにやってみる」ではなく、「最初からこだわって企画運営する」のがおすすめです。有益なコンテンツがたくさんネット上に転がっているいま、自分たちならではのコンテンツ、自分たちだからこそ輝くポイントがないと、きっと届けたい人には届きません。いいものを作ることに振り切るのがいいんじゃないかな、と感じますね。

半澤:私もそう思います。そしてそれを実現するためには、イベント専任者を立てる必要があるのではないでしょうか。あれもこれも兼務していては、圧倒的な成果にはなかなかつながらないものです。本日お話しした企画の立て方を仮に取り入れていただいたとしても、結局は想いを持ってやり切れる担当者がいるかどうかが成否の分かれ目になると思います。

―― どの企業よりも圧倒的にイベントマーケティングをやり切るお二人が語るからこそ非常に説得力あるメッセージですね。本日は貴重なお話をありがとうございました!

まとめ

「FORCAS」のBtoBセミナーが圧倒的である理由

  • イベント専任の担当者を置いて企画運営を内製化する
  • ターゲットの解像度を上げてきめ細やかに企画や訴求を出し分ける
  • 集客は総力戦、ラストワンマイルまでやり切る
  • Good / More ポイントを毎回出して改善し続ける
  • ユーザーとの共創を重んじる

企画の立て方はマネできても、チームに根付くカルチャーはマネできない。そしてこのカルチャーこそが、FORCASさんのイベントが他を圧倒する一番の理由だと気付かされた取材でした。

自分たちはなにを大事にするか、クオリティの基準をどこに置くのか。コンテンツマーケティングにおいてはこれらをすり合わせる必要があるんだろうなと改めて感じたので、持ち帰って検討してみようと思います。

今後もコンテンツ発信成功企業に取材し、成功要因を探っていきます。どうぞお楽しみに。

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(文:まこりーぬ

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