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目指すは、商談をデザインするインサイドセールス。FSとの連携が進むSmartHR・エンタープライズISの現在地

法人営業
才流コンサルタント
名生和史

The Modelの営業プロセスを採用し、SMB市場で成長を続けてきたSaaS企業が、エンタープライズ企業へのアプローチを強化するケースが増えています。

クラウド人事労務ソフトウェアのトップシェアを誇る株式会社SmartHRも、近年はエンタープライズ企業を対象としたセールスに注力してきました。

しかし、なかなか思うような成果が得られない時期があったといいます。それを打開したのは、インサイドセールスとフィールドセールスの連携でした。

今回は、同社でエンタープライズ領域のインサイドセールスを担当する、大谷 優一さんと遠座(おんざ) 伸一さんに、エンタープライズ領域のインサイドセールスに求められるスキルや組織づくりについてうかがいました。

聞き手は、才流コンサルタントの名生(みょう) 和史です。

株式会社SmartHR インサイドセールスグループ マネージャー
大谷 優一さん

システムインテグレータやアプリ開発会社の営業を経て、2017年にSmartHRへ入社。フィールドセールスを中心に同社セールス組織の構築、マネジメントを経て、2023年1月にインサイドセールスグループへ異動。2024年1月より、エンタープライズ事業本部 IS本部 本部長。

株式会社SmartHR インサイドセールスグループ エンタープライズユニット チーフ
遠座 伸一さん

注文住宅やバックオフィス領域のSaaS、ウェブ制作などのさまざまな分野の営業を経験。インサイドセールスは未経験だったが、関連部署と連携しながら組織の成長に寄与するポジションであることに魅力を感じ、2022年7月にSmartHRへ入社。2024年1月より、エンタープライズ事業本部 IS本部 課長。

The Modelの転換期。エンタープライズ事業本部を立ち上げ

名生 今回は、私が以前勤めていたSmartHRでの、インサイドセールス(以下、IS)によるエンタープライズ攻略について、元同僚の大谷さん、遠座さんと一緒に掘り下げていきたいと思います。

SmartHRでは、従業員数2,001名以上の企業をエンタープライズ企業と定義し、2022年の末から大手企業支援プロジェクトとして、同領域へのSmartHR導入の推進に注力してきました。あらためて、エンタープライズ企業にフォーカスする背景をうかがえますか。

株式会社SmartHR インサイドセールスグループ マネージャー 大谷 優一さん
株式会社SmartHR インサイドセールスグループ マネージャー 大谷 優一さん

大谷 SmartHRは、2022年にコーポレートミッションを「well-working 労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる。」へ改定しました。

SmartHRは、これまで6万社以上の企業に登録いただいていますが(2023年9月現在)、日本の労働人口に対するカバー率はまだ数%です。そこで、コーポレートミッション達成のために、エンタープライズ企業へのアプローチを一層強化しようと取り組んでいます。

大手企業支援プロジェクトでは、マーケティング、インサイドセールス(以下、IS)、フィールドセールス(以下、FS)、カスタマーサクセスの各部署の横断・連携を意識していますね。

セールスに関していうと、アプローチするエンタープライズ企業を3つのユニットにわけ、各ユニット専任のISとFSのチームをつくり、お互いに情報共有や商談化を進めるタッグ制を取り入れています。

そして2024年1月からは、従来の人事・労務領域だけでなく、タレントマネジメント領域を含む事業の多角化(マルチプロダクト戦略)にともない、これまで職種別・機能別で分けていた組織を、お客さまの規模別の体制へと変えることになりました。

エンタープライズに関しては、エンタープライズ事業本部が立ち上がり、その中にIS本部が置かれます。

SmartHR2024年からのビジネス部門の組織図
2024年からのSmartHR・Business部門の組織図(出典:事業を支える、SmartHRのあたらしい組織体制について|株式会社SmartHR note

名生 これまでのSmartHRは、SMB市場を中心に大きく成長してきました。今回の体制変更には、どのような背景があるのでしょうか。

大谷 もちろん、引き続きSMBのお客さまへのアプローチは変わりません。

ただ現在の体制のままでは、それぞれの規模のお客さまに合わせた最適な戦略が、迅速に意思決定しづらくなってきています。

たとえば、競合他社が行っているキャンペーンをSmartHRのエンタープライズでも展開したいとなったとき、SMBはどうするの?となる。

実際にFSでは、とある施策を実施するかどうかの社内調整に時間がかかり、意思決定が遅れてしまったケースがありました。

また現在のISも、エンタープライズとSMBを担当するメンバーが混在するチームです。同じISでも、企業規模に応じて施策は変わります。「IS」という切り口で施策の事例や情報共有をするよりも、同じ規模の企業を担当するFSと直接コミュニケーションをとったほうが、商談化や契約への影響が大きいんです。

このような状況を受け、体制の変更が決まりました。

株式会社SmartHR インサイドセールスグループ エンタープライズユニット チーフ 遠座(おんざ) 伸一さん
株式会社SmartHR インサイドセールスグループ エンタープライズユニット チーフ 遠座(おんざ) 伸一さん

遠座 さらに2023年には、マーケティング部門とも連動してエンタープライズ向けに特化したイベントの開催を始めています。先日も、SmartHRのお客さまと一緒に、お客さまのグループ会社に向けたセミナーを行い、たくさんの商談につながりました。

また、日本を代表する超大手企業グループ(キーアカウント)を担当する、キーアカウントマネージャーという部署もあります。

会社全体で、エンタープライズへアプローチする体制が出来上がりつつありますね。

SMBでの知見を手放し、エンタープライズISの最適解を探る

名生 一方SmartHRでは、エンタープライズ領域で思うような成果が出せない時期も続きました。

その状況を、大谷さんは「山登りの一合目」と例えていましたよね。どのような問題が大きかったと考えていますか。

大谷 私は、2023年の1月にFSからISへ異動しましたが、社内にはそれ以前から「The Modelのセオリーに沿った動きだけではエンタープライズセールスの受注につながりにくい」という声があったんです。

才流コンサルタントの名生 和史
才流コンサルタントの名生 和史(https://sairu.co.jp/member/38687/)。前職はSmartHRで、大谷さんたちと一緒にエンタープライズISに従事。

名生   The Modelは、マーケティングからCSまでのプロセスを分業したうえで、各部門の情報を可視化・データ化し、各部門の専門性を高めながら、営業活動を効率化していく仕組みです。

SMBを対象としたリードベースドマーケティングであれば、ISは反響型のSDR(※)が効率的です。

遠座 そうですね。対してエンタープライズは、SMBに比べて社数が少ないため、アプローチできる企業は限られます。さらに、導入の検討にはさまざまな部署の方が関わるようになる。

ところが私たちは、エンタープライズへのアプローチをSDRの延長線上で考えていたんです。

SFAに登録されているエンタープライズのお客さま全員にコールしたけれど、商談がつくれない。または、商談はつくれたのに受注までいたらない。これまでの「コール数 × パーセンテージで商談が創出できる」という考えでは、成果が生まれにくくなっていました。

そこでようやく、アプローチしているお客さまが、導入の意思決定や決裁に関わる方たちばかりではないと実感したんです。

エンタープライズへのアプローチは、人を探すことに近い。ISには、お問い合わせに対してコールしたりメールを送ったりするだけでなく、インターネット上の情報を収集して、まだお会いしたことのないお客さまにどうアプローチしていくか考えることが求められます。

そこで、1社1社の状態にあった最適なアプローチ方法を取る方法にシフトし、手紙を送ったり、LinkedInからダイレクトにご連絡をしたりと、小さな取り組みを重ねるようになりました。

インサイドセールスは商談をデザインできる

名生 お客さま1社1社の状況を知るには、ISとFSの連携が重要ですよね。どのように連携を深めているのか教えてください。

大谷 基本は、細かい粒度での情報交換を意識することです。

ISとFSの情報交換だけなら、どの企業でも行っているかもしれません。SmartHRでは、IS側はFS一人ひとりの個別ニーズに沿ったヒアリングを行い、FS側もどんな細かい情報でもいいのでISへ渡す、を心がけています。

遠座 たとえばISとFSが一緒に行う定例会では、今週の失注をふりかえる時間を設けています。各失注商談のGood/Moreについて、対応したFSとトスアップしたIS、そのほか商談に関わった人たちで意見を出し合い、次につなげています。

さらに、商談前の議論も増えてきています。ISからFSに対して、「このお客さまを商談化するなら、このような方向性でヒアリングを行って、商談をイメージしていただくのはどうでしょうか?」と相談するのです。

「ISがどんなふうに商談をデザインすると、FSは商談しやすいですか?」という、トスアップの手前のやりとりが、とても活発になっています。


名生 商談をデザインする。IS側は、情報提供だけにとどまらず、FSが進めやすいような商談を設計し、トスアップするんですね。

大谷 さらに、何かしらの原因で進んでいない商談に対して、ISが違う担当者の方との商談を設定したり、新たな情報を調べてFSに提供したりすることもあります。すると、商談が先に進むケースが出てきました。

名生 トスアップ時の先方担当者が忙しかったり、実はキーパーソンではなかったりというケースは少なくありません。ISは商談創出がミッションですが、「顧客満足度の高い状態で受注を目指そう」と考えると、商談化後も協力できることがたくさんあるんですよね。

遠座 この活動を商談サポートと呼んでいますが、FSから非常に喜ばれます。商談を創出し、契約につなげるという目標が一致しているからこそ、自然とできている。

それぞれが持っているアセットをぶつけて、状況を打開する案を見つけていく取り組みにおいて、商談サポートはとても良い事例です。

名生 商談同席はどうでしょうか。お客さま理解のために、ISも商談に出席しようという考え方もありますが。

遠座 商談同席は、ISのふりかえりとして活用しています。たくさんトスアップしているのに、商談が進まない、受注につながらないケースってありますよね。FSとしても、機会ロスになってしまう。

そこで、有効商談がつくれないISメンバーに対しては、FSがどのように商談をまとめているのかを把握するために、初回のオンライン商談に同席するよう促しています。お客さまの声も聞けるので、トスアップの設定の仕方やヒアリングが適切だったかも把握できますね。

大谷 内容を把握するだけだったら、商談の録画を見ればいいんです。そのほうが時間の短縮にはなるのですが、リアルタイムで同席したほうがISとFSの一体感は生まれます

FSとしても、ISから見られているという意識が生まれますし、商談後はすぐにふりかえりのミーティングができる。商談後に時間を置いて、Slack上で行うコミュニケーションとは密度が違うと感じます。

名生 ここまでのお話から、ISは相手チームの動きを読みアタッカーへトスを上げる、バレーのセッターのような存在だと感じました。

大谷 ISは、FSが受注できなければ意味がありません。試合で例えるなら、点を取ってもらわないと。

名生 そのためにも、ISにはお客さまの状況や課題を汲み取って、情報というボールをFSが商談を進めやすいように供給する役割が求められますね。

商談件数をKPIにしてはいけない

名生 ISとFSの連携においては、お互いのKPIへの理解も重要です。SmartHRでは、どのようなKPIを設計していますか。

大谷 エンタープライズへ注力するにあたり、ISのKPIも変化しています。以前のISのKPIは商談件数でしたが、2023年には商談の進行具合を示す「02商談フェーズ」になった商談の数と、そのパイプライン金額、そしてFSの達成率がISのKPIになりました。

FSのKPIは、受注金額です。つまり、ISが規模の大きい商談を創出することが、FSのKPI達成につながります。

私自身、以前から「商談件数を追うのはやめよう」と考えていたので、ようやくISとFSが協力しあうことを前提としたKPI設計ができていますね。

またKPIは個人とチームそれぞれにも設計し、チームでKPIを達成したほうが評価される仕組みになっています。ときにISは、自分ひとりが頑張るだけになりやすいのですが、チーム内で情報を共有し、チームとして成長していくことを大切にしています。

名生 商談件数という量ではなく、有効商談数やパイプライン金額などの質を重視するようになったんですね。

大谷 やみくもに件数だけを増やすことは、本質的ではないと思うんです。

事業の成長に伴い、「SmartHR知ってます」という認知や関心をお持ちのお客さまや、導入の意欲が高いお客さまだけでなく、「SmartHRのことは知らないけれど、SmartHRが解決できる課題がある」お客さまにも、アプローチしなくてはならなくなる。

すると、商談の進行率や受注率は下がってきますよね。ここで商談件数をKPIにしていると、数を挽回するためになおさらニーズがなくても商談設定にやっきになる。質の低い商談だから、受注につながらないという悪循環に陥ってしまいます。

商談件数を追うことだけが正解ではありません。最近では、SMBでも有効商談数を意識し始めています。

遠座 商談創出の量から質への転換で大切なことは、ISとFSがお互いのことをどれだけ理解しあえるかだと考えています。

それは業務に関連することだけでなく、個々人の性格まで知っているかもポイントですね。相手のキャリアや性格にあわせて、コミュニケーションの量やトスアップのタイミングなどを調整する。そのような関わりからも信頼関係を構築しているかが、量から質への転換をスムーズに進める要素の一つだと考えます。

名生 相手の人柄まで理解しようという点は、SmartHRらしいなと感じます。

大谷さんが話していたように、事業フェーズの変化に伴い、お問い合わせや商談の量を追うことから、質を求めるタイミングがやってきます。

しかし、FSもISも「量より質かも」と思っているのに、お互いに考えをすり合わせていないことで、非効率な状況が続いているケースがあるかもしれません。考えを共有し合うのは、やはり大事ですね。

インサイドセールスは、FSに本音を言えているか?

名生 ISとFSとの連携を深めることで、商談化率や受注数という定量的な成果が現れてきたと思います。定性的な成果や手応えも教えてください。

遠座 ISとFSが持つ情報には、それぞれ特徴と違いがあります。FSは、お客さまとの日々の商談を通して、とても密度の濃い情報を持っていますし、ISはSFAの情報やデスクトップリサーチで集めた情報と、お客さまの基本情報を幅広く把握している。

それぞれ得意領域があって、お互いの情報をミーティングや打ち合わせなどで定期的にぶつけ合うことで、点と点がつながるんです。

「前に〇〇さんから電話で聞いた話ですが」とISからFSに伝えた情報が、次に会うべき人を探すうえでの足がかりになることもありますし、ISもFSから聞いた情報をもとに、新しい仮説が立てられる。

その仮説を持って、カウンターパートの方に自信を持ってお話しできるようになったことは、連携を通じて生まれた、形には現れない副産物だと感じます。


名生 「この情報を伝えよう」「こんなフィードバックがありましたよ」という、小さな日々のコミュニケーションから、信頼が生まれていきますね。

大谷 信頼って、何かひとつ関われば生まれるものではないんですよね。共通の目標を持ち、日々の仕事だけでなく、たとえば飲み会で仲良くなることも必要。全方位で関係性をつくらなければ、信頼は育めないと思います。

実は、FSのマネージャーと私たちの間で、意識して「ISとFS、仲の良い雰囲気にしていこう」と取り組んできたのが、両部署の連携における大きな転換点だと考えています。

たとえば、共通の目標を追うことはもちろん、お互いのKPIの達成を喜ぶ雰囲気をつくったり、FSとISで進捗を確認するSlackのチャネルができたら、「盛り上げていきましょう」と根回しをしたり。マネジメント層が率先して盛り上がり、お互いの距離が近づくように働きかけてきたことは大きいです。

名生 「チーム同士の協力体制を築くには、マネジメント層が率先して動くことが大事だ」とよく言われます。まさに、大谷さんたちが目指す理想に向かって、チームの雰囲気をつくっていたんですね。

大谷 同時に、ISに対しては「FSと対等な立場でコミュニケーションをしよう」と何度も言い続けてきました。

他社の事例をうかがっていても、ISはFSから言われっぱなしになりがちで、力関係が生まれてしまう傾向が高いそうなんです。そのような関係にならないように、言いたいことは言おうという意識づくりをしていました。 

たとえば、ISが「有効商談になる」と確信をもってトスアップしたのに、FSが商談を進めなかったり、パイプライン金額が想定より下がったりしたときは、「どうしてですか」「何があったんですか」とIS側からきちんと主張するようにしました。

「組織は、前向きなケンカをしていくと、成熟してワンチームになる」という考えがあります。コンフリクトが起きないままでは、上辺だけの仲の良さになってしまいますから。

エンタープライズBDRのモチベーションを高める「ググり力」

名生 大谷さんは、2023年にFSからISへ異動されました。あらためて、ISという仕事の印象を聞かせてください。

大谷 とくにエンタープライズのBDRは、調べられる情報が多くて探究心が刺激されますね。

お客さまのバイネームで検索すると、インタビュー記事やSNS、ブログなどが出てくる。お客さまや会社を深く理解できる情報が、たくさん発見できるんです。

そこには、「こんなご提案はどうだろうか?」と、考えを膨らませられる余白が広がっている。エンタープライズのBDRには、ISとしてのアプローチの種類が増える面白さがあると感じています。

遠座 めっちゃわかります。たとえば、担当者の方が出ている導入事例や記事の情報を拝見したことをお話すると、「見てくれたんですね」と距離が近くなる印象を受けます。

私自身も、今回のような取材を受けるときに「遠座さんのnote読みました」と言われると、執筆者としてシンプルに嬉しい。そういったことも相まって、BDRは非常に楽しいですね。

また、SmartHRは、人事部、情報システム部、DX戦略部の方とお付き合いをすることが多いのですが、数千名規模のエンタープライズでは、各部門が大きいため、情報伝達がスムーズでないケースが珍しくありません。

そんなときに、人事部の方からうかがった情報をISから情報システム部の方に伝えると、「じゃあ、この人に会ったらいいんじゃないか」と紹介につながることもある。ISがお客さま社内のつながりもデザインできて、商談創出につなげられる。コールひとつとっても、工夫のしがいがありますね。

名生 ISというと、トーク力が重要ではないか?と思われがちですが、実は情報収集能力も大事なんですよね。

遠座 「ググり力」は大事ですよ! 一方で、「BDRがはじめて」という方は、何を調べたらいいかわからないケースもありますよね。要は、どんなストーリーを描きたいか?から逆算して、情報を調べていくんです。

私は半年前までプレイヤーとして実務に携わっていたので、経験が少ないメンバーに対しては、一緒に情報収集のプロセスに取り組んでいます。

メンバーが担当するお客さまの情報を私も調べてみて、「こんな情報もあったよ」「これを調べてみよう」と補う。とにかく実践、体験を積んでもらって、一秒でも早くBDRの魅力を一緒に感じたい。BDRはおもしろいという雰囲気を、チーム内につくることを意識しています。

インサイドセールスをかっこいい仕事にしよう

名生 ISという職種が定着して、経験者も増えてきました。次のキャリアとして、エンタープライズISという選択肢も考えられますよね。最後に、採用や人材育成も含めて、SmartHRのエンタープライズISの展望を教えてください。

遠座 これまでSMBやMMBでISの経験を積んできた人は、ぜひエンタープライズISにもチャレンジしてほしいですね。「エンタープライズは敷居が高い」と思われている印象を受けますが、そんなことはないです。

社内で、エンタープライズISのハイプレイヤーが増えてきましたが、必ずしもエンタープライズの経験があった人ばかりではありません。

チームとして成功事例や知見が溜まってきたので、エンタープライズISとして活躍する人をどんどん増やしたい。社内外から、「自分もSmartHRでエンタープライズISやりたい」と言われる組織にすることが目標です。

そのためにも、エンタープライズISの取り組みややりがいを、発信していきたいです。

大谷 SmartHRは、SMBのお客さまを中心に導入が増え、次第にエンタープライズにも受け入れていただけるようになりました。ただ別の視点から見ると、マーケティングに予算をかければ、たくさんのお問い合わせを得られ、人を増やすことにより、どんどん成長できるフェーズだったということなんです。

今まで以上にエンタープライズのお客さまへアプローチするためには、人数ではなくて、IS一人ひとりの力が重要になってくる。優秀な方の採用はもちろん、社内のメンバーの育成面にも注力していきたいと考えています。

「ISってテレアポと何が違うの?」と言われることがあります。たしかに、ひたすらコールして、決まったヒアリング項目をあてて、合致したら商談化するような方法では、従来のテレアポとの違いはないでしょう。

ISは、決められたことをこなして商談をつくる仕事ではありません。私たちはFSと一緒に、どうしたらお客さまの課題をSmartHRで解決できるか、そのきっかけをつくっています。「ISってかっこいい仕事だよね」と言われるようにしていきたいです。

大谷さん、遠座さん、ありがとうございました!

才流コンサルタントが解説

コンサルタント・名生和史

国内SaaS企業のベンチマーク的存在であるSmartHR。さらなる成長、そしてコーポレートミッションの達成に向けたエンタープライズ企業支援の拡大を目指し、ときには痛みを感じながらも、体制変更を進めています。

SmartHRのお話で印象的だったのは、インサイドセールス(以下、IS)という職種の役割や可能性を限定しないことでした。

ISという職種が広まるなか、「ISはテレアポと何が違うの?」と言われる機会も少なくありません。トスアップの数だけを求められる環境下では、確かにテレアポと変わらないでしょう。

しかし、遠座さんが「ISは商談をデザインする」と表現していたように、本来ISには「顧客満足度が高い状態での受注」を目指し、そこから逆算した動きが求められます。

フィールドセールス(以下、FS)やマーケティング部などの関連部門とコミュニケーションを取りながら、お客さまとの商談創出に取り組むSmartHRのISは、「ISがやるべきこととは何か?」という本質に向き合っていると感じました。

そして、ISと他部署との連携の背景には、大谷さんはじめ各部のマネジメント層の努力がありました。ISがFSと対等にコミュニケーションするための心がけも、とても重要です。

名生 「チーム同士の協力体制を築くには、マネジメント層が率先して動くことが大事だ」とよく言われます。まさに、大谷さんたちが目指す理想に向かって、チームの雰囲気をつくっていたんですね。

大谷 同時に、ISに対しては「FSと対等な立場でコミュニケーションをしよう」と何度も言い続けてきました。

他社の事例をうかがっていても、ISはFSから言われっぱなしになりがちで、力関係が生まれてしまう傾向が高いそうなんです。そのような関係にならないように、言いたいことは言おうという意識づくりをしていました。 

また、エンタープライズ企業開拓のための取り組みでは、「ググり力」として、情報収集の工夫をうかがいました。

直接コンタクトをとりたいお客さまが出ている導入事例やインタビュー記事などはすべて目を通す、SNSをチェックするなど、お客さま深く理解して仮説を立てる方法は、参考になる企業も多いのではないでしょうか。

(撮影/関口 達朗)

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