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見込み顧客インタビューのメソッド/進め方

BtoBマーケティング
コンサルタント
中島 孝輔
コンサルタント
藤原 健

本記事では、見込み顧客インタビューの手順必要なリソースを解説しています。企画や質問項目の設計に使えるテンプレートも用意しているので、活用してください。

見込み顧客インタビューテンプレート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。

取り組む前に知っておきたい基礎知識

見込み顧客インタビューは、将来的に商品・サービスを利用する可能性がある層に直接話を聞く定性調査です。既存顧客とは異なる視点から、まだ顕在化していない課題やニーズを洗い出します。

ここでは、「どんなゴールを目指してインタビューを行うか(目的)」と、「どんなタイミングや状況で活用すると効果的か(有効なケース)」の両面から見込み顧客インタビューの基礎知識を解説します。

見込み顧客インタビューの目的

最終的に得たい成果によって聞き出す内容は変わります。インタビューの前に、自社がどの目的を重視するのかを明確にしておきましょう。

見込み顧客インタビューに取り組む目的は、以下の3つに分類できます。

1.ペルソナの理解

顧客の属性や行動特性、抱えている課題などをくわしく聞き取り、ペルソナ(理想的な顧客像)を明確にします。「誰に向けて商品・サービスを提供すべきか」がはっきりし、より的確なターゲット設定が可能になります。

以下は、質問項目の一例です。

  • 組織、担当者としてのミッション
  • ミッション達成に向けての課題や障壁
  • 今後取り組みたいイシュー
  • 情報収集経路

2.新規機能開発に向けた業務・オペレーションの理解

顧客が実際にどのように業務を進めているのか、どのような課題を抱えているかを把握し、新しい機能の方向性を検討します。業務フローや運用上のボトルネックなどを詳細に聞くことで、顧客にとって本質的に役立つ機能を開発できるようになります。

インタビューでは、以下のようなことを確認します。

  • 業務(例:請求書作成)の具体的な作業内容
  • 業務における課題(リスク、手間がかかっていること)
  • 理想的な業務の流れ
  • 抱えている課題が解決された場合のインパクト

3.商品・サービスのコンセプトやプロトタイプの評価

提供する商品・サービスやプロトタイプが顧客の課題を解決するうえで十分な価値をもつかどうかを確認します。利用シーンや使い勝手を想定しながら評価することで、改善点や追加機能のアイデアが得られます。

以下は、質問の一例です。

  • 抱えている課題が解決できそうか
  • ユニークだと思う点はあるか
  • どこに不明点、改善点がありそうか
  • お金を払ってでも使いたいか

見込み顧客インタビューが有効なケース

見込み顧客インタビューは、以下のような場面で有効に働きます。

1.顧客理解を深めたいとき

新規事業開発や新たなターゲット層へのアプローチなど、顧客像を明確にしたい場面で有効です。マーケティング施策だけでなく、営業では潜在顧客のニーズを把握するうえで役立ち、CSでは顧客満足度を高める施策につなげられるため、組織全体で活用できます。

2.新たなインサイトや仮説を探りたいとき

定量データだけでは把握しきれない顧客の潜在ニーズや課題の裏側を探ることで、ビジネス上の新たな着想や仮説を得られます。

3.定量調査を実施するとき

アンケート調査やアクセス解析などの定量データでは、「何が起きているか」はわかっても、「なぜそうなっているのか」という理由や背景を深堀りするのは難しい場合があります。見込み顧客インタビューを組み合わせることで、定量データから見えた現象の原因や課題の本質を把握しやすくなります。

ヒント
市場全体の規模や同様のニーズを持つ人の割合など、定量的な根拠が求められる場面では、見込み顧客インタビューだけでは十分な説得力を得られません。インタビューはあくまで少数のサンプルを対象とした定性的な調査です。全体像を示す数値データを把握したい場合には、アンケートや統計調査など別の手法を組み合わせることが必要です。

必要なリソース

見込み顧客インタビューを実施するにあたって必要となる期間や体制、費用は以下のとおりです。1回60分のインタビューを5名に行うケースを想定しています。

全体の期間:2〜3週間

インタビュイーの選定や日程調整などにかかるリードタイムを踏まえると、準備から結果のとりまとめまでに2〜3週間を見込む必要があります。

とくに外部のサービスを使ってインタビュイーを募集する場合は、応募が集まるまでの期間が追加されるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。インタビュイーの属性や利用するサービスの状況によっては、所要時間や期間が前後することもあります。

インタビューの所要時間:8〜10時間

1回あたり60分のインタビューを5名に行う場合、準備や後処理も含めて合計で8〜10時間かかります。

体制:1名〜

インタビューの企画から実施、結果の整理・分析まで、1名で進められます。

複数名がインタビューに同席するのも有効です。それぞれがインタビュアーとして質問を投げかけることで情報の網羅性が高まります。さらに記録の担当者をアサインすれば、作業の効率化も期待できます。

ヒント
募集要項の作成や日程調整といったタスクだけを別の担当者に任せる方法も有効です。インタビュアーが顧客とのやり取りに集中でき、全体の効率が高まります。

インタビュイーの募集

インタビュイーを集めるときは、外部のサービスを使うと短期間で幅広い層にアプローチができます。ハウスリストを保有している場合は、そこからインタビュイーを募集するのも有効です。

才流では、主に「ビザスク」と「ユニーリサーチ(uniiリサーチ)」を利用してインタビュイーを募集しています。

ビザスク
30分あたり15,000円からの料金設定で、経営者や管理者層など、専門性の高いエキスパートを集めやすい点が特徴です。

ユニーリサーチ
30分あたり5,000円から利用でき、若年層や現場スタッフなど幅広い属性の被験者を比較的集めやすいのが利点です。事前質問への回答をCSV形式で出力できるため、データの整理や分析を効率化しやすいメリットもあります。

費用

外部のサービスを使ってインタビュイーを募集する場合の費用は、1名あたり5,000〜15,000円が目安です。業種や役職によっては20,000~50,000円になることもあります。とくに経営者層や専門知識を持つエキスパートは、謝礼が高くなる傾向があります。

直接インタビュイーに支払う場合は、3,000〜10,000円が目安です。メールアドレスさえあれば送付できるAmazonギフトカードがよく利用されています。

手順

ここからは、才流(サイル)が作成したテンプレートに沿って見込み顧客インタビューの手順を解説します。まずは、以下より見込み顧客インタビューテンプレートをダウンロードしてください。

見込み顧客インタビューテンプレート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。

本テンプレートは「インタビュー企画シート」と「インタビュー設計・実践シート」の2つで構成されます。インタビューの企画立案から、質問項目の設計やメモ取りに至るまで、見込み顧客インタビューの一連の流れをサポートする役割を果たします。

見込み顧客インタビューは、以下の5つのステップで取り組みます。順番に見ていきましょう。

  • 01 インタビュー企画

    はじめに、テンプレートの「インタビュー企画シート」を使用し、インタビューの実施目的や対象者、検証したい課題、仮説を言語化します。(所要時間の目安:30〜60分)

    インタビュー企画は、見込み顧客インタビューの成功を左右します。企画が不十分な状態でインタビューをしても次のアクションにつながりません。

    インタビュー企画シートの全体イメージ
    インタビュー企画シート

    チェックリスト

    すべての項目を入力したら、以下のチェックリストと照らし合わせて、入力内容が適切かどうかを確認しましょう。

    • 具体的な記述がなされているか(インタビュー対象者、実施後のアクションなど)
    • インタビュー対象者は、実際に候補者を十分に確保できるレベルに設定できているか(条件が狭すぎないか)
    • 仮説について、考えられるものがすべて挙がっているか
    • インタビューで確認したいポイントは必要十分な内容になっているか
  • 02 インタビュー項目の設計

    次に、テンプレートの「インタビュー設計・実践シート」を使って、インタビュー項目を設計します。(所要時間の目安:30〜60分)

    インタビュー項目を設計するゴールは、質問リストを作ることではありません。調査企画で定義した仮説を検証し、目的を達成するために必要な情報を確実に引き出すことにあります。

    シートには、あらかじめベースとなる項目を用意しています。インタビューの目的に沿って質問の追加・削除を行い、インタビューで扱う大枠の内容を固めるために活用してください。また、インタビュー当日にメモを取る用途でも使えます。

    ヒント
    質問項目は、インタビューの実施目的によって変わります。

    1.ペルソナの理解
    基本情報、背景、情報収集の手段など、顧客の属性・行動特性がわかる項目を重点的に聞きます。

    2.新規機能開発に向けた業務・オペレーションの理解
    背景、比較検討の軸や選定基準、発注・導入後の評価など、実際の業務フローや現場の課題にフォーカスします。

    3.商品・サービスのコンセプトやプロトタイプの評価
    商品・サービスの印象、サービスサイトの評価、発注・導入後の評価など、実際に使った・使うと想定した際の価値や改善点を引き出します。
    インタビュー設計・実践シートの全体イメージ
    インタビュー設計・実践シート

    インタビュー項目を設計するときのポイント

    ポイントは、以下の4つです。

    1.確認したい仮説を明確にする
    仮説に合致する質問を洗い出し、必要以上に質問作成に時間をかけすぎないように注意します。

    2.「主要な質問」と「周辺的な質問」に分けて整理する
    仮説の検証に直結する問いを主要な質問とし、それを補足・深掘りする問いを周辺的な質問として整理すると、優先度を把握しやすくなります。

    3.質問項目をグルーピングする
    検討フェーズや背景など、テーマごとに質問を分類することで、聞き漏れが発生したり、不自然な流れになったりするのを防ぎます。

    4.インタビュー全体の流れを意識する
    アイスブレイクを経て相手のプロフィールをつかみ、徐々に深い内容へと進められるように構成します。

    チェックリスト

    すべての項目を入力したら、以下のチェックリストと照らし合わせて、入力内容が適切かどうかを確認しましょう。

    • 基本情報がインタビュー対象者の属性情報として十分なものになっているか
    • インタビュー対象者をグルーピングした意図が質問項目に反映されているか
    • 情報収集手段や選定基準について、知りたい粒度で把握できる質問項目になっているか
    • インタビュー設計シートで定めたインタビューで確認したいポイントがすべて反映されているか
  • 03 インタビュイーの募集・選定

    インタビュー項目を設計できたら、外部のサービスやパートナー、ハウスリストなどを使ってインタビュイーを募集します。

    募集のタイミングと期間

    候補者が集まるまでの期間は、使用するサービスや依頼先によって異なります。ビザスクの場合は募集開始から3〜5日、ハウスリストへのメール配信なら2〜3日、リサーチ会社へ依頼する場合は1週間が目安です。

    応募の取りまとめや連絡調整に要する時間は、合計1〜2時間です。対象者の条件を細かく指定するほど募集期間が長引きやすいため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

    目安の人数

    インタビュイーの人数は、ニーズや仮説ごとに3〜5名程度を目安とするケースが多いです。最初は5名ほどから始め、慣れてくると3名程度に絞っても十分な気づきを得られます。

    ヒント
    ユーザビリティテストでよく言われるように、5名を超えると新たな発見が急激に減り、似たような情報が増えてしまう傾向があります。一方で、3名未満だとサンプルの偏りが大きくなる恐れがあります。まずは5名程度から始め、必要に応じて追加インタビューを検討すると効率的です。

    選定のポイント

    応募が集まりはじめたら、事前質問の回答やプロフィールを確認し、候補者がインタビュー条件に合っているかを見極めます。事前質問に適切に回答できていない応募者は対象外にするか、追加の質問を通じて条件に合っているかを確認します。

    応募がまだ数件しかない段階で選定を始めると、後から条件に合う応募者が出てきた際に比較できなくなる恐れがあります。ある程度の人数がそろってからまとめて比較・選定するほうが、最終的により適切な候補者を見落としにくくなります。

    ヒント
    とくにアップデートの早い分野では、最近の経験がある候補者を優先して選ぶなど、対象テーマとの親和性を考慮することが大切です。年齢や役職によって、意思決定者と現場担当者など立場が異なる場合もあります。あらかじめ調査企画で設定したインタビュー対象者や実施目的に合致しているかも確認しましょう。

    募集のポイント

    募集時には、インタビューの目的や背景をできるだけ明確に提示することが重要です。

    また、応募時点で対象者かどうかを判断できるように、事前質問を設定します。事前質問を設けることで、応募があった段階で「今回のインタビューに適した人かどうか」をある程度スクリーニングできます。

    応募数が少ないと想定される場合は、最初から条件を絞りすぎず、ある程度の申込みがあってからフィルタリングする方法を検討しましょう。

    募集タイトルのNG例とOK例
    募集タイトルのNG例とOK例

    連絡時のポイントとテンプレート

    候補者の日程調整には、SpirやTimerexなどの日程調整ツールを活用すると効率的です。あわせて、インタビュー当日のWeb会議URLを事前に伝えておけば、「どのURLにアクセスすればいいかわからない」「URLが間違っていて入室できない」といったトラブルを防ぎやすくなります。

    さらに、あらかじめ質問項目の概要を共有しておくと、相手も回答を整理しやすく、質の高いインサイトを得られる可能性が高まります。

    候補者とのやりとりは、テンプレートを用意しておくと効率的に進められます。以下のテンプレートを活用してください。

    【日程調整依頼用テンプレート】

    この度はご提案いただき、誠にありがとうございます。
    ぜひインタビューをお願いしたく、日程調整のご連絡を差し上げました。
    大変お手数ですが、以下のURLよりご都合の良い日程を選択いただけますでしょうか。

    http://XXXXXXX(日程調整用URL)

    当日は限られた時間となりますので、下記の内容を中心におうかがいします。

    ・○○サービスに期待すること
    ・情報収集の方法
    ・検討プロセス
    ・比較検討の際の軸
    ・(導入経験がある場合)導入の決め手

    また、インタビューにあたり下記についてご留意いただけますと幸いです。

    ・画面共有をお願いする場合があるため、ご参加の際はパソコンをご利用ください
    ・安定したネット環境と、できるだけ雑音の少ない環境でのご参加をお願いします
    ・当日の内容は弊社内でのみ利用する前提で録画させていただきます

    何かご不明点やご都合に変更がありましたら、お手数ですがご連絡ください。
    それでは、ご回答をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。

    【日程調確定用テンプレート】

    日程のご登録をいただき、ありがとうございます。
    以下の日程でインタビューを予定しております。

    2024年10月7日 (月) 10:00 – 11:00
    http://XXXXXXX(会議用URL)

    万一日程のご都合が合わなくなった場合は、お手数ですが早めにご連絡ください。
    それでは、当日どうぞよろしくお願いいたします。

  • 04 インタビューの実施

    インタビューを行うときは、1名あたり60分を目安に時間を確保し、テンプレートのインタビューシートに沿って進めます。ここではインタビューを有効なものにするためのポイントを解説します。

    インタビューは、通常30〜60分ほどで終わることが多いです。慣れてきて確認項目が減れば、さらに短い時間でも十分な情報を得られます。ただし、質問内容が多い場合や相手の状況が複雑な場合は、60分を超えることもあります。あらかじめ余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。

    インタビューの形式

    インタビューは、特別な事情がなければオンラインで実施します。移動の負担がなく、スケジュール調整もしやすくなるためです。

    インタビュイーの許可を得たうえで録画を行えば、テキストにまとめるだけでは伝わりにくい声のトーンやニュアンスを共有でき、意思決定や施策立案における説得力も高まります。録画データがあれば、文字起こしを含むまとめ作業も効率化できます。

    インタビューの進め方

    インタビューの成果を最大化するには、ただ質問を投げかけるだけでなく、相手との会話を通じて本質的な情報を引き出す工夫が必要です。誘導を避けながら深いインサイトを得るためのポイントを紹介します。

    ポイント概要
    回答の誘導はしない欲しい回答を決めつけるのではなく、「そこにある事実」を確認
    する姿勢を保ちましょう。「○○ですよね?」のような問い方は
    避け、相手の言葉をそのまま引き出すことを心がけます。
    一問一答で終了せずに会話する表面的な回答から、根本的な理由や背景を探るために、会話の
    キャッチボールを意識します。単発の回答で終わらせず、「そう
    思われたのはなぜですか?」と深掘りすることで、より的確な
    インサイトにたどり着きます。
    心地のよい会話を心がける「なぜそう思ったんですか?」と直接聞くより、「もう少しくわ
    しくうかがってもよろしいですか?」といった柔らかい言い回
    しを使うと、相手が話しやすい雰囲気を作れます。

    事実を捉えるための基本姿勢

    インタビューの目的は、インタビュイーの主観的な意見ではなく、実際に起こった事実を集めることにあります。事実を正確につかむためのポイントは、以下の3つです。

    ポイント概要
    意見ではなく事実を獲得する個人の意見や感想ではなく、実際に何が起こったのかを把握します。
    経験談やエピソードを引き出し、実際の行動や経緯を具体的に聞き
    ましょう。
    4Wを明確にするいつ、だれが、どこで、なにをしたのかを明らかにし、回答のばら
    つきを抑えます。対象者ごとの背景や状況を比較しやすくなります。
    仮説を意識した質問をする「なにがほしいですか?」という抽象的な質問だけでなく、「もし
    ◯◯がなされれば購入しやすいですか?」のように仮説を提示する
    ことで、より具体的な事実を引き出しやすくなります。ただし、回答
    を誘導しないようにしましょう。

    インタビュイーへの配慮とサポート

    インタビュイーの理解度や知識のレベルは人によってさまざまなので、質問内容や聞き方を工夫することも大切です。

    ポイント概要
    相手にあわせて質問する難しい用語や業界特有の言い回しに注意し、相手の理解度に応じて質問
    を調整しましょう。
    相手の言語化を助ける「なぜ」を繰り返して背景や理由を確認すると、本人も気づいていない
    潜在的な課題や意識が浮かび上がってきます。「実際にはどう感じていま
    すか?」とやんわり促し、相手が言語化しやすいようサポートすると、
    事実に近い情報を得られます。
  • 05 インタビュー内容の整理

    インタビューが終わったら、得られた情報を可視化・整理します。

    以下のように、スライドにまとめておくと社内の報告でも活用できます。

    1.インタビュイーごとのサマリ

    インタビュイーごとに、発言内容をまとめます。個別の事情や具体的な導入プロセスなどを後から詳細に振り返る際に役立ちます。

    インタビューごとのサマリのイメージ
    インタビューごとのサマリのイメージ

    インタビューごとのサマリは、録画データの文字起こしを活用し、生成AIにまとめてもらうと時間短縮につながります。以下のプロンプトを活用してください。


    【プロンプトの例】

    以下の指示に従って、提供された文字起こしデータを整理し、構造化された形式で出力してください:

    1. タイトルを作成:

       “[会社名] [インタビューイーの役職] [名前]氏へのインタビュー”の形式で作成してください。

    2. キーラインメッセージの作成:

       インタビュー内容の主要なポイントを80文字前後で要約してください。主要なサービスや課題にも言及してください。

    3. インタビュー内容の分析:

    インタビュー内容を分析し、重要度や論点を考慮して5〜7個の主要項目を特定してください。これらの項目は、インタビューの中心的なテーマや、とくに強調されている点を反映するべきです。

    4. 主要項目の整理:

    特定した各項目について、以下の点を考慮して箇条書きで整理してください。

      a) 各項目内で最も重要または特徴的な情報を冒頭に置いてください。
      b) 可能な限り、具体的な数字、事例、比較情報を含めてください。
      c) 業界特有の用語や概念がある場合は、簡単な説明を追加してください。

    5. 整理した内容の表作成:

    4で整理した内容を、以下の形式の表にまとめてください。

       | 項目名 | • 箇条書きの内容1 • 箇条書きの内容2 • … |

    6. 示唆の整理:

    とくに重要なヒアリング内容とそこから得られた示唆を3つ、箇条書きでまとめてください。各項目は以下の形式としてください

    ・ 重要なヒアリング内容: [内容の要約]
    ・示唆: [得られた示唆や含意]

    7. 最終的な出力:

    以下の順序で行ってください:

    a) タイトル
    b) キーラインメッセージ
    c) 表形式でまとめた内容
    d) 重要なヒアリング内容と示唆(テキスト形式)

    注意事項:

    ・箇条書きの項目間に改行は入れず、スペースで区切ってください。
    ・<br>タグは使用しないでください。
    ・可能なかぎり、インタビュー対象者の言葉を忠実に反映させてください。
    ・項目の選択と内容の要約は、インタビュー全体の文脈を考慮して行ってください。
    ・情報が不十分な場合は、その項目を省略するか、より適切な項目に置き換えてください。
    ・競合他社名や業界用語は正確に記載してください。不確かな場合は、一般的な表現に置き換えてください。

    この指示に基づいて、提供された文字起こしデータを整理し、インタビューの重要ポイントを反映した構造化された形式で出力してください。必ず表形式で出力し、最後に重要なヒアリング内容と示唆をテキスト形式で追加してください。

    2.カテゴリ別評価

    あらかじめ設定した項目ごとに回答数を集計し、数値ベースでの評価を行います。

    たとえば「情報収集経路」「比較検討の軸」といったカテゴリに分け、どの要素が多くの人に当てはまっているのかを把握することで、課題の優先度やニーズの偏りを確認できます。

    ヒント
    定性的な意見に加えて、一定の定量感を持たせられるため、社内説明資料などで説得力を高める際にも役立つ方法です。
    カテゴ別評価のスライドイメージ
    カテゴリ別評価のイメージ

    3.全体サマリ

    複数のインタビューを通して把握した事実や気づきを整理し、どのような施策を打てるかという形でまとめます。インタビュイーの発言内容から共通のパターンや新たなインサイトを抽出し、以下の流れで整理します。

    1. 結果(どんな事実が判明したか)
    2. 考察(その事実から何を読み取れるか)
    3. 施策(今後どのような行動をとるべきか)
    全体サマリのスライドイメージ
    全体サマリのイメージ
  • よくある失敗パターン

    見込み顧客インタビューを成功に導くには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。ここでは、取り組むうえでよくある失敗パターンを紹介します。

    1.インタビューを実施することが目的になってしまう

    インタビューを実施することそのものがゴールになってしまい、何を検証し、どう活用するのかが明確でない状態です。仮説やネクストアクションを持たずにインタビューを行うと、顧客理解を深めても施策や戦略に反映されないため、結果的に無駄な労力となりがちです。

    企画のフェーズで実施目的と検証したい仮説を明確にして、ネクストアクションも定義しておきましょう。

    どんな仮説を検証し、どんな行動につなげるのかを設定する

    2.インタビュイー募集時の依頼文の粒度が粗い

    インタビューの目的や対象者の条件があいまいなまま依頼文を作成すると、想定外の層が集まったり、必要な情報を得られないまま終わってしまうリスクが高まります。

    企画のフェーズで、「どのような目的でインタビューを行い、どんな条件の人に参加してほしいか」を明確にしましょう。また、応募者が「自分に当てはまるかどうか」を簡単に判断できるように、募集要項を作成するときは以下の点に注意すると効果的です。

    • 簡潔で明瞭な募集タイトルをつける
    • インタビューの目的や背景を明確に伝える
    • 事前に聞きたい質問を提示し、参加者が自分に当てはまるかどうか判断できるようにする
    • 対象者の条件(業種・役職・経験年数など)を明記し、スクリーニングに役立つ要件を提示する

    3.インタビューで得た情報が意見ばかりになっている

    インタビュイーの感想やアイデアなど、いわゆる「意見」だけを集めてしまうケースです。実際の行動や客観的な事実(ファクト)に裏付けられていない情報が増え、施策の判断材料としては不十分になる可能性があります。

    意見を聞くのではなく、「いつ、どのように情報を調べたか?」「どのようなプロセスで予算を確保するのか?」など、実際の行動や経験をベースに質問することが大切です。

    意見と事実の違い
    事実を聞くときのコツ
    事実を聞くときのコツ

    4.回答を誘導してしまう

    回答を勝手に推測し、「○○が原因ですよね?」といった誘導的な質問を続けると、インタビュイーが本音を話しづらくなったり、新たな事実が見えなったりするリスクがあります。

    「誰が?」「いつ?」「どこで?」「なにを?」といった切り口で事実を確認し、内容を深掘りすると、より具体的でリアルな情報が得られやすくなります。

    「なぜ?」については、直接「なぜそう思ったのか?」とたずねるよりも、「そう思った理由をひとつふたつ教えていただいてよいでしょうか?」と質問するほうが、相手がスムーズに理由を説明しやすくなります。

    ヒント
    オープンな質問と深掘りを繰り返すことで、相手が本音を語りやすくなり、思わぬインサイトが得られる可能性も高まります。誘導的な質問を避け、あくまで相手の言葉で自由に語ってもらう姿勢を保つことが大切です。

    よくある質問

    Q1. 誰にインタビューすべきか、ターゲットが定まっていない場合はどうすべきですか?

    まずはペルソナを定義し、ペルソナごとにインタビューを行うのが基本です。もしペルソナがまだない場合は、以下の条件であたりを付ける方法をおすすめします。

    • 企業規模(従業員数、売上規模など)
    • 役職(経営者、管理職、現場担当など)
    • 業種・業界(IT、製造、小売など)

    ある程度の条件を組み合わせて「ここに該当する人なら共通の課題やニーズを持っているはず」というセグメントを仮定し、そこから優先度の高いものを選んでインタビュイーを募集しましょう。

    Q2. 応募者が集まらない場合はどうしたらいいですか?

    以下の2ステップで対策することをおすすめします。まずはターゲット条件の緩和から始め、それでも集まらない場合にはインタビュイーの募集方法を広げることを検討してください。

    ステップ1.ターゲット条件の緩和

    • 「共通の課題・ニーズを持っているか」という観点で、業種・業界を広げてみる
    • 導入経験者だけでなく、導入検討中や、同様のニーズを抱える職種レベルまで対象を拡大する

    ステップ2.インタビュイー収集方法の拡大

    • ビザスクやユニーリサーチだけでなく、その他のサービスでも募集する
    • ハウスリストへのメール配信やSNSでの告知、知人のネットワークなど、複数のチャネルで声をかけてみる
    SNSでの告知例

    Q3.インタビューで得た情報をどうやって示唆につなげていけばよいのでしょうか?

    共通点の探索個別の発言の深掘りという2つの観点で示唆を抽出する方法が効果的です。

    まず、セグメントごとに主要なインタビュー内容を比較し、共通するポイントや課題をまとめます。ここで見つかった共通点は、サービス改善や新規企画のヒントになります。

    次にインタビュイーごとに「発言内容 → そう思う理由や意図 → 取りうる打ち手」とドリルダウンし、実際の施策につながるかを検証します。具体的な背景がわかると、より適切な打ち手を立案しやすくなります。

    Q4. インタビューの実施について、どうやって社内で合意を得ていくべきですか?

    インタビューの価値は実際に体験したり成果を見てもらわないと伝わりにくい面があります。以下のようなアプローチをとると、社内の理解を得やすくなるでしょう。

    インタビューに参加してもらう
    上司や関連部署のメンバーにインタビューへ同席してもらったり、録画を確認してもらったりします。実際の声やインタビュイーとのやり取りを見せることで、重要性を体感しやすくなります。

    小規模でも早めにアウトプットを出す
    自分ひとりの工数で実施可能な範囲からはじめ、出てきたインサイトや施策案を社内共有し、具体的な成果物を示すのも有効です。

    記事のまとめ

    見込み顧客インタビューは、将来的に商品・サービスを利用する可能性がある顧客を対象とし、潜在的な課題やニーズを直接聞き出す定性調査の手法です。本記事で解説した、見込み顧客インタビューで必ず押さえておきたいことを以下にまとめました。

    1. 調査企画で目的・仮説・対象者の条件を明確にする
    2. インタビュー項目は仮説検証に必要なものを優先する
    3. インタビューは基本的にオンラインで行い、1名あたり60分を目安にする
    4. インタビューでは回答の誘導を避け、事実を捉えられる質問を心がける
    5. インタビュー結果は全体サマリ・カテゴリ別評価・各インタビューサマリで整理する

    見込み顧客インタビューで得られた情報を活用して、新たなマーケティング施策を考えたり、商品・サービスの開発や改善の方向性を見定めたりすることができます。顧客の生々しい声や行動背景を理解することで、定量データだけでは捉えきれないインサイトが見えてくるでしょう。

    記事内で紹介したテンプレートも活用して取り組んでみてください。

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