最近、「営業」という仕事に対する認識がガラッと変わった。その結果、「営業ほどおもしろい職種はない!」と思える域にまで達してきた。せっかくなので考え方がどう変わって、なぜ楽しくなったのかをまとめてみる。
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「売る」よりも「信頼獲得」、「弊社の売上」よりも「御社の課題解決」
どう変わったのかと言うと、売ることを一切考えず、相手の課題を解決することだけを考えるようになった。
これまでは事前に着地点を想定し、逆算して分岐を洗い出してデータを準備し、なんとか想定通りに着地させることを考えながら話していた。先方のニーズを無視することは決してしないが、なんというか、頭の中にマップがあり、そのマップ上でお客さまが今どこにいるのか、を考えながら話していた感覚に近い。基本的にこちらの土俵で話を進めていた。
でも今はまったく違う。まず、着地点は考えないし、売ろうという気持ちもない。それよりも「信頼できる相談相手」になりたい。「1時間でこんなにも課題が解決され、モヤモヤが晴れ、前に進むとは思わなかった」と言われたい。
帰り際のエレベーターでニコニコしながら「本当にありがとうございました」「問い合わせしてよかったです」と言われたときの感動は何にも代えがたい。
「売る」という自分たちの都合を手放したから、自分の知識や経験をすべて「相手の課題解決」に使えるのだ。
数字を目標にすると、本質的な課題解決ができなくなる
とはいえ、「営業=課題解決」はただの正論である。でも、その正論を実践できない人は多いのではないかと思う。
それは、個人のスキル不足と言ってしまえばそれまでだが、「組織として掲げる目標とお客さまの利益が一致しない」設計になっているから、と考えられないだろうか。
実は、僕の思考が変わったきっかけは、組織の経営手法を変えたことだった。目標を上から下に指令するのではなく、メンバーみんなで決めることにしたのだ(※)。
目標を決めるためのミーティングで、「売上を伸ばしたい」と言うメンバーは一人もいなかった。みんな、「もっとクライアントに提供する価値を高めたい」「信頼関係を強めたい」と言う。だから、売上目標を手放し、提供価値の向上を目標にしたのだ。
こうやって組織の目標を変えてみて体感するのは、本当に「営業は会社の顔」なんだということ。組織の内面は、営業の振る舞いに如実に表れる。
※具体的にはホラクラシー経営という手法に切り替えた。この経営手法についてはまた別の記事にしたい。
営業が辛い人は、本質を考えてみるといいかも
最近、新規の打ち合わせの場では、こんなことばかり言っている。
「そんなに予算使うのもったいないから、僕らにはその10%ぐらいで依頼するのがいいと思います」
「ランニングコストはなしで、初期だけでいいですよ。全部やり方教えますんで」
でも、受注率は格段に上がっている。お客さまからクロージングされることもあるぐらいに。でもそんな数字はどうでもよくて、一人でも多くの人の役に立っているという実感が持てるし、お金を払ってでも任せたいと思ってもらえることが何よりの喜び。「また今日も誰かの役に立てるのかな」と思うとワクワクして、アポに行くのが楽しい。
じゃあ今、組織の目標とお客さまへの価値提供が、一本線で繋がっていない状況の人はどうすればいいのか? 数字に追われて「今、営業の仕事が辛い」人は、少し考え方を変えてみると良いかもしれない。
たとえば「この予算が自分の親のお金だったら」「友達がやっとの思いで立ち上げた会社だったら」みたいに、自分事として捉えてみてほしい。「この提案は本当にベストなのか」「自分の大切な人にも胸を張って勧められるか」という考え方が自然とできると思う。
逆説的ではあるけど、実はそのほうが売上も上げられるのではないかと思う。なぜなら、お客さまは「営業されたい」「商材の説明をしてほしい」というより、「何らかの課題を解決したい」「相談相手が欲しい」と思っているから。
実際に、僕の営業の受注率は上がっている。以前よりも、信頼関係を構築できた状態で発注してもらえている実感もあるので、受注後もスムーズにプロジェクトを進められる。
課題がどこにあるのかを診断し、適切な施策を提案する。企業の病を解決する医師のような感覚で営業に取り組めると、こんなにやりがいのある仕事はない。
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