自社でWebサイトをもち、情報を発信する企業が増えています。その一方で、以下のような声が聞かれます。
- 自社のオウンドメディアの画像を充実させたいが、著作権が気になる
- 自社のキュレーションメディアに他人が作成した記事や画像を掲載してよいのか
もちろん、他人が作成したコンテンツを無断で使用するのは著作権侵害になってしまう可能性があります。そこで本記事では、どのような場合に著作権侵害が問題となってしまうのか。どのような方法であれば適法な利用といえるのか。著作権を侵害せずにコンテンツを使用する方法について弁護士が解説します。
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著作権が問題になるとき
どのような場合に著作権が問題となるのか。理解するためには著作権法と著作物について理解しておく必要があります。
著作権法とは
著作権法は、「著作物」を創作する著作者の権利を守る法律です。コンテンツの著作者には、自分のコンテンツをコピーしたり(「複製権」著作権法第21条)、インターネットを通じて配信したりする権利(「公衆送信権」同法第23条)が認められています。
メディアの作成・運営にあたり、他人が作成したコンテンツを収集し、自らのサーバーに蓄積することは「複製」に該当します。また、ユーザーに対してコンテンツを提供することは「公衆送信」に該当します。よって、著作者の承諾なくこれらの行為を行うことは、著作権侵害となる可能性があるのです。
コンテンツが著作権法上の「著作物」にあたる場合、原則として、作成者の許諾がない限り、そのコンテンツを利用することはできません。
著作物とは
では、どのような場合にコンテンツは「著作物」に該当するのでしょうか。
著作権法は、以下の4つの要件をすべて満たすものを「著作物」としています(著作権法第2条第1項第1号)。
- 思想又は感情を
- 創作的に
- 表現したものであって
- 文芸・学術・美術又は音楽の範囲に属するもの
この4つの要件を満たすコンテンツは、「著作物」として著作権法上保護されることになります。したがって、この4つの要件を満たすコンテンツを権利者に無断で使用することは、著作権侵害となってしまう可能性があります。
以上を前提に具体的に見ていきましょう。
著作物にあてはまるもの
事実
先述したとおり、著作物と謳うためには作成者の「思想又は感情」が表現されている必要があります。一方、いわゆる「事実」は、思想や感情を含みません。したがって「事実」は、基本的に著作物として保護されないと考えられます。
また、ごくありふれた表現についても、創作的な表現とは言いがたい面があります。著作物として保護されない可能性が高いといえるでしょう。
キャッチコピー
キャッチコピーのような短い表現でも、創作的な表現が含まれているのであれば、著作物として著作権法上の保護の対象になる可能性があります。
画像
先述した4つの要件を満たす可能性が高いです。著作物として著作権法上の保護の対象になるものと考えられます。
著作物に該当するコンテンツを利用する場合は、後述する「適法に利用できる場合の要件」を満たす必要があります。
なお、仮に「著作物」に該当しないコンテンツであっても、無断で利用することは、契約上の債務の不履行、不法行為に該当する可能性がある点に注意しましょう。
著作物を適法利用するには
先述したとおり、「著作物」に該当するコンテンツを無断で利用することは著作権侵害になる可能性があります。しかし、以下にあてはまる場合は権利者の承諾を得ることなく著作物を利用できます。
- 著作物を利用していない
- 著作物を著作権法上認められている方法で利用している
もう少し具体的に解説していきましょう。
コンテンツへのリンクをはる
コンテンツそのものを利用するのではなく、コンテンツへのリンクをはるやり方です。
URL自体はサイトの場所を案内する表示。著作物には該当しないうえ、リンク元がリンク先の情報を送信しているわけではありません。したがって、リンクをはることは原則として著作権侵害とはならないと考えられています。
もっとも、リンクボタンに、リンク先のURLだけではなく、画像等の著作物を掲載する場合には、著作権侵害となってしまう可能性があります。リンク先のコンテンツをそのまま自社メディアのフレーム内に表示するなど、リンクの方法によっては著作者人格権の侵害となってしまう可能性がある点にも注意しましょう。
コンテンツを引用する
著作権法は、他の論文や記事を紹介して評価したり批判したりする場合に、権利者の許諾を得ることなくその記事等を利用することを認めています(「引用」著作権法第32条)。
メディアにおいても、「引用」という形で他人のコンテンツを利用することが考えられます。
著作権法が定める「引用」の要件との関係では、多くの裁判例が出ており、この条文の文言と裁判例が示した要件との関係については議論もあります。また「引用」として認められるためには、基本的に以下の要件を満たすことが必要であると考えられています。
- 公表された著作物であること
- 公正な慣行に合致すること
- 報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われること
- 引用以外が「メイン(主)」で、引用部分が「サブ(従)」となる関係があること
- 引用部分とそれ以外が明確に区別されていること
- 引用を行う必然性があること
- 引用もとを明示すること(著作権法第48条)
引用として他人のコンテンツを利用する場合には、上の7つの要件を満たす態様で行いましょう。
「引用もとさえ表示すれば問題ないんですよね?」という質問をよく受けます。「引用」と認められるためには7つの要件をすべて満たす必要があり、引用元を明示するだけでは不十分であることは認識しておきましょう。
また、著作権法上の引用の要件を満たしていたとしても、以下にあてはまる場合は契約上の債務の不履行に該当する可能性があります。
- 会員登録をして当該コンテンツ提供元との間でサービス利用契約を締結している
- 当該コンテンツの提供元が無断での画像等の転用を禁止している
また、利用契約などの「契約」の有無にかかわらず、画像等の転載禁止をうたう提供元は、コンテンツの無断転用に対して強く反応する可能性が高く、クレームを招いてしまうおそれがあります。そのような提供元からのコンテンツの転用は避けておいた方が安全でしょう。
他人のコンテンツを利用することのハードルは低いものではありません。以下を念頭において、Webサイトやメディアを作成・運営していきましょう。
- 権利者からの許諾の有無
- コンテンツの利用態様(リンクを貼っているだけか、自社サーバー内に複製等しているか)
- 引用の要件を満たしているか
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