「ウェビナーの集客がうまくいかない」は、最もよくいただく相談内容のひとつ。ウェビナーは一見すると集客方法が限られており、広告に頼りがちです。しかし、実は費用をかけることなく、すぐに取り組める打ち手は複数あります。
才流(サイル)でも2022年からウェビナーを強化しており、集客についてもさまざまな打ち手を講じてきました。本記事では、才流がこれまでに取り組んだ打ち手のなかから、とくに成果が出たものを4つ紹介しています。いずれも費用をかけることなく取り組めるものばかりです。
なお、広告については別途記事があるので、以下をご覧ください。
※関連記事:ウェビナー集客をFacebook広告で実施するためのステップを詳細解説 – BtoB企業向け
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1.複数回配信して視聴の機会損失を防ぐ
最初に紹介する打ち手は、配信回数の改善です。
ウェビナーは、特定の日時に限定して配信されるケースがほとんど。この場合、タイミングが合わない視聴者を逃してしまいます。一方、配信するタイミングを複数設定すれば、視聴の機会損失を防ぐことができます。
ここではウェビナーを複数回配信する方法について、メリット・デメリットも交えながら解説していきます。
同じ内容を複数回配信する(見逃し配信)
ウェビナーを複数回配信する方法はいくつかありますが、「見逃し配信」のような形でひとつのウェビナーを複数回配信するのが、最もオーソドックスな方法でしょう。
ただし経験上、配信回数を4回以上に増やしても効果は変わりません。配信の手間を考慮して2回、もしくは3回をおすすめします。
ちなみに、3つの日程で合計3回配信した場合、集客の比率は以下のようになります。
見逃し配信の実施方法
続いて、配信方法について説明します。ひとつのウェビナーを複数回配信する場合は、1回目と同様にもう一度ライブ配信をする、1回目に配信した内容の録画を配信する(疑似ライブ配信)という、ふたつの選択肢があります。
それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。
ライブ配信 | 疑似ライブ配信 | |
---|---|---|
概要 | 毎回ライブ配信を行う | 1回目の配信内容を録画して、 2回目以降は疑似ライブ的に配信する |
メリット | ①1回目の反応を踏まえて内容を ブラッシュアップできる ②登壇者が慣れるので、 クオリティが上がる | 運用工数が小さく済む |
デメリット | 登壇者の工数が増える | ①1回目の配信内容のクオリティが 満足度や商談化率に直結する ②視聴者からの質問に回答しづらい |
配信タイミング | 1回目の1週間後以降 | 1回目の翌日、翌々日 |
登壇者が自社の社員だけであれば、スケジュールの調整も容易なのでライブ配信にも気軽に取り組めるでしょう。ブラッシュアップも社内で完結できるため、スピード感を持って進められます。
一方、社外からゲストを招いている、他社と共催しているといった場合には、2回目以降もライブ配信を実施するのはハードルが高いと思います。社内で完結できる場合はライブ配信、社内で完結できない場合には疑似ライブ配信を選択することをおすすめします。
ちなみに才流では、社内で完結できる場合はライブ配信を2回、共催ウェビナーの場合は擬似ライブ配信で3回配信しています。
先述したとおり、3回目の視聴者数は全体の10%程度。1回目は50人集まっていたのに、3回目は5人しか集まらなかったといった状態では、登壇者のモチベーションにも悪影響を及ぼします。そのため、才流ではライブ配信は2回まで、というルールを設けています。
ベストな配信タイミング
配信のタイミングについて、2回目、3回目もライブ配信する場合は、それぞれの配信タイミングを1週間程度空けることをおすすめします。
1回目を終えると、ほぼ間違いなく「資料のこの部分をもっとブラッシュアップしたい」「話しづらい箇所があったので、トークを見直してもっと練習しておきたい」などの改善点が見つかるからです。これらに対応するために、1週間程度空けておきましょう。
アーカイブ動画を活用する
ライブ配信、疑似ライブ配信、いずれの配信方法を選択しても運用の工数がかかります。リソース確保の観点から、複数回の開催は難しいというケースも多いでしょう。そこでおすすめしたいのが、アーカイブ動画の活用です。
1回目の配信を告知する際に、以下のようなアナウンスをして視聴者の取りこぼしを防ぎます。
YYYY年MM月DD日 XX:XX〜XX:XX ライブ配信
※配信終了後、3日間視聴可能な見逃し配信のURLを送付いたします。
当日ご都合が合わない方も、ぜひお申し込みください。
ただし、アーカイブ配信は視聴者がウェビナーを視聴する時間帯を制御できません。アンケートの回収率が低くなる、終了後のフォローのタイミングがつかみづらくなるといったデメリットがあります。
また、アーカイブ動画のURLを配布しても結局視聴されづらい、という点も考慮しなければなりません。「いつでも視聴できるから後で見よう」という心理が働き、視聴の優先度が下がってしまう傾向があります。実際に才流でも、アーカイブ配信の視聴回数は伸びませんでした。
アーカイブ配信は、複数日程開催が難しいときの次善の策と考えておくのがよいでしょう。
ちなみに、この方法で告知した場合も当日視聴が65%、アーカイブ配信での視聴が35%程度と分散する傾向があります。
2.集客メールは2つの型を併用して送る
続いて紹介する打ち手は、集客メールです。GoToWebinarの『THE BIG BOOK OF WEBINAR STATS』によれば、ウェビナーにおける最大の集客経路はメール配信。ハウスリストへのメール配信は、最も重要なウェビナーの集客チャネルといえます。
ウェビナーの告知メールには、大きく分けて告知型とTips型の2つの型があり、これらを併用することで集客数を最大化できます。ここでは、それぞれの型と併用すべき理由について解説していきます。
告知型メール
告知型メールは、ウェビナーの開催をお知らせをするだけのシンプルな内容です。200〜300文字程度で簡潔にウェビナーの内容を伝えます。
告知型メールのメリット
テンプレートを作っておけば簡単に作成でき、作成工数がほぼかからない点がメリットです。ものの数分で作成できるでしょう。また、ウェビナー開催のお知らせだけで構成されるので、ウェビナーのタイトルに興味を持った方を確実に集客できます。
以下は、才流で実際に配信した告知型メールです。テンプレートを用意して、バナー、開催日時、タイトルを差し替えるだけで作成できるようにしています。
告知型メールを作成するときの3つのポイント
告知型メールを作成する際は、以下の3つに注意しましょう。
ウェビナーの魅力を伝えたいあまりに長文になってしまっているメールをよく見かけます。しかし、メールは基本的に流し読みをするもの。メールはフックとして活用し、詳細はLPで伝えることを意識しましょう。
以下を参考に構成してみてください。
Tips型メール
続いて、Tips型メールについて説明します。メールの冒頭にウェビナーの内容に関連するTipsやノウハウを記載し、「このような内容を学べるウェビナーがあります」と告知する方法です。
Tips型メールのメリット
告知型メールと比べると、以下のようなメリットがあります。
- さまざまな切り口でウェビナーのトピックについて語れるので、幅広い層に興味を持ってもらえる
- ウェビナーのトピックについて、踏み込んだ内容を紹介できるため興味・関心を持ってもらいやすい
- 普段ウェビナー開催のお知らせには反応しない層も開封してくれる可能性がある
- メルマガでウェビナーの具体的な内容に触れることができるため、視聴者の期待値を調整しやすい
以下は、才流で実際に配信したTips型メールです。メールの件名は「パートナー(代理店)が思うように売ってくれない3つの理由」。メールの冒頭ではウェビナーについては触れていません。
Tips型メールを作成するときの5つのポイント
Tips型メールには、以下の5つのポイントがあります。
Tips型メールは伝えられる情報量が多いため、つい長く書いてしまいがちです。しかしメールはあくまでもウェビナーへの興味を持ってもらうためのもの。最大でも500文字程度に収めることを意識しましょう。
とくにウェビナーの登壇者は情報の引き出しが多く、文章が長くなってしまう傾向があります。ウェビナーの配信担当者がいる場合は、配信担当者に執筆してもらうこともおすすめです。
これらを踏まえ、以下を参考に作成してみてください。
告知型メールとTips型メールを併用すべき理由
先述したとおり、告知型メールとTips型メールにはそれぞれ異なるメリットがあるため併用することをおすすめします。併用することによって、メルマガに反応する人が増えるからです。
ウェビナーの告知は複数回行いたいですが、たとえば「ウェビナー開催のお知らせ|SaaSパートナー戦略の成功パターン」という件名のメールを送り続けても、反応は徐々に悪化するだけでしょう。そこで「パートナーが思うように売ってくれない3つの理由」のようなTips型のメールを送れば、これまで反応しなかった層が開封する可能性が高まります。
ハウスリストにメールを配信する際は、告知型メールとTips型メールを併用してみてください。
3.無料で使えるウェビナー集客ポータルサイトを活用する
次に紹介する打ち手は、ポータルサイトの活用です。ウェビナー情報を掲載できるポータルサイトの中には、無料で活用できるものがあります。
才流では主にBtoBマーケティング、営業領域のテーマでウェビナーを開催しており、以下の3つのサイトで成果が得られました。ウェビナーのテーマやターゲットが合致しそうな場合は、ぜひ活用してみてください。
サイト名 | 取り扱いテーマ、ターゲットなど |
---|---|
TECHPLAY | テック系テーマのイベント告知ポータルサイト。 開発、マーケティング、営業、人事・組織など幅広いテーマで集客できる。 |
connpass | テック系テーマの勉強会コミュニティ。 エンジニア向けのイベントが多いが、Webマーケティングや営業、 デザインといったテーマでも集客できる。 |
Peatix | ビジネスだけでなく、エンタメやmeetupなど幅広いジャンルを扱う 大手イベントポータルサイト。有料のイベントも告知できる。 |
どのサイトも、数名〜十数名程度が集客の期待値です。出稿作業に手間がかかる場合は外注することも検討するとよいでしょう。
4.アンケートで次回ウェビナーへの申し込みを獲得する
最後に紹介する打ち手は、アンケートの活用です。
実はウェビナー終了後のアンケートも集客に有効なチャネル。関連するウェビナーへの参加を促すと、2〜3割程度の参加者が申し込む傾向にあります。仮に100名を集客できたウェビナーであれば、次回のウェビナーに20〜30名の視聴者を集められます。
ただし、どんなウェビナーであっても成果が出るわけではありません。以下の5つのポイントに注意しましょう。
①誘導元、誘導先のウェビナーは、テーマに関連性があるか
当然、誘導元と誘導先のウェビナーのターゲットがずれていれば集客はできません。たとえばマーケティング担当者向けのウェビナーから、営業責任者向けのウェビナーに誘導しても成果は上がらないでしょう。
また、誘導先を検討するときは、イベントマーケティング全体の階段設計を意識しましょう。階段の下段から上段に向けて誘導するよう設計していきます。上段から下段へと誘導してしまうと、なかなか商談にはつながりません。
※関連記事:階段設計
②誘導元のウェビナーは高い満足度を獲得できているか
前提として、視聴者がウェビナーに満足していて、「この会社のウェビナーにまた参加したい!」と思える状態でなければ、次のウェビナーへは誘導できません。
ウェビナー満足度については、5点満点(1点=不満足、5点=満足)のスケールで考えたときに、平均点が4.0を超えていればひとまず合格点を超えていると判断できます。才流では平均点が4.3を超えていれば、非常に満足度が高いウェビナーだと判断しています。
③誘導先のウェビナーは開催時期が離れすぎていないか
誘導先ウェビナーの開催日があまりに先すぎても集客しづらくなります。誘導先ウェビナーの開催日は1週間〜2週間後くらいを目安にするとよいでしょう。
④誘導元のウェビナーで誘導先のウェビナーの告知があるか
アンケートで参加希望を取得するだけでは、受講者は誘導先のウェビナーの概要がわからず判断できません。また、LPのリンクを掲載しても、自発的に内容を確認して申し込む方は少ないでしょう。そのため誘導元のウェビナーの中で、誘導先ウェビナーの告知や興味付けをしておく必要があります。
告知する際は、誘導元のウェビナーとの関連性、ウェビナーで学べること、対象者、開催日時、誘導元のウェビナーの視聴者が参加することのメリットなどを説明しましょう。
⑤誘導先のウェビナーの開催日程は複数確保されているか
本記事の冒頭でも触れたとおり、参加可能な日程がひとつしかない場合、タイミングが合わない受講者は参加できません。複数の日程を用意しておく、申込者全員にアーカイブ動画を配信するといった対応をしておきましょう。
余談ですが、別のウェビナーへ誘導するために、参加後のお礼メールで新たなウェビナーを案内されている方も多いと思います。しかし経験上、この方法はアンケートからの誘導に比べると集客が伸びづらいです。
アンケートから誘導する場合は、先述したとおり2〜3割程度の参加者が申し込む傾向にあります。しかし、お礼メールで誘導した場合は1割にも満たないケースがほとんど。また一から申込みフォームに入力するのは手間がかかるからです。
つまり、「アンケートからワンクリックで申し込める」という気軽さが集客数を増やすには重要なのです。
最後に
ウェビナー集客に魔法の杖はありません。遠回りに見えても、地道にいろいろな施策を組み合わせることが集客の最大化につながります。本記事の内容がウェビナー集客の一助になれば幸いです。
才流ではウェビナーを定期的に開催しています。ウェビナー運営のオペレーションをご覧になりたい方も、ぜひお気軽にお申し込みください。配信スケジュールは以下よりご覧いただけます。
才流では成果が実証されたメソッドにもとづき、「BtoBマーケティング戦略と施策の立案」を支援しています。マーケティング活動で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)