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BtoB企業のSEOでよくある3つの誤解【体制の事例つき】

BtoBマーケティング
才流コンサルタント
水落 真之

才流(サイル)の水落です。

私はコンサルタント、インハウス両方の立場でSEOに10年近く関わってきました。その10年の間に、SEOの知識・手法が一般に浸透して民主化されてきたという感覚があります。

SEOに関する情報はインターネット上にあふれています。しかし、いざ自社でSEOに取り組むとなったときに「社内に知見がなく、どんな人材を集めたらいいのかわからない」と戸惑う方も多いようです。

そこで本記事では、BtoB企業がSEOをはじめる前に知っておいてほしい重要なポイントと、SEO施策で必要な役割・体制について紹介します。SEOをはじめたいと考えているマーケティング担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

才流ではこれからSEOをはじめたい企業さまを支援しています。SEO、オウンドメディアの運営でお困りの方はお気軽にご相談ください。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら

SEOをはじめる前に〜よくある3つの誤解〜

近年、BtoB企業においてもSEOの施策が普及し、SEOを有効活用して成果につなげている企業が増えてきました。一方で、SEOを誤解したまま取り組んでいる企業もまだ見受けられます。

ここからは、実際によくあるSEOに関する3つの誤解について解説します。

BtoBのSEOでよくある3つの誤解

1. SEO=記事を作ることだと思っている

2014年頃から、まとめ記事のようなコンテンツが検索結果に多く表示されるようになりました。そのため、「記事を書くことがSEO」だと考えている方が一定数いるようです。

実際には、検索に適したコンテンツは記事だけではありません。たとえば、ECサイトのようなデータベース型のコンテンツでSEO施策を実行している企業もあり、その種類は多岐にわたります。また2020年代以降では、動画の方が優先的に上位表示されるキーワードも出始めるなど、検索結果は多様化しています。

そのため、「SEOをはじめる=ライターを探そう」といきなり行動するのは間違いです。どんなコンテンツ形式が狙っているキーワードに適しているのかを考えること、そのさらに手前の戦略のもととなる自社・顧客・競合への理解を深めるプロセスが大切です。

2. SEO=メディアを運営することだと思っている

前述したように、SEOという言葉から記事を作ることを連想する人は多いでしょう。そのため、SEO施策にはオウンドメディアの立ち上げが必要だと捉えている人もいるようです。

しかし、SEOはあくまでオウンドメディアの集客の方法のなかの一つでしかありません。メディアとSEOは、必ずしも結びつかないということを知っておきましょう。

なお、メディアの形ではないBtoB SEOの例として、インデックス型コンテンツというものがあります。詳しくは以下の記事を参照ください。

※関連記事:インデックス型コンテンツ

3. 上位表示・PVを増やすことが一番重要だと思っている

「上位に表示される記事が多いとドメインパワーが上がるので、とにかく上位表示できるキーワードで記事を作りましょう」

コンテンツSEOのベンダーからこのような提案を受けて、記事を量産している企業に過去何社も出会ってきました。

こういったケースでは、記事を量産しているのに成果が出ていない企業が多くみられます。具体的には、PVは増えたもののCV※につながらない流入が増えて、上位表示される目的を果たせないうえに費用も回収できていない、などがよくある問題です。

「ドメインパワー」は概念に近いもので、ある程度は存在すると私も考えています。しかし、自社の事業に関係ないキーワードでやみくもに上位をとっても、ドメインパワーが上げられるわけではありません。割くべきリソースはそこではないのです。ビジネスとしてサイトを運営している以上は、確実にリターンが生まれるようなSEO施策を実行すべきだといえます。

※CV(コンバージョン):自社の商品・サービスを検討しているお客様が購買に近づくために起こす行動。または行動によって得られた成果のこと。

SEOをはじめるべきかを判断する基準

では、どんな条件があればSEOを実施したほうがいいと判断できるのでしょうか。2つの判断基準について解説します。

SEOを始めるかどうかの判断基準

明確なビッグワードが存在する領域である

BtoCであれば「転職」「不動産」「クレジットカード」など、BtoBの場合は「勤怠管理システム」「RPA」「BtoBマーケティング」など、汎用性や抽象性が高く、カテゴリー内で検索ボリュームが特に多いキーワードをビッグワードといいます。

こういったビッグワードが明確に存在している領域は、掛け合わせのワードや関連キーワードも多くなる傾向があるため、SEO流入が期待できます。

先行している競合サイトが多いため難易度は高くなりますが、実行すればSEOが集客の要となってリターンも大きくなるでしょう。

能動的に情報を探しに来る客層をターゲットとしている

才流ではプロジェクトの中で、見込み顧客へインタビューを行っています。そこでわかったのは、領域によっては顧客が能動的に情報を探す行動をとる場合があるということです。

たとえば、製造業向けのIoT製品を扱うお客さまのプロジェクトで見込み顧客について調査をしたところ、見込み顧客は最新の技術情報を求めて自ら検索をかけたり、LinkedInの技術インフルエンサーをフォローしたりと、自分から情報を取りに行く動きをしていました。

なおかつ、競合他社がコンテンツによるSEOで集客をしていたこともあったため、「SEOは有効な手段である」という判断をしたことがあります。

こういった能動的なユーザーが存在するかどうかは、見込み顧客へインタビューを行い、「普段の情報収集をどのように行っているか?」という質問をすることでわかるでしょう。

※関連記事:顧客理解に役立つ、見込み顧客インタビューシート

SEO施策に必要な役割・チーム体制

SEOの施策を行うことが決まったら、実行リソースの確保が必要です。企業や業態によって人数の規模や兼務の有無などは変わりますが、一般的な傾向として以下のような職種が配置されることが多いようです。

  • マネージャー
  • ディレクター
  • ライター
  • 開発

マネージャー

SEO施策の最終的な意思決定や予算管理、チームマネジメントを行う役割を担うのがマネージャーです。戦略立案と実行力、SEOの各論や対象領域への深い理解が必要になります。

スタートアップ企業など立ち上がったばかりの組織では、経営陣の一人が兼務していることも少なくありません。

「編集長」という肩書きは必要か

まれに「コンテンツを運営していく中で、編集長という肩書きは必要なのか」という質問を受けることがあります。

回答としては、「戦略に合わせた名称を選ぶのが適切」とお伝えしています。

「編集長」と「SEOマネージャー」では外部からの見え方が大きく変わり、接触してくる人の性質が変わることがあるからです。

編集長という肩書きであれば、広報・メディア系の関係者との接触が多くなります。一方、SEOマネージャーという肩書きであれば、Webマーケティング文脈の関係者との接触が多くなります。

そのため、あくまでリード創出やWebマーケティングの一環としてSEOに取り組むのであれば「SEOマネージャー」、メディア事業として伸ばしていく展望があるのであれば「編集長」とするのがよいでしょう。肩書きは何となく名乗るよりも、どう見せたいか、どことつながりを持ちたいかを基準に戦略的に考える必要があります。

ディレクター

ディレクターは、SEO施策の実行を担います。

マネージャーの出した戦略や方針のもと、開発やライターが価値を最大限に発揮できるように、キーワードの抽出、コンテンツ構成などの施策の仕様を固めて指示する立場です。

マネージャーと同様に、SEOの各論や対象領域への深い理解が必要になります。チームの規模によってはマネージャーが兼務する、外部の支援会社に委託するといったケースもみられます。

ライター

コンテンツ型のSEOの場合、コンテンツライティングを行うライターが必要です。

クラウドソーシングや業務委託などでフリーランスを募ることが多く、社員としてライターを置くケースは比較的少ないでしょう。

また、自社内で情報を保有していないコンテンツを作る場合や、医薬やお金など専門性を必要とするカテゴリは、コンテンツの内容に対して専門家の監修が必要になることもあります。

開発

データベース型のサイトであれば、Webエンジニアのアサインは必須です。また、記事型のサイトであっても、ページのインターフェース、サイトの構造、ページの読み込みスピードといったWebサイトの技術面を改善する必要が出てくるので、専任のエンジニアがいることが望ましいでしょう。職種としては、フロントエンドエンジニアがアサインされるケースが多いです。

SEO施策におすすめの便利なツール

SEO施策でよく利用されているツールについて解説します。

順位計測ツール

キーワードの順位を計測することは、SEOの効果を測るうえで欠かせません。

よく利用されるツールの代表例としてGRCAhrefsDemand Metrics(旧Ginza Metrics)、Semrushなどがあります。

順位計測を行う際の重要なポイントは以下のとおりです。

  • キーワードをカテゴリに分類する
  • 順位は定点で常に取得し、過去分も含めて保持しておく
  • 競合サイトがいる場合は競合の順位も同時に測る
  • 順位結果はツールによって差が出ることもあるため、重要なキーワードは目視で確認する(Google Chromeのシークレットモードで検索するのが一般的です)

計測キーワードの数は、数百〜数千の規模になることが多いです。そのため、計測できる量に制限のある無料ツールはあまりおすすめできません。

キーワード分析ツール

ツールによって呼び方はさまざまですが、ここでいう「キーワード分析」とは、コンテンツ制作のために必要な情報を調査することです。

コンテンツ制作のために必要な情報は以下のとおりです。

  • 検索結果1ページ目(1位〜10位)にあるサイトのコンテンツの傾向(記事、トップページ、あるいはデータベースなど)
  • 検索結果1ページ目(1位〜10位)にあるサイトのmeta title、見出し文(h要素)
  • キーワードの月間検索ボリューム(検索される回数)
  • キーワードの共起語、サジェストワード

こういった情報を取得できるツールの代表例として、ファベルカンパニーの「ミエルカ」などが挙げられます。

※関連記事:SEOツール「ミエルカ」で才流の記事にダメ出ししてみた結果

【7社の事例】SEOに取り組んでいる企業のチーム体制

才流では、SEOに取り組んでいる企業に対して、チーム体制についてヒアリングを行いました。ここではヒアリングから得られた7つの事例を紹介します。自社の体制を考えるうえでの参考情報として、ぜひご利用ください。

企業①:自動車用品の販売

体制例1:自動車部品の販売
  • SEO施策内容

記事を制作してコンテンツで検索流入を得ている

  • 体制と人数規模
    • SEO専門会社(外部委託)
    • 営業担当者1名
    • ライター1名
    • マネージャー1名
    • 社内確認要員1名
  • 主な使用ツール
    • Google Analytics
    • Semrush
    • Search Console

企業②:情報メディア運営

体制例2:情報メディア運営
  • SEO施策内容

コンテンツとデータベースを両方組み合わせたサイトで検索流入を得ている

※5,000文字以上のコンテンツを週に3本作成することをKPIとして運用している。データベースに関しては商品の増減に合わせて定期的にアップロードしてインデックスさせている

  • 体制と人数規模
    • 社員4名
      • ディレクター
      • 編集
      • ライター
      • エンジニア
    • 外部4〜5名
      • ライター(外部へ依頼)
      • ライター(インターン)
      • ツールベンダー(ツール利用と定例会によるスポットコンサル)
  • 主な使用ツール
    • Keyword map
    • SimilarWeb
    • GRC

企業③:情報メディア運営

体制例3:情報メディア運営
  • SEO施策内容

コンテンツとデータベースを両方組み合わせたサイトで検索流入を得ている

※店舗と来店体験を主とした記事コンテンツを大量に制作しているほか、店舗データ及び来店客の口コミをデータベース化している。店舗データは数十万件以上あり、それらがGoogleで評価されやすい構造を作っている。一時は月間一千万人を超える規模のMAUがあったが、それらの流入元はすべて検索からであり、広告費はまったく使っていない

  • 体制と人数規模
    • ①記事コンテンツ制作チーム
      • 編集長
      • 編集者数名(ジャンル別)
      • ライター数十名(外注)
      • データサイエンティスト(ユーザートレンドの分析担当)
    • ②店舗情報データベースチーム
      • サーバーサイドエンジニア10名程度
      • フロントエンジニア7名〜8名
      • SEOコンサルタント3名程度
      • データサイエンティスト5名程度

※店舗情報の品質管理及び保守対応でCSチームが10名弱(店舗情報と口コミはすべてユーザーが自主的に更新するため関係人員なし)

  • 主な使用ツール
    • Google Analytics
    • Seach Console
    • PageSpeed Insights
    • Google Trends
    • Open Site Explorer など

企業④:安全衛生用品の販売

体制例4:安全衛生用品の販売
  • SEO施策内容

コンテンツとデータベースを両方組み合わせたサイトで検索流入を得ている

  • 体制と人数規模
    • SEO専門業者1名(外部委託)
    • 個人事業主ライター2~3名(外部委託)
    • サイトエンジニア2名(社員1名、外部委託1名)
    • マネージャー1名(社員)
  • 主な使用ツール

ツールは特に使っておらず、分析などはSEO専門企業に委任

企業⑤:情報メディア運営

体制例5:情報メディア運営
  • SEO施策内容

記事を制作してコンテンツで検索流入を得ている

※メインは自然検索で記事コンテンツと動画コンテンツの併用で推進。それ以外にSmartNewsや Yahoo動画トピックスなども活用。提供製品と関連が強い重要キーワードをリストアップし、そのキーワードでの上位表示を狙ってページコンテンツの制作を行い、その後の順位変動をトラッキングする

  • 体制と人数規模
    • ライター10名
    • ディレクター兼最終調整担当2名
    • マネージャー1名
    • エンジニアは2名体制(リリース作業が主)
  • 主な使用ツール

ミエルカ、内製ツールで関連キーワードなどを取得

企業⑥:ソフトウェア開発・販売

体制例6:ソフトウェア開発・販売
  • SEO施策内容

記事を制作してコンテンツで検索流入を得ている

※提供製品と関連が強い重要キーワードをリストアップし、そのキーワードでの上位表示を狙ってページコンテンツの制作を行い、その後の順位変動をトラッキングする

  • 体制と人数規模
    • SEOコンサルタント(外部委託)
    • ライター(若干名、外部委託)
  • 主な使用ツール
    • SEOコンサルタントサービス
    • Google Analytics
    • Search Console
    • Ahrefs
    • Semrush

企業⑦:ソフトウェアの品質テスト

体制例7:ソフトウェアの品質テスト
  • SEO施策内容

記事を制作してコンテンツで検索流入を得ている

  • 体制と人数規模
    • ディレクター3名(SEO調査、テーマ企画、構成、ディレクション担当)
    • ライターが常時10名程度
    • 現場のエンジニア
  • 主な使用ツール
    • サーチライト(PLAN-B)

データベース型のサイトのSEOの場合、エンジニアの人数が増える傾向がみられます。小規模な会社の場合は、SEO専門の支援企業に委託して社員の担当者は少ないというケースが多いようです。

SEO支援企業に相談することを検討している方は、ぜひ以下の記事もあわせてご覧ください。

※関連記事:SEO会社が決して教えてくれない、失敗しないSEO会社の選び方。


SEOに関する情報はたくさん流通していますが、自社にとって何がベストかの取捨選択が難しい分野だと感じています。

才流が考えるSEO・オウンドメディアの運営に必要な要素は、十分な顧客理解です。

事業会社でのオウンドメディア運営経験が豊富なコンサルタントも在籍していますので、戦略面からSEO・オウンドメディアを見直したいという方はぜひ一度ご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)

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