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アンケート調査コンテンツ入門~BtoB企業向けに作り方と事例を解説~

BtoBマーケティング
インハウスエディター
安住 久美子

アンケート調査コンテンツとは、自社のハウスリストや調査会社を通じてアンケートを行い、定量的なデータをもとに作成したコンテンツです。リサーチコンテンツと呼ぶ方もいます。

リサピー(株式会社IDEATECH)が実施した『マーケティング担当者のリサーチコンテンツに関する意識調査』によれば、マーケティング担当者の9割以上が「リサーチコンテンツは重要」と回答しています。なぜ、多くのマーケターが調査コンテンツを重要視するのでしょうか。

出典:リサピー®︎

才流のコンサルタントからは、「アンケート調査コンテンツは一度で、二度も三度も役立つ」との声もありました。その言葉のとおり、アンケート調査コンテンツはさまざまなシーンでの活用が期待できます。

アンケート調査コンテンツの活用例

・調査データをダウンロードしてもらい、リードを獲得する

・記事やウェビナー、YouTubeなど複数チャネルで利用する

・商談で自社の商品・サービスの有益性を裏付けるデータとして使う

・認知拡大のためにメディア掲載を狙う

「調査の費用が高額」「難易度が高そう」というイメージがありますが、最近では数万円から利用できるセルフアンケートツールや、企画からすべてお任せしても30万円程度で依頼できるサービスなどもあります。

本記事は、はじめてアンケート調査コンテンツを作る方に向けて、作り方の流れやポイントを解説します。調査を進める際に要件をまとめた調査票のテンプレートも用意しましたので、併せてご活用ください。

調査票テンプレート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報入力の必要はありません。クリックするとダウンロードされます。

本記事は、リサーチャーの菅原 大介さんに監修協力をいただきました。

リサーチャー
菅原さん

株式会社マクロミルでの定量調査ディレクターを経て、現在は国内通信最大手のグループ企業でUXデザイン・リサーチ全般を担当する。個人でリサーチに関する著作を持つほか、登壇・寄稿・取材実績も多数。リサーチのトレンド・ノウハウを伝えるニュースレター「リサーチハック 101」を定期発行中。Twitter:@diisuket

マーケティング観点で、アンケート調査コンテンツを作るメリット

アンケート調査コンテンツは、広報活動に使われるケースが多いですが、マーケティング観点でのメリットもあります。

アンケート調査コンテンツのメリット

例えば、見込み顧客の業務課題をアンケートで明らかにすると、見込み顧客は自分ごととして共感し、課題を解決するための手段に関心を持ってくれるでしょう。

既存顧客に商品・サービスについてアンケートをとれば、既存顧客が感じているメリット・デメリットから、改善すべき点や訴求ポイントが見えてきます。顧客の声をもとに自社の強みを客観的に語れるため、Webサイトや広告に強い訴求メッセージを加えられるでしょう。

短期の改善や成果を追うのであれば、見込み顧客や既存顧客へのアンケートは有効です。

また、調査の結果は客観性の高い情報であるため、自社が伝えたい内容だけを掲載したプレスリリースと比べて、メディアで取り上げられやすく、SNSでも拡散されやすくなるでしょう。

自社の業界や領域のトレンドについて、アンケート調査コンテンツで定期的に発信すれば、「〇〇テーマならこの会社」という第一想起もとりやすくなります。

WACULによれば、BtoB企業の商品を購買する人が、第一想起した商品を導入する確率は55.3%(※)。第一想起をとることは売上に貢献するために重要な取り組みだといえます。

アンケート調査コンテンツから第一想起を狙うのであれば、継続的にコンテンツ発信とデリバリーを行える仕組みを整えましょう。

※出典:『55%が第一想起した商品を導入。BtoBにおける純粋想起の実態調査』

BtoB企業のアンケート調査コンテンツ活用事例

アンケート調査コンテンツをうまく活用しているBtoB企業の事例を紹介します。

指名検索数が過去最高に【株式会社うるる】

電話代行サービスfondeskを提供するうるるは、2021年3月末に『職場の電話対応の実情調査』を発表しました。調査結果をもとにエッジを効かせたクリエイティブを作成し、新聞の意見広告も掲載。4月の入社シーズンという季節性も後押しし、同コンテンツはテレビやWebメディアなど120以上の媒体で取り上げられ、SNSでも拡散。大きな反響があったそうです。

検索エンジンで「fondesk」と検索される回数は過去最高となり、「fondesk」のキーワードでWebサイトに来訪した方のCVR(※1)も向上。CPA(※2)は25%低減したとのことです。

※参考:Web担当者Forum 

※1:シーブイアール/Conversion Rate の略。問い合わせや資料請求など、Webサイトが目的としている成果にどれくらい至ったかの割合を示したもの。「CV率」とも呼ばれる。

※2:シーピーエー/Cost Per Acquisitionの略。リード獲得単価の意味で、Web広告などでリード1件あたりの獲得にかかるコストを示したものです。

クライアントへの説得材料として重宝【株式会社WACUL】

マーケティングDXツール AIアナリストを提供するWACULでは、月に1本のペースで調査コンテンツを公開しています。

アンケート調査コンテンツの活用事例
出典:WACUL

同社によれば、目的は二つ。デジタルマーケティングの第一人者としての権威付けと、顧客への説得材料として活用するためです。

短期での成果は追っていないそうですが、調査データは顧客への説得材料として効果を発揮しているといいます。調査コンテンツをもとに話が進められるので、「ジュニアのコンサルタントでもプロジェクトが推進しやすくなった」と感じているそうです。

アンケート調査コンテンツの作り方

ここからは、アンケート調査コンテンツを作成するステップを紹介します。

アンケート調査の目的や規模はさまざま。テーマや調査対象によっても注意ポイントは変わってきますが、今回は初めてアンケート調査コンテンツを作る方を想定し、大枠の流れを解説していきます。

ステップ1:目的を決める

まず、アンケート調査コンテンツを作る目的を明確にしましょう。

目的が定まっていない状態で調査をはじめてしまうと、「どのようなテーマにするか」「どういう質問をすればいいのか」などの理由で迷ったとき、判断のよりどころがありません。

BtoB企業では、以下の目的で調査コンテンツを作ることが多いようです。

アンケート調査コンテンツの目的
  • 商品やサービスのメリットや強みを洗い出す
  • 商品やサービスのデメリットや課題を洗い出す
  • 認知獲得のためのメディアコミュニケーション
  • リード獲得
  • 組織内でのナレッジ蓄積

結果的に、「リード獲得を目的としていたが、認知拡大につながった」「商品・サービスの利用メリットを裏付けたら、リード獲得にもつながった」ということはありえます。ただ、最初は目的を明確にしておいたほうが、先の工程で迷うことなく進めます。

ステップ2:テーマを決める

次に、目的を達成するために必要なテーマを考えます。

BtoBのアンケート調査コンテンツの場合、以下の切り口でテーマ設定することが多いようです。

アンケート調査コンテンツの切り口
  • 業界や職種の実態・トレンドを共有する
  • 商品・サービスの背景となる業界や社会の課題感を共有する
  • 商品・サービスの新しい傾向を共有する

事例紹介弥生株式会社『経理担当者の今を知る‐2022年版』

  • テーマ:経理担当者の実態やトレンド
  • 調査対象者:経理担当者
出典:株式会社弥生Webサイト  
菅原さん

リサーチャーの視点
弥生株式会社は、会計ソフトを提供しています。調査対象者を顧客層の経理担当者に絞り、仕事の魅力や苦労をシェアする調査コンテンツです。「経理の日」という記念日に合わせて発表しているので、公共性があり、シェアやメディア露出もされやすい。認知拡大につながるBtoBアンケート調査の好事例です。

BtoBでは、自社の事業に近いテーマを設定するのが基本です。目的がリード獲得なら、なおさらのこと。たとえテーマがトレンドに沿っていて、SNSで多くシェアされたとして、自社の事業から遠いテーマでは、ほしいリードは得られないからです。

また、調査対象者が少なすぎるテーマを設定してしまうと、アンケート回収が困難になる場合があります。欲しい回答数が見込めるのか、確認しておく必要があるでしょう。

加えて、テーマ選びでは、「読者が知りたいことでなければコンテンツを作っても読んでもらえない」ことを意識しましょう。目的を達成するためには、どのような人に、何を聞くのが有効か。調査結果に共感する人は誰で、どういう感情や行動につながるのか。読者の解像度を高めたうえで、テーマを決めましょう。

なお、継続的にアンケート調査コンテンツを発信したい場合は、あらかじめテーマリストを作成しておき、自社の事業にインパクトがありそうなテーマから順に着手していくことをおすすめします。

アンケート調査でテーマを決める際のポイント

ステップ3:調査対象者を決める

調査対象者は、テーマを決める際に同時に考えておくべき項目です。

例えば、「BtoBマーケティングの実態調査」と一口に言っても、現場のマーケターに聞く場合と、マーケティング責任者や経営者に聞く場合では、得られる示唆が変わってきます。

自社商品を使っている方の実態を知りたいのであれば、実際に利用している顧客に聞きます。

アンケート調査から何を知りたいか」から逆算して、対象者を選びましょう。

アンケート調査対象者を選定する際のポイント

BtoBの場合、そもそも対象者が少なく、十分な回答が集まらない場合もあるでしょう。もし数が集まらない懸念があるなら、対象者の条件を緩和したり、アンケート調査ではなくインタビュー調査に切り替えたりすることも検討しましょう。

対象者の条件緩和の例

・〇〇業界のマーケティング職当事者・従事者→兼業している人・関与している人もOKとする

・経験年数5年以上→経験年数3年以上にする

また、どうしても回答者数が少ない領域の場合、調査対象者を「特定の属性を持つグループにフォーカスする」のも有効です。情報価値が高く、読者に深く刺さるコンテンツを作れるでしょう。

対象者を特性のグループに絞り込む例

・プロダクトマネージャー→デザイナー出身のプロダクトマネージャー

・アジャイル型の開発組織で働いている人→スクラムマスター

ステップ4:目標回収数を決める

アンケート調査の信頼性を担保し、必要な情報を得るために、調査開始前に目標回収数を決めておきましょう。

菅原さん

リサーチャーの視点
外部に公表することを意識するならば、400を目標回収数に置くのが目安です。ただし、BtoBのアンケート調査では、対象者を工夫し、200~300程度で行うことが多いです。自社の顧客に対するユーザーアンケートを実施する場合、平均的な回収率が10%をキープできるようにしましょう。顧客と一定の関係性が築けていれば、安定して20~30%の回収も見込めます。

以下は、回収数の目安として参考にしてください。

アンケート調査の公表の用途に適した回収数のイメージ

ステップ5:調査方法を決定する

次は、具体的にどのような手法で調査するかを決定します。自社ですべてを行う場合と、一部またはすべてを外部サービス、調査会社に依頼する場合が考えられます。

自社ですべてを行う場合

以下の項目に当てはまる場合、内製化を検討してもよいでしょう。

・社内のリソースやスキルで、設計・実施・分析ができる

・自社ユーザーに自社中心でアンケートをとりたい

・部門ごとに個別のデータを集めたい

・短期間で結果を出したい

・調査予算をとれない

例えば自社ユーザーに対するアンケートであれば、Googleフォームで作成し、日頃から使っているメール配信ツールやMAなどを利用すれば、追加のコストはかかりません。質問案の上限数がなく、自由度が高いのも特徴です。

ただ、自社ですべてをやろうとすると、必要な回答数が集められなかったり、アンケート作成や集計に時間がかかってしまったり。当然ながら、社内の工数がかかります。

社員のつてをたどって回答者を募る場合にも、注意が必要です。同質性が高い人の意見が集まり回答傾向が偏ってしまったり、逆に回答者の立場が多様になりすぎてしまったりすることがあるからです。

アンケートツールや調査会社を使う場合

アンケート調査コンテンツにはじめて取り組む場合、アンケートツールや調査会社を利用すると、調査の流れがつかみやすいのでおすすめです。

調査費用は、基本的に質問数×回収数で決まります。追加で、対象者抽出のためのスクリー二ング(事前調査)や集計業務などのオプションが加わることもあります。

設計からすべてをお任せし、大規模に調査を行うと高額になる場合もありますが、プロの視点でアンケート設計を行ってもらえるので、信憑性の高いデータがとれるでしょう。

以下の項目に当てはまる場合、外注化を検討してもよいでしょう。

・社内担当者の業務が、実務の実行より管理が多い(ディレクター業務がメイン)

・ニュートラルな対象者に実施したい(属性や条件を生活者一般に広げるとき)

・報告や公表に向け品質を保持したい(データが精緻に成形されるべき用途)

・調査業務担当者を育成していきたい(担当者の調査スキルを引き上げたい)

・調査予算をとれる

また、会社によっては、比較的安い金額で設計から依頼できるサービスもあります。当社のコンサルタントが実際にマーケティング施策の一貫として使用したことがあるサービスを聞いたところ、FreeasyFastaskなどが挙がりました。

回答者を集める部分のリソースを省き、スピーディーに調査を進めたい場合にはおすすめです。

<Freeasy・フリージー>

実査(実際にアンケートを実行する)部分のみを外注する方向けのサービスです。24時間セルフ型アンケートツールというコピーのとおり、1問×1人@10円で、24時間アンケートがとれる価格とスピードが強み。アカウント申請後、最短1時間程度でアカウントが作成でき、登録質問案の設計や集計まで自分で管理できます。回答状況もリアルタイムに確認できるため、最低限の費用と工数で調査を進めたい方にはおすすめ。筑波大学と共同研究でAIによる調査モニターの品質管理を行い、モニター数は1,300万人を超えているそうです。

出典:Freeasy Webサイト

またbizhikeとFreeasyが共同で提供している「サーベイPRパック」というサービスは、企画設計からアンケート調査の実施、プレスリリース作成までをセットで提供しています。想定回答者数300~500で、質問数10問までと上限はありますが、価格は税込み33万円。すべておまかせしたい方にはおすすめです。

出典:bizhike

<Fastask・ファスタスク>

セルフ型インターネットリサーチですが、プロが調査票の作法や設問ロジックを事前にチェックしてくれる点が強みです。またアンケートを配信可能なアクティブモニターが300万人いるため、リアルタイムに回答を依頼できます。サービスページで価格は開示していませんが、大手調査会社の3分の1以下の価格であると明記されています。

出典:Fastask

また、リサーチャー菅原さんからは、マクロミルが提供するセルフアンケートツールQuestantがおすすめとして挙がりました。

<Questant・クエスタント>

年間30,000件を超えるというリサーチ実績を持つマクロミルのノウハウで作られたセルフアンケートツールです。70以上のアンケートテンプレートがあり、初心者でも簡単にアンケート作成が可能。グラフの色やデザインもカスタマイズできます。自社が持っているリストに対してアンケート調査を行うことを前提としていますが、回答者を集めたい場合は提携の調査パネルを低価格(20問 ✕ 500人=10万円)で利用できるようです。利用回数無制限の年間プランと、使いたいときだけのアドホックプランがあり、自社の状況に合わせて選べます。

出典:Questant

調査会社を選定する際には、以下の点をチェックしましょう。

アンケート調査会社を選定する際のポイント

ステップ6:アンケートを作る

調査会社に設計を依頼しない場合、自社でアンケートを作ります。

慣れない方がいきなり1問ずつ質問を考えていくと、唐突な質問になってしまったり、知りたいことにたどりつかない質問になってしまったりする場合があります。

まずはテーマに沿って、知りたいことのトピックスを3~5つ程度あげてみましょう。

トピックスとは調査で何を聞きたいか、ざっくりと書き出すものです。例えば「〇〇社のイメージ」「〇〇の利用経験」くらいの粒度です。

アンケートの質問項目を作る際のトピックス

3~5つのトピックスを書き出したら、その中で質問したいことをそれぞれ4つ程度書き出していきます。

例えば、「〇〇の利用経験」というトピックスに対して、以下のように質問を書き出します。

  • 〇〇を利用しはじめてから、どのくらいの期間が経ちましたか
  • 〇〇の利用頻度はどのくらいですか
  • 〇〇を利用する時間帯を教えてください
  • 〇〇を利用する際、誰と利用することが多いですか
菅原さん

リサーチャーの視点
質問が20問を超えると離脱率が上がってしまうというデータがあります。調査内容に関する質問は15問程度、回答者の属性情報(社名や会社規模、業種など)で5問程度を目安に設計しましょう。

また、他にもアンケート作成時に検討することは複数あります。以下を参考にしてください。

単一回答か、複数回答か?

単一回答は、回答者の状態や程度を知るためのもの、複数回答は意見や経験の広がりを知るためのものと考えます。

アンケート作成における単一回答と複数回答の比較

記述式の回答は、具体的なことを聞きたい場合には有効です。しかし、記述式が多すぎると回答者の負担になるので気をつけましょう。

必須回答か、任意回答か?

基本はすべてを必須回答にして問題ありません。ただ、記述式の回答を複数入れている、アンケート全体が長い、内容がセンシティブで答えにくいなどの場合は、回答負荷が高くなってしまいます。途中で離脱してしまう可能性もあるため、任意回答を適宜いれることで回答者の負担を軽減しましょう。

アンケートの前文に入れるべきことは?

アンケートの最初には必ず調査趣旨や、回答の負荷(どの程度の時間で回答できるか)、個人情報の取り扱いについて明記しておきましょう。

アンケート前文の例

本アンケートは、株式会社〇〇で作成するコンテンツ「△△に関する実態調査」で使用するために行います。△△に関わる方の課題や取り組み実態を調査する目的です。

<内容>△△に関するBtoB企業の実態を調査するアンケート

<対象>BtoB企業の経営者、新規事業責任者、新規事業の担当者

<アンケートの所要時間>〇分

<回答期限>〇年〇月〇日〇時

■ 本アンケートの回答時に取得した個人情報は上記の目的にのみに使用し、あらかじめご本人の同意を得た場合のほか、以下のプライバシーポリシーに定める場合を除き、第三者には提供いたしません。プライバシーポリシー:https://sairu.co.jp/privacy-policy/(URLを記載)

■ 本アンケートの回答結果は、個人が特定できない統計情報としてWebサイトなどで公開させていただく場合がございます。回答者の個人情報や、個人・企業を特定できる形で回答内容を公開することはございません。  

ご同意いただいた方のみ、アンケートにお進みください。

表記ルールはそろっているか?

質問の仕方、漢字やローマ字の表記などを揃えることで、回答者にとって読みやすく、回答しやすくなります。最初にルールを決めておくと良いでしょう。

また、ひとつの質問の中で複数のことを聞いてしまうと、回答が難しくなるので注意が必要です。

アンケートの質問タイプごとの表記パターン

アンケートが回答しやすいかどうかは、実際に答えてもらうのが一番です。

回答者を募集をする前に、調査対象者に近い方や社内の方など、複数の方に協力してもらい、違和感なく回答できるかチェックしてもらいましょう。

ステップ7:コンテンツ化する

アンケートの回収が終わったら、プレスリリースやWeb記事、PDFなどのコンテンツにまとめましょう。読者の興味を喚起するためには、どのようなポイントをおさえればよいのでしょうか。

複数の調査コンテンツを発信しているBtoB企業の事例からベストプラクティスを探ります。

事例①株式会社WACUL

タイトル:「ながら見」が7割。BtoBオンラインイベントの実態調査

出典:WACULの研究レポート

「オンラインイベントでリードはとれるが受注につながらない」という課題に対し、オンラインイベントの実態を調査することで、原因を明らかにする内容です。

コンテンツの構成は以下のとおり。

  • 調査に至った背景
  • 調査結果のサマリ
  • 調査結果の詳細(回答者属性・図)
  • 調査概要
  • 調査からの提言(社内外の専門家コメント)
  • お問い合わせCTA

同コンテンツは、コロナ禍以降に関心が高まっている「オンラインイベント」をテーマに置き、その中で感じる疑問や課題に答える内容です。専門家に結果の分析コメントをもらうことで、複数の視点から解説されたリッチなコンテンツに仕上がっています。また、タイトルに数字を入れることで、読者の結果への興味を喚起しています。

事例②サイボウズ株式会社

タイトル:ユーザーアンケート2022レポート−活用している機能と実感している効果に関する調査−


クラウド版 サイボウズ Officeのユースケースを、ユーザーアンケートをもとに伝える内容で、コンテンツの構成は以下のとおりです。

  • リード文(調査背景)
  • 調査概要
  • 質問・結果解説(該当する機能説明ページへのリンク)
  • まとめ(機能の使い方ページ、活用法へのリンク)

「言った言わない問題の解決に役立つ機能」など、オフィスにおける担当者のリアルな課題に共感してもらいつつ、自社の機能を活用するメリットを自然に伝えられるコンテンツになっています。

アンケート結果の間に該当機能ページへのリンクを張っており、興味を持った読者を自然と誘導する仕掛けがあります。

「課題を解決するのはこの機能」という売り手として伝えたいことを、ユーザーの声で客観的に伝えている好事例です。

事例③HubSpot Japan

タイトル:日本の営業に関する意識・実態調査

HubSpot Japanは、2019年から毎年行っている 『日本の営業に関する意識・実態調査』の調査コンテンツをもとに、『インサイドセールスに関するデータ集』というページを作成しています。

出典:https://www.hubspot.jp/inside-sales/2022

このページは調査の詳細を説明するのではなく、結論をわかりやすくまとめる構成となっています。本調査のPDFは40ページを超えているため、興味がある方のみダウンロードできるように、文中にダウンロードボタンも設置されています。

構成は、以下のとおりです。

  • リード文
  • 調査概要
  • まとめ(調査コンテンツの全体をダウンロードするためのCTA)
  • 結果と考察
  • お役立ち資料の案内とフォーム

実態調査のようなコンテンツは、自社の商品・サービスの見込み顧客よりも、幅広い層の方が読んでいると想定されます。

すぐにサービスの問い合わせをしてもらうのではなく、インサイドセールスのお役立ち資料ダウンロードのフォームを設置している点は、階段設計としてお手本にしたいところです。

出典:HubSpot Japan『日本の営業に関する意識・実態調査』(PDF)https://www.hubspot.jp/inside-sales

アンケート調査をコンテンツ化する際のポイント

3社の事例をふまえ、アンケート調査コンテンツ作成のポイントは以下のとおりです。

調査背景をわかりやすく伝える

どのような課題感を持ち、どのような示唆を得るために調査を行ったのか。調査背景を読めば、誰に向けたコンテンツなのかがすぐにわかるようにしておきましょう。

調査から得られた具体的な数字をタイトルや前半に

タイトルや見出しにアンケート調査で得られた数字を盛り込めるのは、アンケート調査コンテンツならではの強みです。また、調査サマリーを前半に入れ、調査結果だけを素早く知りたい人のニーズに応える作りにしましょう。

読者が知りたい順番で、知りたいことだけを解説

アンケートのすべてを、必ずしもコンテンツに盛り込む必要はありません。特にプレスリリースや短いWeb記事を作る場合、すべてを説明しても、詳細を読んでくれる人はごくわずかです。すべてを知りたい方には、PDFをダウンロードしてもらうように使いわけるとよいでしょう。

見やすいグラフ

グラフの色や文字の見やすさは意識しましょう。比較対象となる指標の色が近いと、比較しにくく、わかりにくい場合があります。また、SNSでの拡散やメディア露出を意識するなら、図内に自社のロゴや社名などを入れておくと良いでしょう。

ダウンロードボタンや関連リンク、SNSシェアなど、読者に次の行動を促す

SNSシェアボタンを設置したり、セミナーの申し込みURLを設置するなど、アンケート調査コンテンツの目的に応じて導線を作り、読者のネクストアクションを促しましょう。

リサーチャー菅原さんに聞きました【よくある質問と回答】

菅原さん

調査コンテンツを作る際に、よくある質問に回答します!

Q:調査開始からコンテンツ化するまで、どの程度のスケジュールを想定すればよいでしょうか?

A:テーマや規模、調査会社によっても変わると思いますが、標準的な進行は1.5か月程度を見込んでおくと良いでしょう。

調査の企画段階から、アンケート画面作成までは、業務のステークホルダーが多かったり、レビューや承認体制が多かったりすればするほど、時間がかかります。

逆に、企画の決裁者と実行者の距離が近い場合、1週間程度で企画から実施までこぎつけることもできるでしょう。

実際にアンケートを送付し、集計する工程は、時間は短縮できません。また分析軸や自由回答が多いと、集計に時間がかかります。

できるだけ調査期間中に分析や制作のフォーマット、アウトラインを固めておくとスムーズにコンテンツのデリバリーができるでしょう。

スケジュールの例

<企画~入稿>

・調査概要・調査原案作成(2週間)

・調査票作成(2週間)

<実査※~集計>

・画面作成・テスト回答(3~5日)

・スクリーニング調査(1~2日)

・本調査(1~2日)

・集計(1~2日)

<分析~制作>

・分析(3~5日)

・コンテンツ制作(1~2週間)

※実査:実際に調査を行うこと。ここではアンケートの開始から終了までの期間を指します

Q:調査会社によって違いがあると思いますが、相場の費用感を教えてください。

A:調査会社や調査スペックにより大幅に変わってきますが、中堅企業がコンテンツマーケティング展開を行う場合を想定すると、30~70万円(税抜)程度を相場にとらえておくとよいでしょう。

マーケティング予算の中からかけられる現実的な費用は、おおよそこの範囲ではないでしょうか。

見積りは、本調査20問・400サンプル(※サンプルサイズ)・実査のみを基本に取得しておきます。稟議時点では内容および調査スペックが定まっていないことも多いはずなので、基本の見積りを取っておけば上振れ・下振れとも対応しやすいです。

発注実績ができたら、自社で典型的な発注パターンを作成しておきましょう。


アンケート調査コンテンツを作る際は、ぜひ以下の調査票テンプレートもご活用ください。

調査票テンプレート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとダウンロードされます

才流がわかる3点セット(会社概要・支援実績・サービスの特徴)をダウンロードする

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