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ゼロから学ぶBtoB企業のYouTube運営【実践編 – 制作】

BtoBマーケティング
コンサルタント
水落 真之

企業としてYouTubeチャンネルを運営することになったものの、「動画制作って何から始めればいいの?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。

以前、ゼロから学ぶBtoB企業のYouTube運営【基礎編】で、YouTube運営に取り組む企業の条件をお伝えしました。

本記事では、BtoB企業が動画制作を進めるにあたって押さえておきたい具体的なポイントを解説。実際にチャンネルを運営している企業の方々へのアンケート結果も公開しました。

貴社のYouTube運営にぜひご活用ください。

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動画制作における2つの方法とメリット・デメリット

YouTubeのような動画制作は、カメラで撮影する実写撮影と、ツールを使ってアニメーションで表現する方法の2種類が一般的です。それぞれのメリットとデメリットを解説します。

実写撮影とアニメーションのメリット・デメリット

実写撮影

実写で撮影して動画を作る場合は、「出演する話し手(演者)」がそのままチャンネルの印象や企画に紐づいてきます。実写撮影のメリットは、話し手の顔が見えるので、視聴者から話の内容に対する信頼感が醸成されやすいことです。

一方で、以下の点がデメリットといえるでしょう。

  • 演者の変更が難しい(演者の印象=チャンネルの印象と直結するため)
  • 演者である社員の退職や異動が発生すると、企画の継続が困難になる
  • 撮影の時間・場所の制約が大きい(演者のスケジュール、撮影場所の確保など)

アニメーション

VYONDのようなアニメーション制作ツールを使うことで、誰でも簡単にアニメーション動画を制作できます。最大のメリットは「動画制作に時間と場所の制約がかからない」ことです。

音声さえ録音できれば、パソコン一つで作業場所を選ばずに実施できるため、リモートワークとも相性のよい方法だといえます。

また、演者の顔が出ないので、演者交代の必要が生じても企画に大きな影響はありません。そのため、特定の個人にチャンネルのイメージを紐づけたくない場合は、アニメーションが向いています。

一方で、他社も同じツールを使うことがあるため、チャンネル独自のビジュアルイメージを作りにくいのがデメリットです。良くも悪くもツール自体のビジュアルイメージが先行してしまい、チャンネルとしてのビジュアル的なブランディングには不向きだといえます。

YouTube 運営企業が実際に使用している撮影機材

実際にYouTubeチャンネルを運用している企業の担当者の方へ、撮影に使用している機材について伺いました。

業態撮影カメラその他の撮影機材動画編集ソフト
業態 /
YouTuberプロダクション
チャンネル運用年数 / 5年
チャンネル登録者数 / 50万人
動画本数 / 900本
SONY HDR-CX470
iPhone
GoPro
Adobe Premier Pro
Apple Final Cut
業態 / 芸能事務所
チャンネル運用年数 / 2年
チャンネル登録者数 / 3,480人
動画本数 / 85本
VLOGCAM ZV-E10 
×3カメ
マイク:
SHURE VP83
照明:
LPL L26902×4発
Adobe Premier Pro
業態 / 広告代理店
チャンネル運用年数 / 9年
チャンネル登録者数 / 5.8万人
動画本数 / 222本
依頼した
カメラマンの機材
依頼したカメラ
マンの機材
(撮影する場所や
動画内容による)
Adobe Premier Pro
業態 / フィットネスレッスン
チャンネル運用年数 / 5年
チャンネル登録者数 / 4.6万人
動画本数 / 109本
レッスンスタジオ
に備え付けの
カメラ
Adobe Premier Pro
業態 / 広告制作会社
チャンネル運用年数 / 7年
チャンネル登録者数 / 4.1万人
動画本数 / 100本
Leica
Nikon一眼レフ
Adobe Premier Pro
After Effects
業態 / 結婚式場
チャンネル運用年数 / 2年
チャンネル登録者数 / 822人
動画本数 / 63本
スマートフォン
iPhone
照明付きのスマホ
スタンド
(三脚付き)
外注のため不明
業態 / 動画制作
チャンネル運用年数 / 6年
チャンネル登録者数 / 10万人
動画本数 / 600本
GH5
iPhone
照明機材
ピンマイク(rode)
Adobe Premier Pro

NikonやSONYなどのデジタルハンディカム以外に、iPhoneやGoProといった手軽な機材で撮影している企業もありました。

また、動画編集ソフトはAdobeのPremier Proの利用が圧倒的に多く、動画制作におけるデファクトスタンダードになっていることがうかがえます。

動画制作のコストを下げるアイデア

動画制作では、以下のようにさまざまなコストがかかります。

  • 動画編集用ソフトの費用
  • 動画撮影機器(カメラ・照明機器・その他)
  • 動画編集作業の人件費
  • 演者、話者の人件費(出演料)
  • (実写の場合)撮影場所のレンタル費用
  • (ゲストを招く場合)謝礼費用

しかし、それぞれの項目で工夫すればコストを抑えることは可能です。ここではコストを下げるためのアイデアを紹介します。

安価な機材を使う

高価なデジタルカメラでなくても、たとえばiPhone内蔵カメラで撮影することで、初期コストを抑えることができます。 

無料で使用できる編集ソフトを使うのも有効な方法です。無料で使える編集ソフトの代表例として、Black Magic DesignのDaVinci Resolve(ダビンチリゾルブ)があります。

無料版では解像度やフレームレートが最大4K UHD(3840 × 2160)/ 60fpsまで、のような機能制限はありますが、YouTube動画の制作であれば機能としては必要十分です。

また、Web上に使用方法に関する情報が多く出回っているため、使い方に悩んだ場合はGoogleやYouTubeで検索して解決できることも利点の一つです。

※参考:DaVinci Resolve 18

社員が出演する

自社の社員が出演してコンテンツ内容を話す形式のチャンネルにすれば、出演者のキャスティング費用・謝礼は不要になり、社員の人件費だけで済みます。とくにYouTubeに力を入れている企業の中には、社長自ら出演するケースも多くあります。

オフィス内で撮影する

撮影場所はレンタルスペースではなく、オフィス内のスペースを利用することでレンタル費用を節約できます。

しかし、オフィスは撮影スタジオのように撮影に適した環境ではありません。撮影の際は映像が暗くならないよう、照明の当たり方に気をつけましょう。

BtoB企業がYouTube動画制作で注意すべきこと

音質のよい録音ができる環境を準備する

音声の録音は、ノイズが入らない静かな環境で行いましょう。実際に私があるBtoB企業のチャンネル運営をしていたとき、視聴者の方から最も多かったクレームは「音声が聞き苦しい」ことでした。

とくに、移動中の電車やオフィスの中で視聴している方はイヤホンを使用していることが多く、音声のノイズが気になりやすいものです。

動画制作を始めた当時は予算もなく、iPhoneに標準で付属しているイヤホンのマイクを使って自宅で音声の録音をしていました。その結果、室内の電子機器が干渉して発生したノイズやエアコンの音、ポップノイズ(発声時に吹かれた息で出るノイズ)やデジタルノイズが録音に入ってしまったのです。

録音クオリティが低いことをコメント欄でご指摘いただいてから、マイクを買い替えて録音場所に遮音のためのついたてを置くなどの対策を行い、録音の音質は改善しました。

また、音声の録音を行う際は、音があまり反響しない場所が望ましいです。できるだけ音が響かない場所を選ぶか、カーテンなどの音を吸収する素材を置くと良いでしょう。

ターゲットに合わせたBtoBらしい表現にする

BtoB企業がYouTubeチャンネルを運営する目的は、リード獲得、サービス認知などさまざまです。そのため動画コンテンツ内では、それぞれの目的に沿ったBtoBらしい表現が求められます。

しかし、業界の知見を持っていない外部の動画制作者に制作を依頼した場合、BtoBらしからぬ映像表現になってしまったという問題が起こりがちです。

たとえば、「企業が提供するサービス」の例として一般の生活消費財(シャンプーやコスメなどの一般商品)を出してしまう(BtoB企業なのにBtoC商品で表現してしまう)、といった間違いが起こることがあります。

ターゲットに合わない表現があると、チャンネル自体に一気にニセモノ感が出てしまい、コンテンツの信頼性が弱くなってしまいます。外部に制作を委託した際は、動画のチェックを細部まで怠らないようにしましょう。

サムネイルを作成する際のポイント

サムネイル作成のポイント

動画の内容は大切ですが、動画のサムネイルも視聴回数に大きく影響します。

サムネイルは、以下の基本的なポイントを押さえて制作しましょう。

  • 画像内の色使いは3色まで(写真部分は除く)
  • 画像内の文字数は目安15文字まで
  • フォントサイズは大きめに
  • 画像内の文言は動画タイトルと異なる、動画内容のハイライトや結論などを表記

サムネイルは画面上で小さく表示されることが多く、情報量が多いと伝わらなくなってしまいます。使う色数は3色までに抑え、文字数は少なく、かつ動画内の重要な結論やハイライトになる内容を記載します。

また、動画のタイトルはV-SEO(※1)の観点からも重要な箇所になるため、検索キーワードを盛り込みます。

一方でサムネイル内の文言は、タイトルより先に視聴者の目を引くことが多いため、V-SEOを意識した文言よりも、視聴者が見て、動画の内容が気になるような言葉を入れることが望ましいです。

ただ、動画のジャンルや視聴者の特性によって傾向は異なるため、この4つだけを守れば問題ないというわけではありません。CTR(※2)を確認し、運用しながら改善や最適化を行う必要があります。

※1:Video Search Engine Optimizationの略。動画コンテンツにおけるSEOのこと

※2:Click Through Rateの略。表示回数に対するクリック数の割合のこと

動画編集・制作の外注先を探すコツ

社内で動画制作を行うリソースが不足している場合は、動画制作のディレクションや制作担当者を外注することになります。アンケート調査によると、制作作業を外注している会社が多いようです。既存の取引先に外注する、または既存の取引先から外注先を紹介してもらうといった回答が目立ちました。

業態制作体制
(外注/内製)
動画制作の具体的な進め方
業態 / YouTuberプロダクション
チャンネル運用年数 / 5年
チャンネル登録者数 / 50万人
動画本数 / 900本
内製撮影、編集、アップロード後の
各種メンテナンスまですべて内製。

スタッフは専任社員と業務委託が在籍し、
それぞれ基本的な仕事内容は同じ。

マネージャーは動画編集も兼任しつつ
企画出しやスタッフマネジメントも行う。
業態 / 芸能事務所
チャンネル運用年数 / 2年
チャンネル登録者数 / 3,480人
動画本数 / 85本
外注動画編集の専門家の知人に依頼している。
業態 / 安全靴、オフィス・ワー
キングユニフォーム、設備機器
などの製造販売
チャンネル運用年数 / 4年
チャンネル登録者数 / 1,900人
動画本数 / 111本
外注と内製の
ミックス
外注(6割):
付き合いのある広告代理店経由

内製(4割):
企画・撮影・演出・編集まで一貫して対応可能
なスタッフが1名。
要求クオリティにより、撮影・編集のみの外注
ヘルプ1-2名が担当。
業態 / 広告代理店
チャンネル運用年数 / 9年
チャンネル登録者数 / 5.8万人
動画本数 / 222本
外注と内製の
ミックス
動画編集以降は内製。
社内スタッフ3名。
弊社サービスのフィットネスレッスン動画の
コンテンツ制作チームが兼務している。
業態 / フィットネスレッスン
チャンネル運用年数 / 5年
チャンネル登録者数 / 4.6万人
動画本数 / 109本
外注以前から取引のある制作会社に依頼している。
業態 / 広告制作会社
チャンネル運用年数 / 7年
チャンネル登録者数 / 4.1万人
動画本数 / 100本
外注以前から取引のある紙のカタログ制作会社が
動画制作も対応できるのでまとめて依頼。

制作絵コンテは、制作会社側にて作成したもの
を自社で内容を精査し、決定。
動画制作についてはすべて外注先にお任せ。
業態 / 結婚式場
チャンネル運用年数 / 2年
チャンネル登録者数 / 822人
動画本数 / 63本
外注広告代理店に紹介されたYouTube特化の制作会社
に企画・制作・撮影・編集までを依頼。

キャスティングが必要な際は、自社で行うか
キャスティング会社に依頼。
業態 / 動画制作
チャンネル運用年数 / 6年
チャンネル登録者数 / 10万人
動画本数 / 600本
外注と内製の
ミックス
基本的には外注しており、動画によっては内製で
一部編集、その他の編集作業を外注する形で運用。

外注先は初期はクラウドワークスで募集し、
テスト編集を行ってもらい、5人に1人ほど採用。

編集作業の内製は本格的には行っていないが、
必要な場合は企画を兼務する撮影担当2名が
内製で実施。

知人に紹介してもらう

知り合いから、過去に取引実績がある会社や制作者を紹介してもらいましょう。知人からの紹介なので、一定の信頼がある状態で取引を始められることが最大のメリットです。

とくにマス広告も手がける総合広告代理店は、動画制作会社とのコネクションを多く持っている可能性があります。

クラウドソーシングで探す

動画制作会社とのつながりがない、または制作予算が少ない場合はクラウドソーシングやスキルマーケットなどでフリーランスの動画編集者を探すといいでしょう。

クラウドワークスやランサーズといった大手のクラウドソーシングサービス、その他にもココナラビジネスなどで動画編集の案件を探している動画編集者が見つかります。

採用を検討する際は、以下の点に留意しましょう。

外注先を選定する際のポイント

  • 他の利用者のレビューや評判をチェックする(対象者のSNSアカウントがあればその内容も確認するとよい)
  • 過去の実績やポートフォリオを必ず確認する(特にBtoB企業の制作実績があるとよい)
  • 1人に絞るのではなく2人、できれば3人採用する(突然音信不通になって進捗が止まった場合の代役などを考慮)
  • 選考時に有償の編集テストを行う

まとめ

本記事では、BtoB企業のYouTube運営における動画制作の実践的なノウハウを解説しました。

「どのように動画制作を進めたらいいのかわからない」とお悩みの方の参考になれば幸いです。

才流では「BtoB×YouTube最前線」と題したBtoB企業のYouTube運用事例を紹介するシリーズ記事も公開しています。あわせて貴社のYouTube運営にご活用ください。

また、成果が実証されたメソッドにもとづき、マーケティング戦略立案から施策実行まで支援しています。マーケティング活動で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)

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