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インサイドセールスとは? 導入を成功させる113のチェックポイント

2019年12月以降に発生が報告された新型コロナウイルス感染症の影響により、人と人が対面で行う従来の営業活動(フィールドセールス)の在り方は今、大きな岐路に立っています。

また、働き方改革の推進や東京オリンピック2020の開催予定(現在は延期)、そして世界的な感染症流行の影響により、在宅ワークが推進されるなど日本社会そのものが大きな転換期を迎える中、対面ではなくメールなどのWebツール、電話を使って行う「インサイドセールス」がこれまで以上に注目を集めています。

ここでは、インサイドセールスとは何か、従来のテレアポとの違い、営業活動の何を担い、どのように営業活動に役立ち生産性を上げられるのかを紹介します。また導入を決めた際、具体的にどのポイントをチェックするべきなのか、詳しく一覧で説明します。作成にあたっては、インサイドセールスの第一人者・茂野さん @insidesales_jobにご協力いただきました。

目次[非表示]

  1. 1.インサイドセールスとは
    1. 1.1.インサイドセールスはテレアポと何が違うのか?
    2. 1.2.インサイドセールス(IS)とフィールドセールス(FS)の違い
    3. 1.3.インサイドセールスの業務の流れと役割、他部署との連携
      1. 1.3.1.マーケティング部門からインサイドセールス部門へ顧客情報を引き継ぐ
      2. 1.3.2.見込み客を選別し、優先順位をつける
      3. 1.3.3.顧客と関係性をつくり、成約の精度を高めていく
      4. 1.3.4.フィールドセールス担当者へ引き継ぐ
  2. 2.インサイドセールス導入のチェックポイント一覧
    1. 2.1.基礎編:インサイドセールス共通の確認事項
      1. 2.1.1.営業プロセスの可視化と定義づけ
      2. 2.1.2.情報管理等のルール作り
      3. 2.1.3.顧客オペレーションのルール作り
      4. 2.1.4.部門間連携と役割分担の確認
      5. 2.1.5.ITツールの選択と導入確認
    2. 2.2.応用編①:SDR(反響型)の場合の確認事項
      1. 2.2.1.リードオペレーションの確認(Webおよび共通事項)
      2. 2.2.2.リードオペレーションの確認(展示会・自社セミナー)
      3. 2.2.3.コールオペレーションの確認
      4. 2.2.4.部門間連携の確認
      5. 2.2.5.KPI/KGIの機能設定確認
      6. 2.2.6.応用編②:BDR(新規開拓型)の場合の確認事項
      7. 2.2.7.ターゲティングの確認
      8. 2.2.8.リードオペレーションの確認
      9. 2.2.9.コールオペレーションの確認
      10. 2.2.10.マーケティングの確認
      11. 2.2.11.KPI/KGIの機能設定確認
  3. 3.インサイドセールスが必要とされる背景と日本での現状
    1. 3.1.インサイドセールスが必要とされる背景
      1. 3.1.1.インターネットの普及による顧客の購買プロセスの変化
      2. 3.1.2.社会情勢の変化による働き手(労働力)の慢性的な不足
      3. 3.1.3.効率化と加速化が求められる営業活動の変化
    2. 3.2.日本におけるインサイドセールスの普及状況
  4. 4.まとめ
      1. 4.0.1.作成協力者


インサイドセールスとは

インサイドセールスは、直訳すれば「内側での営業活動」、つまりオフィスに居ながらにして、メールや電話、オンライン商談ツールなどを使って行う営業活動を指します。

従来、営業活動といえば「顧客企業に訪問して対面で行う」方法が中心でした。また営業活動の一連のフェーズは、すべて一人の営業担当者が管理し、見込み客獲得から育成、成約まですべてを担っていました。この手法は営業担当者の能力に左右され、また情報の共有も社内で進まない「属人化」が問題とされています。

一方、インサイドセールスは古くはアメリカで生まれた手法です。アメリカでは広い国土を移動して訪問による営業活動をすることは難しく、営業効率を上げるために必然的に生まれた手法ともいえます。

元来は電話を使った手法が主でしたが、現在はインターネットの普及とITの進化、それに伴う多様なツールの開発などにより、訪問による営業手法だけでなく、オフィス内・在宅で製品やサービスを、メール、電話、オンライン商談ツール、Webコンテンツを使って販売する営業活動が可能になりました。これが「インサイドセールス」です。

インサイドセールスの最も重要な役割は「見込み客が出会う最初の人間として顧客の成功を念頭に最適な顧客体験を提供すること」です。

インサイドセールスはテレアポと何が違うのか?

インサイドセールスが電話やメールを利用した「内勤営業」ならば、テレアポとは何が違うのでしょうか?

同じだと誤解されることが多い両者ですが、大きく「目的」と「役割(担う範囲)」が異なります。

※1 インサイドセールスの一環としてテレアポを行う場合は、新規開拓型ではなく反響型に分類される
※2 BDRはおもに大企業向けの営業手法を指す。この場合は「テレアポ」ではなく、「コールドコール(cold calling)」と呼ばれることが一般的(後述)

インサイドセールス(IS)とフィールドセールス(FS)の違い

新しい営業活動は、従来の営業活動を「インサイドセールス」と「フィールドセールス」で分業したものです。両者の違いは、簡単にまとめると以下のようになります。

インサイドセールスの業務の流れと役割、他部署との連携

インサイドセールスが具体的に営業活動のどの分野を担っているのか、インサイドセールスの携わる分野を営業活動全体の流れに沿って説明します。

マーケティング部門からインサイドセールス部門へ顧客情報を引き継ぐ

マーケティング部門は、マーケティングで得た顧客情報をインサイドセールス担当部門へ引継ぎます。この時点では顧客の分類と選別はされていないことが多いですが、購買意欲の差によって引き継ぎタイミングを変える等の体制が構築されている企業も存在します。

見込み客を選別し、優先順位をつける

ここからがSDR(Sales Development Representative)の仕事になります。

マーケティング担当から引き継いだ顧客情報を分類し、優先順位をつけます。潜在顧客と見込み客では購買意欲に差があるため、フォローまでの時間や回数、商談設定までの期間、手法も異なります。

顧客と関係性をつくり、成約の精度を高めていく

将来的に成約し、さらに優良顧客となるよう、先に選別した顧客の状態に合わせて顧客の育成を行います。

具体的には

  • 製品やサービス情報を顧客のニーズやタイミングに合わせてメールなどで紹介する
  • 顧客からの問い合わせに対してスピーディーに対応する
  • 検討段階に引き上げるために電話やセミナー・イベント等への招待する
  • 検討段階になればオンライン会議ツールや電話でニーズや課題認識のすり合わせを行う

などがあります。

なお、顧客情報は関連する事項に紐づけられ、営業に関わるすべての部署で共有されます。CRMなど専用ツールが必須ですが、これにより顧客のすべての情報は、部門を問わず、必要な時にすぐ取り出せるようになります。

フィールドセールス担当者へ引き継ぐ

検討段階になった顧客はフィールドセールス担当部署に引き継ぎます。フィールドセールス担当は、クロージングのための活動を行うことになります。

それぞれの分業と連携によって「一人の担当者がすべてを担う」従来型の営業方法を、より効率的に進めていくことがお分かりいただけたのではないでしょうか。

インサイドセールス導入のチェックポイント一覧

インサイドセールスを実際に導入する場合、具体的にどのように進めればよいのでしょうか。

CRMなどのツールやシステムを導入することが一般的ですが、それだけで「完了」ではありません。流れとしては以下のようになります。

ここでは「インサイドセールスの導入」において必要な手順ごとに、チェックすべき項目を紹介します。

以下の項目ごとに何を準備しチェックすべきか、実際に利用できます。

基礎編:インサイドセールス共通の確認事項

営業プロセスの可視化と定義づけ

目標とする営業活動の整理(商談化や失注とは何を指すのか定義づけと共有)、インサイドセールスを導入する目的を明確にします。

情報管理等のルール作り

顧客に送信するメールの文面(テンプレート)は適切か、よく使う用語や言葉遣いは辞書登録され全員に共有されているか、カレンダー機能の共有などを確認しましょう。また、顧客情報の管理などについての確認は最重要事項です。

(1)テンプレートや事前準備の確認


メールテンプレートのサンプル

(2)情報管理のルール詳細の確認

顧客オペレーションのルール作り

顧客へのオペレーションについての確認事項です。特に失注した場合、双方のデータを蓄積してフィードバックすることが組織の発展と事業の継続につながります。

(1)オペレーションの基本項目の確認

(2)育成に関する項目の確認

(3)失注時におけるオペレーションの確認

部門間連携と役割分担の確認

インサイドセールスはマーケティングチームとフィールドセールスチームの中継地点といえます。連携がうまくできているかどうかが事業の成功を左右します。

ITツールの選択と導入確認

インサイドセールスにはCRMの利用は不可欠です。導入と営業プロセスの改革がここまでの確認で可能である場合、CRMの選定を行います。すでに導入している場合はCRMの機能設定について確認しましょう。

(1)ツールの確認

(2)数値計測能力の確認

応用編①:SDR(反響型)の場合の確認事項

ここからはインサイドセールスのうち、SDRとBDRそれぞれに特化した確認事項を見ていきましょう。

まずは1章で紹介した、一般的なインサイドセールスの手法とされるSDRについて、確認すべき項目を紹介します。

リードオペレーションの確認(Webおよび共通事項)

リードオペレーションの確認(展示会・自社セミナー)

コールオペレーションの確認

部門間連携の確認

KPI/KGIの機能設定確認

応用編②:BDR(新規開拓型)の場合の確認事項

インサイドセールスでBDRを取り入れる場合、1章で紹介したように主に大企業との成約を目指します。SDR型のように時間をかけて多くの顧客を育成する方法と異なり、従来型に近いコールドコール(電話での飛込営業)などが主な手法となります。初期段階では戦略を立てづらいのが難点ですが、ターゲットとする企業の絞り込みにより成約率を上げることも可能、一度の成約で大きな成果を上げられるのが魅力です。

ターゲティングの確認

リードオペレーションの確認

コールオペレーションの確認

マーケティングの確認

KPI/KGIの機能設定確認

出典:https://directus.co.jp/topics/2012/12/21/477/

A   メールマガジンを開封し、読んで、一定の割合でアクションを起こす人
 A-1 開封して読む
 A-2 未開封(今は読まないが、後で読むつもりで保存)

B   「この企業のメルマガは読まない」と判断する人
 B-1 自分でタイトル等を見て判断し、手作業でゴミ箱へ
 B-2 自動でゴミ箱フォルダへ振り分けるように設定する(配信され続けるが未開封が継続)
 B-3 配信停止措置を取る(関係性の消失)

ここで問題となるのが、現在は手作業でゴミ箱に移動させているB-1へ、その後も同じようなタイトルや内容のメールマガジンをこれまでと同じように送り続けていると、やがてB-2、B-3の状態へ移行してしまう懸念があることです。(=育成の失敗、失注)

インサイドセールスが必要とされる背景と日本での現状

ここまでインサイドセールスの具体的な導入方法や注意点を見てきました。しかし、そもそも何故インサイドセールスの需要は高まっているのでしょうか。

この章では、インサイドセールスが求められている背景、日本での普及の状況と将来性などについて説明します。

インサイドセールスが必要とされる背景

インターネットの普及による顧客の購買プロセスの変化

近年、インサイドセールスが必要とされる背景には社会情勢の変化があります。

現在インターネットは社会インフラとして必要不可欠となっています。情報はネット上に溢れ、取得できるスピードは十数年前と比較して爆発的に上がっています。

またパソコンだけでなくスマートフォンの普及も進んでいます。顧客は購入に至る前に、自分から製品やサービスをスマートフォンで気軽に検索し、価格などを比較して選別することが可能になり、その情報収集に多くの時間をかけるようになっています。

従来のように「企業主導」で製品やサービスをただ提供するだけでは顧客の購買行動へつなげることは難しく、「顧客主導」が現在の主流といえます。

「顧客に選ばれる」ためには顧客の購買プロセスに合わせて企業側も変化することが必要です。顧客の行動からニーズを分析し、最適なアプローチを行うことが必須となります。顧客との関係性維持が重要であり、インサイドセールスは関係性構築と維持において、非常に重要な役割を担っていることがわかります。

社会情勢の変化による働き手(労働力)の慢性的な不足

少子高齢化に伴う労働者の減少は今後も避けられず、日本社会全体で共有すべき課題です。

一方、働き方改革の推進など労働現場の改善も、グローバル化の進む現代において日本が抱える課題といえます。

「労働力の減少への対策」と「個々の労働者の労働生産性の向上」を両立するために、「ITツールの利用などによる業務プロセスの効率化」が目標とされています。

この流れが、欧米ですでに成果を上げているインサイドセールスに注目を集め、従来の日本型の営業活動を効率化するものとして期待されています。インサイドセールスは文字通り場所を選ばず、テレワーク(リモートワーク、在宅ワーク)とも相性が良く、働き方改革で国が目指す方向性に沿っているといえます。

奇しくも新型コロナウイルスの世界的流行により、元々東京オリンピックのために準備が開始されていたテレワークを利用する企業が増加しました。この流れは今後逆流することはなく、従来の営業担当が行っていた訪問営業などが徐々に減って、欧米型のインサイドセールスとフィールドセールスによる分業と連携が浸透していくと考えられます。

効率化と加速化が求められる営業活動の変化

営業活動には対面で商談を行うという性質上、これまでは多くの「移動時間」がかけられていました。しかし、顧客がどの状態にあるのか明確にならないままアプローチをかけていたため、無駄な商談も多かったといえます。

さらに上記のとおり、顧客の購買行動までのスピードやトレンドへの反応、一つの製品の流行り廃れの速さなどから、営業活動そのものにも効率化と同時に加速化が求められています。

インサイドセールスの導入によって、営業活動の改善が期待されています。

日本におけるインサイドセールスの普及状況

Haspostが2019年12月にリリースした「日本の営業に関する意識・実態調査」によると、インサイドセールス(アンケートでは非訪問型営業と記載)を導入している日本の企業はわずか11.6%となっています。

経営者への「インサイドセールスという言葉を知っているか」の質問には、「知っている」と回答したのは35.6%、その「知っている」と回答した経営者のうち「すでに導入している」「1年以内に導入する予定」と回答したのが35.4%だったそうです。

欧米では既にインサイドセールスは営業活動の多くを占めており、日本とは大きな差があることがうかがえます。

それではインサイドセールスは日本では不要なのかといえばそうではありません。この調査では、日本の営業活動における「無駄」について具体的に調査しています。またその「無駄」、特に「対面での訪問営業にかける手間と時間」を「売り手」「買い手」双方がどう捉えているか、そして実際の成約数に訪問営業は貢献しているのかも調査しています。

結果として従来の訪問営業は「顔を見せて訪問することは礼儀である」という「旧来の日本の慣習」が惰性として残り、疑われていないだけであると述べています。その結果、日本においては営業担当者の問題意識がまだ当事者レベルで認識されていないこと、そのため海外から遅れをとっていることがわかります。

営業効率を上げて生産性を高めるためには、従来の訪問営業にこだわらず、インサイドセールスとフィールドセールスの分業体制を浸透させていくことが求められます。日本でまだ普及率が低いのは、逆に他社より先んじて抜本的な組織改革を行い、企業成長へつなげられるチャンスともいえるのではないでしょうか。

まとめ

インサイドセールスの具体的な導入チェックポイントを紹介し、インサイドセールスとは何か、それを取り巻く背景と日本における今後の普及について見てきました。

インサイドセールスは、現状、まだ無駄の多い日本の旧来型営業活動を効率化できます。この記事をヒントにインサイドセールスを利用し、企業の競争力を高められる一助となれば幸いです。


作成協力者

茂野 明彦 @insidesales_job

株式会社ビズリーチ  HRMOS事業部 インサイドセールス部 部長
大手インテリア商社を経て、2012年、外資系IT企業に入社。世界で初のインサイドセールス(IS)企画トレーニング部門の立ち上げに携わる。2016年、ビズリーチ入社。インサイドセールス部門の立ち上げ、ビジネスマーケティング部部長を経て、現在はHRMOS事業部インサイドセールス部部長を務める。

株式会社才流からのお知らせを発信します。

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