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弁護士が解説する、Webメディアを運営する経営者が知っておきたい著作権
小鷹龍哉
  • 著者/小鷹龍哉
  • AZX Professionals Group パートナー

弁護士が解説する、Webメディアを運営する経営者が知っておきたい著作権

近年、ホームページやブログをもって、情報を発信している企業が多くなっています。このようなオウンドメディアにおいては、画像等のコンテンツを充実させることが非常に重要となっています。


また、キュレーションメディアやニュースメディアなどのメディアを営む企業にとっても、他の人が作成した記事や画像を使用して、自社のメディアに掲載したいという要望は多いと思います。

 

しかし、他人が作成したコンテンツを無断で利用することは、著作権侵害となってしまう可能性があります。


そこで、今回は、どのような場合に著作権侵害が問題となってしまうのか、また、どのような方法であれば適法な利用といえるのかの解説を通じて、「適法にコンテンツを使用するための方法」について、みていきたいと思います。

 

1.「著作物」に該当するケース

まず、簡単に、そもそもどのような場合に、著作権が問題となるのか、確認しておきましょう。

 

著作権法は「著作物」を創作する著作者の権利を守る法律です。コンテンツの著作者には、自分のコンテンツをコピーしたり(「複製権」(著作権法第21条))、インターネットを通じて配信したりする権利(「公衆送信権」(同法第23条))が認められています。

 

メディアの作成・運営にあたり、他人が作成したコンテンツを収集し、自らのサーバーに蓄積することは「複製」に該当し、また、ユーザーに対してコンテンツを提供することは「公衆送信」に該当しますので、著作者の承諾なくこれらの行為を行うことは著作権侵害となってしまう可能性があります。

 

このように、「コンテンツが著作権法上の『著作物』にあたる」ということになると、原則として、作成者の許諾がない限り、そのコンテンツを利用することはできません。

 

では、どのような場合に「著作物」に該当するのでしょうか。

 

著作権法は、以下の4つの要件を満たすものを「著作物」としています(著作権法第2条第1項第1号)。

 


 (1)思想又は感情を
 (2)創作的に
 (3)表現したものであって
 (4)文芸・学術・美術又は音楽の範囲に属するもの


 

この4つの要件を満たす場合に「著作物」として著作権法上保護されることになりますので、これを権利者に無断で使用することは著作権侵害となってしまう可能性があります。

 

以上を前提に具体的に見ていきましょう。

 

まず、いわゆる「事実」はどうでしょうか。

 

上記のとおり、著作物というためには作成者の「思想又は感情」が表現されている必要があるところ、いわゆる事実は思想や感情を含まないものです。


したがって、いわゆる「事実」は、基本的に、著作物として保護されないと考えられます。

 

また、ごくごくありふれた表現についても、創作的な表現とは言い難い面がありますので、著作物として保護されない可能性が高いといえます。

 

一方、キャッチコピーのように短い表現であったとしても、そこに創作的な表現が含まれているのであれば、著作物として著作権法上の保護の対象になる可能性があります。

 

また、画像については、上記4つの要件を満たす可能性が高いものですので、著作物として著作権法上の保護の対象になるものと考えられます。

 

したがって、画像のように「著作物」に該当するものを利用するのであれば、後記の適法に利用できる場合の要件を満たす必要があります。

 

なお、仮に「著作物」に該当しないコンテンツであっても、これを無断で利用することは、契約上の債務の不履行や、不法行為に該当してしまう可能性がある点には注意する必要があります。

 

2.コンテンツの利用方法

上記のとおり、「著作物」に該当するコンテンツを無断で利用することは著作権侵害となってしまう可能性があります。

 

しかし、①「著作物」を利用していないといえる場合や、②「著作物」を著作権法上認められている方法により利用する場合は、権利者の承諾なく、「著作物」を利用することができます。

 

それでは、どのような場合であれば、権利者の許諾なく、そのコンテンツを適法に利用することができるのでしょうか。

 

(1)リンクの設定

まず、コンテンツそのものを利用するのではなく、メディア上に、そのコンテンツへのリンクを貼ることが考えられます。

 

URL自体はサイトの場所を案内する表示であって著作物には該当しない上、リンク元がリンク先の情報を送信しているわけではありません。


したがって、リンクを貼ることは原則として著作権侵害とはならないと考えられています。

 

もっとも、リンクボタンに、リンク先のURLだけではなく、画像等の著作物を掲載する場合には、著作権侵害となってしまう可能性があります。

 

また、リンク先のコンテンツをそのまま自社メディアのフレーム内に表示するなど、リンクの方法によっては著作者人格権の侵害となってしまう可能性がある点にも注意する必要があります。

 

(2)引用

著作権法は、他の論文や記事を紹介して評価したり批判したりする場合に、権利者の許諾を得ることなくその記事等を利用することを認めています(「引用」。著作権法第32条)。


したがって、これと同様に、メディアにおいても、「引用」という形で他人のコンテンツを利用することが考えられます。

 

著作権法が定める「引用」の要件との関係では、多くの裁判例が出ており、この条文の文言と裁判例が示した要件との関係については議論があるところではありますが、「引用」として認められるためには、基本的に以下の要件を満たすことが必要であると考えられています(参照:文化庁HP「著作権なるほど質問箱」http://www.bunka.go.jp/chosakuken/naruhodo/outline/8.h.html)。

 


①公表された著作物であること
②公正な慣行に合致すること
③報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われること
④引用以外が「メイン(主)」で、引用部分が「サブ(従)」となる関係があること
⑤引用部分とそれ以外が明確に区別されていること
⑥引用を行う必然性があること
⑦引用もとを明示すること(著作権法第48条)


 

したがって、引用として他人のコンテンツを利用する場合には、上記①から⑦の要件を満たす態様で行う必要があります。

 

「引用もとさえ表示すれば問題ないんですよね!?」という質問を良く受けますが、「引用」と認められるためには上記すべての要件を満たす必要があり、「引用もとを明示するだけでは不十分である」、ということはしっかりと認識しておきましょう。

 

また、著作権法上の引用の要件を満たしていたとしても、会員登録をするなどして、当該コンテンツ提供元との間でサービス利用契約を締結している場合において、当該提供元が無断での画像等の転用を禁止している場合には、その画像等を転用することは契約上の債務の不履行に該当してしまう可能性がある点には注意する必要があります。

 

また、利用契約等の「契約」の有無にかかわらず、画像等の転載禁止をうたう提供元は、コンテンツの無断転用に対して強く反応する可能性が高く、クレーム等を招いてしまうおそれがありますので、そのような提供元からのコンテンツの転用は避けておいた方が安全です。


以上のとおり、他人のコンテンツを利用することのハードルは低いものではありませんが、①権利者からの許諾の有無、②コンテンツの利用態様(リンクを貼っているだけか、自社サーバー内に複製等しているか)、③引用の要件を満たしているか、といった概要を念頭に入れて、サービスの開発・運用に役立てて頂ければと思います。 

小鷹龍哉
  • 著者/小鷹龍哉
  • AZX Professionals Group パートナー

ベンチャー企業のサポートを専門としており、利用規約・契約書の作成、ビジネスモデルの法務チェック、ファイナンスサポート、M&Aや上場審査のサポート等、ベンチャー企業に関する法務を全般的に取り扱っている。

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