株式会社GOOD PLACE様は、オフィス構築、建物の企画・設計・施工、総務アウトソーシングなどを手がける企業です。長年にわたって各事業部が独自にマーケティング活動を行っており、全社的なマーケティング戦略がないことが課題でした。
この課題を解決するため、同社は全社マーケティング組織の立ち上げを決意。マーケティング戦略の立案から実行までを一緒に進めてくれるパートナーが欲しいと、才流(サイル)にご相談いただきました。
こうして始まった2年間のプロジェクトでは、マーケティング戦略の立案から実行支援に至るまでをサポート。プロジェクトの成果と才流の支援に対する感想について、同社コーポレート戦略部 部長の中村さん、同部ブランドマネジメント課 課長の吉町さんに伺いました。
未経験者ばかりの全社マーケ組織と伴走してほしい
-才流に依頼する前の、マーケティングの状況について教えてください。
中村 GOOD PLACEは、オフィス構築、建物の企画・設計・施工、総務アウトソーシングの3つの事業を展開しています。
設立から35年になりますが、2021年まで全社的なマーケティング組織はなく、各事業部がバラバラにマーケティング活動をしていました。マーケティング活動といってもリスティング広告を出す程度。全社としてのマーケティング戦略もほぼなく、会社としてブランドメッセージを打ち出せていない状況でした。
市場での当社の存在感や独自性を示すためにも、マーケティングやブランディングの専門組織が必要ではないか。そこで私が手を挙げて、コーポレート戦略部 ブランドマネジメント課(当時はマーケティング統括部)を立ち上げました。
吉町 私たちは大きく2つの目標を持っています。1つは広報領域で、業界メディアでの露出を増やすことを目指しています。もう1つがマーケティング領域で、主にマーケティング活動経由のリード数を増やすための活動をしています。
根本にある目的は、自社のブランディングです。GOOD PLACEの強みや特徴を効果的に伝え、ステークホルダーとの関係を強化することを目指しています。
ー組織立ち上げ当初、どのような課題がありましたか。
吉町 当初は、中村と私含め3人のチームでスタートしましたが、3人ともマーケティング初心者で知見がなく、何をしたらいいのかもわからない状況でした。独学でマーケティングや広報の勉強に励み、実践し始めましたが、すべてが手探り状態でしたね。
また、マーケティングの重要性が社内で十分に理解されておらず、他の部門から関心すら得られていない状況でした。そのため全社として何を優先して取り組むべきか、共通認識を持つことが難しかったです。
中村 自分たちで1年ほどマーケティングに取り組んでみましたが、なかなか成果が出ない状況が続きました。「独学では難しい。専門知識や実践的なアドバイスを提供してもらい、伴走してくれる存在が必要だ」と考え、外部の支援を検討し始めたんです。
ー才流に依頼しようと思った理由を教えてください。
吉町 BtoBマーケティングについて調べる中で、才流さんのブログ(メソッド記事)や代表の栗原さんの著書『事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践』に出会いました。記事や本のほか、SNSでの発信を通じて信頼できる会社だなと感じていましたね。才流さんには、ゼロからマーケティング体制を構築するためのメソッドや、実践的なアドバイスを期待して相談したんです。
中村 初回の商談で、私たちの事情を理解して寄り添ってくれる姿勢を感じました。一緒に解決策を見出そうと、課題に対して前向きに取り組んでくれそうだな、と。もともと知り合いから良い評価を聞いていたこともあり、才流さんに支援をお願いすることにしました。
一緒に考え、一緒に飛び込む。才流との2年間の取り組み
-プロジェクトでは、具体的にどのようなことを行いましたか。
中島 初期はオフィス構築事業のマーケティング戦略立案を中心に、現在に至るまで事業部ごとのマーケティング伴走支援と全社マーケティング支援を行っています。
最初の戦略立案フェーズでは、まず顧客の声を聞くことからスタート。見込み顧客インタビューを実施し、顧客のニーズや情報収集方法、購買時の比較検討軸を深く理解しました。同時に、競合調査も行い、市場での自社のポジションを明確にしました。
その後、見込み顧客へのコミュニケーション設計を実施。どのようなメッセージが最も効果的か、どのチャネルを使うべきか、どのようなカスタマージャーニーを描くべきかなどをご提案しました。
中島 その後、戦略立案フェーズで決めた施策を実行に移していきました。具体的には、リスティング広告用のLP(ランディングページ)のリニューアル、サービス資料や事例集、お役立ち資料の作成、メルマガなどを幅広く実施しています。
私たちコンサルタントは、コンテンツのワイヤーフレームをご提案したり、定期的に進捗を確認したり。実行上の課題が出てきたときは一緒に解決策を考えていきましたね。各種タスクもGOOD PLACE様と才流で分担し、一緒に手を動かしながら進めていきました。
現在は、全社マーケティング支援として各事業部との連携を図るほか、別部門の新規事業など幅広い領域でご相談をいただいています。都度、一緒に問題解決に向けて伴走しています。
才流の伴走支援では、やり方を教えたり実行を代行したりするだけではなく、お客さまと一緒に動くことを大切にしています。GOOD PLACE様とも、一緒に手をつないで飛び込むことでプロジェクトを推進してきました。
吉町 初期の戦略立案フェーズでは、当社の状況を深く理解し、それに基づいた戦略を提案していただきました。その後の伴走支援フェーズでも、常に私たちと一緒に考えながら実行を支援していただき、非常に心強かったです。
中村 才流さんが実施した見込み顧客インタビューでは、第三者がインタビュー調査を行うことの重要性を実感しましたね。
私たちが直接見込み顧客やお客さまに声を聞きに行くと、どうしても本音を引き出すのが難しい。だいたいのお客さまは遠慮して、褒めてくれようとしますから。ですが、才流さんのような第三者が行う見込み顧客インタビューでは、より客観的で深い洞察を得られます。
※関連記事:顧客理解に役立つ、見込み顧客インタビューシート
マーケティングの重要性が社内に浸透し、組織の存在感もアップ
ー才流とのプロジェクトで、印象に残っていることはありますか。
吉町 才流さんとのプロジェクトが始まってから、私たちのチームだけでなく、他の事業部門も巻き込んでマーケティング活動を進めていくようになったことです。
桂川 吉町さんたちのような全社マーケティング部門は、事業部側と連携して顧客理解やマーケティングスキルの向上に注力することが重要となります。
これまで、事業部の方も交えて定例ミーティングや勉強会を開催するなど、さまざまなことに取り組みましたね。
吉町 事業部と連携した取り組みは非常に良かったと思います。社内全体でマーケティングへの理解が深まり、マーケティングの言葉や概念が、社内で共通言語として使われるようになってきました。
その結果、メルマガやセミナー、新規事業のテストマーケティングの進め方など他部門からの相談が増えています。
ーそのような変化は、組織にどのような影響を与えましたか。
中村 社内でマーケティングの理解が深まったことで、私たちの活動もスムーズになりました。社内での存在感も大きく向上しています。
以前は、他部門からあまり関心を持たれていませんでした。ですが今では、経営会議や各部会で私たちの活動を発表する機会が増え、多くの部門が興味を持って聞いてくれるようになりました。
実際に他部門から「一緒に何かしましょう」と声をかけられることも増えました。そのほか、営業部門と一緒に商談に参加することもあります。
ー他に印象に残っていることはありますか。
中村 私たちと才流さんがお互いにタスクを持ち帰り、協力して進めるという方式でプロジェクトを進行しました。一緒に進めている感覚があって、才流さんのことは同じチームのメンバーのように感じています。
採用力が強化され、チームは拡大。既存メンバーも大きく成長
ープロジェクトの成果について教えてください。
吉町 数字面では常に高い目標を設定しているのですが、リード数の目標を達成できるようになりました。実務面での成果も顕著でした。LPの改修やお役立ち資料やコラム、メルマガなどのコンテンツの公開など、活動量自体が以前に比べて増えています。
また、完全な自走はまだまだですが、チーム全体のマーケティングスキルは確実に向上しています。以前は「問い合わせを増やしたい」といった大まかな方向性しかありませんでした。ですが、今では具体的な計画を立案し、実行できるようになりました。
ー他には、どのような面で成果を感じていますか。
中村 採用面での変化を感じています。以前は、マーケティング職の採用で「うちの会社でマーケティングって何をするの?」という質問にうまく答えられませんでした。しかし今では、具体的な目的や具体的な業務内容、成果を示せるようになり、応募者にも私たちの仕事の意義や魅力をしっかりと伝えられるようになりました。
さらに、社内での存在感が高まったことで、必要な人材の採用がしやすくなりました。当初3人だったチームメンバーも、現在は7人に。よりスピーディーにマーケティングを推進できるようになりました。
ブランドマネジメント課のメンバーの意識も大きく変わりました。皆が前向きになり、個人のパフォーマンスも大幅に向上しています。人数も増えましたが、それ以上に一人ひとりの成長を感じています。
才流の伴走でナレッジが蓄積され、最短で成長できた
ーコンサルタントのコミュニケーションはいかがでしたか。
中村 これまでさまざまなパートナーと仕事をしてきましたが、その中でもストレスを感じることが少なかったですね。むしろ、おふたりの熱意と積極性にこちらが追いかけられているような感覚さえあります(笑)。コミュニケーションに関して悪い点は思い浮かびません。率直に言って、非常に良かったです。
才流のコンサルタントは、私たちにできないことがあっても、それを責めずに次にどうすればいいかを一緒に考えてくれるんです。プロフェッショナルとしての能力だけでなく、人間的にも優れていると感じました。
吉町 才流さんは私たちの動かし方まで理解していますよ。メンバーのモチベーションを上げる言い方をしてくれたり、適切なサポートをしてくれたり。
また、質問には必ず答えてくれますし、その理由も実際の事例やメソッドを用いて説明してくれます。これが非常に助かりました。私たちが他のメンバーに説明する際にも、その理由や事例を含めて伝えられるので、共通言語がつくりやすくなりました。
ー今回の支援で一番良かったと思うことは何でしょうか。
中村 一番良かったのは、未経験者で構成された私たちのチームが、才流さんの支援を受けながら、ゼロからマーケティング組織を立ち上げ、着実に成果を出せるようになったことです。才流さんに依頼していなければ、今頃どうなっていたか想像もつきません。
吉町 私はストレスなくスムーズなコミュニケーションが取れたことが一番良かったと思います。最初は何も分からない状態でしたが、ここまで投げ出さずに来られたのは才流さんの支援のおかげです。
また、惜しみなくメソッドやナレッジを共有してくれたおかげで、チームに共有財産ができました。自分たちだけで取り組んでいたら、10倍の時間がかかっていたでしょう。才流さんのおかげで、組織として速やかに軌道に乗れたと感じています。
ー最後に、ブランドマネジメント課の今後の展望についてお聞かせください。
中村 広報とマーケティングを効果的に掛け合わせ、自社の価値や強みをさらに力強く発信していきたいです。また、各事業部が持っているタスクを私たちが積極的に拾い上げ、全社的な事業成長の推進役となっていきたいです。
このように、ブランドマネジメント課の役割が徐々に拡大していくことで、GOOD PLACE全体の成長に大きく貢献していきたいと考えています。
(撮影/関口 達朗、取材・執筆・編集/河原崎 亜矢)