クラウドソーシングサービスで知られる株式会社クラウドワークス様では、オンラインアシスタントのマッチングに特化したサービス、クラウドワークス エージェント(旧ビズアシ)を展開しています。
同サービスの集客はリスティング広告がメイン。事業目標の達成に向けて、新しい集客チャネルを開拓する必要があったと言います。マーケティングの経験が浅く、リソースも不足していたことから第三者の支援を求めて才流にご相談いただきました。
才流では2023年8月から2024年6月まで8か月にわたり、マーケティング戦略の立案と施策の伴走を支援しました。才流の支援に対する感想や得られた成果について、同社の野村さん、金津さん、小野さんにお話を伺いました。
限られたリソースで高い事業目標を達成すべく、支援を依頼
-今回支援をした、クラウドワークス エージェントのサービス内容について教えてください。
野村 クラウドワークス エージェント(旧ビズアシ)は、バックオフィスなどのアシスタント領域でマッチングをする、オンラインアシスタントサービスです。
クラウドワークスが保有する600万人超のデータベースの中から、選考通過率5%という厳しい基準をクリアした「アシスタントのプロ人材」を、お客さまのニーズに合わせてご紹介しています。
依頼から最短4営業日で稼働を開始できるスピード感と、企業側のニーズに応じた柔軟性の高いサービスも特徴です。スタートアップや中小企業様を中心に、「正社員を雇うほどの業務量ではないものの、即戦力が欲しい」「希望に合う人材がなかなか見つからない」「状況に応じて柔軟にリソースを確保したい」といったケースでご活用いただいています。
-才流にご依頼いただく前、どのような課題がありましたか?
野村 サービスが立ち上がったのは2016年。そこから7年間、集客のほとんどをリスティング広告に頼ってきました。いかに新しいチャネルを開拓するかが大きなテーマでした。
また、組織的な課題もありました。マーケティングチーム全員が兼務でリソースがなく、リスティング広告のディレクションやこまごまとした企画業務をするだけで精一杯の状況でした。
私自身もマーケティング経験は2年程。新しい施策を動かす際、このまま進めて大丈夫なのかという不安が常にありました。一方で事業には大きな期待がかけられ、毎年高い目標が設定されていたこともあり、第三者の支援を考えるようになりました。
-才流にはどのような経緯で、ご依頼いただいたのでしょう。
野村 まずは広告以外の集客手段を持つべく、SEOに挑戦したいと考えていました。とはいえ社内にはノウハウがないので支援会社を探していたところ、見つけたのが才流でした。
才流のコンサルを受けたことがある当社のメンバーから話を聞いて背中を押され、問い合わせをしました。最初の打ち合わせでSEOに限定しない、事業成長を加速させるための幅広い相談に乗ってもらえそうだと感じて依頼を決めました。
キャッチコピーの変更と、地道なLP改善でCVRは2倍に
-プロジェクトでは、どのようなことを行いましたか。
横山 プロジェクトはマーケティング戦略立案と、施策の実行という大きく2つのフェーズで進行しました。
戦略立案フェーズでは各種調査に基づいて、オンラインアシスタントにおける市場浸透の道筋を描き、そのために実施すべきマーケティング施策をリストアップ。そのなかで、もともとのご依頼スコープでもあったSEOの位置づけも整理しました。
施策実行フェーズでは優先順位を付けながら、LP改善やSEOコンテンツの制作、メルマガを活用したナーチャリングを進めました。
石田 プロジェクト初期に行ったサイト改善では、すぐに結果が出ましたよね。
初めてサイトを拝見したとき「待つだけでいい」というキャッチコピーに少し違和感を覚えたんです。実際に顧客インタビューをすると「今すぐに人が必要です」という声を聞いて、キャッチコピーを「即戦力をすぐアサイン」に変更しましたね。
野村 キャッチコピーの議論を通じて、サービスの訴求ポイントが明確になりました。良いスタートダッシュをきれたと感じています。
その後、立案した戦略に基づいて新たなLP制作を行いながら、既存LPでもABテストを繰り返し実施。今ではさまざまな変数レバーを抑えた15種類近くのLPが常時回っている状態を保っており、結果としてLPのCVRは2倍になりました。
横山 LPの改善については毎週欠かさず、定例のアジェンダに入っていましたよね。改善の結果と振り返り、次にどんな改善を考えているのか。手を抜かず、やり切る姿勢が素晴らしいなと感じていました。
才流の支援が終わっても高いCVRを維持できている理由は、その徹底力にあると捉えています。
生煮えの状態でも即相談。迷う時間がなくなりスピードアップ
-プロジェクトを通して印象的だったことを聞かせてください。
小野 私はプロジェクトが始まるタイミングで、業務委託としてジョインしました。印象的だったのは、「このレベルの悩みにも応えてくれるんだ」ということ。本来なら考えをまとめて相談すべきところ「生煮えの状態でいいので、迷ったらすぐに聞いてください」と言ってもらって。どんなことでも気軽に相談できたので助かりました。
金津 本当に、困ったことがあるとすぐに相談をしていました。レスが秒で返ってくるんですよね(笑)。
あとは答えではなく、考え方を教えてもらえたことにすごく感謝しています。プロジェクトの最初にいただいた本『BtoBマーケティングの戦略と実践』は、今や私のバイブルになっています。定例のお話と本の内容がちゃんとつながっているので、お話に納得感があったのも印象的でした。
小野 レスの速さはChat GPT級でした(笑)。だからこそ安心感がありましたし、迷う時間が減って行動のスピードがアップしたと感じています。
横山 ありがとうございます。レスは意識的に早くするよう心がけていました。考えすぎて、何も行動できないのは時間がもったいない。生煮えでもいいから迷うことがあればすぐに相談をして欲しい。その結果、皆さんが行動しやすくなればいいなと思っていました。
制作した6本の記事が3位以内。SEOが新しい集客チャネルに
-プロジェクトの成果について聞かせてください。
小野 SEOまわりでは、11本の記事をリリースしました。そのうちの6件が3位以内に入っています。内訳は1位が2本、2位が2本、3位が2本です。
野村 記事経由のCTRは2倍になり、商談、成約も生まれています。問い合わせから成約までの歩留まりはリスティング広告の倍と、大変好調です。
毎月の決定件数のうち、10%をSEOという新しいチャネルでつくれるようになっています。
小野 コンテンツ制作の過程では「ここまでやってくれるのか」と驚いたことがあって。記事を制作するにあたり、クラウドワークスでライター募集をしたんです。70名を超えるライターさんから応募があり、全員分のトライアル記事を読んで採用をジャッジする必要がありました。
本来なら私たちでやるべきところを、横山さんと石田さんもすべての原稿をチェックしてくれたんです。それもどう評価すればいいのか、70名分のジャッジポイントまで明示してくれて。
小野 ライターさんの採用はSEO記事のクオリティに直結します。私一人で責任を負うことへの不安もあったので、本当に助かりました。
その後納品された1万字超の原稿も、20件以上見てもらって。結果としてSEOは、目標を大きく上回る成果を出すことができました。
横山 原稿チェックはたしかに大変でした(笑)。が、商談だけでなく受注にまで直結したことは何より安心しましたね。最終的な顧客ニーズから逆算して設計ができていないと、SEOの施策単体では、短期で事業成果を生み出すことは難しいので。
野村 プロの仕事ってこういうことなんだな、と。すごく印象的でした。
小野 私はタスクを1つ残らずやりきろうとする性格で。横山さんから「これはやらなくていい」と、捨てていいものをはっきり教えてもらえたのも助かりました。
とにかく信じてやればいいと、迷いなく取り組むことができました。だから結果が出たのだと思います。個人的にもすごく成長できて、有意義な時間だったと感じています。
ナーチャリングメルマガの改善で、商談数は8倍に
-ナーチャリングのメルマガでも成果が出ているようですね。
金津 メルマガによる月あたりの商談件数は数か月で2倍、3倍と膨らみ、直近では8倍にまでなっています。
改善したことは大きく2つです。1つは配信回数を変えたこと。月あたりの配信数を3倍以上に増やしました。
そしてもう1つが内容の変更です。今までは「こんなアシスタントさんがいます」という内容のメルマガを週に1回配信。今は「こんな課題ありませんか?」とさまざまな切り口・テーマで週に2回配信しています。
アクションにつながったメルマガは勝ちパターンを分析してテンプレ化。季節的なニーズと定常的なニーズを発信するため、年間カレンダーを作成して管理しています。工数を抑えて安定的な配信と、そこからの商談獲得ができるようになりました。目に見える成果が出たので、社内の成果共有会でも報告をしています。
野村 IS(インサイドセールス)との連携も強化し、配信前はメルマガの内容を確認してもらい、配信後には架電の漏れがないよう確認を徹底しています。メルマガから成約も生まれています。
金津 メルマガの内容には、才流からもらったたくさんのアイデアを活用しています。やればやるほど成果が出るので、どんどん楽しくなってきて。件名や表記など細かいところも含めて勝ちパターンを探るべく、毎回ABテストを実施しています。
石田 人手足りていますか?というリソース確認のアンケートメールも始めましたよね。反響はいかがですか?
野村 アンケートからお客さまがいつ、どのくらいの期間、人を必要としているのかがわかるのでISが架電しやすくなっています。攻め方の手数が増え、トークの精度もあがるので、商談も生まれていて。アンケートメールは財産になっています。
※関連記事:メールマガジンで成果を出すためのベストプラクティス
マーケティング領域での接触面積の拡大が、成果につながった
-プロジェクトによる変化は、何かありましたか?
野村 プロジェクトが始まる前、マーケティングチームは実質私一人に近い状況でした。そこから才流とのプロジェクトがスタートし、小野さん、金津さんが加わったことで、行動量が目に見えて多くなりました。
野村 当社のセールスポリシーに「接触面積」という言葉があります。「行動量を大切にしよう」という意味です。今回のプロジェクトでは営業に限らず、マーケティングにおいても行動量の大切さを体現することができました。
私たちの取り組みと成果は他の組織からも注目されています。才流からもらったナレッジを他の事業にも活かせるように、今後体制を組む予定です。金津さんは他事業のメルマガも担当するようになっているんですよ。
-才流に依頼して良かったことは何でしょう?
野村 1つは壁打ち相手ができたこと。迷ったときに「今置かれた状況で最善の選択肢はこれだと思います」と言ってもらえることは、ものすごく安心感があります。
もう1つは、当初のスコープとは違う、さまざまな事業課題についても相談ができたこと。SEOの制作会社さんにはきっと相談できない内容だと思うので、才流にお願いしてよかったと感じたポイントでした。
マーケティング組織の自立を支援してもらえた
-才流を他の会社におすすめするとしたら、どんな課題を持った会社にフィットすると思いますか?
野村 特定領域のみならず、広い視点で事業に向き合って欲しいと考えている企業、伴走相手を求めている企業にはぜひおすすめしたいです。
小野 施策単位でバラバラに動いている企業は、才流の支援で大きく変わるのではないでしょうか。施策がマーケティング全体として目指すところに向かっているのか、しっかり見てもらえると思います。
金津 一人マーケ、兼業マーケの組織におすすめです。才流からは、成果を出すにはリソースが必要だと言ってもらえます。メソッドもたくさんあるので、組織を動かしやすくなると思います。
野村 まさに当社も、才流との最初のミーティングで「兼務だと、やりきれるかが課題になります」と指摘されて、グサッと(笑)。この言葉のおかげでメンバーを増員し、チーム体制を整えることができました。
小野 みんなが独り立ちできるように、育ててもらったと感じています。プロジェクトの最初は答えを教えてくれて、後半ではいずれ訪れる卒業を見越して、答えではなく考え方を教えてくれて。マーケ人材の育成を考えている企業にもおすすめだと思います。
野村 本当に。私たちの自立を支援してもらえたことを、何よりも感謝しています。卒業証書、いただいてもいいですか?(笑)
横山 わかりました(笑)。プロジェクトのその後のお話を聞いて、想像を超える成果に驚くとともに、心から嬉しく感じています。皆さんにもう才流は必要ない。これからも素晴らしい実行力、接触面積を武器に成長していかれることを楽しみにしています。ありがとうございました。
(撮影/関口 達朗 取材・執筆・編集/藤井 恵)