株式会社Maneql(マネクル)様は、大阪に本社を置くデジタルマーケティング企業です。LINE公式アカウントの機能を拡張したBtoCマーケティングオートメーションツール「Lステップ」を中心とした事業を展開しています。
さらなる事業拡大を目指すにあたり、これまで少数精鋭の営業体制に限界を感じていた同社。新たな集客の手段としてインサイドセールス体制を構築したいものの、社内にノウハウがまったくない状態でした。ゼロからの体制構築を支援してほしいということで、才流(サイル)にご相談いただいたのです。
才流では、2024年3月~2024年8月まで、インサイドセールス体制の構築から実行を支援しました。プロジェクトの感想について、同社代表取締役の田窪さん、常務取締役の辻󠄀さんと高橋さん、現場担当の岩崎さん(オンラインで参加)にお話を伺いました。
インサイドセールスの立ち上げをゼロから支援してほしい
ー今回ご支援した「Lステップ」のサービス内容を教えてください。
田窪 Lステップは、LINE公式アカウントの機能を拡張したB2C向けマーケティングオートメーションツールです。柔軟なシナリオ配信、細やかなセグメント配信、行動スコアリング、流入経路分析など、LINEを通じて成約率を高める機能を提供しています。
Lステップは、LINE 公式アカウントを用いたマーケティングツールの中で最も広く採用されている(※)サービスです。街のパン屋さんのような個人事業主や中小企業、行政機関など幅広い業種のお客さまにご利用いただいています。
※2024年1月期_指定領域における市場調査 | 調査機関:日本マーケティングリサーチ機構 調査期間:2023年12月12日~2024年1月12日 | 3年連続=2022年2月期調査(同年1月25日~2月12日実施)、2023年1月期調査(2022年11月29日~1月16日実施)に続く結果
田窪 当社は2016年の創業以降、自己資金を基盤として事業を拡大し、年間売上高30億円規模まで成長しています。大阪府堺市・中百舌鳥(なかもず)の地で、少数精鋭で事業を拡大してきたため、社員数は現在でも17名。そのため、業務委託のリモートワーカーとフリーランスの方々を積極的に採用してきました。
―社員は少数精鋭ということですが、どのような営業体制だったのでしょうか。
高橋 これまでの営業体制は反響営業型。問い合わせ対応や設定代行の提案をするくらいで、積極的な営業活動を行っていませんでした。そのため、取りこぼしが発生しており、多くの機会を逃していたと思います。
ーなぜインサイドセールスを立ち上げようと思ったのですか。
田窪 さらなる成長を目指すとなると、今までの反響営業のようなやり方や体制では限界があります。また、新サービス「LステップPlus+」の立ち上げも予定しており、今後はより積極的な営業アプローチが必要になります。そこで、新しい集客方法としてインサイドセールスがいいのではないかと考えたのです。
インサイドセールスの導入を検討し始めたものの、われわれにはその経験やノウハウがなく、どこから手をつければいいのか分からない状況でした。そんななか、参考になる本を探していたところ、才流の栗原社長の『事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践』に出会ったんです。以前、栗原社長が登壇したセミナーに参加し、その内容に共感していたこともあって、才流に相談しました。
―才流にご依頼いただいた決め手は何だったのでしょう。
田窪 他社のコンサルティングも同時に検討・利用していましたが、どちらかといえば戦術寄りの支援内容でした。しかし、才流の提案は、単なる戦術的なアドバイスではなく、われわれの事業を深く理解したうえで、戦略的な部分からしっかりと指導してくれるというものでした。これが決め手となり、才流に依頼しました。
辻󠄀 私はインサイドセールスが電話をかける仕事だということさえ知らず、才流の書籍で一から学びました。他社の提案も受けましたが、ゼロからの体制構築、社員の指導、個別のフィードバックなど、立ち上げから実行まで一貫してサポートしてくれるのは才流だけでした。
サービスへの理解を深め、組織の実情に合わせたサポートを展開
-プロジェクトでは、どのようなことを行いましたか。
名生 今回のインサイドセールス体制構築支援プロジェクトは、2024年3月から8月までの6か月間で実施しました。大きく分けて4つのステップに分かれます。
1つ目のステップは調査・ヒアリングです。3月は主に現状分析とインタビューを中心に行いました。主にLステップの特性や既存の営業体制、顧客層などを私自身が深く理解することに注力しました。辻󠄀さんからLステップについてレクチャーも受けましたね。
2つ目のステップは、インサイドセールスの組織設計です。4月中は才流のインサイドセールス体制を例にBtoBでの管理方法を議論したり、新規顧客と既存顧客にわけてアプローチ体制を議論したり。また、リードのステータス管理の重要性やポイントをお伝えしました。
Maneql様と議論を重ねた結果、HubSpot(顧客管理ツール)を活用したインサイドセールス体制を構築することが決定しました。
3つ目のステップは、インサイドセールスの実務始動です。まず5月はHubSpot本格導入前の準備期間として、スプレッドシートを使用した初期のインサイドセールス活動を、現場担当の岩崎さんと二人三脚で進めていきました。6月からは、HubSpotを活用した本格的なインサイドセールス活動を開始しました。
4つ目のステップは、インサイドセールスの実行支援です。7月後半からは、新しいメンバーも加わり、岩崎さんがマネジメントを担当するようになりました。この時期には、電話のやりとりを録音して分析・フィードバックする取り組みも行いました。
高橋 名生さんがLステップのことをよく理解し、われわれの状況に合わせた提案をしてくれたことが印象に残っています。これまでもさまざまなパートナーとやり取りをしてきましたが、われわれのサービスをちゃんと理解しているところはほとんどありませんでしたから。
名生 サービスの理解にはかなり注力しましたね。競合と比べても優れたサービスだからこそ、使い方や機能も多岐にわたります。支援が始まる前からYouTubeなどを見て理解を深めていました。
電話の録音フィードバックでトークスキルが大幅に向上
-インサイドセールスの実務がスタートしてからの、現場での取り組みについてお聞かせください。
岩崎 HubSpot導入前の5月、名生さんと2人でスプレッドシートを使いながらインサイドセールスを始めました。ですが、社内にインサイドセールスのノウハウがない状態からのスタート。基本的なトークスクリプトや引き上げ条件は決めていましたが、具体的なイメージがつかめない状況でした。
そのなかで、名生さんとSlackでリアルタイムにやり取りできたのが本当に助かりましたね。疑問があればすぐに相談でき、すぐに回答をもらえたので、スムーズに進められました。
-週1回の録音フィードバックについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
岩崎 週1回のフィードバックでは実際の電話内容を録音して分析しました。最初は私自身も録音フィードバックを受けていましたが、新しいメンバーが加わってからは彼らへのフィードバックが中心になりました。
普段は私が隣で聞きながらフィードバックしていますが、私だけでは気づかない点も多いんです。そこで名生さんに相談して、文章や口頭でフィードバックをもらいました。これで私自身も多くの気づきがありました。
名生 録音フィードバックでは「もし私がLステップのインサイドセールスだったら」という観点で、見込み顧客に対してどのようにアプローチしていくかを整理してお伝えしました。たとえば、流入時の情報のどこを見て仮説を立てるのか、どのようなトーク展開をするのか、クロージングはどのように行うのか、などを説明しました。
この取り組みにより、メンバーの方のトークスキルは大幅に向上したと思います。フィールドセールスの商談と同等の対応を、電話口でも対応できるレベルになったのではないでしょうか。
岩崎 週1回という頻度が良かったですね。月1回や3か月に1回では定着しづらいのですが、週1回だと確実に成長を感じられました。
-実行のサポートを受けた結果、手応えは感じていらっしゃいますか。
岩崎 インサイドセールスからのトスアップによる受注が発生しています。直近でも2件の契約が決まり、今は少しずつ上向いている段階です。
われわれの商品は高額で、構築設定やコンサルティングまで含むため、数を獲得するのが難しいんです。ですが、契約ごとの金額は大きくなってきています。契約後のクライアントや代理店とのやり取りを見ていると、着実に成果につながっているのを感じます。
-現場メンバーの取り組みについて、才流としてはどう感じましたか。
名生 2つ印象に残っていることがあります。まず、LステップとHubSpotの構造が似ているせいか、メンバーのみなさんがHubSpotを理解するスピードが非常に早かったことです。質問の内容も高度で、ほとんど答えが見えているようなものが多かったですね。
もう1つは、岩崎さんのていねいな仕事ぶりです。新しいメンバーへの対応が素晴らしかった。ただ業務を任せるのではなく、それぞれの性格や特性に合わせてコミュニケーションを取っていて、上手なマネジメントだと感じました。
インサイドセールス構築の過程で顧客が可視化され、売り方も明確に
-今回のプロジェクトで得られた成果や、良かった点について教えてください。
辻󠄀 支援内容全体が非常に勉強になりました。才流さんのメソッドがしっかり確立されていて、振り返りがとてもしやすかったんです。支援の全プロセスで資料が用意され、録画もあり、フィードバックのZoomセッションもありました。これにより、社内展開がスムーズで、必要なときに振り返りができた。また、才流のメソッド記事を見て再度勉強することも可能です。非常に密度の濃いサポートを受けられたという印象です。
田窪 HubSpotの導入も才流さんの支援がなければ難しかったでしょう。LステップとHubSpotの連携についてもさまざまなリサーチをしてもらい、新しい商品展開のヒントにもなりました。
BtoBのナーチャリングとBtoCのナーチャリングの違いも理解できました。また、メルマガを定期的に配信する仕組みをつくったことで、使い方が浸透し、解除率の低下や問い合わせ、資料請求の増加につながったと感じています。
辻󠄀 HubSpotの導入により、顧客が可視化されたことも大きな成果です。これまでわからなかった部分や追えていなかったところがしっかりと見えるようになりましたね。
インサイドセールスの仕組みづくりを通じて、新サービスの売り方も明確になりました。アンケートなどを通じて顧客のニーズを把握できたので、新サービスが売れる確信を得られたのも嬉しかったです。
高橋 会社全体の意識も大きく変わりました。全員が新しい仕組みづくりに関わることで、当事者意識が生まれました。HubSpotをみんなで一斉に覚えたり、電話をかけ始めたり、お互いにサポートし合うようになりました。これまでにない光景です。
ーメンバーの意識にも変化があったんですね。
田窪 そうですね。会社として団結力が強まりました。当社は売上は伸びていたものの、まだまだやるべきことがあるという認識を持つきっかけにもなりました。このプロジェクトを通じて、成長への新たな道筋が見えてきたと感じています。
事業成長を目指すうえで、難波や梅田にオフィスを構えて人員拡大していくという選択もありました。ですが、まだしばらくは中百舌鳥で頑張っていけそうです(笑)。
売れる仕組みとなったインサイドセールス。さらなる事業成長へ
ーコンサルタントのコミュニケーションはいかがでしたか。
辻󠄀 才流のコンサルタントのコミュニケーションは本当に素晴らしかったですね。とくに印象的だったのは、返事の速さです。質問をすると数秒で返事が返ってくることも。こんなに迅速なレスポンスは初めての経験でした(笑)。
高橋 返事がすぐに返せないときも、スタンプで「見ました」という反応をくれる細やかな配慮もありましたね。
岩崎 インサイドセールスの経験がない私たちにとって、疑問が浮かんだ際にすぐに相談でき、迅速に回答をいただけたことは、業務を進めるうえで大きな支えになったと感じています。
田窪 競合理解、商品理解、顧客理解をしっかりやっていただけるので、話が通じないということがありませんでした。よい人材が多いという印象です。今後は、亀井さんにブログ記事の改善の支援もお願いする予定です。
亀井 私は現在、2つの新サービスのマーケティングをご支援しています。LINEでシームレスな購入体験ができる決済システム「L-ma」、およびLINE上で動画を使ったライブマーケティングを自動・効率的に行うためのシステム「L-CAST」です。
この新サービスによって、LINEという誰もが使用しているツール上で、Eコマースやライブ配信/ウェビナーなど、さまざまなマーケティング手法が使えるようになります。今までにはない良質な顧客体験が確立され、ユーザーの利用者拡大にも大きく寄与するでしょう。
これから始まるブログ改善などのオウンドメディア支援においても、サービスの特長や価値を広めて成果につなげていきたいです。すでにManeql様とは良好な関係性ができているので、みなさんと同じチームの一員として取り組んでまいります。
ーManeql様は今後どのような展望を描いていらっしゃいますか。
田窪 直近では「LステップPlus+」という新ブランドで拡張ツールを展開する予定です。また、他のSNSツールも展開していく予定です。
今後の展開において、今回構築したインサイドセールスの仕組みが非常に重要になってきます。この仕組みを活用することで、新しいプロダクトを効果的に市場に投入し、売上を着実に伸ばしていけるでしょう。そして最終的には、LINEツールの枠を超えて、総合的なMAプラットフォームになることを目指したいです。
もし5年後に年商100億円規模になっていたら、そのきっかけは才流の支援かもしれませんね(笑)。
名生 5年後にそうおっしゃっていただけるように、これからも全力でサポートさせていただきます!
(撮影/ヤマダ ヤスヒコ 取材・執筆・編集/河原崎 亜矢)