データの電子化を軸としたBPOサービスを幅広く展開している、株式会社うるるBPO様。
同社では、既存事業に加えて、新規事業であるAI-OCRのサービス「eas(イース)」の立ち上げをミッションに掲げていました。しかし、構想から3年ほど経ったものの、easの立ち上げは苦戦。受注獲得に課題を抱えていたそうです。 才流では、2021年8月から支援。うるるBPOの野坂様と芦澤様に、才流の支援を受けた成果や率直な感想を伺いました。
株式会社うるるBPO
BPO事業として、データ入力・スキャニングに加え、システム開発受託・電子化総合アウトソーシング・メーリングサービス等の総合型アウトソーシングを展開/2014年創業/従業員数90名(徳島センター含む。2022年4月末時点)
【ご依頼前の課題】
- 新規事業を立ち上げたものの受注を獲得できなかった
- ターゲットが明確でなく、アプローチ先に迷っていた
当初のターゲットからは反応が得られなかった
ー 新規事業を立ち上げた背景を教えてください。
野坂 当社はBPO領域の中でも、データの入力代行・収集・整形、それらに伴う業務全般を受託するビジネスを展開しています。お客様に合わせて最適な業務フローを作るため、どうしても社内のリソースが必要です。また、BPO事業としてはめずらしく単発のお仕事が多いため、新規顧客の獲得を毎月しっかり行うことが欠かせません。
そこで、社内が疲弊せずに利益率を上げられる新規事業を立ち上げ、会社全体のポートフォリオを改善したいと考えました。3〜4年前のことです。
ー どのような課題から才流に声をかけましたか?
野坂 もともとeasは、同業種のBPOサービス事業者に提供できると考えていました。私たちが欲しいものを作れば、同じような問題を抱えている人たちにもニーズがあるだろうと思っていたんです。そのため、マーケティング施策は積極的には行わず、既存の顧客や同業種の方にご案内していました。
しかし、思ったような反応が得られなかったため、新規事業のグロースを手伝ってくださるパートナーを探すことにしました。社内で相談をしたところ「『fondesk』のグロースをしてくださった才流さんに相談してみては」と教えてもらいました。
参考:fondeskは最初の100社の顧客をどう開拓したのか?
新規事業のパートナーとして“伴走”してくれる才流を選択
ー 才流を選んだ理由を教えてください。
野坂 才流のほかにも数社に声をかけて話を聞きました。最終的に才流に決めた理由は、コミュニケーションの取り方が、その時の自分たちに最もフィットしていると感じたことです。また、fondeskでの実績も安心感につながりました。才流は「伴走」という言葉がふさわしく、困っていることや相談したいことに真摯に向き合ってくださいました。
小島 才流にご相談いただいたとき、最初に伺ったのは「リードを獲得したい」というご要望でした。
AI-OCRの市場では、オンラインでの施策を強化していけばリードはしっかり取れるはずです。とはいえ新規事業なので、どんなターゲットにどのように売るかという点はまだ見えていない部分もあります。そこで、施策を回しながらターゲット選定をしていくことをご提案しました。
最初からターゲットを絞らず、まずはAI-OCRの市場でリード獲得を進めて商談をすることが重要だとお話しました。
野坂 たしかに「ターゲットを明確にしていない」というのは事業立ち上げ当初からでした。
既存事業は多様な業種から案件獲得できる市場だったこともあり、AI-OCRの市場に関してもターゲットを設定できていなかったのです。かといって根拠なくターゲットを狭めるわけにもいかない、ということに小島さんは理解を示してくれました。 AI-OCRの市場は検索数からもわかるとおり、一定のニーズがあると推察し、ある程度はリード獲得できる見立てがありました。無理にターゲットを設定しなくてもリード獲得できるのではと、認識を合わせていただけたのはよかったです。
1か月で戦略を立て、2か月目からは施策を実行
ー 実際のプロジェクトはどのように進めましたか?
小島 新規事業のBtoBマーケティング支援のプロジェクトと、通常のマーケティング支援との違いはスピード感です。通常の才流のマーケティング支援では、調査・分析に3か月かけて戦略立案を行います。しかし新規事業の場合は入念な調査分析に時間をかけるよりも、実際にリードや商談を獲得しながら軌道修正した方が結果的に近道になります。そのため今回は1か月で戦略を立案しました。
新規事業の場合は、そもそもリード情報、インサイドセールスでのヒアリング情報、受注・失注情報といったデータが蓄積していないため、分析する材料が少ないです。
そこで、導入の意思決定はどのように行われるのか、どうすれば売れるのか。アプローチの最適解を探るために、過去にAI-OCRを選定し導入した人、AI-OCRのサービスを売ったことがある人へのヒアリングを実施しました。
また、野坂さん、芦澤さんが営業の現場にも出ていたので、商談での反応も細かく共有してもらいました。
そのうえで、競合の顧客傾向を分析し、easの訴求内容を決め、具体的なサイト改善まで行いました。
2か月目からは、野坂さんと芦澤さんに施策の実行やパートナーとの連携など幅広く動いていただきました。具体的には弊社からご紹介したパートナー企業とともに、継続的なサイト改善や広告運用、インサイドセールスの立ち上げなども行っていただきました。
3か月目以降はリードが増え始めたので、実際の商談における課題解決にシフトしました。
新規事業だと、リードは取れていても商談化しないケースや、実際の商談で相手の期待とズレが生じるケースがあります。マーケティング施策の改善によってリード獲得数が増えることで「受注からかけ離れているリードしか獲得できないのでは? 」という懸念もありました。
そこで、1件目の受注を取ること、商談を改善していくことに注力したのです。
野坂 マーケティング支援プロジェクトの全体像は事前に共有いただいていたので、現在地がどこで、今後どう進んでいくのかを明確に把握できた点は安心感がありました。 また事前に、「バケツの穴をふさぐためにどうするか」という観点で、リード獲得から受注までの各ステップで改善すべきこと、優先度をこと細かにご提案いただいていたことで、スピード感を持ってやるべきことを判断できました。
芹澤 私はもともと営業畑の出身だったので、マーケティングの施策実行に関して言えば、とにかく初めて取り組むことが多かったんです。各施策については進行時にもわからないことをこまめに相談、確認させてもらいました。
小島さん、中島さんはささいな相談にもすぐ回答してくださり、丁寧にサポートしてくださったので、数多くのタスクもスケジュールどおりに対応できました。
小島 新規事業においては、とにかくスピード感が重要です。そのため、ご質問をいただいた際には「100点の回答」にこだわらず、スピード感を持ってお返しすることを優先していました。
使えるリソースや予算など現状をすべてオープンに共有してくださったので、目標から逆算してタスクを洗い出して、それぞれの優先度をはっきりさせたことは非常に重要なポイントだったと思います。
野坂 当社側は、私と芦澤、アルバイト1名の合計3名分しかリソースがなく、とにかく施策をまわすことに必死でした。
基本的には私と芦澤が営業の合間にマーケティングの施策を実行するので、戦略や施策の優先順位、訴求内容の整理、商談改善などについて考える時間を確保できません。そこを才流さんに埋めていただけたことは非常に大きな助けになりました。
商材・顧客の解像度が上がり、施策の精度が大きく向上
ー 1件目の受注まで色々と模索したそうですね。
野坂 広告経由でリード獲得はできていたのですが、当初は私たちのサービスで解決できる対象ではない方々を集めてしまいました。手探りの中で進めていたこともあり、課題の特定が難しかったです。打ち合わせがお通夜のような雰囲気だったときもありました(笑)
サービス内容か、リードタイムの問題か。考えながら進めるうちに、easという商材はリードタイムが長いという特性が見えてきました。
既存事業の場合、最短で当日の相談から受注が確定することがあるくらいリードタイムが短いのですが、easはその4倍ほど長かったのです。
また、サービス内容の打ち出し方も、大体70件ほど商談を重ねた頃から手応えが変わってきました。
私たちのリソースだけでは改善しきれない部分は、パートナー企業にも戦略を共有し、連携することでプロジェクトを進めました。その結果、リード獲得からの商談率を高められたことが大きなポイントだったと思います。
小島 まずはマーケティングを変えるのか、営業を変えるのか、間違えないようにしました。そのため、受注に近い案件を主眼に置いて分析から改善施策を講じることを徹底し、効率化はその次の段階でやることを意識していましたね。
5か月目以降は特に商談に関する改善に集中していたのですが、何よりも野坂さんと芦澤さんの顧客解像度が飛躍的に上がったことが受注につながる布石だったように思います。
実際に、6か月目以降は打ち手の精度が明らかに高くなりましたし、ディスカッションの場でも顧客解像度の高さを感じられるようになりました。しっかりと商談できるリードをたくさん供給できたので、マーケティング施策の価値も実感できましたね。
マーケティングと営業の歯車がカチッと噛み合ったように思います。
ー 実際の成果に関してはどう評価されていますか?
野坂 いろいろな模索を経て受注できる体制まで持ってこられたものの、欲を言えばあと2か月ぐらい早く初受注ができていれば…という気持ちはあります。
ただ今回のプロジェクトでは、ターゲット選定からリード獲得、そして商談とそれぞれのフェーズにおいて見直しをしっかり行う必要があったわけですし、プロジェクト進行における才流さんのスピード感はこれ以上ないものでした。 ようやく体制は整ったものの、まだまだ課題はあるため、引き続き伴走支援をお願いしています。ターゲットや訴求内容が明確になり、チームメンバーも5名まで増えたので、新たな仮説検証のために引き続きトライしつづけることをスピードを落とさずにやっていきたいと思っています。
小島 当初のリード獲得に関しては、獲得効率も獲得件数も想定どおりに進められました。成果として一番のポイントは、ご紹介したパートナーさんと円滑に連携いただいたことです。パートナーさんとの座組みを1か月で立ち上げるのは、相当早いです。
野坂さんと芦澤さんのご要望に添った動きをパートナーを含むプロジェクトメンバー全体で実践できた点が、いち早く商談獲得につながった理由だと思います。
そこから受注に至るまでは、正直なところ試行錯誤の連続でした。正解がまったくないので、とにかく色々な施策にトライして、やってみてどうだったか振り返る。この繰り返しが結実したという印象です。
現在はようやく受注までの道のりが整ってきたので、受注を増やすための支援に向けて舵を切れる状態です。お二人が数多くの商談で培った顧客理解があってこそだと思います。
才流は新規事業で悩んだらまず相談したい相手
ー 今後どのような会社におすすめしたいですか?
野坂 やはり私たちと同じように社内リソースが少なく、新規事業の仮説検証でうまくいかず、どう売っていくか迷っている会社さんにはおすすめします。
自分たちの判断で失敗して、次の判断が正しいと信じられない中で、どうすればいいのか。一緒に考えてくださるパートナーを欲している方には才流は適任だと思います。
新規事業のマーケティングにおいても必要な型があると今回学んだので、型をもとに新規事業のグロースにドライブをかけていきたい会社さんにはおすすめしたいです。
小島 今回のご支援に際して、具体的な施策に価値を感じていただいただけでなく、悩んでいる課題に対する考え方の整理がとても役に立ったという点は、新規事業のマーケティング支援を今後展開する際にも前面に出していこう、という発見がありました。今回のご支援で培った経験を活かして、色々なお客様の新規事業をご支援していきたいと思います。ありがとうございました。
(取材・文/奥川 隼彦 編集/森 駿介)