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法人営業支援

ニッチなBtoB商材の強みを再定義し、訴求ポイントを整理。営業資料の刷新で案件化に貢献

矢崎総業株式会社

https://www.yazaki-group.com/

業種

製造

従業員数

1000名以上

課題

営業資料を改善したい

写真左から:才流コンサルタント宮戸、桂川、矢崎総業鎌田様、堅田様、廣島様
コンサルタント
宮戸 章光
コンサルタント
桂川 誠

設立80年を超える歴史を持ち、自動車用ワイヤーハーネスで世界トップクラスのシェアを誇る矢崎総業株式会社さま。グループ全体で45の国と地域に拠点を持ち、従業員数は23万人を超えるグローバルメーカーです。自動車部品をはじめ電線、ガス機器、空調機器、計装機器など多種多彩な製品を開発。介護やエコビジネスを中心とした新事業も展開されています。

同社では2020年、保有するモビリティデータ・工場データ・エネルギーデータなどのビッグデータを活用するべく「AI・デジタル室」を開設。新規事業として、画像アノテーション事業をスタートしました。今回、「営業資料を刷新したい」と才流にご相談いただきました。

2か月間(2023年5月〜6月)のプロジェクトを振り返り、AI・デジタル室DX事業推進部ビジネスインキュベーションチーム主担当の鎌田さま、同チームの堅田さま、廣島さまに才流の支援で得られた成果や率直な感想を伺いました。

新規事業のPMFを加速すべく、営業資料を刷新したい

ー まずは、「画像アノテーション」の新規事業を立ち上げた背景について教えてください。

鎌田 矢崎総業は設立から80年以上にわたり、ものづくりに取り組んできました。自動車用ワイヤーハーネスではトップクラスのシェアを誇ります。

自動車業界は今、電動化や自動運転、シェアリングサービス、Mobility as a Service(移動自体をサービスと捉える考え方)など、100年に一度といわれる大きな変革期にあります。この変化に対応すべく、社内外からAI・デジタルに知見のある人材を集めて2020年に創設されたのが、私たちが所属する「AI・デジタル室」です。

才流の法人営業支援事例インタビュー/鎌田様/矢崎総業株式会社 AI・デジタル室 DX事業推進部 ビジネスインキュベーションチーム 主担当 
鎌田さま/矢崎総業株式会社 AI・デジタル室 DX事業推進部 ビジネスインキュベーションチーム 主担当 

鎌田 AI・デジタルに関連する新規事業の立ち上げは、この部署のミッションの一つ。矢崎グループが持つビッグデータや技術力、そして人材を活用しながら何ができるのか。さまざまなアイデアを出しあい、早い段階で事業化に至ったのが「画像アノテーション事業(※)」でした。

構想を経てプロジェクトが動き出したのが2021年。そこから1年ほどかけて組織のオペレーションを組み立て、2022年の夏頃から外販をスタートしました。現在は私、堅田、廣島の3名で事業を運営しています。

※画像アノテーション:AIに学習させたい画像データに意味付け(タグ付け)を行う業務。アノテーションの精度によってAIの精度が変わるため、AI開発において重要な役割を持つ

ー 才流には2023年4月に「営業資料を刷新したい」とお声がけいただきました。外部の支援を受けようと思われたのは、なぜでしょうか。

堅田 新規事業を立ち上げ、いわゆるPMFを目指す中で、より顧客ターゲットを絞って営業効率を上げていきたいと考えていました。

商談時の営業資料にも課題を感じていました。一定水準を満たした営業資料をつくれてはいたのですが、「当社が伝えたいことが、どこかうまく伝わっていない」ような感覚があったんです。

訴求ポイントは大きく外れていないだろう。ただ、強調するポイント、情報の取捨選択や伝える順番など、伝え方にズレがあるのかもしれない。顧客への伝え方を見直す必要性を感じ、客観的な意見が欲しいと思いました。

才流の法人営業支援事例インタビュー/堅田様/矢崎総業株式会社 AI・デジタル室 DX事業推進部 ビジネスインキュベーションチーム  
堅田さま/矢崎総業株式会社 AI・デジタル室 DX事業推進部 ビジネスインキュベーションチーム  

※関連記事:PMF(プロダクトマーケットフィット)達成ガイド~基礎から事例まで、新規事業を成功に導くためのコンテンツ集

ニッチな商材を理解し、地に足のついた質問をしてくれた

ー 才流に依頼した決め手は何だったのでしょうか。

堅田 才流のことは、以前から知っていました。BtoBマーケティング関連のコンテンツをたくさん発信しているので代表の栗原さんの書籍を読んだり、ウェビナーに参加したりもしていました。

依頼するにあたって、ほかのマーケティングコンサルティング会社や営業ツールの制作会社など複数の企業と比較検討しましたが、最終的に才流に決めたのは、BtoBに特化していた点が大きいです。

BtoBとBtoCではやり方がまったく違いますし、私たちが手がけるアノテーションはBtoBの中でもとくにニッチな商材です。より豊富なBtoBの知見を持つ会社に任せたいと考えました。

加えて、コストパフォーマンスが高いこともプラスの材料になりましたね。私も前職がコンサルタントなのでイメージしやすかったのですが才流にはBtoB領域での豊富な実績がベースとなった「型」があります。もちろん顧客ごとにカスタマイズしてくださるんですが、型があることでコストをおさえられていると感じました。

「短期間でやりたい」というこちらの要望に対しても配慮いただき、その期間内でできることをしっかりと提案してくださった。この点にも誠実さを感じました。

ー 反対に発注段階で、懸念点や不安だった点は何かありましたか。

鎌田 私は堅田ほど才流のことを知りませんでしたから、当初は何をどこまでやっていただけるのか、あまりイメージできていなかったんです。アノテーションはニッチな業界ですから、外部のコンサルティング会社にどこまで支援いただけるか未知数でした。

ところが実際にコンタクトをとると、発注前の商談でサポート内容がかなりクリアになった。“専門性の高い商材についてわかってもらえるだろうか?”という不安がなくなっていったのを覚えています。

才流の法人営業支援事例インタビュー/鎌田様/矢崎総業株式会社 AI・デジタル室 DX事業推進部 ビジネスインキュベーションチーム  

鎌田 アノテーションのビジネスについてもしっかりとインプットされて、地に足のついた質問や提案をされました。

細かい話ではあるんですが、コンサルタントの宮戸さんが事前に、業界の展示会の日程まで調べていらっしゃったんですよ。その姿勢に驚いて、個人的にも信頼できると感じました。

インタビューで気づいた訴求ポイントと顧客認識のズレ

ー 今回のプロジェクトでは、実際にどんなことを行いましたか。

宮戸 営業資料を刷新するにあたり、矢崎総業さまならではの「強みの抽出」と「メッセージ設計」が肝になると考えました。

そこで画像アノテーション事業を推進する鎌田さま、堅田さま、廣島さまへのヒアリング、競合調査、見込み顧客インタビュー、既存顧客インタビュー、才流コンサルタント17名による既存営業資料のヒューリスティック分析など、さまざまな調査・分析を実施。強みの再定義や訴求ポイントの整理、キーメッセージのつくりこみを進めました。

才流の法人営業支援事例インタビュー/才流コンサルタント宮戸章光
宮戸 章光/株式会社才流 コンサルタント(https://sairu.co.jp/member/1523

宮戸 当初の計画では営業資料の構成とキーメッセージ設計まで、というお話だったんです。ただ、矢崎総業さまがスピード感を持って準備を進めてくださり、濃いディスカッションができたことで、期間内にキースライドの骨子作成や商談の進め方などもご支援できました。

桂川 加えて、今後は直販のみならずAI開発ベンダーなどとアライアンスを組み、パートナーセールスを拡大していく構想をお持ちでしたので、パートナー戦略の検証や手数料設計、パートナー向け契約書の雛形作成も、才流で支援させていただきました。

ー 営業資料の刷新にあたり、才流主導でさまざまな調査分析が行われました。どんな発見がありましたか。

鎌田 見込み顧客へのインタビューはとくに力を入れてもらった印象です。私たちのパートナーとなり得る企業とエンドユーザー、計12社に話を聞くことができました。

私も直接お客さまに提案する立場ですから、当社の強み・弱みを理解していたつもりです。ただ、蓋をあけてみたら、私たちが強みだと思っていたものが案外、顧客に刺さっていないケースもあると気がつきました。

堅田 商談では、うちのサービスが良いか悪いかといった所感を聞くことはあっても、調査時のように「品質」「価格」「セキュリティ」と3つの軸にわけて、どれがどの程度重要か、濃淡をつけて聞くことはありませんでしたから。

3つの軸はどれも重要ですが、当社としては「品質の高さ」を打ち出していく方向性でした。ではセキュリティと価格とのバランスをどう見せていくのか。そこまでの整理はできていなかったんです。

才流の法人営業支援事例インタビュー/堅田様/矢崎総業株式会社 AI・デジタル室 DX事業推進部 ビジネスインキュベーションチーム  

堅田 また、「品質の高さ」を訴求するといっても、当然ながら顧客によって重視する点は異なります。見込み顧客インタビューでは、たとえば大企業やオーナー系企業は「セキュリティへの重視度がやや高い」といった結果も見えました。これまで持っていた見込み顧客に対する仮説を検証し、解像度を高められたと思います。

さらに付け加えると、私自身、ハッとしたのは「価格の見せ方」です。

これまでの営業資料では「品質の高さ」を訴求し、最後に価格の説明を端的にしていました。この説明だと、お客さまは「そんなに品質が良いなら、価格は高いのでは?」と思いながら、ずっと私たちのプレゼンを聞くことになります。その結果、高価格なイメージを与えてしまっていた。「品質は高いけれども、価格もちゃんと抑えています」と最初からセットで伝える必要があったんです。

同時に、当社がなぜ価格を抑えられているのか口頭での説明はしていましたが、インタビュー調査をしたことで、営業資料に反映させたほうが良いと気づきました

宮戸 インタビューをする際は、私もある程度、仮説を持って臨みます。今回は良い意味で仮説が裏切られ、新しい気づきがありました。

当初は、顧客であるエンジニアの方が10名いれば10名とも「アノテーションのデータは重要」と答えると想像していたんです。

しかし実際、一部の人は「データなんて重要じゃない」「とくに求めていません」と回答。データを重視する層と軽視する層、2つの属性に対して訴求する必要があるとわかりました。

そこで営業資料に「アノテーションやアノテーターの重要性」をあらためて訴求するスライドの追加を提案したんです。

堅田 そうでしたね。そして重要性を説明する際にも、いろいろな切り口があります。宮戸さんはその切り口を5つほど仮説として用意してくださいました。どの切り口が響くのかを細かくヒアリングし、最終的には3つに絞りましたね。

「重要性を伝えることが大事」で終わらずに、「どの切り口が有効なのか」というところまで踏みこんでやってくださり、助かりました。

宮戸 「一貫性」や「類推」など一般的にエンジニアの方が好むワードについても、インタビューで感触を探りました。業界の方にとって馴染みがあって響きやすい言葉を、営業資料に反映できるよう意識しましたね。

改善した営業資料で商談化に成功。現場からも好反応

- プロジェクトの成果は出ていますか。

鎌田 私たちの強みを明確化し、顧客にどう伝えていくか、組み立てを精度高くやっていただいたことが成果だと捉えています。市場や競合調査などの事実をふまえて、客観的な示唆をもらえました。つくっていただいた資料をベースにウェビナーを行ったところ、参加者からの反応もいいですね。

ウェビナーから商談に進んでいるケースもあり、これからの成果にも期待が持てそうです。

堅田 私自身も、骨子をもとに提案をする際、格段に話しやすくなったと感じています。追加したスライドも、お客さまからの反応がとてもいいです。

桂川 それは良かったです。今回は、どの強みをどんなふうに訴求するか、仮説検証を繰り返して絞っていきました。営業資料とトークの組み立て方次第で、お客さまの反応が大きく変わることは私自身も実感しているので、今後の反応についてもぜひ、教えていただきたいです。

才流の法人営業支援事例/才流コンサルタント桂川誠
桂川 誠/株式会社才流 コンサルタント(https://sairu.co.jp/member/1503/

宮戸 そうですね。そして今回、2か月という短期間で良いプロジェクトにできたのは、矢崎総業さまと共につくりあげられたからこそ、だと感じています。

われわれが提案すると、翌週の定例ミーティングでは「ちょっとつくってみました」と叩き台となる資料を準備してくださっていましたよね。叩き台があることでディスカッションを深められましたし、そこからまたインタビューでヒアリングを重ね、質を高めることができました。

堅田 才流にすべてをお任せしてアウトプットを待つだけでも、十分に良いものができたと思いますが、関わっていただくからには、実りのある時間にしたかったんです。こちらの意見も可視化したほうが、よりスピーディに議論に入っていけますからね。

才流の魅力は、ニッチ業種に応じた具体的な議論ができること

- あらためて才流との仕事を振り返り、どんなところに良さを感じましたか?

堅田 一般論にとどまらない具体的な議論ができたことが、最も良かった点です。

アノテーションやAI開発特有の事情、そして当社の状況に合わせた提案をしていただいた。これって当たり前のようで、実は当たり前じゃないんです。

当社のようなニッチな業種の場合はとくに、このレベル感で議論ができるのは稀有だと認識しています。

廣島 私からも一点。私は鎌田や堅田よりも現場寄りの仕事をしていまして、プロジェクト始動後に配属されたこともあり、純粋にすごく勉強になりました。

才流の法人営業支援事例/廣島様/矢崎総業株式会社 AI・デジタル室 DX事業推進部 ビジネスインキュベーションチーム 
廣島さま/矢崎総業株式会社 AI・デジタル室 DX事業推進部 ビジネスインキュベーションチーム 

廣島 サービスを説明する際、話しづらさを感じていた部分や、もやっとしていたところを整理し、言語化してくださったのが最も良かった点です。

加えて、才流コンサルタントの澤井さんが「インサイドセールスの勉強会」を開催してくださったんですよね。これが本当にすばらしい内容で、いまでも困ったときに資料を見返しています。

堅田 たしか1時間半くらいの講義だったのですが、網羅的かつ具体的な内容でした。俯瞰したお話から細かなティップスまで詳しく教えてくださって、「これを見れば明日からインサイドセールスができるようになる」と感じられるカリキュラムだったんです。

これまでいろいろとインサイドセールスについて学んできましたが、この知識をもっと早く知りたかったと思いました(笑)。

鎌田 新たにインサイドセールスの担当が配属されたときにも、まずこの資料を見せています。

人材の育成においても大きな意味があったと感じています。

-最後に、才流のコンサルティングサービスは、どのような会社に合うと思いますか。

堅田 そうですね。営業活動や事業拡大に何らかの課題を持っていて、現状を打破したいという企業に合うのではないでしょうか。

課題について言語化はできていなくても、事業者側がある程度、仮説を持っている場合はとくに質の高いディスカッションができると感じます。

また、当社のようにBtoBにおいてニッチなサービスを展開している企業にもおすすめできます。

鎌田 「これから新規事業に力を注いでいきたい」という企業は少なくないでしょう。ただ新規事業を立ち上げていく初期フェーズでは、そんなに予算をかけられませんし、どうしても人手不足になります。

立ち上げ期に才流に入ってもらい、当社が提供いただいたような勉強会などを通じて人材育成を一緒にやってもらえたら助かる企業は多いと思いますよ。

才流の法人営業支援事例インタビュー/顧客:矢崎総業様

(撮影/矢野 拓実 取材・文/ 猪俣 奈央子 編集/藤井 恵)

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