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個人で月1000万を売り上げるマーケターが語る、定期購入通販のマーケティング事情

BtoBマーケティング
SEOコンサルタント
村上 薫

ライザップは、もともと「健康コーポレーション株式会社」という名前の会社で、ダイエット食品の大豆クッキーの通販事業で成功し、のちに上場したことをご存知でしょうか。

しかしながら、創業初期は苦しい状態が続いていたようです。創業者である、RIZAPグループの代表・瀬戸 健社長のインタビュー記事を読むと、当時の様子を下記のように語っています。

妻の友人に描いてもらったイラストに、「ほっぺたが落ちます」というようなキャッチコピーを付けた折込チラシを数パターン作って配りました。1種類にしなかったのは、どのデザインがいいか、議論がまとまらなかったからです。

仕方がないから、パターンごとに電話番号を変えた。どのチラシから何件くらいの問い合わせがあるのか、テストしようと思ったんです。

そしたら驚きました。売れるチラシと売れないチラシで3倍くらいの差が出た。同じ商品でも伝え方によってこんなに売り上げが違ってくるんだ、と痛感しました。ダイエットクッキーが大ヒットしたおかげで、創業4年目で年間売り上げが100億円に到達しました。

(中略)

広告は営業マンと同じですから、営業マン1人あたりどれくらいの売り上げがあるかの販売管理も緻密にやっています。

どういうことかといいますと、今、ライザップだけで電話番号が150個以上ある。街中にある看板も一つ一つ、問い合わせの番号が違っています。かかってきた電話番号を分析すれば、どの看板にいくらのコストをかけて何件の問い合わせがあり、そのうち何割が入会にまで至ったかが明確にわかります。

たとえ1万円の広告でも同じように管理していますから、日々、「強い営業マン」と「弱い営業マン」をテストして、より分けているようなものです。

NIKKEI STYLE「看板ごとに電話番号かえて効果分析・RIZAPの広告術 」

このように、同社は通販のマーケティングノウハウをもとに、ライザップを含めた事業に対して様々な施策に取り組んでいることがわかります。

さて、本記事ではアフィリエイターの一面も持つ健康食品のマーケター・Aさんに、通販マーケティングの手法の一例をうかがいます。業界問わず様々なマーケティングの参考になると思います。

(※本記事の初回公開は2019年1月です。当時の情報をもとに執筆しました)

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定期通販のマーケティングとは?

ーまずは、これまでの経歴を教えてください。

新卒で上場している通販会社に就職しました。その後転職し、健康食品や化粧品などを売っています。成果が見えやすいので通販業界のマーケティングが好きです。
個人でもアフィリエイターとして月1,000万円以上売上をあげています。

─現在は、どのような仕事をしていますか。

私は、定期購入通販のマーケティングをしています。

定期購入の通販は、初回割引で買っていただいたお客様に、いかにリピートしていただくかが勝負のモデルです。

基本的には6ヶ月間継続して頂いた場合、広告費・原材料・配送費・人件費などの投資を回収できることを考えて組み立てます。

担当する商品の定期購入の単価は、下記のような料金体系になっています。

  • 初回が0~1,000円
  • 2回目が3,000円台

この業界でポイントになるのは、アフィリエイターの方に販売いただくことです。アフィリエイターの方には成功報酬単価を1件8,000円前後でお支払いします。

6ヶ月間継続購入して頂いてはじめて利益が出るモデルなので、会社によっては4回定期をあらかじめ契約内容として縛っているところもあります。

たとえば、コスト構造は下記のようになっています。

売上
・初回、500円
・2回目~6回目、3,000円×5=15,000円
小計:15,500円

原価
・原材料 1,500円
・送料 150円
・アフィリエイター報酬 8,000円
小計:9,650円

粗利:5,850円

コスト構造

媒体別に広告クリエイティブを用意し成果を比較する

ー広告の運用をするうえで、どのような優先度をつけていますか。

基本は初回継続率が良い広告を優先的に改善します。

不思議なもので「Gunosyでは効果の高かった広告が、スマートニュースでも良いとは限らない」といったことはザラにあることなので、試せるものはすべて試します。

媒体ごとに広告文をいくつか用意して、パフォーマンスを評価するイメージです。

媒体評価イメージ


また最近は、商品開発に広告担当が参加することが増えています。

広告担当は、

  • どういった訴求があれば売れるか
  • どういった要素があればアフィリエイターの方が売りやすいか

といったことがわかるので、上記のような要素をあらかじめ商品開発の段階で盛り込んでしまうのです。

たとえば、株式会社ベルーナの小会社であるオージオが、卵殻膜美容液という商品をヒットさせました。

卵殻膜美容液

この商品には東大の研究といった文言が入っています。つまり、そうした権威性を入れられるかどうかが商品ヒットのポイントになっているのです。

この話はあくまでたとえ話です。オージオが商品開発に広告担当を入れている可能性もありますが、断定することはできません。

記事LPで商品理解を深め、購入につなげる

ー適切なCPAに近づける施策はありますか?

通販業界で、ここ数年流行っている手法が記事LP(ランディングページ)です。

従来のいかにも広告的なLPへリンクするのではなく、記事をはさみ、LPへリンクする手法になります。

従来:広告→ランディングページ
最近:広告→記事LP→ランディングページ

こうすることによって、CPAが半分以下になるケースがあります。

たとえば、下記のようなページが記事LPです。

記事LP

ユーザーにとっての必要性を訴求する

─そのほか、参考になる施策を教えてください。

メールマガジンのコンテンツについてです。

購入いただいた方に送信するメルマガの内容を、継続購入の必要性を訴求するように工夫しています。

たとえば、下記のような内容です。

  • 2回買って頂いた方には、3回目以降継続すると成果が出る理由を伝える
  • 初回しか買っていない方に、続けて買う必要性を伝える

相手にとっての必要性を考えるうえで参考になるのが、レオナルド・ディカプリオが主演の映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」です。

ベルフォートという実在の証券セールスマンが、値段のつかない株券を上場企業の株券とセット販売する会社を立ち上げ、最高50億の年収を達成するも、転落していくというストーリーです。

映画のなかで、「何の変哲も無いペンを私に売ってみろ」というシーンがあります。
このような質問をすると、多くの方はペンの性能や希少性について説明すると思います。

しかし、それでは売れないでしょう。

ペンを買う側にとっての必要性を作ることが売れる秘訣なのです。

映画では、ディカプリオから「ペンを売れ」と言われたメンバーが紙ナプキンをディカプリオに渡して、こんなやりとりをします。

メンバー「ナプキンにお前の名前を書いてくれ」
ディカプリオ「ペンがない」
メンバー「これ買え。需要と供給の一致だ」

これが正解の1つだと解説されます。

つまり、「名前を書くためにはペンが必要」=「ペンを買う必要性ができる」ということです。通販のメルマガでも同じことが言えるんですね。

マーケティングに携わる方であれば、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」はぜひ見て欲しい映画です。

─Aさん、ありがとうございました。

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